【ADBE】アドビシステムズの株価と決算

2019年9月18日

広告

アドビシステムズ(Adobe Systems Incorporated)は「イラストレーター」や「フォトショップ」、「インデザイン」などのクリエーター向けアプリケーションで有名なソフトウェアメーカーです。

PDFの閲覧や作成に用いるアクロバットリーダーや、Flash プラットフォームなどの開発・サポートも手掛けています。

昔はフォトショップも買い切りソフトでしたが、最近では、年間に4万円程度払って利用する「クリエイティブ・クラウド」を契約すれば、アドビのクリエイター向けソフトが使い放題になる、という形式に移行しています。

アドビもまた「クラウド化」の時代に対応し、動画編集ソフト(プリマヴェーラ)や3Dイフェクト作成、ウェブサイト設計など、アプリの範囲を広げています。

そうすることで、プロのクリエイターを支え続けているわけです。

最近は、データ分析によるマーケティング支援にまでクラウドを通じて業務を多角化しています(マーケティング分野は全体の3割程度。中心の7割は従来のクリエイター向けソフト群)。

2005年にはオーサリングソフトのマクロメディア、09年にウェブアクセス解析のオムニチュア、12年にネット広告管理のエフィシエント・フロンティア、15年にはマイクロストック写真を手がけるフォトリア、16年には動画配信サービスのチューブモーグルを買収。

18年にはEコマースのサイト構築と運営用プラットフォームを手がけるマジェントや販促支援ソフトを販売するマルケトを傘下に収めました。

こうした旺盛な買収活動が、アドビの技術を下支えしているとも言えるでしょう。

今回は、このアドビシステムズについて、情報を整理してみます。

広告

主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(出所はグーグルファイナンスなど)

1/2株価 219.9
9/13株価 278.4
株価上昇率 27%
52週高値 313.1
52週安値 205
EPS 5.58
PER 49.9
配当利回り
時価総額(億$) 1351
株式数(億) 4.9

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)。

株価の推移を1年ごとに見てみましょう。

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は9/13)
ADBE 初値 終値 上昇率
2019 219.9 278.4 27%
2018 175.9 226.2 29%
2017 103.4 175.2 69%
2016 91.8 103 12%
2015 73 93.9 29%
2014 59.1 72.7 23%
2013 37.9 59.9 58%
2012 28.6 37.7 32%
2011 30.8 28.3 -8%
2010 36.7 30.8 -16%
2009 23 36.8 60%
2008 42.9 21.3 -50%
★2:各年初から19/9/13までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~
27% 58% 169% 203%
15年~ 14年~ 13年~ 12年~
282% 371% 634% 872%
11年~ 10年~ 09年~ 08年~
803% 659% 1109% 549%

NVDAやNFLXほど猛烈な伸びではありませんが、十分なリターンです。

アドビのソフトはクリエーターから絶大な支持を受けているので、今後、株価が下がっても、持ちこたえるのではないでしょうか。

アドビシステムズの事業分野

冒頭で多少、説明しましたが、改めてアドビシステムズの事業について整理してみます。

その事業分野は、三つの分野に大別されます。

クリエイティブビジネス

これはフォトショップ、イラストレーター、インデザイン等のソフトウェアが中心です。

ここ数年で、フォトショップやイラストレーターなどは買い切り製品から、継続課金(サブスクリプションモデル)へと移行。

フォトショップなどを単体でも買えますが、近年は年3万数千円の「クリエイティブクラウド」で画像、PDF、動画、CG等のソフトを全部使い切ることが可能となりました。

サブスクリプションモデルに移行したことで、アドビソフトは新型の機能を随時アップデートし、機能とセキュリティを最新版に維持できるようになています。。

ドキュメントビジネス

これは主にPDFなど(アクロバットリーダー等)に関連したビジネスです。

Adobeがこのビジネスを始めた約20年前には、公的機関、金融機関などをはじめとして、ビジネス界は紙の書類が氾濫していましたが、それをペーパーレス化することをビジネスチャンスにしたわけです。

PDFは編集できないと考えている方もいますが、有料版のアクロバットリーダーを導入すれば、PDFの編集も自由自在になります。

(筆者はPDFをワード・エクセルに変換する機能を重宝していますが・・・)

こちらも売り切りモデルからサブスクリプションモデルへの移行が進んでいます。

デジタルマーケティングビジネス

小売・エンタメ・映画・イベント・教育に関わる企業や公的機関が活動の領域をオンラインに移すなかで、アドビはWEBマーケティングの支援ソフトを展開。

例えば、Adobe Analyticsなどのウェブサイト分析サービスがあり、その内実はグーグルアナリティクスに似てきています。

競争優位性はどこ?

アドビはクリエイティブ分野では、ほぼ向かうところ敵なしです。

デザイナーの使用ソフトは、ほぼ、アドビのフォトショップ、イラストレーター、インデザインと相場は決まっています。

MSFTのオフィスでさえ、AAPLのマックがライバルになっているのに、アドビにはそれがないのです。

そして、アドビはネットの世界でも、PDFやフラッシュプレイヤーなどで存在感を保ち、クリエイティブ⇒PDF化⇒WEBマーケティングへと一貫したビジネス分野を保っています。

クリエイティブやドキュメントの分野でのシェアは高く、十分なワイドモート(参入を阻止する「広い堀」を意味する)を保っています。

ただ、デジタルマーケティングに関しては、CRM(セールスフォース)など、数多くのライバルがひしめき合っているので、ここはそこまでの占有度が確立できていません。

全体的には、ワイドモートが築かれており、ソフトの優秀さでは他社の追随を許さないので、今後も成長が見込める優良銘柄だと言えます。

四半期決算(2019予想など)

直近決算(19/9/17発表)の概要は以下の通り(予想値はロイター)。

  • EPS:予想1.97$⇒結果2.05$
  • 売上:予想28.2億$⇒結果28.3億$

さらに、ロイターが調べた四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます

(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載)。

EPS:予想と結果

予想 9/1 1月前 2月前
Y:20/11 9.75 9.75 9.69
Y:19/11 7.81 7.81 7.82
Q:19/11 2.3 2.3 2.29
Q:19/8 1.97 1.97 2.05
EPS 予想 結果
19/5 1.78 1.83 0.05 2.81
19/2 1.61 1.65 0.04 2.5
18/11 1.88 1.9 0.02 1.1
18/8 1.69 1.73 0.04 2.4
18/5 1.54 1.66 0.12 7.8

売上高:予想と結果

予想 9/1 1月前 2月前
Y:20/11 13193 13191 13166
Y:19/11 11189 11189 11168
Q:19/11 3029 3029 3032
Q:19/8 2817 2817 2831
予想 結果
19/5 2705 2744 40 1.5
19/2 2547 2580 33 1.3
18/11 2429 2440 11 0.5
18/8 2252 2291 39 1.7
18/5 2156 2195 39 1.8

決算予想と結果では米国会計基準(GAAP)とは違う「非GAAP基準」の数値(各社が経営実態を踏まえて調整した数値)が多用されています。そのため、本節の売上とEPSは次節のGAAP基準の値と同じになるとは限りません。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等

ADBE 売上高 営業CF 同マージン 純利益
08/11 3580 1281 36% 872
09/11 2946 1118 38% 387
10/11 3800 1113 29% 775
11/11 4216 1543 37% 833
12/11 4404 1500 34% 833
13/11 4055 1152 28% 290
14/11 4147 1287 31% 268
15/11 4796 1470 31% 630
16/11 5854 2200 38% 1169
17/11 7302 2913 40% 1694
18/11 9030 4029 45% 2591

*同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

ADBE SG(%) EPS DSO
08/11 13% 1.59 40.0
09/11 -18% 0.73 54.4
10/11 29% 1.47 46.4
11/11 11% 1.65 51.5
12/11 4% 1.66 51.9
13/11 -8% 0.56 54.8
14/11 2% 0.53 52.4
15/11 16% 1.24 48.1
16/11 22% 2.32 46.9
17/11 25% 3.38 51.3
18/11 24% 5.2 51.2
19/11

※SG(セールスグロース):売上高成長率(前年度比)

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

ADBE 総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/11 5822 1411 4410 76%
09/11 7282 2392 4891 67%
10/11 8141 2949 5192 64%
11/11 8991 3208 5783 64%
12/11 10040 3375 6665 66%
13/11 10380 3656 6725 65%
14/11 10786 4010 6776 63%
15/11 11726 4725 7002 60%
16/11 12697 5272 7425 58%
17/11 14536 6076 8460 58%
18/11 18769 9407 9362 50%

ROAとROEなど

ADBE ROA ROE 流動比率
08/11 15% 20% 358%
09/11 5% 8% 293%
10/11 10% 15% 301%
11/11 9% 14% 301%
12/11 8% 12% 346%
13/11 3% 4% 265%
14/11 2% 4% 185%
15/11 5% 9% 218%
16/11 9% 16% 208%
17/11 12% 20% 206%
18/11 14% 28% 113%

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る指標

キャッシュフロー

ADBE 営業CF 投資CF 財務CF
08/11 1281 -305 -1022
09/11 1118 -1497 478
10/11 1113 -1159 -215
11/11 1543 -757 -550
12/11 1500 -835 -235
13/11 1152 -1178 -559
14/11 1287 -491 -507
15/11 1470 -1488 -201
16/11 2200 -960 -1091
17/11 2913 -443 -1184
18/11 4029 -4685 -6