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【EPHE】フィリピンetfの株価とリターン

更新日:

フィリピン市場の主要企業に投資するEPHEのパフォーマンスを調べてみます。

その上で、フィリピンのGDPや失業率などの主要統計を一覧し、その投資環境を把握してみます。

まず、EPHEの株価推移とトータルリターンを見てみましょう。

【EPHE】iシェアーズMSCIフィリピンETFとは

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iシェアーズMSCIフィリピンETFは40以上の銘柄からなるフィリピンインベスタブルマーケット指数に連動する米国籍のETFです。

構成銘柄のうち99%以上はフィリピン銘柄。大型株を中心にした構成銘柄に分散投資しています。

EPHE:株価チャート

まず、EPHEの株価の推移を見てみます。

EPHE:トータルリターン等

次に、ブルームバーグで指標を見てみます(2018/9/19閲覧。配当利回りは税込。R=リターン。TR=トータルリターン)。

  • 株価52週レンジ:28.8 - 40.19
  • 資産総額(億ドル):1.6
  • 直近配当額:0.122
  • 直近配当利回り(税込):0.8%
  • 経費率:0.62%
  • 3ヶ月トータルリターン:-1.71%
  • 年初来リターン:-21.25%
  • 1年トータルリターン:-15.75%
  • 3年平均トータルリターン:-4.33%
  • 5年平均トータルリターン:-1.25%

EPHE:分配金

モーニングスターHPによれば、通年で累計したEPHEの分配金(ドル)は以下の通り。

  • 2017:0.141
  • 2016:0.2296
  • 2015:0.3464
  • 2014:0.369
  • 2013 0.3326

EPHE:ポートフォリオ

ブラックロック社のEPHE紹介記事によれば、組み入れ銘柄の業種比率は以下の通り(8/26閲覧)

  1. 不動産:27.17
  2. 金融:26.43
  3. 資本財・サービス:21.24
  4. 公益事業:6.28
  5. 電気通信:5.99
  6. 一般消費財・サービス:5.71
  7. 生活必需品:4.77
  8. 素材:1.32
  9. エネルギー:0.66
  10. 情報技術:0.23
  11. キャッシュ等:0.19

また、投資信託組入れ上位ベスト10の銘柄の割合(%)は以下の通り(ブルームバーグHP:2018/9/19閲覧)。

  1. SMPH: SMプライム  12.21  不動産
  2. ALI: アヤラ・ランド  9.97  不動産
  3. BDO: バンコ・デ・オロ・ユニバンク  7.33  金融
  4. AC: アヤラ  7.3  金融
  5. SM: SMインベストメンツ  7.2  資本財・サービス
  6. JGS: JGサミット・ホールディングス  4.86  資本財・サービス
  7. URC: ユニバーサルロビナ 4.22  生活必需品
  8. TEL: PLDT 4.02  電気通信
  9. JFC: ジョリビー・フード 3.94  一般消費財・サービス
  10. AEV: アボイティズ・エクイティ・ベンチャーズ 3.06  資本財・サービス

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ドゥテルテ政権の下でフィリピン経済は堅調

フィリピンのドゥテルテ大統領は2016年と17年に訪日し、その後、ASEAN首脳会議の折にはトランプ大統領との会談も行いました。

その結果、オバマ政権の頃に悪化した米比関係は完全に修復されました。

フォーブス(2017/10/12)はトランプ大統領のアジア歴訪の前に「ドゥテルテ大統領の支持率が急落、それでも株価が上がる理由」と題した記事を公開しています。

約3か月続いていると報じられた、「フィリピン株が上がる理由」とは何なのでしょうか。

  • 世界銀行が発表した報告書「世界経済見通し」(2017年6月)はフィリピンの経済成長率は今年、6.5~7.5%の伸びとなると予想(世界10位)。
  • フィリピン経済が大きく依存するアジア太平洋地域への輸出も好調。
  • 2017年4月の輸出額は、前年同月比12.1%増の48億1000万ドル(約5400億円)。国内総生産(GDP)に占める同地域への輸出の割合は約3割。
  • 大統領は安定したマクロ経済環境を維持しており、インフレ率と債務残高対GDP比は低く保たれている。これらが国内需要の健全な成長の維持に役立っている。
  • 投資家らは「地政学的な問題」よりも「フィリピン経済のファンダメンタルズ」に焦点を移している。

「暴言王」という言葉のイメージとは裏腹に、ドゥテルテ氏はかなり堅実な経済政策を実施しているようです。

2018年6月30日には政権発足から2周年を迎え、国内景気は順調、治安面でも麻薬撲滅やテロ対策で一定の成果を収めています。

産経新聞(2018/7/1:7面)はフィリピンのオンラインメディア「ラプラー」がまとめたドゥテルテ政権の評価を紹介していました。

  • 厳格な麻薬対策/犯罪撲滅:〇
  • 軍人・警官の給与増:〇
  • 南シナ海仲裁判決(中国の主権を否定)を断固主張:✖
  • 大学無償化、農村の灌漑を充実、公的施設のネット無料化:〇

同紙によれば2017年3月の世論調査でも、ドゥテルテ政権に「満足」と答えた層は70%に及んだとのことです(ソーシャル・ウェザー・ステーション調べ)。

南シナ海対策は今一つとの評もありますが、17年以降、トランプ政権と米比関係を改善し、中国に対峙する姿勢も打ち出してきています。

フィリピンのGDPや失業率など(主要指標)

さらに、投資環境を把握するために、世界銀行のデータバンクからフィリピンの主要統計を閲覧してみます。

実質GDPと失業率

実質GDPは2010年米ドル基準 。失業率はILO方式。

実質成長率 総額(億$) 一人当たり($) 失業率
2005 4.8 1569 1818 3.8
2006 5.2 1651 1880 4.1
2007 6.6 1760 1971 3.4
2008 4.2 1833 2020 3.7
2009 1.1 1854 2011 3.9
2010 7.6 1996 2129 3.6
2011 3.7 2069 2171 3.6
2012 6.7 2207 2279 3.5
2013 7.1 2363 2400 3.5
2014 6.1 2508 2506 3.6
2015 6.1 2661 2616 3.0
2016 6.9 2843 2752 2.7
2017 6.7 3034 2891 2.8

GDPはここ12年間で2倍近くになりました。

名目GDPと名目GNI

名目GDP 名目GNI
総額(億$) 一人当たり($) 総額(億$) 一人当たり($)
2005 1031 1195 1234 1430
2006 1222 1392 1356 1540
2007 1494 1673 1579 1770
2008 1742 1919 1873 2060
2009 1683 1825 2085 2260
2010 1996 2129 2316 2470
2011 2241 2353 2492 2620
2012 2501 2582 2883 2980
2013 2718 2760 3255 3300
2014 2846 2843 3472 3470
2015 2928 2878 3579 3520
2016 3049 2951 3699 3580
2017 3136 2989 3835 3660

人口伸び率など

総人口(万人) 人口増加率 出生率 平均寿命
2005 8627 1.87 3.50 67.8
2006 8781 1.76 3.43 67.9
2007 8929 1.68 3.35 68.0
2008 9075 1.62 3.28 68.1
2009 9222 1.61 3.21 68.2
2010 9373 1.62 3.16 68.3
2011 9528 1.64 3.11 68.4
2012 9687 1.65 3.07 68.6
2013 9848 1.65 3.03 68.7
2014 10010 1.63 2.99 68.8
2015 10172 1.60 2.96 69.0
2016 10332 1.56 2.93 69.1
2017 10492 1.53

フィリピン政治の概況

次に、政治面のデータを整理してみます。

まずは、外務省HP(フィリピン基礎データ)で、主要情報を概観してみます。

【基礎情報】

  • 面積:299,404平方キロメートル(日本の約8割)。島の数は7109。
  • 人口:約1億98万人(2015年)
  • 首都:マニラ(首都圏人口約1288万人/2015年)
  • 民族:マレー系が主体(中国系、スペイン系、混血、少数民族等)
  • 言語:国語はフィリピノ語,公用語はフィリピノ語と英語。
  • 宗教:ASEAN唯一のキリスト教国(83%がカトリック,その他のキリスト教が10%)
  • 平均寿命:男性65歳,女性71.9歳(フィリピン国家統計局)
  • 識字率:96.6%(世界銀行 2015年)
  • 議会:二院制(上院24議席/下院297議席)
  • 外交基本政策:二国間と地域的枠組みへの参加(安保協力推進)/外資導入や雇用創出/海外出稼ぎ労働者の保護
  • 軍事費:3300億円(2016年)
  • 兵役:志願兵制で正規軍22万人(予備役43万人)

諸々の要素はありますが、このうち、フィリピンに特に大事なのは、米国との外交関係です。

ドゥテルテ氏はオバマ政権に向けて「米軍は出ていけ」と吠えていましたが、その後、トランプ大統領とは相性がよいのか、この種の発言はあまりしなくなりました。

ドゥテルテ氏に対して、安倍首相は米国との関係を再構築することを薦めたようです。

産経ニュースでは1月のドゥテルテ・安倍会談での会話が紹介されています(2017.10.30〔暴言王・ドゥテルテ大統領再び ASEAN会議直前の来日 安倍首相がトランプ米大統領と橋渡し 北包囲網促せるか?〕)

1月のドゥテルテ・安倍会談では、安倍首相はドゥテルテ氏の米国批判に対して「私の祖父(岸信介元首相)もGHQ(連合国軍総司令部)に戦犯として3年間拘置された。だが、日米安保条約を改定し、現在の日米同盟の基礎を築いたのも私の祖父だ。私怨ではなく国益を考えたからだ」と述べました。

ドゥテルテ氏はこの言葉に感銘を受けたと報じられています。

2017年以降の米比関係は、トランプ大統領の出現に伴い、米比首脳が暴言キャラ同士で親睦を深め、米比関係が改善に向かいました。

人権、人権と学校の教師のようにお説教を垂れたオバマ大統領と「そんなことを言っていたら麻薬対策なんてできない」というドゥテルテ大統領が合わないことは誰でもわかります。

トランプ米大統領とドゥテルテ比大統領の間で電話会談が4月29日に行われており、その会談は非常に友好的に進んだようです。

日本の報道では、北朝鮮の核・ミサイル開発や南シナ海への中国の海洋進出、フィリピン国内の麻薬犯罪対策などが話題に上ったことが報じられています。

電話会談の前に、ドゥテルテ氏は北朝鮮問題に関してASEAN(東南アジア諸国連合)諸国が深く懸念していると述べ、アメリカと北朝鮮の双方に自制することを要望していました。

トランプ氏はオバマ氏と違い、人権よりも治安重視なので、政策的にはドゥテルテ氏と衝突する要素は少なくなります。ただ、今後、米比関係を改善するためには、米国は対米追随を嫌うフィリピン人の国民感情への配慮が必要になるでしょう。

フィリピン人から見たドゥテルテの姿

日本人から見るとドゥテルテ氏は分かりにくく、国連からも悪評サクサクですが、その支持率は2017年6月時点で7割近い支持率を誇っていました。

フィリピンの現地の事情を知っている方に筆者が聞いたところ、今までの大統領は外ヅラはよいが自国経済と治安対策が不十分だったが、ドゥテルテ氏は経済と治安の両面から国民の生活改善にしっかり取り組んでいるのだそうです。今までの欧米帰りの「上から目線」のインテリ大統領とは違った庶民性があるのがドゥテルテ氏の特色です。

(前大統領のアキノ氏は中国の横暴にも屈しない立派な大統領でしたが、経歴的には典型的な欧米帰りのエリート)

このあたりの経緯がマニラタイムスの記事で報じられていました。

(出所:At last, with Duterte, we’re no longer the US lackey in Asia - The Manila Times Online 2017/5/1

  • ASEAN首脳会議でフィリピンは外交的に見て、歴史的な重大メッセージを送った。
  • 我々はもはやアメリカの召使ではない。アセアンの代理人でもない。世界の中のこの地域においてーー。ASEANはアメリカが共産主義者が支配する中国に対抗するためにNATOの同等品としてつくったものだ。
  • 恐らく、これは大統領の経歴のほとんどがその前任者とは違うという事実によるものだ。
  • コリー・アキノとは違って、彼は権力の座に上るまで、アメリカに政治的、軍事的な借りをつくらなかった(略)。
  • コリーのクローンだったフィデル・ラモスとも違う。彼はアメリカの軍事学校で洗脳されていない。
  • ベニグノ・アキノ3世は、外交政策に関する全ての考え方を放棄した。それを、この国の歴史の中で最もアメリカナイズされ、最も親米的な外務長官に譲り渡したのだ。インドネシア人のアンソニー・サリムは長い間、ロザリオ外務長官の”取締役”だった。
  •  これに対して、驚くべきことに、ドゥテルテは政治人生の大部分をフロンティア・シティのダバオで過ごした。彼は自分で外交政策をつくりあげた。それは米国は我々の主人ではないという現実的な世界観に基づいている。しかし、驚くべきことに、彼の最初の外務大臣は米国市民だった(※筆者注:ヤサイ外相は米国市民を持っていたが、持っていないと述べ、虚偽説明で辞任している)。それが彼の外交チームだ。
  • 残念なことに、我々の外交政策を担当する高官のほとんどは親米だ。
  • 激しい国家主義者だったブラス・オプレを除いて、我々の外交政策は建国以来、米国の言いなりだったという批判を免れる者がいるだろうか?
  • ドゥテルテだけがアメリカをあざ笑い、”北アメリカ帝国”のライバルである中国に向けた外交政策の大転換を世界に宣告できる。
  • ドゥテルテはプーチンが導くロシアに接近した。
  • 1970年代半ば以来、フィリピン大統領がロシアのことを考えたことはない。マルコス政権は米国の敵と接近して見せることで米国帝国主義の鷹の詰めから国を取り戻そうと試みた。

要するに、長年、フィリピン外交が米国の言いなりだったことへの反感が渦巻いていたわけです。

フィリピンが親米だったことは日本にとって悪い話ではないのですが、支配階層が米国の顔ばかりを見て、国民のほうに振り向かなかったため、フィリピンのダバオ市から台頭した「自国第一」の大統領に人気が集まったとも言えます。

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ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の経歴

こうした経緯を踏まえて、ドゥテルテ氏の経歴を確認してみます。

ドゥテルテ氏は1945年にレイテ島で法律家の父と学校の先生の母の間に生まれました。

大学卒業後、10年ほど検察官を務め、政界に進出。

母方の祖父は中国系で、中国語も聞き取れるそうです。学生時代の逸話としては、ケンカばかりしていたとか、神父に青いインクを浴びせて退学させられた等の逸話が残っています。

ただ、その後、検察官になっているので、勉強は得意だったようです。

強盗被害の経験から犯罪組織撲滅を誓って検事になったという一面もあります。

大学時代にはフィリピン共産党の創設者から学んでいるので、このあたりが反米的な一面につながったとも見られています。

  • 88~98年:ダバオ市長(43~53歳)
  • 98~01年:下院議員(53~56歳)
  • 01~10年:ダバオ市長(56~65歳)
  • 10~13年:ダバオ市副市長(65~68歳)
  • 13~16年:ダバオ市長(68~71歳)
  • 16年6月30日以降:フィリピン大統領

副大統領はレニー・ロブレド氏で、所属政党は「フィリピン民主党・国民の力」です。

ダバオ市長から下院議員になったり副市長になったりしているのは、フィリピン憲法が同一人物が延々と同じ役職で選ばれ続けることを禁止しているためです。

タバオ市はフィリピンのタバオ湾に面した都市で、ダバオ地方の中核都市です。タバオ市の広さは2400平方キロメートルなので、小さな都市国家のようなものです。

ドゥテルテ市長の時代は非常に景気がよく、治安もよくなりました。

ただ、ドゥテルテ氏は「自警団」が麻薬犯などを法を無視して私刑で殺すことを黙認したと人権団体から批判されています。

しかし、大統領選以降、フィリピン人の支持を勝ち取っているので、麻薬・犯罪対策に関しては国民の側に強い要望があったのは事実です。この措置の是非は大きな争点ですが、この新大統領がフィリピン人から支持されてきたのは、その「暴言」が民衆の本音を代弁しているからなのでしょう。

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