T:AT&Tの配当推移

通信,配当

【2026年7月更新】
2025年通期決算、2026年第1・第2四半期決算、2026年6月24日に宣言された四半期配当0.2775ドル、2026年通期ガイダンス、Lumenのマスマーケット光ファイバー事業取得、EchoStar周波数取引、自社株買い計画を反映しました。

AT&Tは2026年Q2に売上高315.58億ドル、営業キャッシュフロー108.01億ドル、フリーキャッシュフロー46.70億ドルを計上しました。2026年上半期のフリーキャッシュフローは71.76億ドルです。[1]

エーティー・アンド・ティー(AT&T Inc.、ティッカー:T)の配当利回り、権利落ち日、配当性向、フリーキャッシュフロー、負債、成長戦略を確認します。

AT&Tは2022年のWarnerMediaスピンオフ後、年間1.11ドルの配当を維持しています。2026年も四半期0.2775ドルの配当を継続し、株主還元では「安定配当+自社株買い」を重視しています。[2]

通信企業はネットワーク投資額が大きいため、報告EPSだけで配当の安全性を判断するのは適切ではありません。会社定義のフリーキャッシュフロー、FCF配当性向、ネットデット/調整後EBITDA、顧客純増、光ファイバーの展開状況を合わせて見る必要があります。

Contents

配当利回りと株価の推移:3か月チャート

最新配当と権利落ち日

対象 宣言日 1株配当 権利落ち日
(通常ルール)
基準日 支払日
2026年Q2分 2026年6月24日 0.2775ドル 2026年7月10日 2026年7月10日 2026年8月3日
2026年Q1分 2026年3月27日 0.2775ドル 2026年4月10日 2026年4月10日 2026年5月1日
2025年Q4分 2025年12月15日 0.2775ドル 2026年1月12日 2026年1月12日 2026年2月2日
2025年Q3分 2025年9月25日 0.2775ドル 2025年10月10日 2025年10月10日 2025年11月3日

※AT&Tの公式配当履歴には基準日と支払日が掲載されています。米国市場がT+1決済へ移行した後、通常の現金配当では、基準日が営業日であれば原則として基準日と権利落ち日が同日になります。証券会社によって表示方法が異なる場合があるため、実際の取引前に確認してください。[4]

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS

年間配当、配当成長率、EPS、配当性向を確認します。AT&Tは2022年に年間配当を減額した後、2023年から2026年まで現行年率1.11ドルを維持しています。

配当 平均株価/
基準日株価
報告EPS 調整後EPS
参考利回り 成長率 配当性向 年計
2026E 約4.60%
(7月24日)
0% 約47~49%
調整後EPS比
1.11 24.13
7月24日
2.25~2.35
2025 4.33% 0% 約37%
報告EPS比
約52%
調整後EPS比
1.11 25.62 3.04 2.12
2024 5%台前半 0% 約75%
報告EPS比
1.11 1.49 1.95
2023 6.69% 0% 約56% 1.11 16.6 1.97
2022 7.26% -47% N/A 1.35 18.6 -1.13
2021 9.86% 0% 76% 2.08 21.1 2.73
2020 8.85% +2% N/A 2.08 23.5 -0.75
2019 7.97% +2% 108% 2.04 25.6 1.89
2018 7.97% +2% 70% 2.00 25.1 2.85
2017 6.74% +2% 41% 1.96 29.1 4.76
2016 6.49% +2% 91% 1.92 29.6 2.10
2015 7.37% +2% 79% 1.88 25.5 2.37
2014 7.05% +2% 148% 1.84 26.1 1.24
2013 6.74% +2% 53% 1.80 26.7 3.42
2012 6.90% +2% 141% 1.76 25.5 1.25
2011 7.75% +2% 261% 1.72 22.2 0.66
2010 8.36% +2% 50% 1.68 20.1 3.35
2009 8.50% +2% 80% 1.64 19.3 2.05
2008 6.37% +13% N/A 1.60 25.1 -0.44

※2026Eの配当性向は年間配当1.11ドルを2026年通期調整後EPS見通し2.25~2.35ドルで割った概算です。2025年の報告EPS3.04ドルにはDIRECTV持分売却益などが含まれるため、継続的な配当余力を見る際は調整後EPS2.12ドルとFCFを重視します。[5]

劇的に変化した配当の実績

AT&Tは2008年から2020年まで、四半期配当を毎年小幅に引き上げました。年間配当は2008年の1.60ドルから2020年の2.08ドルへ約30%増加しています。

しかし、2022年にはWarnerMediaのスピンオフに伴い、四半期配当を0.52ドルから0.2775ドルへ引き下げました。2022年の年間配当は、減額前の0.52ドルを1回、減額後の0.2775ドルを3回支払ったため、合計1.3525ドルです。

2023年以降は四半期0.2775ドル、年間1.11ドルを維持しています。2026年6月24日に宣言された配当も0.2775ドルであり、増配は再開されていません。

【2026年7月時点】
2026年に支払われる最初の3回の配当はいずれも0.2775ドルです。2026年7月24日の株価24.13ドルに対する予想配当利回りは約4.60%となります。[2][3]

配当成長率の推移

  • 2008~2020年:おおむね年率2%の増配を継続。
  • 2021年:年間2.08ドルで据え置き。
  • 2022年:WarnerMediaスピンオフに伴い約47%の減配。
  • 2023~2026年:年間1.11ドルで据え置き。

2022年の減配は、配当投資家にとって大きなマイナスでした。一方、メディア事業を切り離し、配当総額を引き下げたことで、5G・光ファイバー投資、負債削減、配当を同時に賄いやすい構造になりました。

2026~2028年の株主還元計画では、配当と自社株買いを合わせて450億ドル超を還元する方針です。自社株買いは3年間で約240億ドルを計画し、2026年分については従来の約80億ドルから約100億ドルへ実施ペースを加速しました。[1]

配当利回りの変遷

  • 2008~2020年:株価水準によって、おおむね5~8%台で推移。
  • 2021年:減配懸念と株価下落により、表面利回りが一時的に高止まり。
  • 2022年:配当リセットにより年間配当が1.11ドル水準へ低下。
  • 2023~2025年:事業再編後の安定配当期。
  • 2026年7月24日:株価24.13ドル、現行年率配当1.11ドル、利回り約4.60%。

2021年前後の高い利回りは、投資家が将来の減配を織り込んで株価を引き下げた結果でした。高利回りが必ずしも割安や配当の安全性を意味しない例です。

現在のAT&Tは、7~9%の利回りを提供していた旧来型の超高配当株ではなく、4%台の配当と自社株買い、通信インフラの緩やかな成長を組み合わせる銘柄です。

配当性向の持続可能性

  • 2025年:報告EPS3.04ドルに対して約37%、調整後EPS2.12ドルに対して約52%。
  • 2026年見通し:調整後EPS2.25~2.35ドルに対して約47~49%。
  • 2025年FCF:165.86億ドルに対して配当支払81.80億ドル、FCF配当性向49.3%。
  • 2026年Q2:FCF46.70億ドルに対して配当支払19.76億ドル、FCF配当性向42.3%。
  • 2026年上半期:FCF71.76億ドルに対して配当支払39.73億ドル、FCF配当性向55.4%。
【2026年上半期の配当余力】
2026年上半期のFCFは71.76億ドル、配当支払額は39.73億ドルでした。配当支払い後にも32.03億ドルのFCFが残っています。会社は2026年通期のFCFを180億ドル超と見込んでおり、現行配当を維持する余力はあります。[1]

Q1のFCF配当性向は設備投資の前倒しなどによって高くなりましたが、Q2には営業CFが増加し、FCF配当性向は42.3%まで低下しました。通信会社のFCFには季節性があるため、単四半期だけでなく上半期・通期で評価する必要があります。

財務パフォーマンスと成長見通し

以下の表では、売上高、営業CF、純利益、FCFを百万ドル単位で表示しています。

主要財務指標の推移

年度・期間 売上高 営業CF 営業CF
マージン
純利益
AT&T帰属
調整後EPS 会社定義FCF
2026年Q2 31,558 10,801 34.2% 4,627 0.65 4,670
2026年上半期 63,064 18,396 29.2% 8,456 1.22 7,176
2026年Q1 31,506 7,595 24.1% 3,829 0.57 2,506
2025 125,648 40,284 32.1% 21,953 2.12 16,586
2024 122,336 38,771 31.7% 10,948 1.95 15,345
2023 122,428 38,314 31.3% 14,400
2022 120,741 32,023 26.5% -8,524
2021 134,038 41,958 31.3% 20,081
2020 143,050 43,129 30.2% -5,176
2019 181,193 48,668 26.9% 13,903
2018 170,756 43,602 25.5% 19,370
2017 160,546 38,010 23.7% 29,450
2016 163,786 38,442 23.5% 12,976
2015 146,801 35,880 24.4% 13,345
2014 132,447 31,338 23.7% 6,442
2013 128,752 34,796 27.0% 18,418
2012 127,434 39,176 30.7% 7,264
2011 126,723 34,743 27.4% 3,944
2010 124,280 35,222 28.3% 19,864
2009 122,513 34,405 28.1% 12,138
2008 123,443 33,610 27.2% -2,625

※2026年の財務数値は継続事業を中心に表示しています。Lumenから取得した光ファイバー顧客関係は継続事業へ含まれますが、取得した光ファイバーネットワーク資産を保有する子会社は売却目的保有・非継続事業として扱われています。[6]

2026年Q2:サービス収入と利益率が改善

  • 売上高:315.58億ドル、前年同期比2.3%増。
  • サービス売上高:259.77億ドル、前年同期比2.7%増。
  • 営業利益:70.38億ドル、前年同期比8.3%増。
  • 調整後営業利益:74.56億ドル、前年同期比14.9%増。
  • 調整後EBITDA:123.38億ドル、前年同期比5.2%増。
  • 報告EPS:継続事業ベース0.66ドル。
  • 調整後EPS:0.65ドル、前年同期比20.4%増。
  • 営業CF:108.01億ドル。
  • FCF:46.70億ドル。

売上高の増加率は2.3%でしたが、調整後営業利益は約15%、調整後EPSは約20%増えました。減価償却費の減少、コスト削減、Advanced Connectivityの成長、自社株買いによる株式数減少が利益成長を支えています。

2026年Q2の希薄化後平均株式数は69.46億株で、前年同期の72.19億株から3.8%減少しました。自社株買いはEPS成長に寄与しています。

2026年上半期:売上高630.64億ドル、FCF71.76億ドル

2026年上半期の売上高は630.64億ドルで、前年同期比2.6%増加しました。調整後営業利益は143.42億ドル、調整後EBITDAは241.33億ドル、調整後EPSは1.22ドルです。

営業CFは183.96億ドル、設備投資は105.77億ドル、ベンダーファイナンス支払は6.43億ドルでした。これらを反映した会社定義FCFは71.76億ドルです。

Advanced Connectivity:成長事業の中核

AT&Tは2026年から、ワイヤレス、光ファイバー、固定無線などを統合した「Advanced Connectivity」を主要セグメントとして開示しています。

2026年Q2 売上高
(Mドル)
前年比 営業利益
(Mドル)
営業利益率 EBITDA
(Mドル)
EBITDA率
Advanced Connectivity 28,615 +4.1% 7,345 25.7% 12,032 42.0%
Legacy 1,632 -25.9% 523 32.0% 523 32.0%
Latin America 1,224 +16.1% 38 3.1% 227 18.5%

※各セグメント売上高の合計と連結売上高の差は、セグメント間取引やCorporate & Otherなどによるものです。

Advanced Connectivityの業績

  • サービス売上高:234.78億ドル、前年同期比5.1%増。
  • ワイヤレスサービス:174.13億ドル、3.3%増。
  • 家庭向け先進インターネット:29.26億ドル、27.3%増。
  • 法人向け光・先進接続:19.46億ドル、10.0%増。
  • 営業利益:73.45億ドル、20.3%増。
  • EBITDA:120.32億ドル、8.0%増。

光ファイバーと固定無線の顧客増加、ワイヤレス料金改定、コスト削減、減価償却費の低下により、売上高よりも利益が速いペースで増加しました。

ワイヤレス:ポストペイド電話純増43.2万件

指標 2026年Q2 2025年Q2 変化
小売ワイヤレス純増 54.9万件 32.7万件 +67.9%
ポストペイド電話純増 43.2万件 40.1万件 +7.7%
ポストペイド電話解約率 0.86% 0.87% -0.01ポイント
ポストペイド電話契約数 7,492.1万件 7,340.8万件 +2.1%

2026年Q2は、過去3年超で最も強い消費者ポストペイドアカウントの成長を記録したと会社は説明しています。ワイヤレスと家庭向けインターネットを組み合わせた顧客の増加が解約率の抑制につながっています。

光ファイバー・固定無線:インターネット純増64.6万件

指標 2026年Q2 2025年Q2 変化
インターネット純増合計 64.6万件 50.9万件 +26.9%
光ファイバー純増 36.7万件 26.9万件 +36.4%
固定無線純増 27.9万件 24.0万件 +16.3%
インターネット接続数 1,547.9万件 1,195.2万件 +29.5%
光ファイバー接続数 1,286.8万件 1,048.0万件 +22.8%
固定無線接続数 261.1万件 147.2万件 +77.4%

2026年Q2には、光ファイバーと固定無線を合わせて64.6万件の純増を記録しました。上半期では123.0万件の純増です。

AT&Tの先進的な家庭向けインターネットを利用する世帯の42.5%がAT&Tのワイヤレスも契約しています。この「コンバージェンス」は、顧客単価の上昇と解約率低下につながる重要指標です。

光ファイバー到達地点は3,860万か所

2026年Q2末の消費者・法人向け光ファイバー到達地点は3,860万か所となりました。Q2中に100万か所超を追加しています。

会社は2026年末までに4,000万か所超、2030年末までに6,000万か所超へ拡大する計画です。ただし、この数値にはAT&Tが直接保有・運営する光ファイバー網だけでなく、取得したLumen資産、Gigapower、オープンアクセス事業者などを通じた到達地点も含まれます。

Lumen光ファイバー事業の取得

AT&Tは2026年2月2日、Lumen Technologiesのマスマーケット光ファイバー事業の大部分を57.5億ドルの現金で取得しました。取得対象には100万件超の光ファイバー顧客と400万か所超の到達地点が含まれます。[6]

これにより、AT&Tの家庭向け光ファイバー事業はデンバー、シアトル、ソルトレイクシティなどを含む32州へ拡大しました。

会計上の扱いに注意

  • 顧客関係:AT&Tが保持し、継続事業の業績へ含めます。
  • ネットワーク資産:「Forged Fiber」と呼ばれる完全子会社に移されました。
  • 売却予定:AT&Tは同子会社の支配持分を共同投資家へ売却する計画です。
  • 財務諸表:当該ネットワーク資産と直接キャッシュフローは売却目的保有・非継続事業として扱われます。

取得地域の光ファイバー普及率は取得時点で約25%、ワイヤレスとの組み合わせ率も20%未満でした。AT&T既存地域より低いため、顧客獲得とコンバージェンスの余地があります。

Legacy事業:縮小過程のコストに注意

Legacyセグメントには、銅線を使った音声・データサービスが含まれます。2026年Q2の売上高は16.32億ドルで、前年同期比25.9%減少しました。

営業費用は10.8%減りましたが、売上高の減少速度の方が大きいため、営業利益は45.5%減の5.23億ドルとなりました。

会社は2029年末までに国内銅線ネットワークの大部分を停止し、顧客を光ファイバーまたは5Gベースのサービスへ移行する方針です。Legacy EBITDAは2027年以降、一時的にマイナスになる見通しです。

Legacy事業が一時的に赤字化する理由

顧客と売上高が減少しても、設備、電力、保守、人員などの固定費をすぐには削減できません。地域内の顧客移行と規制当局の承認が完了し、ネットワークを実際に停止して初めて固定費を大きく削減できます。

キャッシュフローと株主還元

安定したキャッシュフロー基盤

年度・期間 営業CF 前年比 設備投資 ベンダー金融支払 会社定義FCF 配当支払
2026年Q2 10,801 +10.6% 5,700 431 4,670 1,976
2026年上半期 18,396 -2.2% 10,577 643 7,176 3,973
2026年Q1 7,595 -16% 4,877 212 2,506 1,997
2025 40,284 +4% 16,586 8,180
2024 38,771 +1% 15,345
2023 38,314 +20%
2022 32,023 -24%
2021 41,958 -3%
2020 43,129 -11%
2019 48,668 +12%
2018 43,602 +15%
2017 38,010 -1%
2016 38,442 +7%
2015 35,880 +14%
2014 31,338 -10%
2013 34,796 -11%
2012 39,176 +13%
2011 34,743 -1%
2010 35,222 +2%
2009 34,405 +2%
2008 33,610 -2%

※2026年Q2の会社定義FCFは、継続事業の営業CF108.01億ドルから設備投資57.00億ドルとベンダーファイナンス支払4.31億ドルを差し引いた46.70億ドルです。

2026年の自社株買いを約100億ドルへ加速

AT&Tは2026年Q2に約22億ドルの普通株式を買い戻しました。上半期のキャッシュフロー計算書上の自己株式取得額は46.69億ドルです。

会社は2026年の自社株買い計画を、従来の約80億ドルから約100億ドルへ引き上げました。2026~2028年の自社株買い計画は約240億ドル、配当を含む株主還元総額は450億ドル超です。

株主還元の構成

  • 配当:年間1.11ドルを維持。
  • 2026年自社株買い:約100億ドルへ加速。
  • 2026~2028年自社株買い:約240億ドル。
  • 2026~2028年総還元:配当と買い戻しで450億ドル超。
  • 2026年上半期末株式数:68.79億株、前年同期比3.9%減。

自社株買いにより発行済株式数が減れば、純利益が同じでも1株当たりEPSとFCFは増加します。ただし、買い戻し価格が高すぎる場合や、負債増加と同時に大規模な買い戻しを行う場合には、株主価値を高めない可能性があります。

負債水準と資本構成

年度・期末 総資産 総負債等 総株主持分 自己資本率 有利子負債 ネットデット Net debt/
調整後EBITDA
2026年Q2 428,359 301,925 126,434 29.5% 143,954 126,384 2.68倍
2026年Q1 421,188 295,569 125,619 29.8% 138,407 126,443 2.71倍
2025 420,198 293,707 126,491 30.1% 136,100 117,866
2024 394,795 276,550 118,245 29.9% 123,532 120,234
2023 407,060 287,645 119,415 29.3%
2022 402,853 296,396 106,457 26.4%
2021 551,622 367,767 183,855 33.3%
2020 525,761 346,521 161,673 30.7%
2019 551,669 349,735 184,221 33.4%
2018 531,864 337,980 184,089 34.6%
2017 444,097 302,090 140,861 31.7%
2016 403,821 279,711 123,135 30.5%
2015 402,672 279,032 122,671 30.5%
2014 296,834 206,564 89,716 30.2%
2013 277,787 186,305 90,988 32.8%
2012 272,315 179,620 92,362 33.9%
2011 270,442 164,645 105,534 39.0%
2010 269,391 157,441 111,647 41.4%
2009 268,312 166,323 101,564 37.9%
2008 265,245 168,495 96,347 36.3%

※単位は百万ドルです。2026年Q2の総負債等は総資産から総株主持分を差し引いた概算です。会社定義のネットデットは有利子負債1,439.54億ドルから現金・現金同等物175.70億ドルを差し引いた1,263.84億ドルです。

Q2末のネットデット/調整後EBITDAは2.68倍

2026年Q2末の有利子負債は1,439.54億ドル、現金・現金同等物は175.70億ドル、ネットデットは1,263.84億ドルでした。ネットデット/直近12か月調整後EBITDAは2.68倍です。

2025年末のネット有利子負債1,178.66億ドルからは約85億ドル増えています。主な背景には、Lumen光ファイバー事業の取得、将来の周波数取得を見据えた資金調達、設備投資があります。

一方、2026年Q1末と比べるとネットデットはほぼ横ばいで、比率は2.71倍から2.68倍へ改善しました。Q2の高い営業CFとEBITDA成長が寄与しています。

EchoStar周波数取引とレバレッジ

AT&Tは2025年8月、EchoStarから全米をカバーする低帯域・中帯域の周波数免許を約230億ドルで取得する契約を発表しました。取得対象は平均約50MHzで、400超の市場をカバーします。[7]

2026年Q2決算発表時点で、取引はまだ完了前として扱われています。会社は取引完了後、ネットデット/調整後EBITDAが一時的に約3.2倍へ上昇し、2026年末には約3倍、取引完了後およそ3年で2.5倍台へ戻る計画を示しています。

EchoStar取引後の注意点

  • 負債増加:取得資金は現金と追加借入で賄う予定です。
  • 金利負担:支払利息の増加がEPSとFCFを圧迫します。
  • 設備投資:取得した周波数を活用するためのネットワーク投資が必要です。
  • 長期効果:5G容量の拡大により追加基地局投資を抑えられる可能性があります。
  • 株主還元との両立:年間約100億ドルの買い戻しと負債管理を同時に進める必要があります。

2026~2028年の会社ガイダンス

項目 2026年 2027年 2028年
サービス売上高 1桁台前半の成長 1桁台前半の成長 1桁台前半の成長
Advanced Connectivity
サービス売上高
5%超の成長 1桁台半ば 1桁台半ば
Legacyサービス売上高 20%超減少 大幅減少 大幅減少
調整後EBITDA 3~4%成長 改善 5%以上の成長
調整後EPS 2.25~2.35ドル 2025~2028年の年平均成長率は2桁
資本投資 230~240億ドル 230~240億ドル 230~240億ドル
FCF 180億ドル超 190億ドル超 210億ドル超
普通株式配当 現行年率1.11ドルを維持する計画
自社株買い 約100億ドル 3年間合計で約240億ドル

2026年Q2決算では、2026年および複数年の主要ガイダンスを据え置きました。顧客純増と利益は強い一方、Lumen・EchoStar関連投資、光ファイバー敷設、銅線網の停止費用を考慮し、見通しを保守的に維持しています。

まとめ:長期配当投資家にとってのAT&Tとは

AT&Tは大型買収と事業再編を経て、ワイヤレス、光ファイバー、固定無線を中心とする通信インフラ企業へ回帰しました。

2022年の約47%減配により配当成長の実績はリセットされましたが、現在の年間配当1.11ドルは、2025年および2026年上半期のFCFで十分にカバーされています。

2026年Q2時点の強み

  • 2026年Q2売上高315.58億ドル、調整後EPS0.65ドル。
  • 2026年Q2 FCF46.70億ドル、FCF配当性向42.3%。
  • Advanced Connectivityサービス売上高5.1%増。
  • ポストペイド電話純増43.2万件。
  • 光ファイバー・固定無線純増64.6万件。
  • 光ファイバー到達地点3,860万か所。
  • 2026年通期FCF180億ドル超の見通し。
  • 2026年の自社株買いを約100億ドルへ加速。
  • 予想配当利回り約4.60%、予想調整後PER約10.5倍。

注意すべきリスク

  • 2022年に大幅減配を行い、2023年以降は増配していない。
  • 2026年Q2末のネットデットは1,263.84億ドル。
  • EchoStar周波数取得後にレバレッジが一時的に上昇する見込み。
  • ワイヤレス市場の成熟化と価格競争。
  • 光ファイバー・5Gへの年間230~240億ドルの資本投資。
  • Legacy事業の売上減少と固定費削減の時間差。
  • Lumen取得資産の統合と共同投資家への売却実行リスク。
  • 金利上昇による利払い・借り換えコストの増加。
  • 規制、周波数取引、銅線ネットワーク停止の承認リスク。

投資家へのポイント:AT&Tは、急成長株ではありません。4%台の配当利回り、安定した通信サービス収入、光ファイバーと固定無線の成長、自社株買いを組み合わせた総還元型の銘柄です。

配当だけを目的とする場合でも、年間1.11ドルが維持されているという事実だけでは不十分です。FCF、FCF配当性向、ネットデット/調整後EBITDA、資本投資、Advanced Connectivityの顧客純増を継続的に確認する必要があります。

2026年Q2時点では、配当の安全性は比較的高いと評価できます。一方、大型の周波数取得と年間約100億ドルの自社株買いを同時に進めるため、今後の負債管理が重要です。

よくある質問

AT&Tの配当はどれくらい安全ですか?

2026年Q2時点では、現行配当の安全性は比較的高いと考えられます。2025年のFCFは165.86億ドル、配当支払額は81.80億ドルで、FCF配当性向は49.3%でした。

2026年上半期のFCFは71.76億ドル、配当支払額は39.73億ドルで、FCF配当性向は55.4%です。会社は2026年通期のFCFを180億ドル超と見込んでいます。

次のAT&T配当はいくらですか?

直近で宣言された普通株式配当は1株当たり0.2775ドルです。2026年7月10日の株主名簿に記載された株主を対象に、2026年8月3日に支払われます。

2026年7月26日時点では、その次となる2026年Q3分の配当はまだ宣言されていません。

なぜAT&Tは2022年に減配したのですか?

WarnerMediaを切り離し、通信事業へ経営資源を集中したためです。メディア事業がなくなることで利益とキャッシュフローの規模が縮小し、従来の年間2.08ドル配当を維持することが難しくなりました。

減配によって、5G・光ファイバー投資、負債削減、配当を両立しやすい財務構造へ変更しました。

今後、増配を再開する可能性はありますか?

可能性はありますが、会社は現時点で増配計画を示していません。2026~2028年は現行年率1.11ドルを維持し、自社株買いを増やす方針です。

増配再開には、EchoStar取引後のネットデット/調整後EBITDAを2.5倍台へ戻すこと、光ファイバー投資後もFCFを伸ばすことが重要になります。

5Gと光ファイバー投資は配当に悪影響を与えませんか?

短期的には設備投資がFCFを圧迫します。2026~2028年の資本投資見通しは年間230~240億ドルです。

一方、光ファイバー、固定無線、ワイヤレスを組み合わせた顧客が増えれば、サービス売上、顧客単価、継続率が改善します。投資が計画どおり収益へつながれば、中長期的には配当の安定性を高めます。

AT&Tの負債は多すぎませんか?

2026年Q2末のネットデットは1,263.84億ドル、ネットデット/調整後EBITDAは2.68倍であり、負債額は大きいものの、現時点で直ちに危険な水準とは言いにくい状態です。

ただし、EchoStar周波数取得後にはレバレッジが一時的に約3.2倍へ上昇する見込みです。FCFを使って負債を減らし、約3年で2.5倍台へ戻せるかが重要です。

AT&Tは割安ですか?

2026年7月24日の株価24.13ドルと調整後EPS見通しの中央値2.30ドルを使うと、予想調整後PERは約10.5倍です。配当利回りは約4.60%です。

数値だけを見ると極端に割高ではありませんが、負債、大型投資、低い配当成長率を反映した評価でもあります。光ファイバーとワイヤレスの成長が見通しを下回れば、低いPERだけでは株価下落を防げません。

※免責事項

本記事は投資判断の参考として公開情報を整理したものであり、特定銘柄の売買を推奨または勧誘するものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

数値は公表資料をもとに整理していますが、簡略化や四捨五入により開示値と若干異なる場合があります。

最終更新日時:2026年7月26日

ミニ解説:AT&Tを見る際は、EPS配当性向だけでなくFCF配当性向を確認してください。2026年Q2のFCF配当性向は42.3%、上半期では55.4%です。配当は十分にカバーされていますが、EchoStar取引後の負債増加と年間230~240億ドルの設備投資を考慮し、ネットデット/調整後EBITDAも併せて見る必要があります。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年Q2決算・上半期実績・FCF・顧客純増・ガイダンス・自社株買い → 一次情報:AT&T「Delivers Strong Second-Quarter Results」AT&T「2026 Quarterly Earnings」AT&T「2Q26 Financial and Operational Schedules」(確認日:2026-07-26)
  2. 2026年6月宣言配当・配当履歴 → 一次情報:AT&T「Declares Dividends on Common and Preferred Shares」AT&T Historical Common Dividends(確認日:2026-07-26)
  3. 2026年7月24日株価・配当利回り・予想PER → 参考情報:Google Finance「T:NYSE」Macrotrends「AT&T Stock Price History」(確認日:2026-07-26)
  4. T+1決済後の権利落ち日ルール → 一次情報:FINRA Rule 11140Investor.gov「Ex-Dividend Dates」(確認日:2026-07-26)
  5. 2025年通期業績・EPS・営業CF・FCF・配当支払・株主還元計画 → 一次情報:AT&T 2025 Annual ReportAT&T「Full-Year 2025 Financial Performance」(確認日:2026-07-26)
  6. Lumenマスマーケット光ファイバー事業の取得・会計上の扱い → 一次情報:AT&T「Completes Acquisition of Lumen’s Mass Markets Fiber Business」AT&T-Lumen TransactionAT&T「First-Quarter 2026 Results」(確認日:2026-07-26)
  7. EchoStar周波数取得契約・レバレッジ見通し → 一次情報:AT&T「To Acquire Spectrum Licenses from EchoStar」AT&T「Second-Quarter 2026 Results」(確認日:2026-07-26)

Posted by 南 一矢