金・金鉱株ETF(GLD・IAU・GDX・GDXJ)を比較する

金・金鉱株

金/金鉱株ETFのデータを比較してみます。

金ETFの代表は、ステート・ストリート社の【GLD】、ブラックロック社の【IAU】ですが、金鉱株ETFとしてヴァンエックベクトルの【GDX】【GDXJ】も紹介してみます。

(※GLDとIAUはともに金の国際価格に連動するが、運用資産、経費率、金の保管場所や管理方法、信託形態などに違いがある)

このページでは、積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、ポートフォリオ等の詳細を整理します。

【金・金鉱株ETF】GLD, IAU, GDX, GDXJを徹底比較!

インフレや市場の不確実性が高まる中で、「有事の金」として金(ゴールド)への関心が集まっています。金への投資には、金現物に直接投資するETFと、金を採掘する「金鉱株」に投資するETFの2種類があり、それぞれ全く異なる特性を持ちます。今回は、代表的な4つのETF「GLD」「IAU」「GDX」「GDXJ」を比較し、あなたの投資戦略に最適な選択肢を探ります。

【金現物ETF】安全資産としての選択肢 (GLD vs IAU)

金そのものの価格に連動することを目指すETFです。金の現物を信託財産として保管しており、ポートフォリオの「守り」やインフレヘッジとして機能します。分配金はありません。

【GLD】SPDR® ゴールド・シェア

世界最大級の純資産総額と圧倒的な取引量を誇る、最も代表的な金ETFです。その高い流動性は、頻繁に取引するトレーダーにとって大きな魅力です。ただし、経費率は競合のIAUより高めに設定されています。

経費率 0.40%
純資産総額 約7.9兆円

【IAU】iシェアーズ・ゴールド・トラスト

GLDと同様に金現物に投資しますが、経費率が低いのが最大の特徴です。コストを重視する長期投資家にとっては、GLDより有利な選択肢となります。流動性も十分に高いですが、GLDには及びません。

経費率 0.25%
純資産総額 約3.9兆円

★選び方:コストを最優先する長期投資家ならIAU、最高の流動性を求める短期トレーダーならGLDが適しています。


【金鉱株ETF】金価格上昇を積極的に狙う選択肢 (GDX vs GDXJ)

金を採掘・生産する企業の株式に投資するETFです。金価格だけでなく、企業の業績や経営状況にも価格が左右されます。企業からの配当があるため、分配金が出ます。

【GDX】ヴァンエック・金鉱株ETF

世界の主要な大手・中堅金鉱株に分散投資します。金鉱株ETFの中で最も代表的で、流動性も高いです。

経費率 0.51%
上位構成銘柄 Newmont Corp, Barrick Gold, Agnico Eagle Minesなど
国別比率 カナダ (約43%), 米国 (約19%), オーストラリア (約13%) など

【GDXJ】ヴァンエック・中小型金鉱株ETF

GDXよりも規模の小さい中・小型の金鉱株に投資します。これらの企業は、新たな金脈の探鉱や開発段階にあることが多く、成功すれば株価が大きく上昇する可能性がある一方、失敗のリスクも高い、よりハイリスク・ハイリターンなETFです。

経費率 0.52%
上位構成銘柄 Kinross Gold, Pan American Silver, Alamos Goldなど
国別比率 カナダ (約55%), オーストラリア (約13%), 南アフリカ (約7%) など

【最重要】金現物ETF vs 金鉱株ETF 徹底比較

どちらに投資すべきか?両者の根本的な違いを理解しましょう。

項目 金現物ETF (GLD, IAU) 金鉱株ETF (GDX, GDXJ)
値動き 金価格に素直に連動 金価格にレバレッジが効いた動きをすることがある(変動幅が大きい)
リスク要因 金価格の変動リスクのみ 金価格変動に加え、企業リスク(経営、開発)やカントリーリスクも負う
分配金 なし あり
役割 安全資産、ポートフォリオの「守り」 積極的なリターン追求、ポートフォリオの「攻め」

まとめ:あなたの戦略に合うのはどれ?

  • インフレヘッジや資産の逃避先として、ポートフォリオの安定性を高めたいなら → GLD or IAU (長期なら低コストのIAUが有利)
  • 金価格の上昇をより積極的にリターンに繋げたい、高いリスクを取れるなら → GDX or GDXJ (さらに高いリターンを狙うならGDXJ)

金現物と金鉱株は、似ているようで全く異なる資産クラスです。それぞれの特性を理解し、ご自身の投資戦略とリスク許容度に合わせて賢く活用しましょう。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。



配当金(分配金)と利回り

年間配当を1年の平均株価で割った平均利回りの推移です。

GDX GDXJ
2024 1.45% 0.69%
2023 1.58% 0.51%
2022 1.83% 2.02%
2021 0.6% 1.86%
2020 0.57% 0.4%
2019 0.44% 0.4%
2018 0.83% 0.05%
2017 0.26% 4.26%
2016 0.51% 0.58%
2015 0.73% 0.79%
2014 0.84% 0.03%

ポートフォリオの比較

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率はチャールズシュワブ、組入れ上位10銘柄はフィディリティのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢