VNM:ベトナムETFの株価と配当
VNM(ヴァンエックベクトル ベトナムETF)の情報を整理してみます。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を紹介してみましょう
【ベトナム株ETF】VNMとは?アジア最後のフロンティアへの投資の魅力とリスク
「アジア最後のフロンティア」とも呼ばれ、高い経済成長率で世界から注目を集めるベトナム。その成長をポートフォリオに取り込むための代表的なETFが、ヴァンエック社が提供する「VNM(ヴァンエック・ベトナムETF)」です。この記事では、ベトナム投資の魅力と特有のリスクを整理し、VNMの具体的な中身と重要な注意点について詳しく解説します。
ベトナム投資の魅力とリスク
投資の魅力:ポストチャイナの筆頭格
- 高い経済成長率: ASEAN諸国の中でもトップクラスのGDP成長率を誇り、力強い経済拡大が続いています。
- 豊富な若年労働力: 平均年齢が約30歳と非常に若く、「人口ボーナス」が長期的な経済成長を支えます。
- 地政学的な追い風: 「チャイナ・プラスワン」として、世界の製造業の生産拠点が中国からベトナムへ移管する動きが加速しています。
注意すべきリスク:フロンティア市場の課題
- 市場の未成熟さ: ベトナム市場はMSCIの分類で「フロンティア市場」に位置づけられており、規制の不透明さや市場インフラの未整備といった課題があります。
- 通貨(ドン)リスク: ベトナム・ドンの対ドル為替レートが下落すれば、ドル建てのETFの価値も目減りします。
- 不動産市場と金融システム: 不動産市況の悪化や、それに伴う金融システムの健全性には注意が必要です。
- 政治・地政学リスク: 社会主義国としての政治体制や、南シナ海をめぐる近隣諸国との緊張関係もリスク要因です。
【VNM】ヴァンエック・ベトナムETF の概要
MVISベトナム指数に連動し、ベトナム経済を代表する企業に投資するETFです。ただし、後述する重要な注意点があります。
VNMの基本情報とポートフォリオ
正式名称 | VanEck Vietnam ETF |
---|---|
連動指数 | MVIS Vietnam Index |
経費率 | 0.66% |
純資産総額 | 約5.5億ドル |
上位構成銘柄 | Vinhomes, Hoa Phat Group, Vinamilk (Vietnam Dairy Products), Vietcombank, Masan Groupなど |
セクター比率 | 不動産 (約28%), 生活必需品 (約18%), 金融 (約17%), 資本財 (約9%) など |
※純資産総額等のデータは2025年6月時点の参考値であり、常に変動します。
VNMの重要な注意点:「ベトナム100%」ではない!
VNMのポートフォリオは、100%ベトナム企業で構成されているわけではありません。流動性の確保や、ベトナムで大きな売上を上げている外国企業を含めるという指数のルールにより、他の国の企業も含まれています。
【国別構成比率の目安】
- ベトナム: 約70-80%
- 台湾: 約10%
- 韓国: 約5%
- 日本: 約2%
- その他
純粋なベトナム・カントリーファンドというよりは、「ベトナム中心のアジア株ファンド」と理解しておくことが重要です。
まとめ:ポートフォリオにおけるVNMの役割
VNMは、その高い成長ポテンシャルから大きなリターンが期待できる一方、フロンティア市場ならではの高いリスクを伴います。そのため、ポートフォリオの大部分を占める「コア」資産としてではなく、全体の数パーセント程度に留める**「サテライト」資産**として活用するのが賢明です。
ベトナムの長期的な成長ストーリーに期待しつつも、リスクを十分に理解した上で、ポートフォリオのスパイスとして少量加えることを検討してみてはいかがでしょうか。
【出典・情報源】
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当金(分配金)と利回り
年間配当を1年の平均株価で割り、平均の利回りを計算してみます。
年 | 配当 | 平均株価 | ||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | ||
2023 | 5.28% | 0.66 | 500% | 12.5 |
2022 | 0.84% | 0.11 | 10% | 13.1 |
2021 | 0.64% | 0.1 | 42.9% | 15.7 |
2020 | 0.36% | 0.07 | -66.7% | 19.3 |
2019 | 1.47% | 0.21 | 75% | 14.3 |
2018 | 0.74% | 0.12 | -29.4% | 16.2 |
2017 | 0.99% | 0.17 | -45.2% | 17.1 |
2016 | 2.11% | 0.31 | -41.5% | 14.7 |
2015 | 3.71% | 0.53 | 3.9% | 14.3 |
2014 | 2.93% | 0.51 | -13.6% | 17.4 |
2013 | 2.8% | 0.59 | 63.9% | 21.1 |
2012 | 1.84% | 0.36 | 125% | 19.6 |
2011 | 0.9% | 0.16 | -52.9% | 17.7 |
2010 | 1.63% | 0.34 | 1033.3% | 20.9 |
2009 | 0.12% | 0.03 | – | 25.2 |
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、組入れ上位10銘柄ははチャールズシュワブのサイト内のページを参照。
ベトナム経済の現状
最後に、ベトナムの経済力を見ていきましょう。
ベトナムは社会主義国でしたが、冷戦の終わり頃から中国と同じく経済面での開放政策(ドイモイ)を進めました。
1986年の第6回党大会で市場経済システムの導入と対外開放からなるドイモイ(刷新)路線を継続。90年代には経済が好転し、1995~96年には9%台の経済成長率を記録しています。
その後、アジア経済危機でダメージを受けたものの、2000年~2010年の平均経済成長率は7%台となり、高成長を続けました.
2020年は感染症対策がうまくいったので、今後の経済回復が期待されています。
ここで、世界銀行のデータバンクから主要統計を閲覧してみます。
実質GDPと成長率
(※実質GDPは2015年米ドル基準。単位は億ドル )
実質GDP | 名目GDP | 実質成長率 | |
2005 | 854 | 576 | 7.5 |
2006 | 913 | 664 | 7.0 |
2007 | 978 | 774 | 7.1 |
2008 | 1034 | 991 | 5.7 |
2009 | 1089 | 1060 | 5.4 |
2010 | 1159 | 1159 | 6.4 |
2011 | 1232 | 1355 | 6.2 |
2012 | 1296 | 1558 | 5.2 |
2013 | 1367 | 1712 | 5.4 |
2014 | 1448 | 1862 | 6.0 |
2015 | 1545 | 1932 | 6.7 |
2016 | 1641 | 2053 | 6.2 |
2017 | 1753 | 2238 | 6.8 |
2018 | 1877 | 2452 | 7.1 |
2019 | 2009 | 2619 | 7.0 |
2020 | 2067 | 2722 | 2.9 |
一人当たりGDP/人口/失業率
(*失業率はILO方式。一人当たりGDP〔実質〕の単位はドル、人口は万人)
1人当りGDP | 人口 | 失業率 | |
2005 | 1018 | 8383 | .. |
2006 | 1079 | 8462 | .. |
2007 | 1145 | 8542 | 2.0 |
2008 | 1198 | 8624 | .. |
2009 | 1251 | 8709 | 1.7 |
2010 | 1318 | 8797 | 1.1 |
2011 | 1386 | 8887 | 1.0 |
2012 | 1443 | 8980 | 1.0 |
2013 | 1506 | 9075 | 1.3 |
2014 | 1579 | 9171 | 1.3 |
2015 | 1667 | 9268 | 1.8 |
2016 | 1753 | 9364 | 1.8 |
2017 | 1853 | 9460 | 1.9 |
2018 | 1964 | 9554 | 1.2 |
2019 | 2082 | 9646 | 2.0 |
2020 | 2122 | 9741 | 3.3 |