【ADBE】アドビシステムズの株価と決算

2019年5月21日

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アドビシステムズ(Adobe Systems Incorporated)は「イラストレーター」や「フォトショップ」、「インデザイン」などのクリエーター向けアプリケーションで有名なソフトウェアメーカーです。

PDFの閲覧や作成に用いるアクロバットリーダーや、Flash プラットフォームなどの開発・サポートも手掛けています。

昔はフォトショップも買い切りソフトでしたが、最近では、年間に4万円程度払って利用する「クリエイティブ・クラウド」を契約すれば、アドビのクリエイター向けソフトが使い放題になる、という形式に移行しています。

アドビもまた「クラウド化」の時代に対応し、動画編集ソフト(プリマヴェーラ)や3Dイフェクト作成、ウェブサイト設計など、アプリの範囲を広げています。

そうすることで、プロのクリエイターを支え続けているわけです。

最近は、データ分析によるマーケティング支援にまでクラウドを通じて業務を多角化しています(マーケティング分野は全体の3割程度。中心の7割は従来のクリエイター向けソフト群)。

2005年にはオーサリングソフトのマクロメディア、09年にウェブアクセス解析のオムニチュア、12年にネット広告管理のエフィシエント・フロンティア、15年にはマイクロストック写真を手がけるフォトリア、16年には動画配信サービスのチューブモーグルを買収。

18年にはEコマースのサイト構築と運営用プラットフォームを手がけるマジェントや販促支援ソフトを販売するマルケトを傘下に収めました。

こうした旺盛な買収活動が、アドビの技術を下支えしているとも言えるでしょう。

今回は、このアドビシステムズについて、情報を整理してみます。

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主な指標を概観

まず、主要指標のデータは以下の通りです(出所はグーグルファイナンスなど)。

1/2株価 219.9
5/17株価 279.9
株価上昇率 27.3%
52週高値 291.7
52週安値 205
EPS 5.4
PER 51.78
配当(利回り)
時価総額(億$) 1366
株式数(億) 4.9

株価推移(チャートと伸び率)

次に株価の推移を見てみます。

青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線です。

伸び率を年次で見てみます

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は5/17)
ADBE 初値 最安 最高 終値 上昇率
2019 219.9 215.7 272.2 279.9 27%
2018 175.9 177.7 275.5 226.2 29%
2017 103.4 103.5 185.4 175.2 69%
2016 91.8 73.9 110.8 103 12%
2015 73 70 95.6 93.9 29%
2014 59.1 58.1 76 72.7 23%
2013 37.9 37.7 60.9 59.9 58%
2012 28.6 28.3 38.1 37.7 32%
2011 30.8 22.7 35.9 28.3 -8%
2010 36.7 25.6 37.7 30.8 -16%
2009 21.1 16 37.9 36.8 74%
2008 42.9 20.4 45.9 21.3 -50%
★2:各年初から2019/5/17までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~ 15年~ 14年~
27% 59% 171% 205% 283% 374%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~ 09年~ 08年~
638% 878% 809% 663% 1226% 552%

サブプライムショック後の09年初からADBEを持ち続けた場合、株価が13倍以上になっています。

NVDAやネットフリックスほど猛烈な伸びではありませんが、十分なリターンです。

アドビのソフトはクリエーターから絶大な支持を受けているので、今後、株価が下がっても、持ちこたえるのではないでしょうか。

アドビシステムズの事業分野

冒頭で多少、説明しましたが、改めてアドビシステムズの事業について整理してみます。

その事業分野は、三つの分野に大別されます。

クリエイティブビジネス

これはフォトショップ、イラストレーター、インデザイン等のソフトウェアが中心です。

ここ数年で、フォトショップやイラストレーターなどは買い切り製品から、継続課金(サブスクリプションモデル)へと移行。

フォトショップなどを単体でも買えますが、近年は年3万数千円の「クリエイティブクラウド」で画像、PDF、動画、CG等のソフトを全部使い切ることが可能となりました。

サブスクリプションモデルに移行したことがで、アドビソフトもマイクロソフト等と同じように、新型の機能を随時アップデートし、機能とセキュリティを最新版に維持できるようになています。

ドキュメントビジネス

これは主にPDFなど(アクロバットリーダー等)に関連したビジネスです。

Adobeがこのビジネスを始めた約20年前には、公的機関、金融機関などをはじめとして、ビジネス界は紙の書類が氾濫していましたが、それをペーパーレス化することをビジネスチャンスにしたわけです。

PDFは編集できないと考えている方もいますが、有料版のアクロバットリーダーを導入すれば、PDFの編集も自由自在になります。

(筆者はPDFをワード・エクセルに変換する機能を重宝していますが・・・)

こちらも売り切りモデルからサブスクリプションモデルへの移行が進んでいます。

デジタルマーケティングビジネス

小売・エンタメ・映画・イベント・教育に関わる企業や公的機関が活動の領域をオンラインに移すなかで、アドビはWEBマーケティングの支援ソフトを展開。

例えば、Adobe Analyticsなどのウェブサイト分析サービスがあり、その内実はグーグルアナリティクスに似てきています。

競争優位性はどこ?

アドビはクリエイティブ分野では、ほぼ向かうところ敵なしです。

デザイナーの使用ソフトは、ほぼ、アドビのフォトショップ、イラストレーター、インデザインと相場は決まっています。

マイクロソフトのオフィスでさえ、アップルのマックがライバルになっているのに、アドビにはそれがないのです。

そして、アドビはネットの世界でも、PDFやフラッシュプレイヤーなどで存在感を保ち、クリエイティブ⇒PDF化⇒WEBマーケティングへと一貫したビジネス分野を保っています。

クリエイティブやドキュメントの分野でのシェアは高く、十分なワイドモート(参入を阻止する「広い堀」を意味する)を保っています。

ただ、デジタルマーケティングに関しては、IBM、オラクル、セールスフォースなど、数多くのライバルがひしめき合っているので、ここはそこまでの占有度が確立できていません。

全体的には、ワイドモートが築かれており、ソフトの優秀さでは他社の追随を許さないので、今後も成長が見込める優良銘柄だと言えます。

四半期決算(予想と実値)

さらに、決算の数字を見てみます。

3/14発表の直近四半期決算の概要は以下の通り(investing.com

  • EPS:予想1.62$⇒1.71$結果
  • 売上高:予想25.5億$⇒結果26億$

ガイダンスは市場予想を下回っています。

19Q2 ガイダンス 市場予想
売上高 27億$ 1.77$
EPS 27.2億$ 1.88$

ロイター予想値

以下、ロイターのサイトに掲載された予想値です(2019/3/19 売上の単位は100万$)

売上予想 平均 上限 下限 期間
2020 13154 13522 12721 1年
2019 11164 11389 11100 1年
5-19 2708 2767 2695 3カ月
2-19 2547 2597 2537 3カ月
売上 予想 結果
2-19 2547 2580 33 1.28
11-18 2429 2440 11 0.45
8-18 2252 2291 39 1.72
5-18 2156 2195 39 1.80
2-18 2047 2079 32 1.56
11-17 1953 2007 53 2.74
8-17 1818 1841 23 1.25
EPS 予想 結果
2020 9.69 10.16 9.32 1年
2019 7.81 8.00 7.72 1年
5-19 1.81 2.02 1.76 3カ月
2-19 1.61 1.76 1.57 3カ月
EPS 予想 結果
2-19 1.61 1.65 0.04 2.26
11-18 1.88 1.90 0.02 0.95
8-18 1.69 1.73 0.04 2.32
5-18 1.54 1.66 0.12 7.64
2-18 1.44 1.55 0.11 7.80
11-17 1.16 1.26 0.10 8.86
8-17 1.01 1.10 0.09 9.34

(決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています(後述のGAAP基準と異なる売上とEPSの数値は非GAAP基準)

四半期決算(GAAP基準)

アドビのIR文書のアーカイプから過去の記録を見てみます。

売上高 営業利益 純利益 EPS
2016/2 1383 308 254 0.5
2016/5 1399 344 244 0.48
2016/8 1464 369 271 0.54
2016/11 1608 472 400 0.8
2017/2 1682 469 398 0.8
2017/5 1772 504 374 0.75
2017/8 1841 546 420 0.84
2017/11 2007 649 502 1
2018/2 2079 703 583 1.17
2018/5 2195 698 663 1.33
2018/8 2291 719 666 1.34
2018/11 2465 721 678 1.37
2019/2 2601 695 674 1.36

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(売上と利益、資産と負債、資本とキャッシュフローの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等)

売上高 営業CF 同マージン 純利益
2008/11 3580 1281 35.8% 872
2009/11 2946 1118 37.9% 387
2010/11 3800 1113 29.3% 775
2011/11 4216 1543 36.6% 833
2012/11 4404 1500 34.1% 833
2013/11 4055 1152 28.4% 290
2014/11 4147 1287 31.0% 268
2015/11 4796 1470 30.7% 630
2016/11 5854 2200 37.6% 1169
2017/11 7302 2913 39.9% 1694
2018/11 9030 4029 44.6% 2591

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%以上もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

営業利益率 EPS DSO
2009/11 24.8 0.73 54.4
2010/11 26.8 1.47 46.4
2011/11 28.4 1.65 51.5
2012/11 26.7 1.66 51.9
2013/11 11.1 0.56 54.8
2014/11 10.4 0.53 52.4
2015/11 18.9 1.24 48.1
2016/11 25.5 2.32 46.9
2017/11 29.7 3.38 51.3
2018/11 31.5 5.2 51.2

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。

バランスシート

総資産 総負債 株主資本 自己資本率
2008/11 5822 1411 4410 75.7%
2009/11 7282 2392 4891 67.2%
2010/11 8141 2949 5192 63.8%
2011/11 8991 3208 5783 64.3%
2012/11 10040 3375 6665 66.4%
2013/11 10380 3656 6725 64.8%
2014/11 10786 4010 6776 62.8%
2015/11 11726 4725 7002 59.7%
2016/11 12697 5272 7425 58.5%
2017/11 14536 6076 8460 58.2%
2018/11 18769 9407 9362 49.9%

ROAとROEなど

ROA ROE 流動比率
単位 倍率
2009/11 5.9 8.3 2.9
2010/11 10.1 15.4 3.0
2011/11 9.7 15.2 3.0
2012/11 8.8 13.4 3.4
2013/11 2.9 4.3 2.7
2014/11 2.5 4 1.8
2015/11 5.6 9.1 2.2
2016/11 9.6 16.2 2.1
2017/11 12.4 21.3 2.1
2018/11 15.6 29.1 1.1

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業が上げた利益を見る

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業が上げた利益を見る

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る(下表では資本が負債の何倍かを表記)

キャッシュフロー

営業CF 投資CF 財務CF
2008/11 1281 -305 -1022
2009/11 1118 -1497 478
2010/11 1113 -1159 -215
2011/11 1543 -757 -550
2012/11 1500 -835 -235
2013/11 1152 -1178 -559
2014/11 1287 -491 -507
2015/11 1470 -1488 -201
2016/11 2200 -960 -1091
2017/11 2913 -443 -1184
2018/11 4029 -4685 6