EWC·EWW:カナダとメキシコETFの比較

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iShares公式資料により、EWC・EWWの2026年10月8日の基準価額(NAV)・純資産総額(AUM)、10月7日の保有銘柄・セクター構成・評価指標、8月31日の利回り・リスク指標を更新しました。USMCAについても、2026年10月5日の米国連邦官報に掲載された2027年年次見直しの意見募集を反映しています。[1][2][3]

カナダとメキシコの最新ETFデータを比較し、情報を整理しました。米国経済と密接に関係する両国ですが、カナダは金融・資源、メキシコは素材・生活必需品・製造業を中心とし、ポートフォリオの性格は大きく異なります。

【2026年10月9日更新】

本記事では、運用会社の2026年10月8日までの開示を用い、国別ETFの運用規模、分配利回り、評価倍率、保有銘柄、主要セクターと通商リスクを比較します。各データの基準日が異なる点にも注意してください。

*注意:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。数値は変動するため、最終的な判断の前に各運用会社の一次情報をご確認ください。

【国別ETF】カナダ(EWC)・メキシコ(EWW)―米国の隣国への投資を考える

米国株を主軸とする投資家にとって、地理的・経済的な結びつきが強いカナダとメキシコは、北米域内で投資対象を広げる選択肢となります。

一方、米国株と異なる国へ投資しても、両国の輸出や企業業績は米国経済と通商政策から強い影響を受けます。先進資源国であるカナダと、米国向け製造拠点として存在感を高めるメキシコでは、期待できる収益源とリスクが異なります。

ここでは、iSharesの代表的な国別ETF「EWC」と「EWW」の最新状況を比較します。

【EWC】iShares MSCI Canada ETF

EWCはカナダの大型株・中型株を中心に投資する国別ETFです。2026年10月7日時点のセクター構成は金融39.08%、エネルギー17.10%、素材15.35%で、3セクターの合計は71.53%です。7月時点と比べ金融比率は低下しましたが、金融と資源の影響がなお大きいポートフォリオです。[2]

銀行などの金融株、原油・天然ガス関連株、金鉱山を含む素材株がポートフォリオの中心であり、カナダ国内の金利だけでなく、世界の商品価格や米国景気の影響を受けやすいETFです。

カナダ(EWC)投資の魅力とリスク(2026年版)

投資の魅力
  • 先進国市場としての安定性:カナダはG7構成国であり、新興国と比べて市場制度、法制度、企業情報の開示環境が整っています。
  • 金融・資源企業へのアクセス:大手銀行、パイプライン、石油・天然ガス、金鉱山など、米国の主要株価指数とは異なる業種配分を得られます。
  • 高い売買流動性:2026年10月7日時点の30日平均出来高は約177.8万口、中央値売買スプレッドは0.02%でした。[2]
  • 株式市場全体への感応度:2026年8月31日時点の3年株式ベータは0.74です。ベータは価格変動の一側面にすぎず、将来の下落率や米国株との相関が必ず低いことを意味しません。[2]
注意すべきリスク
  • セクター偏重:2026年10月7日時点で金融39.08%と高く、銀行の貸出収益、信用コスト、住宅市場が影響します。[2]
  • 商品価格リスク:2026年10月7日時点でエネルギーと素材は合計32.45%です。原油・天然ガス・金・銅の市況が企業収益とETFに影響します。[2]
  • 通商政策:米国は2026年7月1日のUSMCA共同見直しで協定の延長に同意せず、2026年10月5日には翌2027年の年次見直しに向けて意見募集を開始しました。USMCAは現在も有効ですが、規則変更や再交渉の長期化は企業の投資判断に影響します。[1]
  • カナダドルの変動:カナダドル安・米ドル高は、現地株の上昇分を米ドル建てリターンで相殺する可能性があります。

EWCの基本情報とポートフォリオ

項目 詳細(主に2026年7月時点)
正式名称 iShares MSCI Canada ETF
連動指数 MSCI Canada Custom Capped Index(Net)。[2]
NAV(基準価額) 58.32ドル(2026-10-08)。[2]
年初来NAVリターン +8.04%(2026-10-07)。分配金再投資を考慮したNAVトータルリターン。[2]
経費率 0.50%(2026-10-09確認時点)。[2]
純資産総額(AUM) 約70.34億ドル(7,033,714,241ドル、2026-10-08)。[2]
保有銘柄数 81銘柄(2026-10-07)。[2]
12カ月実績利回り 1.22%(2026-08-31)。[2]
30日SEC利回り 1.23%(2026-08-31)。[2]
分配頻度 年2回(2026-10-09確認時点)。[2]
上位構成銘柄 Royal Bank of Canada、Shopify、Toronto-Dominion Bank、Bank of Montreal、Enbridgeなど(2026年10月上旬の保有銘柄情報)。[4]
セクター構成 金融39.08%、エネルギー17.10%、素材15.35%、情報技術10.13%、資本財・サービス8.74%など(2026-10-07)。[2]
実績PER/PBR 実績PER21.42倍、PBR2.89倍(2026-10-07)。[2]
3年標準偏差 13.42%(2026-08-31)。[2]
30日平均出来高 約177.8万口(2026-10-07)。[2]
30日中央値売買スプレッド 0.02%(2026-10-07)。[2]
3年株式ベータ 0.74(2026-08-31)。[2]

EWCの純資産総額は2026年7月16日時点の約60.69億ドルから、同年10月8日時点には約70.34億ドルへ増加しました。一方、12カ月実績利回りは6月末の1.30%から8月末の1.22%、30日SEC利回りは1.31%から1.23%へ低下しました。期間が異なる数値であり、AUMの変化は資金流出入のみを示すわけではありません。[2]

純資産総額の増加は、資金流入だけでなく株価上昇や為替変動によっても生じます。また、過去の分配金を基にする12カ月実績利回りは、株価の上昇によって低下する場合があります。


【EWW】iShares MSCI Mexico ETF

EWWは、メキシコの大型株、中型株、小型株へ投資する国別ETFです。製造業のニアショアリングという成長テーマを持つ一方、実際のポートフォリオは素材、生活必需品、金融、通信の比率が高く、「製造業ETF」とは異なります。[3]

2026年10月7日時点のセクター構成は素材27.52%、生活必需品24.77%、金融17.84%、資本財・サービス11.15%、通信8.94%です。素材と生活必需品の合計は52.29%で、特定セクターへの偏りが目立ちます。[3]

メキシコ(EWW)投資の魅力とリスク(2026年版)

投資の魅力
  • ニアショアリングの進展:米国市場に近い立地、USMCAによる域内貿易、生産コストなどを背景に、製造業の設備投資先となる可能性があります。
  • 資源・消費・金融への分散:素材、生活必需品、金融、通信、資本財・サービスなど、複数の産業へ投資できます。
  • EWCより高い分配利回り:2026年8月31日時点の12カ月実績利回りはEWWが3.21%、EWCが1.22%、30日SEC利回りはEWWが2.58%、EWCが1.23%でした。[2][3]
  • 相対的に低い評価倍率:2026年10月7日時点の実績PERはEWWが13.52倍、EWCが21.42倍です。ただし、国ごとに業種と利益変動リスクが違うため、PERだけで割安・割高は判断できません。[2][3]
注意すべきリスク
  • 政治・制度リスク:政策変更、治安、司法制度、政府と民間企業の関係などが市場評価へ影響する可能性があります。
  • 通貨変動:メキシコペソは米国との金利差、原油価格、投資家のリスク選好、通商政策によって大きく変動する場合があります。
  • 対米通商リスク:2026年7月のUSMCA共同見直しで延長は合意されず、2027年の年次見直しへ向けて米国の意見募集が始まりました。原産地規則や関税などの不確実性はニアショアリングに伴う投資を遅らせる可能性があります。[1]
  • 銘柄・セクター集中:運用会社公表の2026年10月7日の保有銘柄数は39銘柄です。素材・生活必需品比率は52.29%に達し、主要企業の業績への感応度が高い構造です。[3]
  • EWCより大きい価格変動:2026年8月31日時点の3年標準偏差はEWWが19.97%、EWCが13.42%でした。過去の変動率であり、今後の価格変動幅は保証されません。[2][3]

EWWの基本情報とポートフォリオ

項目 詳細(主に2026年7月時点)
正式名称 iShares MSCI Mexico ETF
連動指数 MSCI Mexico IMI 25/50 Index(Net)。[3]
NAV(基準価額) 71.56ドル(2026-10-08)。[3]
年初来NAVリターン +5.50%(2026-10-07)。分配金再投資を考慮したNAVトータルリターン。[3]
経費率 0.50%(2026-10-09確認時点)。[3]
純資産総額(AUM) 約14.10億ドル(1,409,774,572ドル、2026-10-08)。[3]
保有銘柄数 39銘柄(2026-10-07、運用会社公表値)。[3]
12カ月実績利回り 3.21%(2026-08-31)。[3]
30日SEC利回り 2.58%(2026-08-31)。[3]
分配頻度 年2回(2026-10-09確認時点)。[3]
上位構成銘柄 Grupo México、Grupo Financiero Banorte、FEMSA、América Móvil、Walmart de Méxicoなど(2026年10月上旬)。[5]
セクター構成 素材27.52%、生活必需品24.77%、金融17.84%、資本財・サービス11.15%、通信8.94%、不動産7.95%など(2026-10-07)。[3]
30日平均出来高 約114.3万口(2026-10-08)。[3]
30日中央値売買スプレッド 0.04%(2026-10-08)。[3]
実績PER/PBR 実績PER13.52倍、PBR2.08倍(2026-10-07)。[3]
3年標準偏差 19.97%(2026-08-31)。[3]
3年株式ベータ 0.56(2026-08-31)。[3]

EWWの純資産総額は2026年7月16日時点の約18.80億ドルから、10月8日時点では約14.10億ドルへ減少しました。株価の変動だけでなく、ETF発行済み口数の変化も純資産総額に影響します。[3]

2026年8月31日時点の12カ月実績利回りは3.21%、30日SEC利回りは2.58%と、同月末のEWC(それぞれ1.22%、1.23%)を上回りました。ただし、利回りの差は国ごとの配当慣行や株価水準の影響も受けます。[2][3]

EWCとEWWの比較

比較項目 EWC
カナダ
EWW
メキシコ
実績PER(10/7) 21.42倍 13.52倍
NAV(10/8) 58.32ドル 71.56ドル
市場区分 先進国 新興国
主な投資対象 大型・中型株 大型・中型・小型株
経費率 0.50% 0.50%
純資産総額 約70.34億ドル 約14.10億ドル
保有銘柄数 81銘柄 39銘柄
12カ月実績利回り 1.22% 3.21%
30日SEC利回り 1.23% 2.58%
年初来NAVリターン +8.04% +5.50%
3年標準偏差 13.42% 19.97%
3年株式ベータ 0.74 0.56
主要セクター 金融、エネルギー、素材 素材、生活必需品、金融
主なリスク 金融・資源・住宅市場への偏り 通商・通貨・政治・銘柄集中

※NAVとAUMは2026年10月8日、保有銘柄数・PER・セクター構成・年初来NAVリターンは10月7日、利回り・標準偏差・ベータは8月31日の運用会社公表値です。年初来NAVリターンは分配金再投資を含みます。[2][3]

まとめ:2026年の戦略的な使い分け

  • EWC(カナダ):2026年10月7日時点で金融39.08%、エネルギー17.10%、素材15.35%を占める先進国株ETF。相対的に変動率は低いものの金融・資源偏重に注意します。[2]
  • EWW(メキシコ):素材27.52%、生活必需品24.77%などの企業群に投資する新興国株ETF。相対的に分配利回りが高い一方、為替・通商・政治リスクと銘柄集中に注意します。[3]

両ETFは米国経済との結びつきが強いため、米国株と組み合わせても景気循環上の完全な分散にはなりません。ただし、EWCでは金融・資源、EWWでは素材・消費・通信への比率を高められるため、米国大型グロース株へ偏ったポートフォリオを補完する役割は期待できます。

一律にポートフォリオの5~10%を配分するのではなく、既存の世界株ETFに含まれるカナダ・メキシコ比率、為替リスク、許容できる価格変動を確認した上で投資比率を決めることが重要です。

USMCAの2026年7月1日の共同見直しでは、米国が現行内容の16年延長に同意しませんでした。協定は2026年10月9日現在も有効ですが、2026年10月5日に2027年の年次見直しに向けた意見募集が公示され、提出期限は2027年1月12日です。関税・原産地規則・経済安全保障をめぐる協議の長期化はカナダ・メキシコ両国への投資リスクとなります。[1]

ミニ解説:EWWの利回りが高くても、EWCより安全とは限らない2026年8月31日時点の12カ月実績利回りはEWWが3.21%、EWCが1.22%でした。一方、同日時点の3年標準偏差はEWWが19.97%、EWCが13.42%です。過去の高い分配利回りは元本変動リスクの小ささを意味しません。[2][3]

また、日本の投資家はカナダドルまたはメキシコペソと米ドルの変動に加え、米ドルと円の変動も負います。分配利回りだけでなく、価格変動と為替を含むトータルリターンで比較してください。[2][3]

ミニ解説:USMCAが「更新されなかった」とはどういう意味か2026年7月1日の共同見直しで米国はUSMCAの16年延長に同意しませんでしたが、協定は即時失効していません。2026年10月5日の連邦官報では、2027年の年次見直しへ向けて意見募集を開始すると通知しています。[1]

USMCAは、延長合意がなければ2036年7月1日の期限へ近づく一方、毎年の共同見直しにより延長の可能性が残されています。2027年の意見募集期限は1月12日であり、今の主要リスクは即時失効ではなく、交渉の長期化と投資・貿易環境の不透明さです。[1]

免責事項本記事は2026年10月9日時点で確認できる資料に基づき、特定の金融商品の購入・売却を勧誘するものではありません。基準価額、分配金、為替、政策・通商環境により損益は変動し、元本割れの可能性があります。ETFの最新情報と目論見書を確認してご判断ください。

【注】(出典リンク)

  1. USMCA共同見直し・2027年年次見直し意見募集 → USTR:2026年7月1日共同見直し声明 / 米国連邦官報:2026年10月5日公示(確認日:2026-10-09) ↩
  2. EWCのNAV・運用規模・保有銘柄・利回り・構成比率・パフォーマンス → iShares:EWC公式商品ページ(確認日:2026-10-09) ↩
  3. EWWのNAV・運用規模・保有銘柄・利回り・構成比率・パフォーマンス → iShares:EWW公式商品ページ(確認日:2026-10-09) ↩
  4. EWCの主な保有企業(2026年10月上旬) → iShares:EWC公式保有銘柄一覧(確認日:2026-10-09) ↩
  5. EWWの主な保有企業(2026年10月上旬) → iShares:EWW公式商品・保有銘柄ページ / Financial Times:EWWの上位保有銘柄(確認日:2026-10-09) ↩

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。




配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*当サイトは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されることがあります)

EWCの利回り

年 配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 2.71% 1.150 9.5% 42.5 6.8%
2024 2.64% 1.050 6.6% 39.8 15.0%
2023 2.85% 0.985 -6.3% 34.6 -3.4%
2022 2.94% 1.051 25.9% 35.8 -3.0%
2021 2.26% 0.835 27.5% 36.9 34.2%
2020 2.38% 0.655 -14.2% 27.5 -5.5%
2019 2.62% 0.763 11.1% 29.1 0.7%
2018 2.38% 0.687 12.3% 28.9 1.4%
2017 2.15% 0.612 -3.6% 28.5 12.2%
2016 2.50% 0.635 -6.1% 25.4 -1.6%
2015 2.62% 0.676 -6.8% 25.8 -19.6%
2014 2.26% 0.725 -1.0% 32.1 8.1%
2013 2.46% 0.732 12.4% 29.7 4.6%
2012 2.29% 0.651 17.9% 28.4 -6.9%
2011 1.81% 0.552 8.2% 30.5 9.7%
2010 1.83% 0.510 14.6% 27.8 24.1%
2009 1.99% 0.445 -22.6% 22.4 -24.1%
2008 1.95% 0.575 – 29.5 –

EWWの利回り

年 配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 3.50% 2.250 15.4% 64.2 9.7%
2024 3.33% 1.950 6.3% 58.5 -2.7%
2023 3.05% 1.834 26.0% 60.1 21.9%
2022 2.95% 1.455 37.8% 49.3 1.2%
2021 2.17% 1.056 65.5% 48.7 26.8%
2020 1.66% 0.638 -32.5% 38.4 -11.9%
2019 2.17% 0.945 -12.9% 43.6 -9.4%
2018 2.26% 1.085 5.9% 48.1 -5.3%
2017 2.02% 1.025 12.0% 50.8 4.5%
2016 1.88% 0.915 -11.6% 48.6 -14.0%
2015 1.83% 1.035 -4.3% 56.5 -17.2%
2014 1.59% 1.082 15.0% 68.2 -1.7%
2013 1.36% 0.941 6.3% 69.4 8.8%
2012 1.39% 0.885 17.2% 63.8 9.6%
2011 1.30% 0.755 20.8% 58.2 5.1%
2010 1.13% 0.625 21.4% 55.4 33.5%
2009 1.24% 0.515 -36.8% 41.5 -14.6%
2008 1.68% 0.815 – 48.6 –


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢