EWC·EWW:カナダとメキシコETFの比較

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【2026年7月更新】

各ETFの基準価額(NAV)、純資産総額(AUM)、利回り、保有銘柄数、セクター構成、売買流動性を、主に2026年7月15~16日時点の公式データへ更新しました。また、2026年7月1日のUSMCA共同見直しで米国が現行内容での更新に同意しなかったことを踏まえ、北米通商リスクの説明を修正しています。[1][2][3]

カナダとメキシコの最新ETFデータを比較し、情報を整理しました。米国経済と密接に関係する両国ですが、カナダは金融・資源、メキシコは素材・生活必需品・製造業を中心とし、ポートフォリオの性格は大きく異なります。

このページでは資産運用の参考となるよう、ETFの概要、利回り、運用規模、2026年7月時点のポートフォリオ、北米通商環境に関する注意点を解説します。

*注意:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。数値は変動するため、最終的な判断の前に各運用会社の一次情報をご確認ください。

【国別ETF】カナダ(EWC)・メキシコ(EWW)―米国の隣国への投資を考える

米国株を主軸とする投資家にとって、地理的・経済的な結びつきが強いカナダとメキシコは、北米域内で投資対象を広げる選択肢となります。

一方、米国株と異なる国へ投資しても、両国の輸出や企業業績は米国経済と通商政策から強い影響を受けます。先進資源国であるカナダと、米国向け製造拠点として存在感を高めるメキシコでは、期待できる収益源とリスクが異なります。

ここでは、iSharesの代表的な国別ETF「EWC」「EWW」の最新状況を比較します。

【EWC】iShares MSCI Canada ETF

カナダ市場の大型株と中型株へ投資する、同国を代表する国別ETFです。2026年7月15日時点では、金融が42.10%、エネルギーが17.31%、素材が13.08%を占め、3セクターの合計は72.49%に達していました。[2]

銀行などの金融株、原油・天然ガス関連株、金鉱山を含む素材株がポートフォリオの中心であり、カナダ国内の金利だけでなく、世界の商品価格や米国景気の影響を受けやすいETFです。

カナダ(EWC)投資の魅力とリスク(2026年版)

投資の魅力
  • 先進国市場としての安定性:カナダはG7構成国であり、新興国と比べて市場制度、法制度、企業情報の開示環境が整っています。
  • 金融・資源企業へのアクセス:大手銀行、パイプライン、石油・天然ガス、金鉱山など、米国の主要株価指数とは異なる業種配分を得られます。
  • 高い売買流動性:2026年7月15日時点の30日平均出来高は約141万口、中央値売買スプレッドは0.02%でした。[2]
  • 米国より低い市場感応度:2026年6月30日時点の3年株式ベータは0.77でした。ただし、将来も低い値動きが続くことを保証する数値ではありません。[2]
注意すべきリスク
  • セクター偏重:2026年7月15日時点で金融だけで42.10%を占めています。銀行株の業績、信用コスト、住宅ローン市場の変化がETF全体へ大きく影響します。[2]
  • 商品価格リスク:エネルギーと素材の合計比率は2026年7月15日時点で30.39%です。原油、天然ガス、金、銅などの価格下落は構成企業の利益を圧迫します。[2]
  • 通商政策:2026年7月1日のUSMCA共同見直しでは、米国は現行内容での更新に同意しませんでした。USMCA自体は引き続き有効ですが、今後の再協議や関税・原産地規則の変更がカナダ企業のコストや輸出へ影響する可能性があります。[1]
  • カナダドルの変動:カナダドル安・米ドル高は、現地株の上昇分を米ドル建てリターンで相殺する可能性があります。

EWCの基本情報とポートフォリオ

項目 詳細(主に2026年7月時点)
正式名称 iShares MSCI Canada ETF
連動指数 MSCI Canada Custom Capped Index(Net)。[2]
NAV(基準価額) 59.39ドル(2026-07-16時点)。[2]
年初来NAVリターン プラス10.80%(2026-07-15時点)。[2]
経費率 0.50%(2026-07-16確認時点)。[2]
純資産総額(AUM) 60.69億ドル(6,069,273,614ドル、2026-07-16時点)。[2]
保有銘柄数 84銘柄(2026-07-15時点)。[2]
12カ月実績利回り 1.30%(2026-06-30時点)。[2]
30日SEC利回り 1.31%(2026-06-30時点)。[2]
分配頻度 年2回(2026年7月確認時点)。[2]
上位構成銘柄 Royal Bank of Canada、Toronto-Dominion Bank、Shopify、Enbridge、Agnico Eagle Minesなど(2026年3月31日時点の公式ファクトシート)。[4]
セクター構成 金融42.10%、エネルギー17.31%、素材13.08%、資本財・サービス9.18%、情報技術8.03%など(2026-07-15時点)。[2]
実績PER/PBR PER20.93倍、PBR2.86倍(2026-07-15時点)。[2]
3年標準偏差 13.78%(2026-06-30時点)。[2]

EWCの純資産総額は、元記事に記載されていた2026年4月10日時点の約41.5億ドルから、2026年7月16日時点には約60.69億ドルへ増加しました。一方、12カ月実績利回りは2.58%から1.30%、30日SEC利回りは2.42%から1.31%へ低下しています。

純資産総額の増加は、資金流入だけでなく株価上昇や為替変動によっても生じます。また、過去の分配金を基にする12カ月実績利回りは、株価の上昇によって低下する場合があります。


【EWW】iShares MSCI Mexico ETF

EWWは、メキシコの大型株、中型株、小型株へ投資する国別ETFです。製造業のニアショアリングという成長テーマを持つ一方、実際のポートフォリオは素材、生活必需品、金融、通信の比率が高く、「製造業ETF」とは異なります。[3]

2026年7月15日時点のセクター構成は、素材25.38%、生活必需品24.67%、金融17.61%、資本財・サービス11.95%、通信10.36%でした。素材と生活必需品だけで約50%を占めています。[3]

メキシコ(EWW)投資の魅力とリスク(2026年版)

投資の魅力
  • ニアショアリングの進展:米国市場に近い立地、USMCAによる域内貿易、生産コストなどを背景に、製造業の設備投資先となる可能性があります。
  • 資源・消費・金融への分散:素材、生活必需品、金融、通信、資本財・サービスなど、複数の産業へ投資できます。
  • EWCより高い分配利回り:2026年6月30日時点の12カ月実績利回りは3.27%、30日SEC利回りは2.62%で、同日時点のEWCを上回りました。[3]
  • 相対的に低い評価倍率:2026年7月15日時点の実績PERは13.53倍で、EWCの20.93倍を下回りました。[3]
注意すべきリスク
  • 政治・制度リスク:政策変更、治安、司法制度、政府と民間企業の関係などが市場評価へ影響する可能性があります。
  • 通貨変動:メキシコペソは米国との金利差、原油価格、投資家のリスク選好、通商政策によって大きく変動する場合があります。
  • 対米通商リスク:2026年7月のUSMCA共同見直しでは現行内容での更新に至らず、自動車の原産地規則、鉄鋼・アルミニウム、経済安全保障などが再協議の焦点となっています。[1]
  • 銘柄・セクター集中:保有銘柄数は2026年7月15日時点で39銘柄です。上位企業や素材・生活必需品セクターの値動きがETF全体へ大きく影響します。[3]
  • EWCより大きい価格変動:2026年6月30日時点の3年標準偏差は20.38%で、EWCの13.78%を上回りました。[3]

EWWの基本情報とポートフォリオ

項目 詳細(主に2026年7月時点)
正式名称 iShares MSCI Mexico ETF
連動指数 MSCI Mexico IMI 25/50 Index(Net)。[3]
NAV(基準価額) 75.19ドル(2026-07-16時点)。[3]
年初来NAVリターン プラス10.34%(2026-07-15時点)。[3]
経費率 0.50%(2026-07-16確認時点)。[3]
純資産総額(AUM) 18.80億ドル(1,879,678,008ドル、2026-07-16時点)。[3]
保有銘柄数 39銘柄(2026-07-15時点)。[3]
12カ月実績利回り 3.27%(2026-06-30時点)。[3]
30日SEC利回り 2.62%(2026-06-30時点)。[3]
分配頻度 年2回(2026年7月確認時点)。[3]
上位構成銘柄 Grupo México、FEMSA、América Móvil、Grupo Financiero Banorteなどが中心(構成銘柄は日々変動)。[5]
セクター構成 素材25.38%、生活必需品24.67%、金融17.61%、資本財・サービス11.95%、通信10.36%、不動産7.99%など(2026-07-15時点)。[3]
30日平均出来高 120万口(2026-07-15時点)。[3]
30日中央値売買スプレッド 0.04%(2026-07-15時点)。[3]
実績PER/PBR PER13.53倍、PBR2.09倍(2026-07-15時点)。[3]
3年標準偏差 20.38%(2026-06-30時点)。[3]

EWWの純資産総額は、元記事に記載されていた2026年4月10日時点の約21.2億ドルから、2026年7月16日時点には約18.80億ドルへ減少しました。

12カ月実績利回りは3.85%から3.27%、30日SEC利回りは3.52%から2.62%へ低下しましたが、2026年6月30日時点ではEWCより高い水準を維持しています。

EWCとEWWの比較

比較項目 EWC
カナダ
EWW
メキシコ
市場区分 先進国 新興国
主な投資対象 大型・中型株 大型・中型・小型株
経費率 0.50% 0.50%
純資産総額 約60.69億ドル 約18.80億ドル
保有銘柄数 84銘柄 39銘柄
12カ月実績利回り 1.30% 3.27%
30日SEC利回り 1.31% 2.62%
年初来NAVリターン プラス10.80% プラス10.34%
3年標準偏差 13.78% 20.38%
3年株式ベータ 0.77 0.61
主要セクター 金融、エネルギー、素材 素材、生活必需品、金融
主なリスク 金融・資源・住宅市場への偏り 通商・通貨・政治・銘柄集中

※純資産総額とNAVは2026年7月16日時点、保有銘柄数と年初来NAVリターンは2026年7月15日時点、利回り・標準偏差・ベータは2026年6月30日時点です。[2][3]

まとめ:2026年の戦略的な使い分け

  • EWC(カナダ):金融、エネルギー、素材を中心とする先進国株へ投資し、EWWより相対的に小さい値動きを重視する場合の候補です。ただし、金融が2026年7月15日時点で42.10%を占めており、広く均等分散された先進国ETFではありません。
  • EWW(メキシコ):メキシコの素材、消費、金融、通信、資本財・サービス企業へ投資し、EWCより高い分配利回りやニアショアリングの成長機会を狙う場合の候補です。一方、過去3年間の値動きはEWCより大きく、通商・為替・政治リスクも高くなります。

両ETFは米国経済との結びつきが強いため、米国株と組み合わせても景気循環上の完全な分散にはなりません。ただし、EWCでは金融・資源、EWWでは素材・消費・通信への比率を高められるため、米国大型グロース株へ偏ったポートフォリオを補完する役割は期待できます。

一律にポートフォリオの5~10%を配分するのではなく、既存の世界株ETFに含まれるカナダ・メキシコ比率、為替リスク、許容できる価格変動を確認した上で投資比率を決めることが重要です。

また、2026年7月1日のUSMCA共同見直しでは、米国は現行内容での更新に同意しませんでした。ただし、協定が直ちに失効したわけではなく、2026年7月時点でもUSMCAは有効です。今後は自動車の原産地規則、鉄鋼・アルミニウム、農業、経済安全保障などをめぐる再協議が、カナダ株とメキシコ株の共通リスクになります。[1]

ミニ解説:EWWの利回りが高くても、EWCより安全とは限らない

2026年6月30日時点の12カ月実績利回りは、EWWが3.27%、EWCが1.30%でした。ただし、同日時点の3年標準偏差はEWWが20.38%、EWCが13.78%です。EWWは高い分配利回りを得られる一方、価格変動による損失が分配金を上回る可能性があります。

また、日本の投資家はカナダドルまたはメキシコペソと米ドルの変動に加え、米ドルと円の変動も負います。分配利回りだけでなく、価格変動と為替を含むトータルリターンで比較してください。[2][3]

ミニ解説:USMCAが「更新されなかった」とはどういう意味か

2026年7月1日の共同見直しで米国が現行内容での更新に同意しなかったため、USMCAは16年間の新たな期間へ自動延長されませんでした。ただし、協定は直ちに終了せず、引き続き効力を持ちます。

今後は原則として毎年見直しが行われ、合意に至らなければ2036年の期限へ近づいていきます。したがって、現時点のリスクは「即時失効」ではなく、再交渉の長期化と、それに伴う企業の投資判断や市場心理への影響です。[1]

免責事項

本記事は2026年7月17日時点の情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や売却を勧誘するものではありません。ETFの価格は、株式市場、為替、商品価格、金利、通商政策、政治情勢などにより変動し、元本割れが生じる可能性があります。投資判断は最新の目論見書を確認した上で、ご自身の責任で行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. USMCA共同見直しと2026年7月時点の協定状況 → USTR:Ambassador Greer Issues Statement on the USMCA Joint Review(2026-07-01)USTR:United States-Mexico-Canada Agreement(確認日:2026-07-17)
  2. EWCのNAV・リターン・経費率・純資産・利回り・銘柄数・セクター・流動性 → iShares:iShares MSCI Canada ETF公式商品ページ(確認日:2026-07-17)
  3. EWWのNAV・リターン・経費率・純資産・利回り・銘柄数・セクター・流動性 → iShares:iShares MSCI Mexico ETF公式商品ページ(確認日:2026-07-17)
  4. EWCの上位構成銘柄と2026年Q1末ポートフォリオ → iShares:EWC Fund Fact Sheet(2026-03-31)(確認日:2026-07-17)
  5. EWWの上位構成銘柄と指数特性 → iShares:EWW Fund Fact Sheet(確認日:2026-07-17)

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。




配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*当サイトは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されることがあります)

EWCの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 2.71% 1.150 9.5% 42.5 6.8%
2024 2.64% 1.050 6.6% 39.8 15.0%
2023 2.85% 0.985 -6.3% 34.6 -3.4%
2022 2.94% 1.051 25.9% 35.8 -3.0%
2021 2.26% 0.835 27.5% 36.9 34.2%
2020 2.38% 0.655 -14.2% 27.5 -5.5%
2019 2.62% 0.763 11.1% 29.1 0.7%
2018 2.38% 0.687 12.3% 28.9 1.4%
2017 2.15% 0.612 -3.6% 28.5 12.2%
2016 2.50% 0.635 -6.1% 25.4 -1.6%
2015 2.62% 0.676 -6.8% 25.8 -19.6%
2014 2.26% 0.725 -1.0% 32.1 8.1%
2013 2.46% 0.732 12.4% 29.7 4.6%
2012 2.29% 0.651 17.9% 28.4 -6.9%
2011 1.81% 0.552 8.2% 30.5 9.7%
2010 1.83% 0.510 14.6% 27.8 24.1%
2009 1.99% 0.445 -22.6% 22.4 -24.1%
2008 1.95% 0.575 29.5

EWWの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 3.50% 2.250 15.4% 64.2 9.7%
2024 3.33% 1.950 6.3% 58.5 -2.7%
2023 3.05% 1.834 26.0% 60.1 21.9%
2022 2.95% 1.455 37.8% 49.3 1.2%
2021 2.17% 1.056 65.5% 48.7 26.8%
2020 1.66% 0.638 -32.5% 38.4 -11.9%
2019 2.17% 0.945 -12.9% 43.6 -9.4%
2018 2.26% 1.085 5.9% 48.1 -5.3%
2017 2.02% 1.025 12.0% 50.8 4.5%
2016 1.88% 0.915 -11.6% 48.6 -14.0%
2015 1.83% 1.035 -4.3% 56.5 -17.2%
2014 1.59% 1.082 15.0% 68.2 -1.7%
2013 1.36% 0.941 6.3% 69.4 8.8%
2012 1.39% 0.885 17.2% 63.8 9.6%
2011 1.30% 0.755 20.8% 58.2 5.1%
2010 1.13% 0.625 21.4% 55.4 33.5%
2009 1.24% 0.515 -36.8% 41.5 -14.6%
2008 1.68% 0.815 48.6


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢