JNJ(ジョンソンエンドジョンソン)今後の見通し
ジョンソンエンドジョンソン(Johnson & Johnson)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(JNJとPFEを比較:ジョンソンエンドジョンソンとファイザー)を参照
直近決算
4月14日(米国時間)にジョンソン&ジョンソンは決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.68$→結果2.7$
・売上高:予想236.1億$→結果241億$(前年同期比+10%)
★出典
・IRページ
★予想値は以下のページを参照しました。
・streetinsider
企業概要
ジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson、以下J&J)は、米ニュージャージー州ニューブランズウィックに本社を置く世界的ヘルスケア企業です。2023年に一般消費者向け事業(バンドエイド、リステリン等)をKenvueとして分離したため、現在のJ&Jは医薬品(Innovative Medicine)と医療機器(MedTech)の2事業に集中しています。2025年通期の売上高は941.93億ドルで、2024年通期の888.21億ドルから6.0%増となりました。[1][2]
事業ポートフォリオの現状
2025年通期売上は941.93億ドルで、内訳は医薬品(Innovative Medicine):604.01億ドル(約64%)、医療機器(MedTech):337.92億ドル(約36%)でした。主力は、がん・免疫・神経・循環器などの高付加価値領域です。2025年の医薬品事業では、DARZALEX、CARVYKTI、ERLEADA、RYBREVANT/LAZCLUZE、TREMFYA、SPRAVATOなどが成長を支えました。一方、免疫領域の主力薬STELARAは米国でバイオシミラー競争が本格化し、2025年通期の医薬品事業成長を約1,040bp押し下げました。[2][3]
最近の主要トピック
- Kenvue分離(2023年):交換買付により分離を最終化し、経営資源を「医薬品×医療機器」に集中しました。これにより、旧コンシューマーヘルス事業の多くはJ&J本体ではなくKenvue側に移りました。[1]
- 心血管領域の強化(2024年):2024年5月にShockwave Medical買収を完了し、血管内衝撃波(IVL)技術を獲得しました。2025年通期のMedTech事業では、Shockwaveの寄与もあり、MedTech売上は337.92億ドル(前年比+6.1%)となりました。[2][4]
- 神経領域の大型買収(2025年):2025年4月にIntra-Cellular Therapiesの買収を完了し、統合失調症・双極性障害うつ病などに使われるCAPLYTAを取得しました。J&Jはこの買収を、神経領域の成長基盤を強化する案件と位置づけています。[5]
- がん領域のパイプライン拡充(2025年):2025年12月にHalda Therapeuticsの買収を完了しました。Haldaは前立腺がんを含む固形がん向けの経口標的治療プラットフォームを持つ臨床段階のバイオ企業で、取得額は約30.5億ドルです。[6]
- 手術支援ロボ「OTTAVA」:2025年4月にOTTAVA Robotic Surgical Systemの初の臨床症例を完了し、2026年1月に米FDAへDe Novo承認申請を提出しました。2026年5月には、最初の臨床試験結果を発表し、安全性・性能評価に関する重要なマイルストーンを示しました。[7]
- COVID-19ワクチンの取り扱い:J&J(ヤンセン)製COVID-19ワクチンは、2023年6月に米FDAのEUA(緊急使用許可)が取り消されました。現在のJ&Jの投資テーマとしては、COVID-19ワクチンよりも、がん、免疫、神経、循環器、MedTechの成長力を見る局面です。[8]
- タルク訴訟:2025年3月、米破産裁判所はJ&J側の約100億ドル規模のタルク関連和解案を退けました。2026年3月時点でも、6万7,000件超のタルク関連訴訟が係争中と報じられており、法務リスクは引き続き重要な留意点です。[9]
- 2026年Q1決算と通期見通し:2026年Q1売上高は240.62億ドル(前年同期比+9.9%)、希薄化後EPSは2.14ドル、調整後EPSは2.70ドルでした。会社側は2026年通期見通しを引き上げ、売上高の中間値を1,008億ドル、調整後EPSの中間値を11.55ドルとしました。[10]
歴史とM&A(抜粋)
J&Jは1886年にジョンソン三兄弟が創業しました。近年は、コンシューマー事業を切り離す一方で、医薬品と医療機器の重点領域をM&Aで補強しています。
- Synthes(2012年):整形外科(DePuy Synthes)を拡充。[11]
- Actelion(2017年):肺動脈性肺高血圧症などの希少疾患領域を獲得。[12]
- Auris Health(2019年):手術ロボット領域を強化。OTTAVAにつながる外科ロボティクス投資の一部と位置づけられます。[13]
- Ci:z Holdings(2019年):ドクターシーラボ等のスキンケア事業を取得。ただし、現在のJ&J本体はKenvue分離後、医薬品と医療機器に集中しているため、この案件は現行の中核事業を示すものではなく、過去のコンシューマー事業強化策として整理するのが適切です。[14]
- Abiomed(2022年):心不全ポンプ「Impella」を中心とする循環器領域を強化。[15]
- Shockwave Medical(2024年):血管内衝撃波(IVL)技術を取得し、MedTechの心血管領域を強化。[4]
- Intra-Cellular Therapies(2025年):CAPLYTAを取得し、神経領域を強化。[5]
- Halda Therapeutics(2025年):固形がん向け経口標的治療プラットフォームを取得し、オンコロジーのパイプラインを拡充。[6]
リスクと留意点
- 特許切れ(LOE):主力薬が特許満了を迎えると、バイオシミラーや後発品との価格競争が起きます。J&Jの場合、2025年のSTELARAの競争激化が代表例で、同年の医薬品事業の伸びを大きく押し下げました。[2][3]
- 法務リスク:タルク訴訟は2026年時点でも不確実性が大きく、判決・和解・引当金・上訴の結果によって業績や投資家心理に影響する可能性があります。[9]
- 規制・安全性:医薬品・医療機器は、承認、適応拡大、市販後安全性、リコール、訴訟などの影響を受けます。COVID-19ワクチンのEUA取り消しや、OTTAVAのFDA審査は、規制判断が事業価値に影響する例です。[7][8]
- M&A統合リスク:Intra-Cellular Therapies、Halda Therapeutics、Shockwave Medicalなどの買収は成長機会である一方、取得価格に見合う売上・利益・臨床成果を実現できるかが問われます。[4][5][6]
ミニ解説(短く)
J&Jは、Kenvue分離後に「医薬品と医療機器の会社」として性格がより明確になりました。2025年は売上高が941.93億ドルまで伸び、2026年Q1も増収基調を維持しています。一方で、STELARAの特許切れ、タルク訴訟、買収後の統合リスクは無視できません。投資判断では、単に「ヘルスケアの安定株」と見るだけでなく、新薬・新製品の伸びが特許切れと法務リスクをどこまで吸収できるかを確認することが重要です。
【注】(出典リンク)
- Kenvue分離の最終化(2023年8月) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- 2025年通期売上、セグメント売上、STELARA影響、主要成長製品 → J&J 2025年Q4・通期決算発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- STELARAの米国バイオシミラー競争 → Teva/Alvotechの米国発売に関するReuters報道。二次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Shockwave Medical買収完了(2024年5月) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Intra-Cellular Therapies買収完了とCAPLYTA取得(2025年4月) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Halda Therapeutics買収完了(2025年12月) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- OTTAVAの初臨床症例、FDA申請、2026年臨床試験結果 → J&J公式発表。一次(初症例) / 一次(FDA申請) / 一次(臨床試験結果) / 確認日:2026-05-10 ↩
- Janssen COVID-19 Vaccine EUA取り消し(2023年6月) → U.S. FDA公式文書。一次(PDF) / 確認日:2026-05-10 ↩
- タルク訴訟の継続、破産和解案却下、6万7,000件超の係争 → Reuters報道。二次(和解案却下) / 二次(係争件数) / 確認日:2026-05-10 ↩
- 2026年Q1決算、売上、EPS、2026年通期見通し上方修正 → J&J公式決算発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Synthes買収完了(2012年) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Actelion買収完了(2017年) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Auris Health買収(2019年) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Ci:z Holdings買収完了(2019年) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Abiomed買収完了(2022年) → J&J公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

