ヘルスケアETFおすすめ比較|VHT・XLV・IYH・IXJの違いと構成銘柄

セクターETF

米国のヘルスケアセクターETFのデータを比較します。

代表的な商品は、バンガードの【VHT】、ステート・ストリートの【XLV】、ブラックロックの【IYH】です。本記事では、世界各国のヘルスケア企業に投資する【IXJ】もあわせて紹介します。

XLVは米国の大型株に絞った設計、VHTは米国の大型株から小型株まで含む設計、IYHは米国の主要ヘルスケア企業約100銘柄に投資する設計です。IXJはグローバル型ですが、2026年7月15日時点の米国比率は71.17%であり、米国企業の影響が大きい商品です。[1][2][3][4]

このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETFの概要、連動指数、経費率、株価、分配金、構成銘柄、上位銘柄への集中度、パフォーマンス、リスクを整理します。

ヘルスケアETFおすすめ比較|VHT・XLV・IYH・IXJの違い

ヘルスケアセクターと一口にいっても、医薬品、バイオテクノロジー、医療機器、医療サービスなど、中身はかなり幅広くなっています。ETFごとに「大型株に寄るか」「中小型株まで含むか」「米国外を含むか」が異なるため、同じヘルスケアETFでも値動きやリスクは同一ではありません。

【はじめに】ヘルスケアETFは「同じセクター」でも中身が違う

ヘルスケアETFは、景気動向の影響を比較的受けにくい医薬品や医療サービスを含む一方、医療機器、バイオテクノロジー、肥満症治療薬など、成長期待の高い分野も組み入れています。

ただし、ETFごとに上位銘柄への集中度や投資対象の広さが異なります。大まかに整理すると、XLVは大型主力株への集中度が高いタイプVHTは中小型株まで含む幅広いタイプIXJは米国外も含むグローバル型です。

主要ヘルスケアETF比較一覧表(2026/7/17確認)

まずは、今回紹介するETFの「個性」が一目でわかる比較表をご覧ください。特に、経費率だけでなく、保有銘柄数と上位銘柄への集中度を確認することが重要です。

ティッカー 投資戦略 経費率
(年率)
集中度・銘柄数
(目安)
キーワード
XLV 米国・S&P 500構成の大型株中心 0.08%
2026/07/15確認[1]
60銘柄を保有。上位10銘柄で約60.8%(2026/07/15時点)。[1] 大型主力株、低コスト、高い流動性
VHT 米国・大型株から小型株まで幅広く分散 0.09%
2025/12/19時点[2]
407銘柄を保有。上位10銘柄で50.6%(2026/03/31時点)。[2] 米国ヘルスケア全体を広く保有
IYH 米国・大型株を中心とする約100銘柄 0.38%
2026/07/15確認[3]
保有銘柄数100(2026/07/15時点)。[3] VHTより銘柄数が少なく、経費率は高め
IXJ 世界のヘルスケア企業に分散 0.40%
2026/07/15確認[4]
保有銘柄数110、米国比率71.17%(2026/07/15時点)。[4] 米国外も含むが、米国への依存度は高い

※経費率、構成比、保有銘柄数、純資産総額、利回り、パフォーマンスは変動します。数値は各運用会社が公表した基準日時点のデータです。

ミニ解説:XLVの上位10銘柄比率は2026年7月15日時点で約60.8%です。一方、VHTは2026年3月31日時点で50.6%でした。XLVは少数の大型主力株の影響を受けやすく、VHTは同じ米国ヘルスケアETFでも中小型株まで投資対象を広げています。[1][2]

結論:目的別に選ぶなら

  • 大型主力株、低コスト、売買のしやすさを重視:XLV
  • 米国ヘルスケアの大型株から小型株まで幅広く保有:VHT
  • iSharesの米国ヘルスケア指数を選ぶ:IYH
  • 米国外の大手ヘルスケア企業も含める:IXJ

どれが一律に優れているというより、投資対象の範囲、上位銘柄への集中度、地域構成、経費率の違いで選ぶのが基本です。


【米国ヘルスケアETF対決】XLV vs VHT

米国のヘルスケアセクターに投資する場合、中心的な選択肢となるのがXLVとVHTです。経費率の差は年率0.01ポイントにすぎませんが、投資対象の広さには大きな違いがあります。

XLVはS&P 500構成銘柄のうちヘルスケア企業に投資するため、大型株への集中度が高くなります。VHTは大型株だけでなく中型株や小型株も含むため、セクター内の裾野が広いETFです。

【XLV】ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド(大型株中心)

  • 連動指数:Health Care Select Sector Index。[1]
  • 保有銘柄数:60(2026/07/15時点)。[1]
  • 純資産総額(AUM):406.4億ドル(2026/07/15時点)。[1]
  • 30日SEC利回り:1.57%(2026/07/15時点)。[1]
  • 分配頻度:四半期。[1]
  • 30日中央値売買スプレッド:0.01%(2026/07/15時点)。純資産規模と取引量が大きく、売買のしやすさが強みです。[1]
  • 上位銘柄:2026/07/15時点では、Eli Lillyが15.99%、Johnson & Johnsonが10.39%、AbbVieが7.54%、UnitedHealth Groupが6.64%、Merckが5.34%でした。[1]

上位5銘柄だけで約45.9%を占め、上位10銘柄では約60.8%になります。大型主力株が好調な局面では上昇しやすい一方、Eli LillyやJohnson & Johnsonなどの値動きがETF全体に与える影響も大きくなります。

【VHT】バンガード・ヘルスケアETF(幅広分散型)

  • 連動指数:MSCI US Investable Market Health Care 25/50 Index。[2]
  • 保有銘柄数:407(2026/03/31時点)。[2]
  • ETF純資産総額:178億ドル(2026/06/30時点)。[2]
  • 30日SEC利回り:1.32%(2026/06/30時点)。[2]
  • 分配頻度:四半期。[2]
  • 特徴:大型株だけでなく中型株や小型株も含みます。2026/03/31時点では、大型株が65.6%、中型株・中小型株が合計23.3%、小型株が11.2%でした。[2]
  • 上位集中度:2026/03/31時点の上位10銘柄比率は50.6%でした。XLVより分散されていますが、Eli Lilly、Johnson & Johnson、AbbVieなどの大型株の影響は依然として大きくなります。[2]

VHTは小型バイオ企業や医療機器企業も含むため、米国ヘルスケア市場を幅広く保有したい場合に適しています。一方、保有銘柄数が多ければ必ず値動きが安定するとは限りません。小型株やバイオ株の比率があるため、大型株だけに投資するXLVとは異なる値動きをすることがあります。

XLVとVHTの選び分け

  • 大型主力株、取引のしやすさ、わずかでも低い経費率を重視する場合:XLV。
  • 中小型株まで含む米国ヘルスケア全体への分散を重視する場合:VHT。

経費率はXLVが0.08%、VHTが0.09%であり、長期保有におけるコスト差は小さい水準です。両者を比較する際は、経費率よりも投資対象の広さと上位銘柄への集中度を重視したほうが実態に合っています。


【選択肢を広げる】iシェアーズの米国・グローバルETF

VanguardやSPDRの主力ETF以外にも、iSharesには性格の異なる選択肢があります。IYHは米国ヘルスケア株に投資するETF、IXJは米国外を含むグローバル型ETFです。

【IYH】VHT・XLVより高コストの米国ヘルスケアETF

iShares U.S. Healthcare ETF(IYH)は、Russell 1000 Health Care RIC 22.5/45 Capped Indexに連動するETFです。経費率は0.38%で、保有銘柄数は100(2026/07/15時点)、純資産総額は約30.9億ドル(2026/07/16時点)です。30日SEC利回りは1.21%(2026/06/30時点)で、分配は四半期です。[3]

IYHは米国ヘルスケアを複数銘柄に分散して保有できますが、保有銘柄数はVHTより大幅に少なく、経費率はVHTやXLVより高くなっています。

特定の指数設計やiSharesの商品を選ぶ理由がある場合には候補になりますが、単純に低コストで米国ヘルスケアへ投資する目的なら、XLVやVHTとの比較が欠かせません。

【IXJ】グローバル戦略という選択肢

「米国企業だけに投資するのは偏りが気になる」と考える投資家にとって、iShares Global Healthcare ETF(IXJ)は選択肢になります。

IXJの経費率は0.40%、保有銘柄数は110(2026/07/15時点)、純資産総額は約41.0億ドル(2026/07/16時点)です。30日SEC利回りは1.48%(2026/06/30時点)で、分配頻度は年2回です。[4]

IXJに投資する主なメリット

  • 地域分散:米国のほか、スイス、英国、日本、デンマーク、フランス、ドイツなどのヘルスケア企業を保有します。[4]
  • 世界の大手ヘルスケア企業へのアクセス:医薬品、バイオテクノロジー、医療機器、医療サービスなどをまとめて保有できます。
  • 米国に上場していない大手企業も組み入れられる:米国のセクターETFだけでは得られない企業への投資機会があります。

⚠️ 注意点:グローバル型でも米国比率は高い

2026/07/15時点のIXJの国別構成は、米国が71.17%、スイスが9.94%、英国が5.53%、日本が3.69%、デンマークが2.44%でした。世界分散型ではありますが、米国市場の影響を避ける商品ではありません。[4]

また、30日中央値売買スプレッドは0.12%(2026/07/15時点)で、XLVやIYHより広くなっています。少額の長期投資では大きな問題になりにくいものの、頻繁に売買する場合は取引コストにも注意が必要です。[4]

IXJの指数変更は実施済み

IXJは、2026年3月23日ごろから連動指数をS&P Global 1200 Health Care Indexから、銘柄集中を制限するS&P Global 1200 Health Care (Sector) Capped Index(Net)へ変更しました。2026年7月時点の公式ページでは、新指数がベンチマークとして表示されています。[4]

したがって、2026年3月以前の資料と現在のIXJでは、指数名称とウェイト調整のルールが異なります。過去の比較記事を参照する場合は、指数変更前の情報かどうかを確認する必要があります。


株価:過去~現在

VHT、XLV、IYH、IXJの株価推移を比較します。

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位は、Bが10億ドル、Mが100万ドルです。株価の成長率、前日比、52週高値・安値、総資産、分配利回り、経費率、権利落ち日などを整理しています。株価は最大20分程度遅れて表示されます。




【2026年市場環境】ヘルスケアETFの現在のパフォーマンス

📊 2026年5月上旬まで年初来マイナスだった主要ヘルスケアETFは、6月の上昇を受け、2026年6月末時点では4本ともプラスに転じました。

ただし、指数や組入範囲の違いにより、上昇率には差が生じています。

主要ETFの年初来パフォーマンス(2026/6/30時点)

  • VHT:年初来リターン(NAV)は+4.70%[2]
  • IYH:年初来リターン(NAV)は+3.61%[3]
  • XLV:年初来リターン(NAV)は+3.41%[1]
  • IXJ:年初来リターン(NAV)は+1.97%[4]

2026年6月末時点では、中小型株まで含むVHTが4本のなかで最も高い年初来リターンとなりました。ただし、数か月の騰落率だけでETFの優劣を判断することはできません。どの規模の企業や地域が上昇したかによって、順位は短期間で変わります。

パフォーマンスが分かれやすい主な要因

  1. 上位銘柄への集中度:XLVのように大型株比率が高いETFでは、Eli Lilly、Johnson & Johnson、AbbVie、UnitedHealth Groupなど、少数の主力銘柄の値動きが強く反映されます。
  2. 組入範囲の違い:VHTは大型株から小型株まで含み、XLVはS&P 500構成銘柄、IYHはRussell 1000のヘルスケア銘柄を中心に投資します。
  3. 地域構成の違い:IXJは米国外の企業を含むため、米国株だけでなく、各国の株式市場や為替変動の影響も受けます。
  4. 指数ルールの違い:25/50ルールや銘柄上限を設けた指数では、特定企業の時価総額が急増しても、組入比率が一定水準に調整されることがあります。
  5. 薬価・規制・個別材料:薬価政策、医療保険制度、臨床試験、特許切れ、企業買収などにより、個別銘柄の値動きが大きくなることがあります。

配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金と平均株価から、独自に算出した参考利回りの推移を比較します。

この表の「平均利回り」について:各年の年間分配金合計を、その年の平均株価で割って算出した当サイト独自の参考値です。運用会社が公表する30日SEC利回りや直近12カ月利回りとは、算出方法が異なります。

年間分配金には、通常の所得分配に加え、キャピタルゲイン分配などが含まれる場合があります。そのため、通常の定期的な分配だけで計算した利回りや、運用会社の公式表示とは一致しないことがあります。株式分割が行われたETFについては、過去の株価と分配金を分割調整後の数値で比較しています。

2026年分は年間累計が確定していないため、年次比較表には掲載していません。

VHTの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 1.78% 4.64 19.9% 260.1 -0.1%
2024 1.49% 3.87 13.5% 260.4 13.0%
2023 1.48% 3.41 3.3% 230.4 0.8%
2022 1.44% 3.30 8.6% 228.5 -0.2%
2021 1.33% 3.04 12.2% 228.9 26.7%
2020 1.50% 2.71 -25.1% 180.7 14.9%
2019 2.30% 3.62 63.1% 157.2 7.3%
2018 1.52% 2.22 9.9% 146.5 14.7%
2017 1.58% 2.02 9.8% 127.7 15.7%
2016 1.67% 1.84 13.6% 110.4 -3.0%
2015 1.42% 1.62 26.6% 113.8 18.8%
2014 1.34% 1.28 12.3% 95.8 28.9%
2013 1.53% 1.14 -5.0% 74.3 31.7%
2012 2.13% 1.20 14.3% 56.4 15.6%
2011 2.15% 1.05 7.1% 48.8 15.1%
2010 2.31% 0.98 -34.2% 42.4 15.8%
2009 4.07% 1.49 98.7% 36.6 -8.5%
2008 1.88% 0.75 40.0

XLVの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 1.76% 2.48 8.3% 140.9 -0.7%
2024 1.61% 2.29 5.5% 141.9 13.4%
2023 1.73% 2.17 9.0% 125.1 1.5%
2022 1.61% 1.99 6.4% 123.3 5.6%
2021 1.60% 1.87 10.7% 116.8 25.3%
2020 1.81% 1.69 -23.5% 93.2 13.0%
2019 2.68% 2.21 62.5% 82.5 7.7%
2018 1.78% 1.36 11.5% 76.6 13.3%
2017 1.80% 1.22 9.9% 67.6 14.0%
2016 1.87% 1.11 7.8% 59.3 -1.3%
2015 1.71% 1.03 12.0% 60.1 17.2%
2014 1.79% 0.92 9.5% 51.3 28.6%
2013 2.11% 0.84 5.0% 39.9 30.8%
2012 2.62% 0.80 17.6% 30.5 15.5%
2011 2.58% 0.68 17.2% 26.4 14.3%
2010 2.51% 0.58 1.8% 23.1 13.8%
2009 2.81% 0.57 -1.7% 20.3 -9.0%
2008 2.60% 0.58 22.3

IYHの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 1.30% 0.770 6.5% 59.4 -1.3%
2024 1.21% 0.730 7.4% 60.2 13.2%
2023 1.27% 0.680 8.3% 53.2 1.3%
2022 1.19% 0.620 10.6% 52.5 1.7%
2021 1.09% 0.560 -1.6% 51.6 25.9%
2020 1.40% 0.570 16.7% 41.0 14.2%
2019 1.37% 0.490 -30.5% 35.9 7.2%
2018 2.11% 0.710 83.9% 33.5 13.9%
2017 1.31% 0.380 3.5% 29.4 14.8%
2016 1.45% 0.370 -38.8% 25.6 -2.7%
2015 2.30% 0.610 100.7% 26.3 17.4%
2014 1.35% 0.300 13.5% 22.4 28.0%
2013 1.52% 0.270 -5.7% 17.5 31.6%
2012 2.12% 0.280 27.0% 13.3 15.7%
2011 1.93% 0.220 6.7% 11.5 13.9%
2010 2.06% 0.210 6.1% 10.1 14.8%
2009 2.23% 0.200 12.0% 8.8 -8.3%
2008 1.82% 0.170 9.6

IXJの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 1.52% 1.36 5.4% 89.5 -1.2%
2024 1.42% 1.29 7.5% 90.6 12.3%
2023 1.49% 1.20 21.2% 80.7 2.3%
2022 1.25% 0.99 -2.0% 78.9 1.5%
2021 1.30% 1.01 4.1% 77.7 20.7%
2020 1.51% 0.97 -1.0% 64.4 13.8%
2019 1.73% 0.98 -18.3% 56.6 7.8%
2018 2.29% 1.20 46.3% 52.5 10.5%
2017 1.73% 0.82 0.0% 47.5 11.8%
2016 1.93% 0.82 -43.8% 42.5 -4.7%
2015 3.27% 1.46 114.7% 44.6 12.9%
2014 1.72% 0.68 4.6% 39.5 24.6%
2013 2.05% 0.65 -11.0% 31.7 29.4%
2012 2.98% 0.73 19.7% 24.5 12.9%
2011 2.81% 0.61 7.0% 21.7 14.2%
2010 3.00% 0.57 11.8% 19.0 13.1%
2009 3.04% 0.51 0.0% 16.8 -10.2%
2008 2.73% 0.51 18.7


ポートフォリオの比較

次に、各ETFの資産総額を占める株式などの構成比率を確認します。企業規模別の比率と、組入上位10銘柄を比較すると、同じヘルスケアETFでも集中度や投資対象の違いが見えやすくなります。

*投資する企業の規模別比率、組入れ上位10銘柄はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

ヘルスケアETFの選択肢をさらに広げる

VHT、XLV、IYH、IXJはヘルスケアセクターを広く保有するETFですが、医薬品、医療機器、バイオテクノロジーなど、特定分野に絞るETFもあります。

ティッカー 主な投資対象 経費率 特徴
IHE 米国の製薬企業 0.38%[5] 医薬品メーカーへの集中度が高く、広いヘルスケアETFより薬価、特許、臨床試験の影響を受けやすい。
IHI 米国の医療機器企業 0.38%[6] 手術機器、診断機器、医療用品などに集中し、製薬株とは異なる値動きをする場合がある。
XBI 米国のバイオテクノロジー企業 0.35%[7] 比較的均等配分に近い指数設計で、中小型バイオ株の影響を受けやすく、値動きも大きくなりやすい。

これらは投資対象が狭いため、「ヘルスケアETFの代替」というより、特定の業種へ追加投資する商品として考えるほうが実態に合っています。

【重要】ヘルスケアセクター投資の主なリスク

ヘルスケア株は景気変動に比較的強いと評価されることがありますが、価格が安定しているとは限りません。「ディフェンシブだから安心」と単純化せず、セクター固有のリスクを確認する必要があります。

  1. 政治・規制リスク:
    薬価、保険償還、医療制度、政府規制の変更は、ヘルスケア企業の収益見通しや株価評価に影響します。米国政府や議会による薬価引き下げ策は、大手製薬会社や医療保険会社にとって重要なリスクです。
  2. 研究開発・製品競争リスク:
    新薬や医療機器の開発遅延、臨床試験の失敗、承認の見送り、競争激化、特許切れは、企業業績や株価に大きく影響します。特にバイオテクノロジー企業では、少数の開発候補に企業価値が依存する場合があります。
  3. セクター集中リスク:
    複数の銘柄を保有するETFでも、投資先はヘルスケア業界に集中しています。医療政策や薬価をめぐる環境が悪化した場合、構成銘柄の多くが同時に下落する可能性があります。
  4. 大型株集中リスク:
    XLVは2026年7月13日時点で上位10銘柄が約60.8%を占めています。ETFという名称から受ける印象以上に、少数の大型株の業績や株価に左右されます。[1]
  5. 中小型株・バイオ株のリスク:
    VHTはXLVより分散されていますが、中小型株やバイオテクノロジー企業も含みます。これらの企業は、大型製薬会社より業績や資金調達環境が不安定になる場合があります。
  6. 海外市場・為替リスク:
    IXJは米国外の企業を保有するため、各国の規制、政治情勢、市場環境、通貨変動の影響を受けます。ETF自体は米ドルで取引されますが、組入企業の事業価値や現地通貨の変動が基準価額に影響します。

法的な「分散型」と銘柄数は別の概念です。VHTは2026年1月6日付の補足書類で、米国1940年投資会社法上の「非分散型ファンド」へ再分類されました。2026年6月30日補足後のSummary Prospectusにも、この法的区分が反映されています。これは、VHTが400銘柄超を保有していることと矛盾するものではありません。法令上の区分は、一定の発行体に投資できる比率を基準としており、一般的な意味での保有銘柄数とは異なります。[2]

結局どのヘルスケアETFがおすすめか

すべての投資家に共通する一つの「おすすめ」があるわけではありません。投資対象の広さと集中度から整理すると、次のようになります。

  • 米国の大型ヘルスケア株を低コストで保有したい場合:XLV。
  • 米国の大型株から小型株まで幅広く保有したい場合:VHT。
  • iSharesの米国ヘルスケア指数を選びたい場合:IYH。ただし、VHTやXLVより高い経費率を許容できるか確認が必要です。
  • 米国外の大手ヘルスケア企業も含めたい場合:IXJ。ただし、米国比率は7割を超え、完全な地域分散ではありません。

長期保有を前提とする場合、米国ヘルスケアETFの中心的な比較対象はXLVとVHTです。両者の経費率差は小さく、選択の決め手は大型株への集中を選ぶか、中小型株まで含む広い分散を選ぶかになります。

IYHは、XLVやVHTと似た米国ヘルスケアへの投資手段ですが、経費率が高いため、指数設計を選ぶ明確な理由があるかを確認したいところです。IXJは地域分散に意味がありますが、コスト、売買スプレッド、米国比率の高さも考慮する必要があります。

ミニ解説:ヘルスケアETFを選ぶ際は、「どのETFが上がりそうか」だけでなく、どの企業群のリスクを引き受けるかで考えると整理しやすくなります。大型株中心ならXLV、米国ヘルスケア全体を広く保有するならVHT、iSharesの米国指数を選ぶならIYH、米国外も含めるならIXJという違いがあります。

⚖️ 免責事項

本記事は2026年7月17日時点で確認できる情報に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。ETFの保有銘柄、構成比率、経費率、利回り、純資産総額、売買スプレッド、パフォーマンスは変動します。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. XLV公式データ(連動指数、経費率、保有銘柄数、純資産総額、30日SEC利回り、分配頻度、売買スプレッド、構成銘柄、パフォーマンス) → State Street「State Street Health Care Select Sector SPDR ETF」(確認日:2026-07-17)
  2. VHT公式データ(連動指数、経費率、純資産、保有銘柄数、上位10銘柄、規模別構成、分配頻度、30日SEC利回り、パフォーマンス、法的区分) → Vanguard「Vanguard Health Care ETF」Vanguard「VHT Fact Sheet|March 31, 2026」Vanguard「Total Returns|June 30, 2026」Vanguard「VHT Summary Prospectus」(確認日:2026-07-17)
  3. IYH公式データ(経費率、保有銘柄数、ベンチマーク、純資産総額、30日SEC利回り、分配頻度、売買スプレッド、パフォーマンス) → iShares「iShares U.S. Healthcare ETF」(確認日:2026-07-17)
  4. IXJ公式データ(経費率、保有銘柄数、純資産総額、30日SEC利回り、国別構成、指数変更、分配頻度、売買スプレッド、パフォーマンス) → iShares「iShares Global Healthcare ETF」(確認日:2026-07-17)
  5. IHEの投資対象・経費率 → iShares「ETF Investments List」(確認日:2026-07-17)
  6. IHIの投資対象・経費率 → iShares「iShares U.S. Medical Devices ETF」(確認日:2026-07-17)
  7. XBIの投資対象・経費率 → State Street「State Street SPDR S&P Biotech ETF」(確認日:2026-07-17)

Posted by 南 一矢