【MSFT】マイクロソフトの株価と決算、配当

MSFT(マイクロソフト)の事業はWindowsやXbox、Surface等の端末をカバーする「モアパーソナルコンピューティング」部門、「Office」「Dynamics」「LinkedIn」等からなる「プロダクティビティ&ビジネスプロセス」部門、「Azure」や従来のサーバ製品(「SQL Server」等)をカバーする「インテリジェントクラウド」部門に分かれています。

個々のサービスの概略は以下の通りです。

★Windows:PCのソフトを稼働させるOS(Operating System)

★Office:世界標準となった業務用ソフト。近年はOffice365でサブスクリプションモデルを導入。

★Surface:MSFT製のタブレットPC

★Xbox:ゲームのハードウェア。

★Dynamics:企業向けの業務用アプリ製品群。

★LinkedIn:世界最大のビジネス特化SNS。

★SQL Server:データベース管理システム

★Azure:クラウドコンピューティングのプラットフォーム

かつてのWindows一本槍ではなく、クラウドやAIに注力し、多様なサービスを充実させているのです。

その事業はソフトウエアの開発と製造、ライセンス供与、販売とサポート、クラウドサービス(主にAzure)、ゲーム事業(Xbox)等が中心で、OSやサーバー、アプリ、インターネットとイントラネット等をカバーしています。

【3部門別に見た売上比率】

17/6 18/6 19/6 20/6
MPC 40% 38% 36% 34%
P&B 32% 33% 33% 32%
IC 28% 29% 31% 34%

【地域別売上高】

17/6 18/6 19/6 20/6
米国 52% 51% 51% 51%
海外 48% 49% 49% 49%

主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(指標と株価はgooglefinance関数から取得)。

1/4株価 222.5
2/25株価 229
株価上昇率 2.9%
52週高値 246.1
52週安値 132.5
β値 0.83
EPS 6.71
PER 34.11
配当利回り 0.93%
時価総額(億$) 17271
株式数(億) 75.4

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)。
graph
株価の推移を1年ごとに見てみましょう。

★1:各年の株価伸び率(※21年終値は2/25株価)
MSFT 初値 終値 上昇率
2021 222.5 229 3%
2020 158.8 222.4 40%
2019 99.6 157.7 58%
2018 86.1 101.6 18%
2017 62.8 85.5 36%
2016 54.3 62.1 14%
2015 46.7 55.5 19%
2014 37.4 46.5 24%
2013 27.3 37.4 37%
2012 26.5 26.7 1%
2011 28.1 26 -7%
2010 30.7 27.9 -9%
2009 19.5 30.5 56%
2008 35.8 19.4 -46%
★2:各年初から21/2/25までの伸び率
21年~ 20年~ 19年~ 18年~
3% 44% 130% 166%
17年~ 16年~ 15年~ 14年~
265% 322% 390% 512%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~
739% 764% 715% 646%
09年~ 08年~
1074% 540%

配当利回りと配当性向

さらに、配当利回りを見てみます。

権利落ち日 配当 利回り 株価
2021/2/18 0.56 0.88% 243.8
2020/11/19 0.56 0.98% 212.4
2020/8/20 0.51 0.95% 214.6
2020/5/21 0.51 1.08% 183.4
2020/2/20 0.51 1.05% 184.4
2019/11/21 0.51 1.26% 149.5
2019/8/15 0.46 1.38% 133.7
2019/5/16 0.46 1.4% 128.9
2019/2/21 0.46 1.61% 109.4
2018/11/15 0.46 1.6% 107.3
2018/8/16 0.42 1.56% 107.6
2018/5/17 0.42 1.72% 96.2

配当性向の推移もモーニングスター(MS)社のデータで確認してみましょう。
★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕
★単純計算=EPS÷1株配当。MS試算=モーニングスター社の試算値

年/月 EPS 配当 配当性向
(GAAP) 単純計算 MS試算
08/6 1.87 0.43 22.9
09/6 1.62 0.5 30.8 30.8
10/6 2.1 0.52 24.7 24.8
11/6 2.69 0.61 22.6 22.6
12/6 2 0.76 38 26.4
13/6 2.58 0.89 34.4 44.3
14/6 2.63 1.07 40.6 38.2
15/6 1.48 1.21 81.7 49
16/6 2.56 1.39 54.2 101.5
17/6 3.25 1.53 47.0 66.1
18/6 2.13 1.65 77.4 109.5
19/6 5.06 1.8 35.5 39.1
20/6 5.76 1.99 34.5 32.3



四半期決算(2020予想など)

さらに、四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。
(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載。データの主な出所は英語版のヤフーファイナンス。ただ、2019年6月までのデータ出所はロイター)。

EPS:予想と結果

予想 2/21 1月前 2月前
Y:2022 8.09 7.48 7.47
Y:2021 7.4 6.76 6.76
Q:21/6 1.78 1.71 1.71
Q:21/3 1.77 1.58 1.58
MSFT 予想 結果
20/9 1.54 1.82 0.28 18.2
20/6 1.38 1.46 0.08 5.8
20/3 1.26 1.4 0.14 11.1
19/12 1.32 1.51 0.19 14.4
19/9 1.24 1.38 0.14 11.3
19/6 1.21 1.37 0.16 13.2
19/3 1 1.14 0.14 14
18/12 1.05 1.1 0.05 4.8
18/9 0.96 1.14 0.18 18.8
18/6 1.08 1.13 0.05 4.6
18/3 0.85 0.95 0.1 11.9

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売上高:予想と結果

予想 2/21 1月前 2月前
Y:2022 182820 175690 175750
Y:2021 164210 158290 158270
Q:21/6 43030
Q:21/3 41030 38700 38710
売上 予想 結果
20/9 35720 37150 1430 4.0
20/6 36490 38000 1510 4.1
20/3 33680 35020 1340 4.0
19/12 35680 36906 1226 3.4
19/9 32230 33055 825 2.6
19/6 32773 33717 944 2.9
19/3 29839 30571 732 2.5
18/12 32512 32471 -41 -0.1
18/9 27904 29084 1180 4.2
18/6 29205 30085 880 3
18/3 25769 26819 1050 4.1

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決算予想と結果では米国会計基準(GAAP)とは違う「非GAAP基準」の数値(各社が経営実態を踏まえて調整した数値)が多用されています。そのため、本節の売上とEPSは次節のGAAP基準の値と同じになるとは限りません。


通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等)

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MSFT 売上高 営業CF 同マージン 純利益
08/6 60420 21612 36% 17681
09/6 58437 19037 33% 14569
10/6 62484 24073 39% 18760
11/6 69943 26994 39% 23150
12/6 73723 31626 43% 16978
13/6 77849 28833 37% 21863
14/6 86833 32502 37% 22074
15/6 93580 29668 32% 12193
16/6 91154 33325 37% 20539
17/6 96571 39507 41% 25489
18/6 110360 43884 40% 16571
19/6 125843 52185 41% 39240
20/6 143015 60675 42% 44281

同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

MSFT SG(%) EPS DSO
08/6 18% 1.87 ?
09/6 -3% 1.62 77.4
10/6 7% 2.1 70.7
11/6 12% 2.69 73.1
12/6 5% 2 76.2
13/6 6% 2.58 78
14/6 12% 2.63 77.8
15/6 8% 1.48 73
16/6 -3% 2.56 77.4
17/6 6% 3.25 77.2
18/6 14% 2.13 76.5
19/6 14% 5.06 81.2
20/6 14% 5.76 78.5

※SG(セールスグロース):売上高成長率(前年度比)
※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

graph

MSFT 総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/6 72793 36507 36286 50%
09/6 77888 38330 39558 51%
10/6 86113 39938 46175 54%
11/6 108704 51621 57083 53%
12/6 121271 54908 66363 55%
13/6 142431 63487 78944 55%
14/6 172384 82600 89784 52%
15/6 174472 94389 80083 46%
16/6 193468 121471 71997 37%
17/6 250312 162601 87711 35%
18/6 258848 176130 82718 32%
19/6 286556 184226 102330 36%
20/6 301311 183007 118304 39%

ROAとROEなど

MSFT ROA ROE 流動比率
08/6 24% 49% 145%
09/6 19% 37% 182%
10/6 22% 41% 213%
11/6 21% 41% 260%
12/6 14% 26% 260%
13/6 15% 28% 271%
14/6 13% 25% 250%
15/6 7% 15% 247%
16/6 11% 29% 235%
17/6 10% 29% 292%
18/6 6% 20% 290%
19/6 14% 38% 253%
20/6 15% 37% 252%

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合
★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合
★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る指標

キャッシュフロー

graph

MSFT 営業CF 投資CF 財務CF
08/6 21612 -4587 -12934
09/6 19037 -15770 -7463
10/6 24073 -11314 -13291
11/6 26994 -14616 -8376
12/6 31626 -24786 -9408
13/6 28833 -23811 -8148
14/6 32502 -18833 -8665
15/6 29668 -23001 -9668
16/6 33325 -23950 -8393
17/6 39507 -46781 8408
18/6 43884 -6061 -33590
19/6 52185 -15773 -36887
20/6 60675 -12223 -46031

サティア・ナデラCEOのクラウドファースト構想

現在のMSFTは、インド系アメリカ人のサティア・ナデラ氏(Satya Nadella)がCEOを務めています。

ナデラ氏はWINDOWS一本槍の体制から、クラウド化重視へと舵を切り、2014年2月の就任後、MSFTの株価を倍増させました。

(14年の1月~2月の株価は37ドル程度なので、今は5倍以上)

しかし、その前のスティーブ・バルマー氏の時代はネット検索でGOOGLに敗れ、スマホではAAPLに敗れていました。

ナデラ氏はその後を引き継ぎ、「個人をエンパワーメントする」というMSFTの原点から、事業を再構成していきます。

個人の可能性を広げるためのPCをつくったゲイツの精神をクラウド分野に応用していきました。

さらに、AIにも注力し、株価を回復させたわけです。

こうした勢いを見て、マイクロソフトは「お家芸の『追い上げ』でAMZNやGOOGL急追」を果たすのではないかと述べる人もいました(日経BP「ナデラ式マイクロソフト復活戦略」2018年1月15日、根来龍之氏の見解)

「マイクロソフトは、歴史的に見て、ファーストペンギンにはならないけれど、先行企業をキャッチアップするのが得意な会社であり、モバイル化とクラウド化に関しても、遅れたというより、むしろ非常に早く対応した」

この記事は、その後のMSFTの躍進を予見できていたと思います。

サティア・ナデラは、特にAWSのシェアに追いつくために構造改革を進め、ウィンドウズ中心主義からクラウドファーストへの転換に成功。

国防総省による100億ドル規模のクラウド契約(ジェダイプロジェクト)の受注も、AMZNではなく、MSFTが担うことになりました。

ナデラ氏は、複合現実(MR)、人工知能、量子コンピューター等を次世代を変える重要テクノロジーと見て、「モバイルファーストからクラウドファーストへの移行」や「AI化」を進めています。

モバイルファーストの時代には、ユーザーエクスペリエンスにおいて、顧客は一つのデバイスのみでなく、複数のデバイスを使用します。幾つものデバイスを用いてタスクを完了させる(マルチデバイス)中でMSFTの製品・サービスが評価されるので、全体観をもってアプリケーションを構築しなければなりません。

AIを高性能化し、データを蓄積しながらユーザーエクスペリエンスの向上を目指さなければいけないわけです。

若い人にとっては、ゲイツも過去の人になりましたが、「個人のエンパワーメント」という創業の精神は、ナデラCEOにも引き継がれ、新時代の発展期を迎えています。

筆者はなぜかマックPCやアイパッド等が好きになれないので、長らくMSFTユーザーを続けてきました。

MSFT製品にはやや融通が利かないところもありますが、ユーザーの一人として、今後の発展に期待したいと考えています。

※創業期のMSFT躍進の過程

ゲイツはIBMがPCを制御するOS開発に悩んでいると聞き、80年にIBMのためにOSをつくることを申し出ます。ここで契約が成立すると、ゲイツは、既存のOSの権利をシアトルの某会社から割安な金額で買い取り、それをIBMのニーズに合わせて改良しました。かくしてMS-DOSが誕生し、MSFT躍進の足掛かりとなります。当時のIBM製PCは三種のOSが使えたのですが、ゲイツはOSの著作権を保持しながら、OSのシェア首位を獲得。IBMのPC販売の拡大に合わせて「ソフトで儲ける」体制を確立しました。90年にWINDOWS、95年にインターネット・エクスプローラーの販売開始。90年代は9割以上のPCがMSFTのソフトで動いていました