UPSとFDXを比較:ユナイテッドパーセルとフェデックスの違いとは
UPSとFDXを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)
ユナイテッドパーセル・サービス(United Parcel Service, Inc.)とフェデックス (FedEx Corp.) は運送業の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(XLI:Industrial Select Sector SPDR Fundを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算(予想:結果)
マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
★ユナイテッドパーセル(UPS)決算:予想と結果 売上&EPS
【物流の巨人対決】UPS vs フェデックス(FDX)!効率のUPSか、変革のFDXか?
世界経済の動脈として、Eコマースの拡大を支える2大物流企業、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)とフェデックス(FDX)。両社はともに景気敏感株でありながら、安定した配当を求める投資家からも人気を集めています。しかし、その事業運営の仕組みや収益性には大きな違いがあります。
本記事では、「一つのネットワーク」で高効率を誇るUPSと、「ネットワーク統合」による変革を目指すフェデックスの業績、配当、そして将来性を徹底的に比較・分析します。
最重要ポイント:ビジネスモデルと労働形態の違い
- UPS (単一ネットワーク・正社員)
航空便・陸上便を問わず、すべての荷物を一つの統合されたネットワークで効率的に運びます。これにより高い利益率を実現していますが、従業員の多くが労働組合に所属しているため、人件費は高くなる傾向にあります。 - フェデックス (複数ネットワーク・業務委託)
航空便の「エクスプレス」、陸上便の「グラウンド」など、目的別に複数のネットワークを並行して運営してきました。陸上便では個人事業主(業務委託)を活用することで人件費を抑えてきましたが、非効率な面も多く、利益率でUPSに劣っていました。現在、これらのネットワークを統合する「One FedEx」という大規模な経営改革を進めています。
この違いが、両社の収益性と今後の課題を理解する上で最も重要です。
比較サマリー:高収益のUPS、改革中のFDX
項目 | UPS | フェデックス (FDX) |
---|---|---|
ビジネスモデル | 単一統合ネットワーク | 複数ネットワーク(現在、統合改革中) |
営業利益率 | 約10-12% | 約6-8% |
連続増配年数 | 15年 | 3年(2022年に大幅増配) |
配当利回り(直近) | 約4.7% | 約2.0% |
PER (株価収益率) | 約19倍 | 約15倍 |
業績と成長性の詳細分析
コロナ禍のEコマース特需により、両社とも2022年にかけて大きく業績を伸ばしました。しかし、その後の景気減速や需要の鈍化を受け、現在は調整局面にあります。
年 | UPS 売上高 (前年比) | フェデックス 売上高 (前年比) |
---|---|---|
2024 | $91.00 B (-9.3%) | $90.16 B (-3.8%) |
2023 | $100.34 B (+3.1%) | $93.51 B (+3.4%) |
2022 | $97.29 B (+15.0%) | $90.49 B (+21.2%) |
2021 | $84.63 B (+14.2%) | $74.70 B (+8.6%) |
2020 | $74.09 B | $68.79 B |
※B=10億ドル。両社は決算月が異なるため、各社会計年度に基づき比較しています。
配当の詳細比較:利回りのUPS、近年の増配ペースはFDX
配当利回りではUPSが大きくリードしています。一方、フェデックスは2022年に50%を超える大幅な増配を行っており、株主還元への積極的な姿勢を示しました。
年 | UPS 年間配当 (増配率) | FDX 年間配当 (増配率) |
---|---|---|
2024 | $6.52 (+0.6%) | $5.04 (+9.8%) |
2023 | $6.48 (+6.6%) | $4.60 (+52.8%) |
2022 | $6.08 (+49.1%) | $3.00 (+15.4%) |
2021 | $4.08 (+1.0%) | $2.60 (+0.0%) |
2020 | $4.04 (+4.7%) | $2.60 (+0.0%) |
配当については以下の関連記事を参照
結論:あなたに合うのはどちら?
両社の比較は、「実績ある高効率モデル」と「変革による将来の改善期待」のどちらを評価するかの選択になります。
「安定性と高い配当利回り」を重視するなら → UPS
業界トップの利益率を誇るビジネスモデルは、長期的な安定性の証です。4%を超える高い配当利回りはインカム投資家にとって非常に魅力的であり、ポートフォリオの安定したキャッシュフロー源として期待できます。
「経営改革の成功による将来の株価上昇」に期待するなら → フェデックス (FDX)
現在進行中の「One FedEx」改革が成功し、UPSとの利益率の差を縮めることができれば、株価が大きく見直される可能性があります。現在の割安な株価水準と、経営陣の変革への強い意志に賭けたい、よりキャピタルゲインを重視する投資家向けの選択肢と言えるでしょう。
※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。