CCL(カーニバル)今後の見通し

株価•決算,消費財,カジノ・クルーズ・ホテル・旅行

カーニバル (Carnival Corporation)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(CCLとRCLを比較:カーニバルとロイヤル・カリビアン・クルーズ)を参照

直近決算

CCL(カーニバル)は6月24日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.24$→結果0.35$
・売上高:予想62.1億$→結果63.3億$(前年同期比+10%)
★ガイダンス
・純イールド(恒常為替レートベース)は、好調な2024年の水準を約5.0%上回り、11%増。3月のガイダンスを0.3ポイント上回った。
・燃料費を除く調整後のクルーズ・コスト(恒常為替レートベース)は2024年比で約3.6%増加し、3月のガイダンスを上回った。
・調整後の純利益は2024年比で40%以上増加し、3月のガイダンスを2億ドル上回る。
・調整後EBITDAは約69億ドルで、2024年比で10%超増加し、3月のガイダンスを上回る。
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

カーニバル(Carnival Corporation & plc)は、世界最大のクルーズ運航グループです。事業は北米・豪州(NAA)欧州・アジア(EAA)の2セグメントで報告され、各地域で複数のブランドを展開しています。二重上場(DLC)形態で米国と英国に上場しています。[1]

ブランド構成は以下の通りです。
【NAA】 Carnival Cruise Line、Princess Cruises、Holland America Line、Seabourn、(~2025年3月)P&O Cruises Australia[1][2]
【EAA】 Costa、AIDA、P&O Cruises(英国)、Cunard[1][2]

P&O Cruises Australiaは2025年3月に終了し、Carnival Cruise Lineへ統合されました(豪州拠点はカーニバルとして継続運航)。同社のポートフォリオ再編に伴うもので、豪州市場向けの船名も「Carnival Adventure」「Carnival Encounter」へ改称されています。[3][4]

運航ネットワークはカリブ海、アラスカ、地中海、北欧、アジア太平洋など世界中。プリンセス・クルーズが運航する「ダイヤモンド・プリンセス」は日本発着でも広く知られています(運営ブランド=Princess)。

パンデミック時(2020年)は米CDCのNo Sail Order等で旅客運航が一時停止し、業績に大きな打撃を受けました。ただし政府からの直接の救済(ベイルアウト)は受けておらず、同社は大型の資金調達(社債・新株等)とコスト削減で流動性を確保しました。[5][6][7]

2021年以降は再開・拡張が進み、2024年は「記録的な予約動向」と年末時点の顧客前受金が過去最高と開示。2025年4-6月期(同社第2四半期)も営業利益・調整EBITDAが四半期過去最高を更新し、顧客前受金は85億ドルと最高水準を更新しました。通期2025年見通しでも調整EBITDA約69億ドル、調整純利益は前年比40%超増を見込んでいます。[1][8][9]

財務面では、2023年初のピークから負債残高を約80億ドル圧縮し、2024年末時点の総負債は約275億ドル。利払い負担の低減と投資適格級への回帰を中期方針に掲げ、格付機関は2025年にBB+(見通しポジティブ)まで引き上げています。[1][10][11]

需要環境は堅調で、価格(ネットイールド)と船内消費がともに伸長。艦隊の燃費効率改善やStarlink等の通信整備、寄港地開発(例:カリブ海リゾート)を通じて、収益・顧客体験の両面を引き上げています。[12]

セグメント/ブランドの要点

  • NAA: 北米・豪州中心。主力のCarnival、Princess、Holland America、Seabourn。豪州は2025年にP&O AustraliaをCarnivalへ統合し、スケール効率と商品力を一本化。[1][3]
  • EAA: 欧州・アジア中心。AIDA(独)、Costa(伊)、P&O UK、Cunardなど地域色の強いブランドを束ねる。[1][2]

最近のトピック

  • P&O Australiaの統合(2025年3月):運営・商品をCarnivalへ集約し、豪州での供給・価格戦略を最適化。[3][4]
  • 前受金・予約が過去最高:2025年Q2で顧客前受金85億ドル。2026年の積み上がりも過去最高価格帯で推移。[8][9]
  • 負債削減と格上げ:債務の早期返済と借換えでレバレッジを低下。Fitchが2025年5月にBB+へ格上げし、6月の社債はBB+/RR4評価。[10][11]

読み解きのヒント

  • 「ベイルアウト」ではなく資本市場調達:2020年は社債・株式の組み合わせで大型調達(船舶担保等)。Fedの市場安定策はあったが、政府が直接注入したわけではない点に注意。[6][7]
  • ブランドの役割分担:NAAは量とスケール、EAAは地域特化とプレミアム性で差別化。艦隊更新・配船最適化が業績感応度を左右します。[1]

【出典】

  1. Carnival Corporation & plc「2024 Annual Report」:セグメント定義、収益構成、負債削減、記録的な予約・前受金を記載。PDF本文参照。link/SEC版 link
  2. Our Brands(公式):8ブランドの一覧。link
  3. P&O Australia統合リリース(2024年6月3日):2025年3月でブランド終了、Carnivalへ吸収。link
  4. 豪州サイト(統合後の運航・命名変更等の案内):link
  5. CDC「No Sail Order」(2020年3月14日発効)他、延長のタイムライン。linklink
  6. IFR Awards「Pandemic Response Financing」:2020年の6.6bn米ドル規模のマルチ資金調達。link
  7. The Points Guy「Carnivalはベイルアウトを受けていない」解説。link
  8. 2025年Q2決算リリース(8-K):営業利益9.34億ドル、調整EBITDA15億ドル、前受金85億ドル。link
  9. 2025年見通し:ネットイールド前年比+5%、調整EBITDA約69億ドル、調整純利益+40%超。link
  10. Fitch(2025年5月12日):IDRをBB+へ格上げ、見通しPositive。link
  11. Fitch(2025年6月30日):社債の格付け(BB+/RR4)と2025年レバレッジ見通し。link
  12. 2025年Q2プレゼン:前受金の構成、寄港地開発、燃費効率の改善など。link

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】