ADBE(アドビ)今後の見通し

AI(人工知能),SaaS(クラウド+サブスク),情報技術

アドビ(Adobe Inc)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(ADBE/ADSK:アドビとオートデスクを比較)を参照

直近決算

米国時間で2024年9月12日にADBEは四半期決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想4.53$→結果4.65$
・売上高:予想53.7億$→結果54.1億$(前年同期比+11%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想4.63~4.68$→結果4.68$
・売上高:予想56億$→結果55~55.5億$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreetinsiderを参照しました

企業概要

アドビ(Adobe Inc)は「イラストレーター」や「フォトショップ」、「インデザイン」などのクリエーター向けアプリで有名なソフトウェアメーカーです。

ADBEは、PDFの閲覧や作成に用いるアクロバットリーダーや、クリエイティブクラウドに代表されるSaasのソフトウェアを提供しています。

昔はフォトショップも買い切りソフトでしたが、最近では、年間7万円程度払って利用する「クリエイティブ・クラウド」でソフトが使い放題になるサブスクに移行しています。

アドビは「クラウド化」の時代に対応し、動画編集ソフト(プレミア)や3Dイフェクト作成、ウェブサイト設計など、アプリの範囲を広げています。

2023年には画像生成AIの分野でもサービスの提供を始めました。

このようにして、プロのクリエイターを支え続けているわけです。

最近は、データ分析によるマーケティング支援にまでクラウドを通じて業務を多角化しています(マーケティング分野は全体の3割程度。中心の7割は従来のクリエイター向けソフト群)。

そのために、買収が続いています。

2005年:オーサリングソフトのマクロメディア

09年:ウェブアクセス解析のオムニチュア

12年:ネット広告管理のエフィシエント・フロンティア

15年:マイクロストック写真を手がけるフォトリア

16年:動画配信サービスのチューブモーグル

18年:Eコマースのサイト構築と運営用プラットフォームを手がけるマジェント、販促支援ソフトを販売するマルケト

アドビはクリエイティブ分野では、ほぼ向かうところ敵なしです。

デザイナーの使用ソフトは、ほぼ、アドビのフォトショップ、イラストレーター、インデザインと相場は決まっています。

MSFTのオフィスでさえ、AAPLのマックがライバルになっているのに、アドビにはそれがないのです。

クリエイティブやドキュメントの分野でのシェアは高く、十分なワイドモート(参入を阻止する「広い堀」を意味する)を保っています。

(*デジタルマーケティングに関しては、CRM(セールスフォース)などのライバルがひしめき合っているので、占有度が確立できていない)。

全体的には、ワイドモートが築かれており、ソフトの優秀さでは他社の追随を許さないので、今後も成長が見込める優良銘柄だと言えます。

現在の事業構成は以下の通りです。

★デジタルメディア(DM)

クリエイティブビジネスはフォトショップ、イラストレーター、インデザイン等のソフトウェアが中心です。

ここ数年で、フォトショップやイラストレーターなどは買い切り製品から、継続課金(サブスクリプションモデル)へと移行。

フォトショップなどを単体でも買えますが、近年は「クリエイティブクラウド」で画像、PDF、動画、CG等のソフトを全部使い切ることが可能となりました。

サブスクリプションモデルに移行したアドビソフトは新型の機能を随時アップデートし、機能とセキュリティを最新版に維持できるようになっています。

また、ドキュメントクラウドは主にPDFなど(アクロバットリーダー等)に関連したビジネスです。

Adobeがこのビジネスを始めた約20年前には、公的機関、金融機関などをはじめとして、ビジネス界は紙の書類が氾濫していましたが、それをペーパーレス化することをビジネスチャンスにしたわけです。

こちらのサブスクリプション収入は「ドキュメントクラウド」として年次報告書に表記されています。

★デジタルエクスペリエンス(DE)

顧客情報の分析ツールである「アドビアナリティクス」や「アドビターゲット」、「アドビエクスペリエンスマネージャー」「アドビキャンペーン」「マーケットエンゲージ」などが「アドビエクスペリエンスクラウド」として展開されています。

顧客体験管理(CXM)のためのソフト群です。

★パブリッシング&アドバータイジング(P&A)

小売・エンタメ・映画・イベント・教育に関わる企業や公的機関が活動の領域をオンラインに移すなかで、アドビはWEBマーケティングの支援ソフトを展開。

例えば、Adobe Analyticsなどのウェブサイト分析サービスがあり、その内実はグーグルアナリティクスに似てきています。

【事業構成】

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【地域別売上高】

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Posted by 南 一矢