BLK:ブラックロックの配当推移

配当,金融





BlackRock(BLK)配当投資・財務分析【2026年7月更新版】



【2026年7月更新】主な変更点

  • 四半期配当は$5.73/株です。2026年の年率換算配当は$22.92。直近の権利落ち日は2026年6月4日、基準日は2026年6月5日、支払日は2026年6月23日でした。2026年上期の支払額は合計$11.46/株です。[1]
  • 2026年Q2は、AUM$15.34兆、GAAP EPSが$12.19、調整後EPSが$13.91、四半期の総純流入が$191.7B、長期純流入が$199.1Bでした。[2]
  • 2026年上期の総純流入は過去最高の$321B。2026年6月末のiShares ETFのAUMは$6.25兆を超え、2026年Q2のETF純流入は$177.9Bでした。[2]
  • M&Aでは、Preqin買収が2025年3月3日、HPS買収が2025年7月1日、GIP買収が2024年10月1日に完了しています。[3][4][5]
  • Investor Day 2025で示した、景気・相場循環を通じた有機ベースフィー成長5%以上調整後営業利益率45%以上という目線に対し、2026年Q2はそれぞれ8%45.9%でした。[6][2]

ブラックロック(BLK)— 配当・財務の長期分析

  • 直近四半期配当:$5.73/株[1]
  • 2026年 年率換算配当:$22.92[1]
  • 2025年 EPS(GAAP):$35.31、調整後EPS:$48.09[7]
  • 2025年 売上高:$24.216B[7]
  • 2025年末 AUM$14.04T[7]
  • 2026年Q2末 AUM$15.34T[2]
  • 2026年Q2 総純流入:$191.7B、2026年上期:$321B、過去12か月:$868B[2]
  • 2026年Q2 売上高:$7.084B、GAAP EPS:$12.19、調整後EPS:$13.91[2]

※四半期配当・AUM・流入・四半期EPSは2026年Q2時点、年次財務は2025通期時点です。

配当利回りと株価(直近90日)

配当実績と配当性向(長期:2018–2025)

年平均配当利回り・増配率・配当性向(=1株配当÷EPS)・年計配当($)・平均株価・通年EPSを一覧化しています。2025年までを実績ベースで整理し、2026年は本文で支払済み配当と年率換算を扱います。[7][8]

配当 平均株価 年EPS
平均利回り 成長率 配当性向 年計
2025 2.04% 2.2% 59.0% 20.84 1019.31 35.31
2024 2.44% 2.0% 48.6% 20.40 835.02 42.01
2023 3.08% 2.5% 54.8% 20.00 649.24 36.51
2022 3.11% 18.2% 57.5% 19.52 626.72 33.97
2021 2.19% 13.8% 43.2% 16.52 753.79 38.22
2020 2.98% 10.0% 45.6% 14.52 486.88 31.85
2019 3.48% 9.2% 46.4% 13.20 379.51 28.43
2018 2.98% 20.9% 45.5% 12.09 405.09 26.58

2026年の補足:2026年1月に四半期配当が$5.21から$5.73へ引き上げられました。2026年6月23日までに2回、合計$11.46/株が支払われています。現在の年率換算配当は$22.92で、2025年実績配当に対して約10.0%の増配ペースです。[1]

用語解説(このセクション)
  • 配当性向:1株配当 ÷ EPS。高すぎると増配余地が小さくなりやすいです。
  • EPS(1株利益):当期純利益を発行株式数で割った利益指標です。
  • 平均利回り:年の平均株価に対する配当額の割合です。

主要財務指標(年次:2018–2025)

年度 収益($M) 営業CF($M) 同マージン(%) 純利益($M)
2018 14,198 3,075 22 4,305
2019 14,539 2,884 20 4,476
2020 16,205 3,743 23 4,932
2021 19,374 4,944 26 5,901
2022 17,873 4,956 28 5,178
2023 17,859 4,165 23 5,502
2024 20,407 4,956 24 6,369
2025 24,216 3,927 16 5,553

2025年は売上高が$24.216Bへ大きく伸びた一方、GAAPの営業CFは$3.927Bへ低下しました。GAAP営業CFには、連結対象投資ビークル(CIPs)の投資売買などが含まれます。BlackRockが補助指標として開示する「CIPsの影響を除く営業CF」は2025年に$7.463Bでした。[7]

用語解説(このセクション)
  • 営業CF:本業から生み出す現金です。配当の源泉として重要です。
  • 営業CFマージン:収益に対する営業CFの割合です。高いほど現金創出効率がよいといえます。
  • CIPs:BlackRockが連結している投資ビークルです。GAAPキャッシュフローにはCIPsの資金移動も入るため、会社本体の資金創出力を補助的に見る際は「CIPsの影響を除く」数値も確認します。

キャッシュフロー詳細(年次:2018–2025)

年度 営業CF 成長率 投資CF 財務CF
2018 3,075 -22% -808 -2,765
2019 2,884 -6% -2,014 -2,583
2020 3,743 30% -254 244
2021 4,944 32% -1,937 -2,287
2022 4,956 0% -1,130 -5,442
2023 4,165 -16% -959 -1,992
2024 4,956 19% -3,004 2,236
2025 3,927 -21% -4,418 -1,127

2025年の投資CFは-$4.418Bでした。CIPsの影響を除いた投資CFは-$4.531Bで、主な内訳はPreqin買収関連約$3.1BHPS関連約$369M投資の純購入約$1.1B有形固定資産投資$375Mでした。一方、持分法投資先からの資本分配$390Mが一部を相殺しています。2025年の投資CF悪化は、本業の収益悪化というより、買収と成長投資の影響が大きいと読めます。[7][3][4]

用語解説(このセクション)
  • 投資CF:設備投資や買収など投資活動の現金収支です。マイナスは将来成長のための投資が多い状態を意味することがあります。
  • 財務CF:配当・自社株買い・借入返済など資本政策に関わる現金収支です。

バランスシート(年次:2018–2025)

年度 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 負債比率
2018 159,573 126,033 32,374 20% 389%
2019 168,622 133,693 33,547 20% 399%
2020 176,982 139,326 35,283 20% 395%
2021 152,648 113,755 38,893 25% 292%
2022 117,628 78,843 38,785 33% 203%
2023 123,211 81,971 41,240 33% 199%
2024 138,615 89,260 47,495 34% 188%
2025 169,998 108,456 55,888 33% 194%

2025年末の総資産は$169.998B、総負債は$108.456B、BlackRock株主資本は$55.888Bでした。買収に伴ってのれん・無形資産や条件付対価債務などが増え、総資産と総負債の双方が拡大しました。一方、BlackRock株主資本も2024年末の$47.495Bから増加しています。[7]

見方の注意:BlackRockのGAAP総資産・総負債には、分別管理された顧客資産と対応する負債、CIPsなども含まれます。一般事業会社と単純比較せず、会社が示す調整後財政状態も併せて確認する方が実態をつかみやすいです。[7]
用語解説(このセクション)
  • 自己資本率:総資産に占めるBlackRock株主資本の比率です。
  • 負債比率:BlackRock株主資本に対する総負債の比率です。

投資家のためのBLK分析(2026年7月版)

① いまのブラックロックを一言で

ブラックロックは世界最大の資産運用会社です。2026年Q2末の運用資産残高(AUM)は過去最高の$15.34兆で、2026年Q1末の$13.89兆から$1.45兆増えました。四半期の総純流入は$191.7B、長期純流入は$199.1Bです。2026年上期の総純流入は$321B、過去12か月では$868Bに達しました。[2]

特にiShares ETFが成長を引っ張っています。2026年6月末のETF AUMは$6.246兆、2026年Q2のETF純流入は$177.9Bでした。一方、同じ四半期には機関投資家向け非ETFインデックスから$41.5Bの流出があり、商品・顧客層ごとの差も大きくなっています。[2]

② どうやって稼いでいる?(収益の柱)

  • ベースフィー保有残高に対して毎年もらう基本手数料):AUMが増えるほど安定的に増えやすい収益です。2026年Q2の投資助言・管理手数料と証券貸借収益の合計は$5.726Bでした。[2]
  • テクノロジー/データ収益AladdinPreqinなどのサービスです。2026年Q2のテクノロジーサービス・サブスクリプション収益は$566Mで、前年同期比13%増。年間契約価値(ACV)は前年同期比15%増でした。[2][3]
  • パフォーマンス・フィー成績がよかった時の成功報酬):2026年Q2は$305Mで、前年同期の$94Mから増えました。HPSを含むオルタナティブ商品やロングオンリー商品の増収が寄与しています。[2]
  • プライベート市場の手数料:2025年のPreqin・HPS、2024年のGIPの買収で、プライベートクレジット、インフラ、データの比重が上がっています。2026年6月末のプライベート市場AUMは$329.1Bでした。[2][3][4][5]

③ 配当は安心?

2025年の配当性向は、GAAP EPSベースで59.0%です。一方、2025年の調整後EPS$48.09で見ると配当性向は43.3%に下がります。2025年のGAAP利益は買収関連の無形資産償却や条件付対価の公正価値変動などの影響を受けましたが、調整後利益との比較では配当に余裕が残っています。[7]

2026年上期は、支払配当が$11.46/株、GAAP希薄化後EPSが$26.25、調整後EPSが$26.45でした。上期の配当性向はGAAPベースで約43.7%、調整後ベースで約43.3%です。2026年Q2までの利益水準を見る限り、増配後の配当負担は過度ではありません。[1][2]

また、2025年のGAAP営業CFは$3.927Bでしたが、CIPsの影響を除くと$7.463Bです。2025年の配当・Subco分配は$3.347Bで、CIPsの影響を除いた営業CFベースでは十分にカバーされていました。[7]

④ これからの伸びどころ(3本柱)

  1. プライベートクレジット:HPSの統合で拡大しています。2026年6月末のプライベートクレジットAUMは$150.9Bで、2026年Q2の純流入は$6.0Bでした。[2][4]
  2. インフラ投資:GIPの買収完了で、長期資金を受け入れやすいインフラ運用基盤が加わりました。2026年6月末のインフラAUMは$113.5Bです。[2][5]
  3. テクノロジー/データ:AladdinとPreqinの組み合わせは、資産運用残高だけに依存しない継続収益源として重要です。2026年Q2のテクノロジーサービス・サブスクリプション収益は前年同期比13%増でした。[2][3]

会社は景気・相場循環を通じた目標として、有機ベースフィー成長率5%以上調整後営業利益率45%以上を掲げています。2026年Q2は有機ベースフィー成長が8%、過去12か月では10%、調整後営業利益率は45.9%でした。2026年上期の調整後営業利益率も45.2%です。[2][6]

⑤ 何に注意する?(主なリスク)

  • 手数料の下押し圧力:低コストETFやインデックス運用の拡大はAUMを増やしやすい一方、平均手数料率を押し下げる可能性があります。BlackRockは、プライベート市場、アクティブ運用、テクノロジーで収益源を広げています。[6]
  • 相場変動:AUMと成功報酬は市場の上下に影響されます。2026年Q2にAUMは前四半期末から$1.450T増えましたが、そのうち市場変動による増加が$1.284Tを占めました。上昇相場では追い風になりますが、下落相場では逆方向に働きます。[2]
  • 統合リスク:Preqin・HPS・GIPを、顧客獲得、クロスセル、利益率改善へ結び付けられるかは引き続き重要です。買収関連の無形資産償却、条件付対価、株式数増加もGAAP利益や1株利益に影響します。[2][3][4][5]
  • 資金フローの偏り:2026年Q2はETFへの流入が非常に強い一方、機関投資家向け非ETFインデックスは流出でした。総流入だけでなく、どの商品に資金が入っているかを見る必要があります。[2]
  • 規制・政策リスク:ETF、プライベート市場、デジタル資産、テクノロジーサービスなどは、各国の監督・規制変更の影響を受けます。[7]

⑥ 見ておくと安心な数字(KPI)

  1. 有機ベースフィー成長率:会社目標の5%以上を超えているか。2026年Q2は8%、過去12か月は10%でした。[2][6]
  2. 調整後営業利益率:目標は45%以上。2026年Q2は45.9%、2026年上期は45.2%でした。[2][6]
  3. 長期フロー:長期資金の純流入がプラスか。2026年Q2は$199.1B、2026年上期は$335Bでした。[2]
  4. ETFとアクティブの構成:2026年Q2はETF純流入が$177.9B、アクティブ運用の純流入が$53.3Bでした。高成長のETFに加え、相対的に手数料率の高いアクティブ運用も伸びているかを確認します。[2]
  5. プライベート市場AUM:2026年6月末は$329.1B。HPS・GIPの統合効果を見るうえで重要です。[2][4][5]
  6. 配当カバー:GAAP EPSだけでなく、調整後EPSと、必要に応じてCIPsの影響を除く営業CFも確認すると実態をつかみやすいです。[2][7]

用語ミニ解説

  • AUM:預かっている資産の合計です。大きいほど手数料収入の基盤が広がります。
  • 長期フロー:長期運用向けファンドへの資金の出入りです。現金管理商品を除いて把握します。
  • ベースフィー:運用残高などに応じて受け取る基本手数料です。
  • 有機ベースフィー成長率:買収や相場上昇ではなく、顧客からの純流入で新たに得たベースフィーの成長率です。
  • 調整後営業利益率:買収関連費用など一定の項目と、販売経路による収益・費用の差を調整した利益率です。
  • オルタ:株・債券以外の投資資産です。プライベートクレジット、インフラ、不動産などが含まれます。
  • ACV:年間契約価値。既存契約が更新される前提で見積もる、今後12か月の継続的なサブスクリプション収入です。

まとめ

BLKは、いまも「安定配当×構造成長」という投資仮説を検討しやすい会社です。2026年Q2は、AUMが過去最高の$15.34T、売上高が$7.084B、GAAP EPSが$12.19、調整後EPSが$13.91でした。2026年上期の総純流入は$321Bで、四半期配当も$5.73/株へ増配された水準を維持しています。[1][2]

2026年Q2は、有機ベースフィー成長率8%、調整後営業利益率45.9%となり、会社が景気・相場循環を通じた目標として掲げる5%以上45%以上をともに上回りました。さらに、2026年の自社株買い計画は年間$2.0B、四半期$550Mへ引き上げられています。[2][6]

一方で、AUMの増加には市場上昇の影響が大きく、買収後の株式数増加や統合費用も残ります。今後の評価を左右するのは、Preqin・HPS・GIPを使って、高い純流入を継続的なベースフィー、テクノロジー収益、利益率改善へつなげられるかです。[2][3][4][5]

【注】(出典リンク)

  1. 配当履歴・2026年の増配と支払実績 → BlackRock Dividend HistoryBlackRock 2026年5月20日配当発表(確認日:2026-07-16)
  2. 2026年Q2決算・AUM・資金流入・利益率・自社株買い → BlackRock Q2 2026 Earnings Release(PDF)BlackRock Q2 2026決算発表(確認日:2026-07-16)
  3. Preqin買収完了 → BlackRock Completes Preqin AcquisitionBlackRock 2025 Form 10-K(PDF)(確認日:2026-07-16)
  4. HPS買収完了 → BlackRock Completes Acquisition of HPS Investment PartnersBlackRock Q2 2026 Earnings Release(HPS関連収益を含む)(確認日:2026-07-16)
  5. GIP買収完了 → BlackRock Completes Acquisition of Global Infrastructure PartnersBlackRock 2025 Form 10-K(PDF)(確認日:2026-07-16)
  6. Investor Day 2025の中期目標 → BlackRock 2025 Investor DayInvestor Day 2025 Presentation(PDF)(確認日:2026-07-16)
  7. 2025年通期業績・年次財務・キャッシュフロー・財政状態 → BlackRock 2025 Form 10-K(PDF)BlackRock Q4 2025 Earnings Release(PDF)(確認日:2026-07-16)
  8. 長期系列データ(平均株価・長期比較の補完) → Macrotrends BLK Stock Price HistoryMacrotrends BLK Financial Statements(確認日:2026-07-16)


Posted by 南 一矢