【FB】フェイスブックの株価と決算

2019年4月23日

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FANGの代表でもあるフェイスブック(FB)の株価は18年3月17日に情報漏洩問題の詳細が報じられ,急落しました(ニューヨーク・タイムズとオブザーバー)。

大統領選でトランプ陣営が契約したデータ分析会社(ケンブリッジ・アナリティカ)がフェイスブック利用者約5千万人の個人情報を不正に収集していたというのです。

この記事は内部告発者の話がもとになっており、フェイスブック(以下、FB)が事実を知っておりながら利用者に警告をしなかったことを問題視しています。

当初、FB側は、これがデータ流出であることを否定し、その後にケンブリッジ・アナリティカのアカウントを停止したのですが、その対応の鈍さがマスコミに叩かれ、米国や英国で情報流出についての捜査を求める声が議員から上がりました。

米国では、民主党のクロブシャー上院議員が、上院司法委員会での証言をザッカーバーグ氏に要請。

英国でも保守党議員が英EU離脱の是非を問う国民投票についてロシア介入が行われたかどうかの議会調査で、ザッカーバーグ氏への証言を求めました。

ザッカーバーグ氏は、FB内のフェイクニュースは選挙に影響しなかったと述べた2016年の発言を謝罪するまでに1年を要し、その間、同社の広告や個人情報の扱い方などが問題視されたのです。

その後、さらなる情報流出の露呈、GDPR等の個人情報保護の潮流に押されて、株価が下がりましたが、19年は盛り返してきています。

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主な指標を概観

まず、主要指標のデータは以下の通りです(出所はグーグルファイナンスなど)。

1/2株価 129
4/18株価 178.3
株価上昇率 38.2%
52週高値 218.6
52週安値 123
EPS 7.57
PER 23.55
配当(利回り)
時価総額(億$) 5091
株式数(億) 24

株価推移(チャートと伸び率)

次に株価の推移を見てみます。

青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線です。

その株価の推移を1年ごとに見てみましょう

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は4/18)
FB 初値 最安 最高 終値 上昇率
2019 129 131.7 179.7 178.3 38%
2018 177.7 124.1 217.5 131.1 -26%
2017 116 116.9 183 176.5 52%
2016 102 94.2 133.3 115.1 13%
2015 78.6 74.1 109 104.7 33%
2014 54.9 53.5 81.5 78 42%
2013 27.4 22.9 58 54.7 99%
2012 38.2 17.7 38.2 26.6 -30%

※2012年の年初は5/18と想定。

各年初から直近までの伸び率は以下の通りです。

★2:各年初から2019/4/18までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~ 15年~ 14年~
38% 0% 54% 75% 127% 225%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~ 09年~ 08年~
551% 366%

四半期決算(予想と実値)

18年第4四半期決算の概要は以下の通り。

  • EPS:予想2.18$⇒結果2.38$
  • 売上高:予想164億$⇒結果169.1億$
  • 売上高成長率:前年同期比+30.4%
  • アクティブユーザーは前年比+9%程度
  • 第1四半期の売上高成長率:新ガイダンス+30%

ロイターによれば四半期決算のEPSと売上の予想は以下の通りです(2019/3/19、売上単位は100万ドル)。

売上予想 平均 上限 下限 期間
2020 83341 89476 76000 1年
2019 68963 72485 66764 1年
6-19 16376 16833 15465 3カ月
3-19 14964 15242 14448 3カ月
売上 予想 結果
12-18 16389 16914 525 3.2
9-18 13819 13727 92 0.67
6-18 13341 13231 110 0.82
3-18 11408 11966 558 4.89
12-17 12550 12972 422 3.36
9-17 9836 10328 492 5.01
EPS予想 平均 上限 下限 期間
2020 8.89 10.85 7.91 1年
2019 7.55 8.5 6.77 1年
6-19 1.78 2.15 1.58 3カ月
3-19 1.63 1.95 1.39 3カ月
EPS 予想 結果
12-18 2.18 2.38 0.2 8.99
9-18 1.48 1.76 0.28 19.06
6-18 1.71 1.74 0.03 1.53
3-18 1.35 1.69 0.34 25.12
12-17 1.95 2.21 0.26 13.2
9-17 1.23 1.34 0.11 24.11

18年第4四半期決算によれば、アクティブユーザーは前年比+9%程度

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています。これは各社が経営実態を踏まえて調整した数値です(売上とEPSの数値が後述のGAAP基準での数値と異なる場合は、非GAAP基準の数値)。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます。

(売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)

損益計算(売上、純利益等)

売上高 営業CF 同マージン 純利益
10/12 1974 698 35.4% 606
11/12 3711 1549 41.7% 1000
12/12 5089 1612 31.7% 53
13/12 7872 4222 53.6% 1500
14/12 12466 7326 58.8% 2940
15/12 17928 10320 57.6% 3688
16/12 27638 16108 58.3% 10188
17/12 40653 24216 59.6% 15920
18/12 55838 29274 52.4% 22111

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

 FB 営業利益率 EPS DSO
11/12 47.3 0.46 45.2
12/12 10.6 0.01 45.4
13/12 35.6 0.6 42.4
14/12 40.1 1.1 40.8
15/12 34.7 1.29 43.1
16/12 45.0 3.49 43.3
17/12 49.7 5.39 44.1
18/12 44.6 7.57 43.9

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

総資産 総負債 株主資本 自己資本率
10/12 2990 828 2162 72.3%
11/12 6331 1432 4899 77.4%
12/12 15103 3348 11755 77.8%
13/12 17895 2425 15470 86.4%
14/12 39966 3870 36096 90.3%
15/12 49407 5189 44218 89.5%
16/12 64961 5767 59194 91.1%
17/12 84524 10177 74347 88.0%
18/12 97334 13207 84127 86.4%

さらに、重要指標を見てみます。

ROAとROEなど

FB ROA ROE 流動比率
単位 倍率
10/12 12.4 24.1 5.8
11/12 14.3 22.9 5.1
12/12 0.3 0.4 10.7
13/12 9.0 11.0 11.9
14/12 10.1 11.3 9.6
15/12 8.2 9.1 11.3
16/12 17.8 19.7 12.0
17/12 21.3 23.8 12.9
18/12 24.3 27.9 7.2

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業が上げた利益を見る

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業が上げた利益を見る

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る(表では資本が負債の何倍かを表記)

キャッシュフロー

営業CF 投資CF 財務CF
10/12 698 -324 781
11/12 1549 -3023 1198
12/12 1612 -7024 6283
13/12 4222 -2624 -667
14/12 7326 -5913 -298
15/12 10320 -9434 -139
16/12 16108 -11792 -310
17/12 24216 -20118 -5235
18/12 29274 -11603 -15572

FBの懸念事項

フェイスブックの情報流出

最後に、FBが引き起こした大問題について整理してみます。

まず、FBの情報流出を報じたニューヨークタイムズ(2018/3/18)の記事から、その顛末を見てみます(出所:How Trump Consultants Exploited the Facebook Data of Millions)。

重要な部分を抜粋で翻訳すると、以下のように事件が説明されています。

米国民を含む情報漏洩の本格的な規模は以前は明らかにされていないし、FBはそれをまだ認めていない。

6名(半ダース)の元従業員と請負業者へのインタビュー、同社の電子メールと文書のレビューから、ケンブリッジ・アナリティカ(以下、CA)はFBの個人情報に依存しているだけでなく、そのほとんど全てを所有していることが明らかになった。

CAは外部の研究者を通じて、学術目的を名目に個人情報を取得するためにお金を支払った。

ニューヨークタイムスの調査から1週間の間、FBは情報漏洩の範囲を軽視しており、ニューヨークタイムズはデータのいずれかがいまだ制御不能なのではないかという疑問を呈した。

その後、FBは問題について行動を起こすことを約束した声明を発表し、対処を開始しました。

CAは、ワイリー氏がライバル会社を立ち上げ、その後、彼に対して知的財産権を巡る訴訟を起こしたことを発表した。

ワイリー氏や他の元請負業者は、「明らかに会社を傷つける悪意のある試み」に関与しているとしたのだ。

年の終わり頃に出された英ガーディアン紙のレポートによると、CAはFBのツールを通してテッド・クルーズの選挙運動にFBの個人情報を用いていた。

当時の声明では、FBは「注意深くこの状況を調査している」と約束し、企業に悪用されたデータを破壊する必要があると述べた。

FBはこの情報漏洩を確認し、それを公には認めないまま情報の確保のために努力し、その活動を2016年8月まで続けていた。

FBの弁護士はCAの請負業者に連絡を取り、データが無断で入手して使用されていることを指摘し、今後は正当に使用できず、すぐに削除する必要があることを伝えた。

FBの副社長であるグレアル氏は声明でコーガン博士と「SCL GroupとCAの両者が、問題のデータを破壊したことを我々に証明した」と述べた。

この情報漏洩がFBの大幅な株価下落を引き起こします。

「フェイスブック・ショック」は他の大手インターネット企業の株価にも波及し、さらには、同社株を購入する上場投資信託(ETF)の値下がりを引き起こします。

そして、メディア報道を通じて、ユーザーにも不安が広がっていきました。

多くのユーザーは、FBを通じて個人情報が広告主などの外部企業に共有されていることを知りませんでしたが、米国やEUで規制強化を求める議員は、それを公にしようとしています。

(情報大手を通じて、ユーザーは、地図情報や検索、動画などの多様なサービスを無料で手に入れられるようになったが、その反面、大量の個人情報がビッグデータとしてネット企業に蓄積され、それが合法的あるいは不法に第三者に販売されている)

欧州では5月から「一般データ保護規制(GDPR)」が施行され、個人情報保護の規制が厳しくなります。

その結果、広告主と共有する顧客情報に基づいてFBユーザーに合わせた特定の広告をリアルタイムで載せることが難しくなります。

規制強化によって法令順守のコストを押し上げられ、全体の利益が下がります。

その意味では、今回の情報漏洩事件は、FBの問題ではありますが、他社にまで大きく波及していく問題だと言えます。

情報漏洩に対するザッカーバーグ声明(日本語訳)

ザッカーバーグ氏は、3月21日に、この問題に対する声明を発表しました。

その全文を翻訳してみます。

ーーーー

この重要な問題に対処する我々の次の措置を含めて、ケンブリッジアナリティカ社に関する最新情報を共有したい。

我々には、皆様の情報を守る責任がある。それができなければ皆様にサービスするに値しない。

私は、事件の経緯と、再発を防ぐ方法を正確に理解するよう努めてきた。

良いニュースは、こんにちでは、それを防ぐための最も重要な措置が数年前に取られているということです。

我々はまた間違いを犯した。しかし、それ以上にやるべきことがある。

我々はもう一歩踏み出し、それを実施する必要がある。

その経緯は以下の通りだった。

・・・・・・

皆様のカレンダーは友人の誕生日を表示できる。皆様のマップは友人の住んでいる場所を、住所録は友人の写真を表示できる。

これを行うことで、我々はユーザーはアプリにログインして友だちの人とその情報を共有することができた。

2013年にケンブリッジ大の研究者であるアレクサンドル・コーガン氏がパーソナリティに関するクイズアプリをつくった。

それは30万人にインストールされ、その人たちは自分のデータだけでなく、友人のデータの一部を共有していた。

我々のプラットフォームは、当時、コーガン氏がアクセスできた数千万人の友人のデータにアクセスできる。

2014年に、虐待に関するアプリを阻止するために我々はプラットフォーム全体を変更したことを発表した。それは劇的にアプリへのアクセスを制限するものだった。

最も重要なのは、コーガンがつくったようなアプリはもはや、承認されない限り、ある人の友人についてのデータを要求できないということだ。

開発者は、人々に極秘のデータ(個人情報やパスワード等)を要求する前に、我々の承認が必要になった。

これらの措置は、こんにち、コーガンがつくったようなアプリが、多くのデータにアクセスするのを不可能にしている。

2015年に英ガーディアン紙のジャーナリストが、コーガンがそのアプリから得たデータをケンブリッジ・アナリティカと共有していることが分かった。

開発者が人々の同意なしにデータを共有することは我々のポリシーに違反しているので、我々はKoganのアプリを(FBの)プラットフォームから即座に禁止した。

そして、コーガンとケンブリッジ・アナリティカが不適切に得たデータを全て削除したことを正式に証明する。

彼らはそれらの認証を提供した。

先週、我々はガーディアンとニューヨークタイムズ、チャンネル4の報道から、ケンブリッジアナリティカが認証したデータを削除していない可能性があることを認識した。

我々はすぐに、ケンブリッジアナリティカのサービスを用いることを禁止した。

ケンブリッジアナリティカは、すでにデータを削除したことを主張している。これ(データ削除)に関しては、我々が雇った企業による監査に合格した。

また、我々は規制当局と今回の事件の経緯についての調査にも協力している。

今回の出来事はコーガン氏、ケンブリッジアナリティカ社とフェイスブックの間での信義を裏切りでした。

それはフェイスブックとそのデータを共有し、フェイスブックにそれを守ることを期待した人々との間の信義に対する裏切りでもあった。

我々はそれを修正する必要がある。

このケースに関しては、悪意ある者が人々の情報にアクセスすることを防ぐために、2014年の数年前に最も重要な措置を取っていた。

しかし、我々にはもっと必要なことがある。私はここでその手順の概要を説明したい:

まず、2014年にデータアクセスを大幅に削減すべくプラットフォームを変更した以前に、大量の情報にアクセスした全アプリを調査する。疑わしい活動をしたアプリの完全な監査を行う。

我々は、徹底的な監査に同意しない開発者に対して、当社のプラットフォームの使用を禁止する

個人識別情報を悪用した開発者が見つかった場合、そのアプリを禁止し、その影響を受ける全ての人に通知する。

そこには、コーガンのデータを悪用された人々が含まれる。

第二に、開発者のデータへのアクセスをさらに制限して、他の種類の不正行為を防止する。

例えば、あなたが3か月間、アプリを使用していない場合、あなたのデータへの開発者のアクセス権を削除する。

ログイン時に入力した皆様の名前、プロフィール写真、メールアドレスを削除する。

開発者は、(FBユーザーから)投稿や個人情報に対して他の者がアクセスすることを容認する契約書への承認と署名を得ることが必要になる。

数日後には、シェアに関してさらに多くの変更が予定されている。

第3に、皆様がデータにアクセスすることを許可したアプリについての理解を確かなものにしたい。

来月には、ニュースフィードの上部のツールに皆様が使用したアプリを表示し、そのアプリの個人情報等に対する権限を取り消す簡単な方法を紹介する。

我々は、皆様のプライバシー設定でこれを行うツールを持っている。

今度は、このツールを皆様のニュースフィードのトップに置き、誰もが見られるようにする。

2014年にすでに取り組んできた措置のほか、これが我々がプラットフォームの安全を維持するために必要な次の措置だと私は考えている。

私はフェイスブックを始めた。その終わりの日まで、私は、我々のプラットフォームで起きることに責任を負っている。

私はコミュニティを守るために必要な措置に真剣に取組んでいる。

ケンブリッジアナリティカに関して起きた問題は、もはや今日の新しいアプリでは起こらないはずだが、それは過去の出来事の中身を変えられない。

この経験から、私はプラットフォームを守り、今後とも皆様のためにコミュニティをより安全にする術を学ぶ。

我々のミッションを信じ、このコミュニティを一緒に構築すべく努力している方々に感謝する。

これら全ての問題を修正するのに、我々が望むよりも時間がかかるのは分かっているが、私はこれを実践して長期的によりよいサービスを構築することを約束する。

ーーーー

この事件を見ると、CA社の問題は氷山の一角にすぎないのではないか、という疑念がわいてきます。

FBは、大きくなったわりには、十分な責任感が伴っていなかったようです。

しかし、19年に入り、FBのメッセージ(メールみたいなもの)の暗号化に着手するなど、新たな試みを開始しました。

また、FBが保有するインスタグラムなどを通じたSNSの商用利用などが本格化する見込みです。

可能性を持った企業でもあるので、バランスの取れた見方を忘れないようにしたいものです。