GS:ゴールドマンサックスの配当推移
【2025年7月最新】ゴールドマン・サックス (GS) 配当分析 – 33%増配後の投資価値評価
🎯 2025年7月最新情報
ゴールドマン・サックスが四半期配当を33%増額($3.00→$4.00)を発表し、年間配当は$16.00となりました。同時に発表されたQ2決算では、EPSが$10.91(予想$9.53を上回る)、収益が$146億ドル(15%増)と市場予想を大幅に上回る好決算となりました。
世界トップクラスの投資銀行であるゴールドマン・サックス(GS)が、2025年7月1日に四半期配当を$3.00から$4.00への33%増額を発表したことを受け、同社の配当持続性と今後の成長性を最新データで徹底分析します。
はじめに:この記事でわかること
GSの配当の魅力とリスクを、以下のポイントを通じて多角的に評価します。
- GSの最新業績:2025年Q2の記録的な好決算と収益構造の分析
- 配当増額の背景:33%増配の根拠と持続性の評価
- 財務体力:CET1比率14.5%の強固な資本基盤
- 競合比較:他の金融大手との違いと優位性
- 投資判断:配当の持続性と今後の見通し
ゴールドマン・サックスの現状(ざっくりまとめ)
- 2025年Q2業績ハイライト:
- EPS $10.91(予想$9.53を大幅上回る)
- 純収益 $146億ドル(前年同期比15%増)
- エクイティ・トレーディング収益$43億ドル(36%増)
- 運用資産$3.29兆ドル(過去最高)
- ROE 12.8%(Q2)、14.8%(上半期平均)
- 配当・株主還元:
- 四半期配当33%増額($3.00→$4.00)
- 年間配当$16.00(配当利回り約2.2%)
- Q2株主還元$40億ドル(配当$9.57億+自社株買い$30億)
- 14年連続増配の実績
- 現状分析: 最新データからは配当の持続可能性が極めて高いことが確認されます。強固な資本基盤と記録的な業績が、今回の大幅増配を支えています。
1. 2025年最新業績:記録的なQ2決算
GSは2025年Q2において、EPS $10.91、純収益$146億ドルと市場予想を大幅に上回る好決算を発表しました。特にトレーディング部門の堅調な収益が全体業績を押し上げています。
項目 | 2025年Q1 | 2025年Q2 | 2024年通年 | 前年同期比 |
---|---|---|---|---|
EPS | $14.12 | $10.91 | $31.52 | +27% |
純収益(10億ドル) | $15.0 | $14.6 | $50.9 | +15% |
純利益(10億ドル) | $4.1 | $3.7 | $11.3 | +22% |
ROE | 16.9% | 12.8% | 10.2% | +2.6pt |
運用資産(兆ドル) | $3.2 | $3.29 | $2.9 | 過去最高 |
部門別収益の内訳
事業部門 | Q2 2025 | Q1 2025 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|---|
インベストメント・バンキング | $2.7 | $2.3 | +26% | M&A増加 |
グローバル・マーケッツ | $8.2 | $9.0 | +8% | エクイティ好調 |
- エクイティ | $4.3 | $4.8 | +36% | 記録的水準 |
- FICC | $3.9 | $4.2 | -15% | – |
アセット&ウェルス・マネジメント | $3.8 | $4.1 | -3% | 運用資産は過去最高 |
プラットフォーム・ソリューション | $0.7 | $0.7 | +2% | – |
主な観察点: エクイティ・トレーディングが36%増収で$43億ドルに達し、投資銀行手数料も26%増となるなど、市場環境の改善を追い風に主力事業が好調を維持しています。
2. 配当政策と株主還元戦略
2025年7月1日、GSは四半期配当を$3.00から$4.00へと33%増額することを発表しました。これは同社の強固な財務基盤と業績好調を反映した積極的な株主還元姿勢を示しています。
配当履歴と増配実績
年度 | 四半期配当 | 年間配当 | 増配率 | 配当性向* |
---|---|---|---|---|
2020 | $1.25 | $5.00 | +13.6% | 20.2% |
2021 | $2.00 | $8.00 | +60.0% | 13.5% |
2022 | $2.50 | $10.00 | +25.0% | 33.3% |
2023 | $2.75 | $11.00 | +10.0% | 48.1% |
2024 | $3.00 | $12.00 | +9.1% | 38.1% |
2025 | $4.00 | $16.00 | +33.3% | 約32%** |
**2025年の配当性向は、上半期のEPS実績$24.03(Q1: $14.12 + Q2: $10.91)を年換算した場合の推定値
出典: Goldman Sachs配当発表、配当履歴データ
総株主還元の推移
期間 | 純利益 | 配当 | 自社株買い | 総還元額 | 還元率 |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | $8.5 | $3.6 | $6.5 | $10.1 | 119% |
2024年 | $11.3 | $3.9 | $8.1 | $12.0 | 106% |
2025年Q1 | $4.1 | $1.0 | $2.2 | $3.2 | 78% |
2025年Q2 | $3.7 | $1.0 | $3.0 | $4.0 | 108% |
3. 財務体力:強固な資本基盤
GSの2025年Q2末のCET1比率は14.5%を維持しており、10月1日からの新規制要件10.9%を大幅に上回る強固な財務基盤を保持しています。
自己資本指標 | 2024年末 | 2025年Q1末 | 2025年Q2末 | 規制要件 |
---|---|---|---|---|
CET1比率 | 14.7% | 14.6% | 14.5% | 13.6% → 10.9%* |
Tier1資本比率 | 16.3% | 16.2% | 16.1% | ~12.0-14.0% |
総自己資本比率 | 19.8% | 19.7% | 19.6% | ~14.0-16.0% |
SLR(補完レバレッジ比率) | 6.0% | 5.9% | 5.8% | 5.0% |
出典: Goldman Sachs Q2 2025決算電話会議、ストレス資本バッファー発表
自己資本比率の意味と重要性
CET1比率(普通株式等Tier1比率):銀行の財務健全性を示す最重要指標。質の高い自己資本が、リスクアセットに対してどの程度あるかを示します。
GSの強み: 経営陣は規制最低要件に対して50-100bpのバッファーを維持する方針を表明しており、今回の比率でも十分な余裕があります。
4. 流動性と資金調達の安定性
十分な流動性の確保と安定的な資金調達は、ゴールドマン・サックスのようなグローバル金融機関の事業継続性の根幹です。
指標 | 2022年末 | 2023年末 | 2025年Q2末 (最新値) | 規制上の最低水準 |
---|---|---|---|---|
LCR (流動性カバレッジ比率) | 142% | 137% | ~140% | 100% |
NSFR (安定調達比率) | >100% | >100% | >100% | 100% |
HQLA (適格流動資産) | ~$390B | ~$380B | ~$375B | N/A (LCRを裏付ける資産) |
主な観察点: ゴールドマン・サックスは、LCRとNSFRを規制の最低水準である100%を大幅に上回る水準で維持しており、短期および長期の資金流出圧力に対する強固な耐性を示しています。潤沢なHQLA(適格流動資産)ポートフォリオが、この高い流動性を支えています。
5. リスク管理(信用リスク・市場リスク等)
ゴールドマン・サックスは、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクなど、多岐にわたるリスクを包括的に管理しています。特に市場リスクへのエクスポージャーが大きいビジネスモデルです。
指標 | 2020年 | 2022年 | 2023年 | 2025年上半期 |
---|---|---|---|---|
貸倒引当金費用 (百万ドル) | 3,099 | 615 | 558 | ~600 |
純貸倒 (百万ドル) | N/A | 167 | 236 | ~200 |
主な観察点: ゴールドマン・サックスの信用リスクプロファイルは、主に富裕層向け貸付や法人向けファイナンス、デリバティブ取引のカウンターパーティーリスクなどから構成されます。貸倒関連費用は、経済全体の信用環境や特定の取引先の状況によって変動します。同社は高度なリスク管理システムを駆使して、これらのリスクをコントロールしています。
6. 競合他行との比較(2025年最新)
金融機関 | 配当利回り | 四半期配当 | ROE(直近) | CET1比率 |
---|---|---|---|---|
ゴールドマン・サックス (GS) | ~2.2% | $4.00 | 12.8% | 14.5% |
モルガン・スタンレー (MS) | ~3.4% | ~$0.90 | ~15% | 15.0% |
JPモルガン・チェース (JPM) | ~2.1% | ~$1.25 | ~21% | 15.3% |
バンク・オブ・アメリカ (BAC) | ~2.4% | ~$0.26 | ~15% | ~11.8% |
5. 投資家が注意すべきリスク
- 市場ボラティリティ依存: トレーディング収益は市場の変動性に大きく左右され、安定性の面で課題があります。
- 規制環境の変化: 資本規制の変更や新たな規制要件が、将来の株主還元能力に影響する可能性があります。
- ディール活動への依存: 投資銀行手数料はM&AやIPO市場の活況に依存しており、経済環境に敏感です。
- 地政学的リスク: 中東情勢や貿易協定の不確実性が、グローバル事業に影響を与える可能性があります。
6. 結論:投資判断と今後の見通し
GSの配当は、記録的なQ2業績と強固な資本基盤(CET1比率14.5%)に支えられ、「非常に高い持続性」があると評価できます。
投資判断の根拠
定量的要因:
- 2025年7月の33%増配決定と、14年連続増配の実績
- Q2のEPS $10.91(予想$9.53を大幅上回る)などの好調な業績
- 規制要件を大幅に上回るCET1比率14.5%の健全な財務状況
- 運用資産$3.29兆ドル(過去最高)による安定収益基盤
- 積極的な株主還元(Q2で$40億ドル)
定性的要因:
- 投資銀行業務における圧倒的な市場地位と専門性
- M&A活動30%増など、市場環境の改善による収益機会拡大
- AI技術導入による効率化と生産性向上
現状データからの見通し
- アセット&ウェルス・マネジメント部門の運用資産過去最高更新により、安定収益の拡大が期待される
- 2025年10月からの規制緩和(CET1要件13.6%→10.9%)により、更なる株主還元余地が拡大
- M&A市場の活況と積極的な投資銀行業務による収益成長ポテンシャル
投資家への参考意見:
GSは、33%の大幅配当増額と記録的な業績により、長期的な配当投資戦略において魅力的な選択肢となっています。ただし、投資銀行としての業績変動リスクを理解し、ポートフォリオの一部として適切な比重で保有することが重要です。強固な資本基盤は、市場の不確実性にも十分対応できる安心材料と言えるでしょう。
免責事項
本レポートは、Goldman Sachs公式発表資料等の公開情報に基づく分析であり、投資助言を構成するものではありません。投資判断は投資家自身の責任において行ってください。
最終更新日: 2025年7月28日
次回更新予定: 2025年10月(Q3決算発表後)
主要データ出典:
- Goldman Sachs Q2 2025決算発表
- Goldman Sachs配当増額発表
- Goldman Sachs Q2 2025決算電話会議
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