DOWとDDを比較:ダウインクとデュポンの違いとは
DOWとDDを比較します。
ダウインク(Dow Inc.)とデュポン・ド・ヌムール(DuPont de Nemours, Inc.)は化学メーカーの代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(VAW:Vanguard Materials Index Fund ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算(予想:結果)
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
【化学大手対決】ダウ(DOW) vs デュポン(DD)!高配当の素材科学か、成長の特殊化学か?
世界経済の基盤を支える化学セクターの巨人、ダウ(DOW)とデュポン(DD)。両社はかつて「ダウ・デュポン」という一つの巨大企業でしたが、2019年に事業内容に応じて3つの会社に分割され、それぞれが全く異なる個性を持つ企業として再出発しました。
本記事では、景気敏感な「素材化学」を担うダウと、より専門性の高い「特殊化学」を手掛けるデュポンの、業績、配当、そして将来性を徹底的に比較・分析します。
最重要ポイント:2019年の「ダウ・デュポン3社分割」
両社を理解する上で、この歴史的経緯は欠かせません。2019年、ダウ・デュポンは以下の3社に分割されました。
- ダウ (DOW) → 素材科学事業
プラスチック(ポリエチレン)やシリコーンなど、産業の基礎となる「素材」を大規模に生産する事業を継承。業績は景気やエネルギー価格に大きく左右されるシクリカル(景気循環)銘柄です。 - デュポン (DD) → 特殊製品事業
電子材料、接着剤、水処理膜など、より高機能で専門性の高い「特殊化学製品」の事業を継承。景気の影響は受けるものの、ダウよりは安定性が高いとされています。 - コルテバ (CTVA) → 農業関連事業
種子や農薬などを手掛ける農業専門の会社として独立しました。(※本記事の比較対象外)
比較サマリー:景気循環のDOW、特殊技術のDD
項目 | ダウ (DOW) | デュポン (DD) |
---|---|---|
事業内容 | 素材化学(プラスチック、化学品、コーティング等) | 特殊化学(電子材料、水処理、保護材、接着剤等) |
業績の特性 | 景気や市況に大きく連動(シクリカル性が高い) | 景気に連動しつつも、より安定性が高い |
配当利回り(直近) | 約5.1% | 約1.8% |
PER (株価収益率) | 約20倍 | 約25倍 |
業績と成長性の詳細分析
両社とも景気循環株であるため、業績は世界の経済状況に大きく左右されます。特にダウは、市況の悪化を受けた2024年に大きく売上を落としており、シクリカル性の高さがうかがえます。
年 | ダウ 売上高 (前年比) | デュポン 売上高 (前年比) |
---|---|---|
2024 | $44.62 B (-21.5%) | $12.07 B (-7.4%) |
2023 | $56.90 B (-1.9%) | $13.03 B (+5.4%) |
2022 | $57.98 B (+40.1%) | $12.36 B (+16.7%) |
2021 | $41.38 B (+12.6%) | $10.59 B (+16.0%) |
2020 | $36.75 B | $9.13 B |
※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。
配当の詳細比較:高利回りのDOW、安定成長のDD
配当利回りでは、景気敏感株として株価が抑えられやすいダウがデュポンを圧倒しています。一方、デュポンは安定した事業を背景に着実に増配を続けています。
年 | DOW 年間配当 (増配率) | DD 年間配当 (増配率) |
---|---|---|
2024 | $2.80 (0.0%) | $1.52 (+5.6%) |
2023 | $2.80 (0.0%) | $1.44 (+9.1%) |
2022 | $2.80 (0.0%) | $1.32 (+0.0%) |
2021 | $2.80 (0.0%) | $1.32 (+10.0%) |
2020 | $2.80 | $1.20 |
配当については以下の関連記事を参照
結論:あなたに合うのはどちら?
両社の比較は、景気サイクルをどう読み、どのようなリターンを求めるかによって判断が分かれます。
「高い配当利回り」と「景気回復」にかけるなら → ダウ (DOW)
5%を超える高い配当利回りは、インカム投資家にとって非常に魅力的です。株価は景気に大きく左右されますが、逆に言えば、景気の底で仕込むことができれば、大きな値上がり益と高い配当利回りの両方を享受できる可能性があります。景気循環を読んだ投資を得意とする方向けです。
「より安定した事業」と「着実な増配」を好むなら → デュポン (DD)
特殊化学製品は景気の影響を受けにくい分野も多く、ダウに比べて業績の安定性が期待できます。配当利回りは低いものの、着実な増配が見込めるため、長期的に安心して保有したいと考える投資家に向いています。「化学セクターに投資したいが、過度な景気変動リスクは避けたい」という場合に最適な選択肢です。
※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。