DOWとDDを比較:ダウインクとデュポンの違いとは
素材,銘柄比較
DOWとDDを比較します。
ダウインク(Dow Inc.)とデュポン・ド・ヌムール(DuPont de Nemours, Inc.)は化学メーカーの代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(VAW:Vanguard Materials Index Fund ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算(予想:結果)
【化学大手対決】ダウ(DOW) vs デュポン(DD)!高配当の素材科学か、成長の特殊化学か?
世界経済の基盤を支える化学セクターの巨人、ダウ(DOW)とデュポン(DD)。両社はかつて「ダウ・デュポン」として統合していましたが、2019年に事業別に分割され、それぞれが異なる強みを持つ企業として再出発しました。
本記事では、景気敏感な「素材化学」のダウと、より専門性の高い「特殊化学」のデュポンについて、業績、配当、そして将来性を比較します。
最重要ポイント:2019年の「ダウ・デュポン」分割と、2025〜2026年の現在地
- ダウ (DOW) → 素材科学
ポリエチレン、ポリウレタン、シリコーン、コーティング材料などの基礎素材を大規模に生産します。原料・エネルギー価格、世界景気、化学品市況の影響を強く受けるシクリカル銘柄です。2026年Q1は売上$9.794B、GAAP純損失$445M、営業EPS-$0.14でした。[1]
- デュポン (DD) → 特殊製品
2025年11月に電子材料事業Qnity Electronicsをスピンオフし、2026年4月にはアラミド繊維事業の売却も完了しました。現在のデュポンは、Healthcare & Water TechnologiesとDiversified Industrialsを中心とする、より小さく、特殊化学寄りの企業になっています。[2][3]
- コルテバ (CTVA) → 農業
種子・農薬の専業として独立しています。本記事の比較対象外です。
2026年時点では、ダウは素材化学市況の低迷と配当減額後の立て直し、デュポンはQnity分離後の新体制での成長力と利益率が投資判断の焦点です。
比較サマリー:景気循環のDOW、特殊技術のDD
| 項目 |
ダウ (DOW) |
デュポン (DD) |
| 事業内容 |
素材化学(プラスチック、化学品、コーティング、シリコーン等)。 |
特殊化学(Healthcare & Water Technologies、Diversified Industrials)。Qnity分離後は電子材料を除いた継続事業ベース。 |
| 業績の特性 |
市況・景気・原燃料価格に強連動。化学品の供給過剰や価格下落の影響を受けやすい。 |
景気連動はあるが、相対的に高付加価値・高マージン。水処理、医療包装、航空宇宙、自動車などに分散。 |
| 直近決算 |
2026年Q1:売上$9.794B、営業EBITDA$873M、GAAP EPS-$0.74。[1] |
2026年Q1:売上$1.681B、営業EBITDA$414M、調整後EPS$0.55。[4] |
| 配当(直近) |
$0.35/四半期 年換算$1.40[5] |
$0.20/四半期 年換算$0.80[6] |
配当利回り (概算) |
約3.8% 年$1.40 ÷ 株価$36.87 2026年5月8日23:55 UTC時点[7] |
約1.6% 年$0.80 ÷ 株価$49.76 2026年5月8日23:15 UTC時点[7] |
| PERの見方 |
GAAP EPSが赤字のため、通常PERは参考にしにくい。 |
Qnity分離・売却後の再編影響が大きく、通常PERより調整後EPSとFCFを確認したい。 |
業績と成長性の詳細分析
両社とも世界景気の影響を受けますが、事業の性格はかなり違います。ダウは2025年に売上$40.0Bまで落ち込み、GAAP純損失$2.4Bとなりました。2026年Q1も価格下落と数量減の影響が残り、売上は前年比-6%でした。[1][8]
一方、デュポンはQnity分離後の継続事業ベースで、2025年通期売上$6.8B、営業EBITDA$1.63B、調整後EPS$1.68でした。2026年Q1は売上$1.681B、営業EBITDA$414M、営業EBITDAマージン24.6%と、利益率の高さが目立ちます。[4][9]
| 年・期間 |
ダウ 売上高(前年比) |
デュポン 売上高(前年比) |
| 2026 Q1 |
$9.794B (-6%)[1] |
$1.681B (+4%)[4] |
2026 会社見通し |
通期の定量ガイダンスは限定的。コスト削減と市況回復が焦点。 |
$7.155B〜$7.215B(継続事業ベース)[4] |
| 2025 |
$40.0B (-約10%)[8] |
$6.8B (+2%)[9] |
| 2024 |
$43.0B台後半〜$44B台(旧基準の通期データ)[10] |
$12.39B(Qnity分離前の旧基準)[11] |
| 2023 |
$44.9B付近 (-約21%)[10] |
$12.07B(Qnity分離前の旧基準)[11] |
| 2022 |
$56.9B付近[10] |
$13.02B(Qnity分離前の旧基準)[11] |
※B=10億ドル。DOWは素材化学市況の影響を強く受けます。DDは2025年11月にQnity Electronicsを分離したため、2025年以降は継続事業ベース、2024年以前は旧ポートフォリオを含む数値が混在します。単純比較には注意が必要です。
配当の詳細比較:DOWは減配後の高利回り、DDはスピン後の小型化に合わせた水準
旧記事ではDOWを「$0.70/四半期」、DDを「$0.41/四半期」としていましたが、どちらも2026年時点では修正が必要です。DOWは2025年に四半期配当を$0.35へ半減し、DDはQnity分離後の新体制で四半期配当を$0.20としています。[5][6]
| 年 |
DOW 年間配当(増配率) |
DD 年間配当(増配率) |
| 2026(年率) |
$1.40 ($0.35×4)[5] |
$0.80 ($0.20×4)[6] |
| 2025 |
$2.10 ($0.70×2+$0.35×2) |
$1.64 ($0.41×4) |
| 2024 |
$2.80 (0.0%) |
$1.52 (+5.6%) |
| 2023 |
$2.80 (0.0%) |
$1.44 (+9.1%) |
| 2022 |
$2.80 (0.0%) |
$1.32 (0.0%) |
ポートフォリオ再編と今後の見方
DOWは、2025年から2026年にかけて素材化学市況の厳しさが続いています。2026年Q1は、包装・特殊プラスチック、工業中間体、インフラ関連で価格下落が目立ちました。一方で、コスト削減プログラムや設備稼働の最適化、NOVA Chemicals関連の入金などにより、営業キャッシュフローは改善しています。[1]
DDは、電子事業Qnityを分離し、アラミド事業も売却したことで、旧来の「総合特殊化学」から、より絞り込まれたポートフォリオへ移行しました。2026年Q1にはアラミド事業売却を完了し、$275Mの追加的な自社株買いも発表しています。水処理・医療・産業技術の利益率を維持しながら、M&Aや株主還元に資本を振り向ける段階に入っています。[4]
結論:あなたに合うのはどちら?
「高めの利回り」と「素材市況の底入れ」に賭けるなら → ダウ (DOW)
DOWはシクリカル性が高く、化学品価格や原燃料価格、世界景気の影響を強く受けます。2026年時点では業績が厳しく、GAAP赤字も残りますが、配当利回りは約3.8%とDDより高めです。素材化学市況の底入れとコスト削減が進めば、利益回復と株価反発の余地があります。[1][7]
「相対的な安定」と「特殊化学の利益率」を重視するなら → デュポン (DD)
DDはQnity分離後に売上規模が小さくなりましたが、2026年Q1の営業EBITDAマージンは24.6%と高く、継続事業の質は改善しています。2026年通期見通しも引き上げられており、売上$7.155B〜$7.215B、調整後EPS$2.35〜$2.40が見込まれています。配当利回りは低めですが、特殊化学の利益率と自社株買いを重視する投資家向けです。[4]
最終的な整理:景気敏感な素材化学の反転と配当利回りを狙うならDOW、ポートフォリオ再編後の高マージン特殊化学と安定成長を狙うならDDです。ただし、DOWは減配後も業績回復の確認が必要で、DDはQnity分離後の比較可能性と新体制での成長力を慎重に見る必要があります。
※本ページの分析は2026年5月9日(日本時間)時点の公開情報に基づいています。投資判断はご自身の責任でお願いします。
ミニ解説:DOWは「素材化学の市況回復」を買う銘柄、DDは「再編後の高マージン特殊化学」を買う銘柄です。2026年時点では、DOWは配当利回りが高い一方で業績赤字と減配後の回復確認が必要です。DDは売上規模が小さくなったため過去売上との単純比較は難しいものの、営業EBITDAマージンは高く、自社株買いを含む資本配分が注目点になります。
【注】(出典リンク)
- Dow 2026年Q1決算(売上$9.794B、GAAP純損失$445M、営業EBITDA$873M、営業EPS-$0.14等) → Dow 2026年Q1決算リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- DuPontのQnity Electronics分離完了(2025年11月1日、DD株2株につきQnity 1株を分配) → DuPont:Qnity分離完了(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- DuPontのアラミド事業売却・水事業維持方針(アラミド売却完了、2026年Q1リリース内の記載) → DuPont 2026年Q1決算リリース(一次情報) / Reuters:水事業維持方針(二次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- DuPont 2026年Q1決算・2026年見通し(売上$1.681B、営業EBITDA$414M、調整後EPS$0.55、通期売上$7.155B〜$7.215B、調整後EPS$2.35〜$2.40等) → DuPont 2026年Q1決算リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- Dow 配当(四半期$0.35、2026年3月13日支払、458回連続配当) → Dow 配当リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- DuPont 配当(四半期$0.20、2026年3月16日支払/2026年5月29日支払予定) → DuPont 2026年2月配当リリース(一次情報) / DuPont 2026年4月配当リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- 株価・利回り試算の前提(DOW $36.87、DD $49.76、2026年5月8日23時台UTC時点) → Yahoo Finance:DOW(二次情報) / Yahoo Finance:DD(二次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- Dow 2025通期決算(売上$40.0B、GAAP純損失$2.4B、営業EBIT$0.4B、配当支払い$1.5B等) → Dow 2025年Q4・通期決算リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- DuPont 2025通期決算(継続事業ベース売上$6.8B、営業EBITDA$1.63B、調整後EPS$1.68等) → DuPont 2025年Q4・通期決算リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- Dow 2022〜2024年の売上推移(旧基準の通期データ) → Dow Annual Reports(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
- DuPont 2022〜2024年の売上推移(Qnity分離前の旧ポートフォリオ基準) → DuPont SEC Filings(一次情報) / DuPont 2024通期決算(一次情報) / 確認日:2026-05-09 ↩
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決算(予想:結果)
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
★ダウ・インク(DOW)決算:予想と結果 売上&EPS
★デュポン(DD)決算:予想と結果 売上&EPS
【化学大手対決】ダウ(DOW) vs デュポン(DD)!高配当の素材科学か、成長の特殊化学か?
世界経済の基盤を支える化学セクターの巨人、ダウ(DOW)とデュポン(DD)。両社はかつて「ダウ・デュポン」として統合していましたが、2019年に事業別に分割され、それぞれが異なる強みを持つ企業として再出発しました。
本記事では、景気敏感な「素材化学」のダウと、より専門性の高い「特殊化学」のデュポンについて、業績、配当、そして将来性を徹底比較します。
最重要ポイント:2019年の「ダウ・デュポン」分割と現在地
- ダウ (DOW) → 素材科学
ポリエチレンやシリコーン等の基礎素材を大規模に生産。原料・エネルギー価格と世界景気の影響を強く受けるシクリカル銘柄。
- デュポン (DD) → 特殊製品
電子材料、水処理膜、接着・保護材など高付加価値の特殊化学に集中。2024年に電子(Electronics)と水(Water)事業の分離計画を発表、電子事業は2025年11月1日のスピンオフ完了を目標に進行中。水事業は維持方針に転換。(出典:デュポンIR)
- コルテバ (CTVA) → 農業
種子・農薬の専業として独立(本記事の比較対象外)。
さらに2025年8月、デュポンはアラミド繊維(Kevlar/Nomex)事業の売却を発表(完了見込み:2026年1Q)。ポートフォリオの選択と集中を継続しています。
比較サマリー:景気循環のDOW、特殊技術のDD
| 項目 |
ダウ (DOW) |
デュポン (DD) |
| 事業内容 |
素材化学(プラスチック、化学品、コーティング等) |
特殊化学(電子材料、水処理、保護材、接着剤等) |
| 業績の特性 |
市況・景気・原燃料価格に強連動(シクリカル) |
景気連動しつつも相対的に安定 |
| 配当(直近方針) |
$0.70/四半期を維持(通年$2.80目安) |
$0.41/四半期(2025年に8%増配) |
| 配当利回り(目安) |
約5~7%(株価次第) |
約1.8~2.2%(株価次第) |
| PER(参考レンジ) |
約15~22倍 |
約20~28倍 |
業績と成長性の詳細分析
両社とも世界景気の影響を受けますが、ダウは2023年に大きく減収→2024年に下げ止まり、デュポンは2024年に回復基調というのが直近のトレンドです。
| 年 |
ダウ 売上高(前年比) |
デュポン 売上高(前年比) |
| 2024 |
約$44.6 B (横ばい~微減) |
$12.39 B (+2.6%) |
| 2023 |
$44.9 B 付近 (-約21%) |
$12.07 B (-7.3%) |
| 2022 |
$56.9 B 付近 (+小幅) |
$13.02 B (+3.6%) |
| 2021 |
$55.0 B 付近 (+大幅) |
$12.57 B (-12.4%) |
| 2020 |
$38~43 B(概数) |
$14.34 B |
※B=10億ドル。ダウは2024年年次報告・通期リリース、デュポンは2024年通期IRに基づき更新。細かな差は会計区分・為替等の影響による概数差です。
配当の詳細比較:高利回りのDOW、着実増配のDD
ダウは$0.70/四半期を継続しており、景気ボトムでは利回りが高く出やすい特性。一方デュポンは2025年に$0.41/四半期へ増配(+8%)と、安定的な増配ピッチを維持しています。
| 年 |
DOW 年間配当(増配率) |
DD 年間配当(増配率) |
| 2024 |
$2.80 (0.0%) |
$1.52 (+5.6%) |
| 2023 |
$2.80 (0.0%) |
$1.44 (+9.1%) |
| 2022 |
$2.80 (0.0%) |
$1.32 (0.0%) |
| 2021 |
$2.80 (0.0%) |
$1.32 (+10.0%) |
| 2020 |
$2.80 |
$1.20 |
関連記事:
★ダウ・インク(DOW)の配当推移
★デュポン(DD)の配当推移
結論:あなたに合うのはどちら?
「高い配当利回り」と「景気回復レバレッジ」に賭けるなら → ダウ (DOW)
シクリカル性は高いものの、底入れ局面で仕込めば配当+キャピタルの両取りが狙えます。長期では脱炭素案件やポートフォリオ再編の進捗も注視。
「相対的な安定」と「着実な増配」を重視するなら → デュポン (DD)
特殊化学は構造的に利益率が高く、分離・売却で選択と集中が進行中。電子事業の独立後(予定)も、残存事業の収益質改善に期待が持てます。
※本ページの分析は2025年8月29日(日本時間)時点の公開情報に基づいています。投資判断はご自身の責任でお願いします。