金・金鉱株ETF(GLD・IAU・GDX・GDXJ)を比較する

コモディティ,金・金鉱株

金現物と金鉱株へ投資する代表的なETFを比較します。

金現物に連動する代表的な商品には、ステート・ストリートの【GLD】とブラックロックの【IAU】があります。金を採掘・生産する企業へ投資する金鉱株ETFとしては、ヴァンエックの【GDX】【GDXJ】が代表的です。

GLDとIAUは、金地金を保有する上場信託を通じて、経費控除後の金価格への連動を目指します。一方、GDXとGDXJは金鉱会社などの株式へ投資するため、金価格だけでなく、採掘コスト、埋蔵量、財務、為替、各国の規制や政治情勢にも左右されます。

このページでは、積立や資産運用の参考となるように、4商品の純資産総額、コスト、運用実績、利回り、構成銘柄、リスクの違いを整理します。

【金・金鉱株ETF】GLD・IAU・GDX・GDXJを徹底比較!

更新:2026年7月(最新データ反映)

純資産総額、価格、保有銘柄数、利回りなどは、原則として2026年7月14日時点の各運用会社の公式表示へ更新しました。運用実績を横並びで比較する箇所では、4商品ともデータがそろう2026年6月30日時点のNAVリターンを使用しています。[1][2][3][4]

2026年は「金=常に安定」とは言い切れない値動き

金は2026年1月に一時1トロイオンス5,500ドルを上回った後、2026年6月下旬には4,000ドルを一時下回りました。2026年上期のドル建て金価格は約7%下落しており、地政学リスクが高い環境であっても、金価格が短期間で大きく変動することが示されています。[6]

金は、株式や債券とは異なる値動きをする資産として、ポートフォリオ分散に利用されることがあります。ただし、金そのものに企業利益や利息があるわけではなく、価格は実質金利、米ドル、投資資金の流入出、中央銀行需要、地政学情勢などによって変動します。

代表的な4商品であるGLD、IAU、GDX、GDXJを、「金現物」と「金鉱株」に分けて比較します。

【金現物ETF】金価格への連動を目指す選択肢(GLD vs IAU)

GLDとIAUは、保管された金地金を裏付け資産とする上場信託です。金鉱会社の株式を保有するのではなく、信託が保有する金地金の価値から費用を差し引いた値動きへの連動を目指します。

ベンチマークとして利用されるLBMA Gold Priceは、ロンドンの金市場における国際的な指標価格です。電子オークションを通じて算出され、ICE Benchmark Administrationが運営・管理しています。[5]

金地金は利息や配当を生まないため、現物型の商品は基本的にインカム獲得を目的とするものではありません。IAUの公式ページでも、分配頻度は「None」と表示されています。[2]

【GLD】SPDR ゴールド・シェア

GLDは2004年に米国市場へ上場した、世界最大級の金現物型商品です。純資産規模、ドルベースの売買金額、オプション取引などを重視する場合の基準になりやすい商品です。[1]

正式名称 SPDR Gold Shares
投資対象 金地金
ベンチマーク LBMA Gold Price PM。[1][5]
経費率 0.40%です(Gross Expense Ratio、2026年7月15日時点の公式表示)。[1]
純資産総額 約1,315.9億ドルです(AUM、2026年7月14日時点)。[1]
NAV 373.95ドルです(2026年7月14日時点)。[1]
2026年上期リターン -6.73%です(NAV、2026年6月30日まで)。[1]
過去1年間 +21.99%です(NAV、2026年6月30日時点)。[1]
売買スプレッド 30日中央値は0.01%です(2026年7月14日時点)。[1]
設定日 2004年11月18日です。[1]

GLDの長所は、純資産と取引規模が非常に大きいことです。頻繁に売買する場合やオプションを利用する場合には、流動性の高さが重要になります。

一方、年0.40%の経費率はIAUのスポンサー報酬0.25%より高く、長期保有ではコスト差が積み重なります。

【IAU】iシェアーズ・ゴールド・トラスト

IAUも金地金価格への連動を目指す上場信託です。GLDより純資産総額は小さいものの、スポンサー報酬が年0.25%と低い点が特徴です。[2]

正式名称 iShares Gold Trust
投資対象 金地金
参照ベンチマーク LBMA Gold Price。[2][5]
スポンサー報酬 0.25%です(現行目論見書の公式表示)。[2]
純資産総額 約605.2億ドルです(2026年7月14日時点)。[2]
終値 76.27ドルです(2026年7月14日時点)。[2]
金保有量 約461.94トンです(2026年7月14日時点)。[2]
分配頻度 なしです(Distribution Frequency: None、2026年7月14日時点)。[2]
2026年上期リターン -6.66%です(NAV、2026年6月30日まで)。[2]
過去1年間 +22.16%です(NAV、2026年6月30日時点)。[2]
売買スプレッド 30日中央値は0.01%です(2026年7月14日時点)。[2]
設定日 2005年1月21日です。[2]
GLDとIAUの選び方

  • 保有コストを重視するならIAU:年率コストはGLDより0.15ポイント低くなっています。
  • 純資産規模や取引環境を重視するならGLD:2026年7月14日時点の純資産はIAUの2倍を超えています。
  • 1口当たり価格を重視するならIAU:2026年7月14日時点ではGLDが373.95ドル、IAUが76ドル台です。ただし、証券会社が端株取引に対応している場合、1口当たり価格の重要性は低下します。

GLDとIAUは、経費控除前であれば基本的に同じ金市場へ投資する商品です。長期ではコスト差が効きやすい一方、短期売買ではスプレッド、売買金額、注文方法なども確認する必要があります。

また、いずれも米ドル建てで取引されます。日本円で損益を評価する場合、ドル建て金価格だけでなく、円と米ドルの為替変動も円換算リターンに影響します。


【金鉱株ETF】金価格上昇を積極的に狙う選択肢(GDX vs GDXJ)

GDXとGDXJは金地金を保有する商品ではなく、金や銀の採掘、生産、権益、ロイヤルティ、ストリーミングなどに関わる企業の株式へ投資します。

金価格が上昇すると、売上高の増加額が採掘コストの増加額を上回り、金鉱会社の利益が金価格以上の割合で増える場合があります。反対に、金価格が下落した場合や採掘コストが上昇した場合には、利益が急減し、株価が金価格以上に下落することがあります。

したがって、金鉱株ETFは「金価格への高感応度を持つ株式ETF」であり、金現物ETFの代替商品ではありません。

【GDX】ヴァンエック・金鉱株ETF

GDXは、世界の主要な金鉱会社を中心に投資します。2025年9月22日以降は、MarketVector Global Gold Miners Indexへの連動を目指しています。それ以前の指数実績には、旧ベンチマークであるNYSE Arca Gold Miners Indexのデータが含まれます。[3]

正式名称 VanEck Gold Miners ETF
連動指数 MarketVector Global Gold Miners Index。[3]
経費率 0.51%です(GrossおよびNet Expense Ratio、2026年7月14日時点)。[3]
純資産総額 約228.3億ドルです(2026年7月14日時点)。[3]
NAV 74.68ドルです(2026年7月14日時点)。[3]
公式の保有項目数 68です(現金等を含むTotal Holdings、2026年7月14日時点)。[3]
2026年上期リターン -12.38%です(NAV、2026年6月30日まで)。[3]
過去1年間 +45.77%です(NAV、2026年6月30日時点)。[3]
分配頻度 年1回です(2026年7月14日時点)。[3]
30日SEC利回り 0.59%です(2026年7月14日時点)。[3]
分配利回り 0.85%です(2026年7月14日時点)。[3]
設定日 2006年5月16日です。[3]

上位構成銘柄(2026年7月14日時点)

順位 企業名 構成比率
1 Newmont 10.66%
2 Agnico Eagle Mines 10.02%
3 Barrick Mining 7.97%
4 Wheaton Precious Metals 5.46%
5 AngloGold Ashanti 5.05%
6 Franco-Nevada 4.81%
7 Kinross Gold 4.49%
8 Gold Fields 4.07%
9 Pan American Silver 2.92%
10 Northern Star Resources 2.81%

上位10銘柄の合計比率は約58.26%です(2026年7月14日時点)。特にNewmont、Agnico Eagle Mines、Barrick Miningの3社だけで約28.65%を占めています。[3]

国別では、カナダ47.39%、米国21.61%、オーストラリア8.41%、ブラジル5.60%、南アフリカ5.15%です(2026年6月30日時点)。米国上場ETFであっても、実質的な事業・通貨・政治リスクは世界各国に分散しています。[3]

【GDXJ】ヴァンエック・ジュニア金鉱株ETF

GDXJは、中小型の金・銀鉱山会社を中心に投資します。一部には探鉱・開発段階の企業も含まれますが、ポートフォリオの上位にはすでに生産実績のある企業も多く、すべてが初期段階の探鉱会社というわけではありません。[4]

正式名称 VanEck Junior Gold Miners ETF
連動指数 MVIS Global Junior Gold Miners Index。[4]
経費率 0.52%です(GrossおよびNet Expense Ratio、2026年7月14日時点)。[4]
純資産総額 約70.4億ドルです(2026年7月14日時点)。[4]
NAV 97.88ドルです(2026年7月14日時点)。[4]
公式の保有項目数 122です(現金等を含むTotal Holdings、2026年7月14日時点)。[4]
2026年上期リターン -13.98%です(NAV、2026年6月30日まで)。[4]
過去1年間 +48.65%です(NAV、2026年6月30日時点)。[4]
分配頻度 年1回です(2026年7月14日時点)。[4]
30日SEC利回り 0.36%です(2026年7月14日時点)。[4]
分配利回り 2.71%です(2026年7月14日時点)。[4]
設定日 2009年11月10日です。[4]

上位構成銘柄(2026年7月14日時点)

順位 企業名 構成比率
1 Evolution Mining 6.35%
2 Equinox Gold 6.16%
3 Alamos Gold 6.05%
4 Endeavour Mining 5.24%
5 Coeur Mining 5.06%
6 Industrias Peñoles 2.97%
7 First Majestic Silver 2.72%
8 Hecla Mining 2.65%
9 IAMGOLD 2.49%
10 Eldorado Gold 2.37%

上位10銘柄の合計比率は約42.06%です(2026年7月14日時点)。GDXより保有項目数が多く、上位銘柄への集中度も低いものの、企業規模が小さく、資金調達や鉱山開発の失敗による影響を受けやすくなります。[4]

国別では、カナダ44.64%、オーストラリア18.58%、米国10.79%、イギリス5.94%、メキシコ4.10%です(2026年6月30日時点)。GDXよりオーストラリアや新興国の比率が高く、各国の政治、鉱業法制、許認可、現地通貨の影響を受けます。[4]

GDXJの「分配利回り2.71%」には注意

GDXJは年1回分配で、2025年12月には1口当たり2.6494ドルを分配しました。この直近分配金を基にした分配利回りが2.71%と表示されていますが、30日SEC利回りは2026年7月14日時点で0.36%です。毎年同額の分配金が続くことを示す数値ではありません。[4]

【最重要】金現物ETF vs 金鉱株ETF 徹底比較

金現物と金鉱株では、投資収益を生み出す仕組みが異なります。期待する役割と、許容できるリスクの種類を分けて考えることが重要です。

項目 金現物
GLD・IAU
金鉱株
GDX・GDXJ
投資対象 保管された金地金 金・銀鉱山会社、ロイヤルティ会社などの株式
主な値動き 金価格から費用を差し引いた値動きに比較的近い 金価格に加え、企業利益、採掘コスト、埋蔵量、財務などで変動
2026年上期 GLD -6.73%
IAU -6.66%
GDX -12.38%
GDXJ -13.98%
過去1年間 GLD +21.99%
IAU +22.16%
GDX +45.77%
GDXJ +48.65%
経費率・報酬 GLD 0.40%
IAU 0.25%
GDX 0.51%
GDXJ 0.52%
インカム 基本的に期待しない 企業配当を原資とした分配が生じる場合がある
企業固有リスク 原則としてなし 操業停止、事故、資金調達、買収、経営判断など
カントリーリスク 金の保管・市場制度に関するリスク 鉱山所在地の政治、税制、許認可、資源ナショナリズム
ポートフォリオ上の役割 金価格への直接的なエクスポージャー 金価格上昇時の利益拡大を狙う株式投資

※リターンはすべてNAVベースで、2026年上期は2026年6月30日まで、過去1年間は2026年6月30日時点です。[1][2][3][4]

2026年の金市場で確認したいポイント

World Gold Councilによると、2026年Q1の世界の金需要は前年同期比で小幅増の1,231トンとなり、金額ベースでは過去最高の1,930億ドルに達しました。金ETFへの資金流入は62トン、中央銀行の純購入は244トンでした。[6]

2026年5月の中央銀行による金の純購入は約41トンでした。2026年の中央銀行調査では、回答者の89%が今後12カ月で世界の中央銀行の金準備が増えると予想し、45%が自らの中央銀行の金準備も増えると回答しています。[6]

一方、2026年上期には金価格が記録的な高値から急落し、金ETFからの資金流出も発生しました。中央銀行需要や地政学リスクが金価格を常に押し上げるわけではなく、実質金利、米ドル、利益確定、投資家のポジション調整も重要です。[6]

金・金鉱株ETFに投資する際の主なリスク

  1. 金価格下落リスク:金は元本保証資産ではありません。実質金利の上昇、米ドル高、リスク選好の回復などにより下落することがあります。
  2. インカムを生まないリスク:金地金は配当や利息を生みません。GLDとIAUでは、信託費用の支払いによって1口当たりの金保有量が長期的に減少します。
  3. 金鉱会社の採掘コスト:燃料、人件費、資材、運搬費の上昇により、金価格が上昇しても企業利益が増えない場合があります。
  4. 鉱山開発・操業リスク:埋蔵量の下方修正、事故、ストライキ、天候、許認可の遅延などにより、鉱山会社の業績が悪化する可能性があります。
  5. 金以外の金属への影響:GDXとGDXJには銀などの生産比率が高い企業も含まれます。金価格だけに連動するポートフォリオではありません。
  6. 国・地域の集中:GDXとGDXJはカナダ企業の比率が4割を超えています。鉱山そのものはアフリカ、中南米、アジアなどにある場合もあり、企業の上場国だけでは実際の地政学リスクを把握できません。
  7. 為替リスク:日本の投資家が円換算で評価する場合、ドル建て価格と円・ドル相場の両方が損益に影響します。金鉱株では、企業の事業通貨や鉱山所在地の通貨も業績に影響します。

まとめ:投資目的に合うのはどれ?

  • 金価格へ直接的に投資し、コストを抑えて長期保有するならIAU:スポンサー報酬は年0.25%で、GLDより低コストです。
  • 純資産規模、取引環境、オプション市場を重視するならGLD:2026年7月14日時点の純資産は約1,315.9億ドルです。
  • 世界の大手金鉱会社へ投資するならGDX:大手生産会社、ロイヤルティ・ストリーミング会社などを中心に保有します。
  • 中小型金鉱株の上昇余地を狙うならGDXJ:GDXより企業規模が小さく、上昇余地がある一方、資金調達や鉱山開発の失敗による影響も大きくなります。

金現物と金鉱株は、同じ「金関連」という名称であっても異なる資産です。金価格への連動を目的とするならGLDまたはIAU、金価格上昇による企業利益の拡大を狙うならGDXまたはGDXJという整理が基本になります。

金鉱株は金現物より高いリターンを生む場合がありますが、2026年上期のように金価格が下落する局面では、下落率も大きくなりやすい点に注意が必要です。

本記事の数値は、主として2026年7月14日時点の純資産、価格、保有銘柄、利回りと、2026年6月30日時点の運用実績を使用しています。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。最新情報は各運用会社の公式サイトでご確認ください。

【注】(出典リンク)

  1. GLDの純資産・経費率・NAV・ベンチマーク・運用実績・売買スプレッド → State Street「SPDR Gold Shares / GLD」公式ページWorld Gold Trust Services「GLD」公式ページ(確認日:2026-07-15):contentReference[oaicite:0]{index=0}
  2. IAUのスポンサー報酬・純資産・価格・金保有量・分配頻度・運用実績 → BlackRock iShares「iShares Gold Trust / IAU」公式ページ(確認日:2026-07-15):contentReference[oaicite:1]{index=1}
  3. GDXの経費率・純資産・指数・運用実績・保有銘柄・国別構成・利回り → VanEck「Gold Miners ETF / GDX」公式ページVanEck「GDX Fact Sheet」(確認日:2026-07-15):contentReference[oaicite:2]{index=2}
  4. GDXJの経費率・純資産・指数・運用実績・保有銘柄・国別構成・利回り → VanEck「Junior Gold Miners ETF / GDXJ」公式ページVanEck「GDXJ Fact Sheet」(確認日:2026-07-15):contentReference[oaicite:3]{index=3}
  5. LBMA Gold Priceの運営・算出概要 → London Bullion Market Association「LBMA Gold Price」(確認日:2026-07-15):contentReference[oaicite:4]{index=4}
  6. 2026年の金価格・需要・ETF資金・中央銀行購入 → World Gold Council「Gold Demand Trends: Q1 2026」World Gold Council「Gold Mid-Year Outlook 2026」World Gold Council「Central banks remain committed to gold」(確認日:2026-07-15):contentReference[oaicite:5]{index=5}
更新元::contentReference[oaicite:6]{index=6}

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。



配当金(分配金)と利回り

年間配当を1年の平均株価で割った平均利回りの推移です。

GDX GDXJ
2024 1.45% 0.69%
2023 1.58% 0.51%
2022 1.83% 2.02%
2021 0.6% 1.86%
2020 0.57% 0.4%
2019 0.44% 0.4%
2018 0.83% 0.05%
2017 0.26% 4.26%
2016 0.51% 0.58%
2015 0.73% 0.79%
2014 0.84% 0.03%

ポートフォリオの比較

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率はチャールズシュワブ、組入れ上位10銘柄はフィディリティのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢