CCLとRCLを比較:カーニバルとロイヤル・カリビアン・クルーズの違いとは
CCLとRCLを違いを踏まえて比較します。(2025年10月更新)
カーニバル (Carnival Corporation)とロイヤルカリビアングループ(Royal Caribbean Cruises Ltd.)はクルーズ銘柄の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(CRUZ:Defiance Hotel Airline and Cruise ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算(予想:結果)
【クルーズ船大手対決】カーニバル(CCL) vs ロイヤルカリビアン(RCL)!復活の海路、投資すべきはどちらか?
世界の観光・レジャー産業の中核をなすクルーズ業界。その市場を複占する2大企業が、カーニバル・コーポレーション(CCL)とロイヤル・カリビアン・グループ(RCL)です。コロナ禍で事業停止という壊滅的な打撃を受けた両社ですが、旅行需要の劇的な回復と価格改定・船内消費の拡大に支えられ、足元では史上最高水準の売上・利益を更新しています。注1, 注2, 注11
本記事では、この2大クルーズ企業のビジネスモデル、回復状況、そして投資対象としての魅力を徹底的に比較・分析します。
最重要ポイント:「配当の現状」と「巨額負債」
投資判断の前提となる財務面をまず整理します。
- 配当の現状
2020年に両社とも配当を停止しましたが、RCLは2024年に配当を再開し、2025年9月の発表時点で四半期$1.00/株まで増配しています。一方、CCLは依然として無配です。注7, 注8 - 負債水準
危機対応で積み上がった負債はなお大きく、直近ではCCLが約$28.6〜$28.9B、RCLが約$19.7〜$21Bの総有利子負債(タイミングにより増減)を抱えています。今後の利払い負担の軽減とリファイナンスが重要テーマです。注5, 注9, 注10
事業戦略の違い:「ブランドの百貨店」か「体験の革新者」か
- カーニバル (CCL) → ブランドの百貨店戦略
手頃な「Carnival Cruise Line」から「Princess」「Holland America」「Seabourn」まで価格帯・嗜好の異なる多数ブランドで裾野を広く取る戦略。回復局面では価格(イールド)と船内消費が伸び、2024年は売上$25Bで過去最高を記録しました。注1, 注3 - ロイヤル・カリビアン (RCL) → 体験価値の革新戦略
「Icon/Utopia of the Seas」に代表される超大型・高付加価値船、そしてプライベートアイランドPerfect Day at CocoCayなど、船+寄港地の体験を一体設計して高利益体質を実現。CocoCay施策は高い粗利寄与が指摘されています。注2, 注6
比較サマリー:規模のCCL、収益性のRCL
| 項目 | カーニバル (CCL) | ロイヤル・カリビアン (RCL) |
|---|---|---|
| 市場地位 | 世界No.1(船隊規模・乗客数) | 世界No.2 |
| 戦略 | 多ブランドで価格帯・嗜好を広くカバー | 超大型船+プライベートアイランドで体験価値を最大化 |
| 配当方針 | 無配(再開未定) | 配当再開・増配中(直近$1.00/四半期) |
| 営業利益率(直近実績の目安) | 約14%(2024年) | 約25%(2024年) |
営業利益率は各社の通期実績から算出・集計サイトの値を採用(年度・基準で差異あり)。注4, 注12
業績の比較:V字回復の軌跡
ゼロ収入に近い時期から、価格・稼働率・船内消費の3要素でV字回復。2024年は両社とも過去最高級の業績となり、RCLは2025年も大幅な増益ガイダンスを示しています。
| 年 | CCL 売上高 | RCL 売上高 |
|---|---|---|
| 2024 | $25.02 B | $16.48–$16.5 B |
| 2023 | $21.59 B | $13.90 B |
| 2022 | $12.17 B | $8.84 B |
| 2021 | $1.91 B | $1.53 B |
| 2020 | $5.60 B | $2.21 B |
※B=10億ドル。CCLは会計年度11月期、RCLは12月期。2024年のRCL売上は会社開示の$16.5B(端数差は資料による)。注1, 注3, 注11, 注13
- CCLの近況:2024年通期は売上$25B・純利益$1.9Bと記録的水準。2025年も記録的な四半期(Q3売上$8.2B、調整後EPS $1.43)を更新し、通期見通しを引き上げ。注1, 注11, 注14, 注15
- RCLの近況:2024年通期売上$16.5B・純利益$2.9B。2025年は調整後EPS$14.55–$15.55へ上方修正(4月時点)。配当再開後も増配を継続。注2, 注16, 注7, 注8
結論:あなたに合うのはどちら?
両社への投資は、どのリスク/リターン特性を選ぶかの違いと整理できます。
「業界最大手」の規模と、回復局面での“割安さ”に賭けるなら → カーニバル (CCL)
多ブランドで間口が広く、需要回復の果実を最も幅広く取り込めます。なお負債は依然大きいため、リファイナンスと金利環境の影響を受けやすい点は留意。業績は力強く、四半期では過去最高益の更新が続きますが、配当再開はまだ先行き不透明です。注5, 注11, 注14, 注15
「経営の質と収益性」を重視し、再配当も欲しいなら → ロイヤル・カリビアン (RCL)
超大型船とPerfect Day at CocoCay等の差別化資産が高利益体質を後押し。2024年の営業利益率は20%超、2025年も高成長ガイダンス。配当を再開し増配基調で、株主還元の再立ち上げを重視する投資家に合います。注2, 注6, 注7, 注8, 注12, 注16
※本ページの分析は2025年10月18日時点の公開情報に基づいています。市況・為替・燃料価格・金利・地政学等により業績・株価・配当は変動します。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
- CCL 2024通期:売上$25B・純利益$1.9B・営業利益$3.6B。CCL 4Q24リリース/Macrotrends
- RCL 2024通期:売上$16.5B・純利益$2.9B。RCL 4Q24リリース/PR Newswire
- CCL 年次報告(詳細記述)。Annual Report 2024
- CCL 2024の営業利益率($3.57B / $25.02B ≈ 14%)、各種統計サイト。GuruFocus(計算根拠)/Macrotrends
- CCL 総負債:2025年中頃で約$28–29Bレンジ。Yahoo! Finance(Balance Sheet)/CompaniesMarketCap
- RCLのCocoCayの収益性(概算の粗利寄与分析)。Recurve Capital 分析
- RCL 配当再開(2024年10月支払い、再開を発表)。Seatrade Cruise News
- RCL その後の増配(2025年9月に四半期$1.00)。Yahoo! Finance
- RCL 総負債 約$19.7B(2025年6月時点)。CompaniesMarketCap
- RCL バランスシート(レンジ確認)。Yahoo! Finance
- CCL 2025年:Q2/Q3で記録的実績・上方修正。WSJ/Seatrade Cruise/Investing.com
- RCL 営業利益率の水準(2024年・TTMで20%超の指標)。Macrotrends/AlphaQuery
- RCL 2024年通期の公式リリースPDF(詳細)。RCL IR(2025/1/28)
- CCL 2025年 Q3の記録的利益(指標値)。Shippax
- CCL 2025年 Q1リリース(ガイダンス引き上げなど)。Investopedia/Reuters
- RCL 2025年ガイダンス上方修正(調整後EPS $14.55–$15.55)。Reuters/RCL Press Center

