金銀・プラチナ・パラジウムETFを比較する(GLD・SLV・PPLT・PALL)
コモディティ
金、銀、プラチナ、パラジウム等の貴金属に投資する米国ETFのデータを比較してみます。
このページでは資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動する指標等)や投資対象の違いを整理してみましょう。
【貴金属ETF】金・銀・プラチナ・パラジウムへの投資法を徹底比較!
金(ゴールド)をはじめとする貴金属は、インフレヘッジや安全資産として、また工業製品に不可欠な素材として、多様な顔を持つ資産クラスです。この記事では、金・銀・プラチナ・パラジウムといった主要な貴金属に手軽に投資できるETFを、それぞれの特徴とともに解説します。
🏆 2025年〜2026年初の貴金属市場:高値圏と急変動
• 金価格が史上初の4,000ドル突破(2025年10月8日)。[1]
• 金は4,887.82ドルまで上昇し史上最高値を更新(2026年1月21日、スポット)。[2]
• 銀は一時95.87ドルで過去最高値、2025年は+147%(2026年1月20日、スポット)。同日にプラチナは2,440.94ドルまで上昇(スポット)。[3]
貴金属の種類と特徴
- 金 (Gold): 「安全資産」の代表格で、地政学リスクや金融不安が意識される局面で選好されやすい金属です。
- 銀 (Silver): 金融資産の側面に加えて、太陽光パネルや電子部品など工業用需要の比率が相対的に大きい金属です。
- プラチナ (Platinum): 触媒や宝飾用途に加え、供給制約(鉱山・精錬の制約)が価格変動要因になりやすい金属です。
- パラジウム (Palladium): 触媒用途の比率が高く、自動車市場の変化(車種構成、排ガス規制、代替・置換)で需給が揺れやすい金属です。
重要:ここで紹介する現物保有型の貴金属ETFは、原則として分配金(配当)はありません。価格変動による売却益が主な投資リターンとなります。[4]
① 単一の貴金属に投資するETF
【GLD】SPDR® ゴールド・シェア
金地金の価格に連動する代表的な金ETFです。投資目的は、LBMA Gold Price PM(ロンドン午後金価格)をベンチマークに、信託の費用を差し引いた金地金価格の推移を反映することにあります。経費率(総経費率)の目安は0.40%です(確認日:2026-01-22)。[5]
| 経費率(目安) | 0.40%(2026-01-22時点) |
|---|---|
| 投資対象 | 金の現物地金 |
| ベンチマーク(例) | LBMA Gold Price PM |
【SLV】iシェアーズ シルバー・トラスト
銀地金の現物を保有し、銀価格の値動きへのエクスポージャーを提供するETFです。銀は工業用需要の影響を受けやすく、金と比べて値動きが大きくなる局面があります。経費率(スポンサー手数料)の目安は0.50%です(確認日:2026-01-22)。[6]
| 経費率(目安) | 0.50%(2026-01-22時点) |
|---|---|
| 投資対象 | 銀の現物地金 |
【PPLT】abrdn フィジカル・プラチナ・シェアーズ ETF
プラチナ地金(現物)を保有し、LBMA Platinum Price PMを参照しながら、費用控除後のプラチナ価格への連動を目指すETFです。経費率(総経費率)の目安は0.60%で、2025年通期(2025-12-31時点、NAVベース)のリターンは+120.44%でした。[7]
| 経費率(目安) | 0.60%(2025-12-31時点) |
|---|---|
| 投資対象 | プラチナの現物地金 |
| 参考指標 | LBMA Platinum Price PM |
【PALL】abrdn フィジカル・パラジウム・シェアーズ ETF
パラジウム地金(現物)を保有し、LBMA Palladium Price PMを参照しながら、費用控除後のパラジウム価格への連動を目指すETFです。経費率(総経費率)の目安は0.60%で、2025年通期(2025-12-31時点、NAVベース)のリターンは+71.35%でした。[8]
| 経費率(目安) | 0.60%(2025-12-31時点) |
|---|---|
| 投資対象 | パラジウムの現物地金 |
| 参考指標 | LBMA Palladium Price PM |
② 複数の貴金属にまとめて投資するETF
どの金属を選ぶか迷う場合や、貴金属全体に分散投資したい場合に便利なバスケット型ETFです。ただし、投資対象が「現物」か「先物」かで値動きのクセ(特にロールコストの影響)が変わります。
【GLTR】abrdn フィジカル・プレシャス・メタルズ・バスケット・シェアーズ ETF(現物保有型)
金、銀、プラチナ、パラジウムの現物を保有するバスケット型ETFです。構成比率は固定ではありませんが、2025-12-31時点の金属比率は金57.2%/銀35.0%/パラジウム3.6%/プラチナ4.2%でした。経費率(総経費率)の目安は0.60%で、2025年通期(2025-12-31時点、NAVベース)のリターンは+88.36%でした。[9]
| 経費率(目安) | 0.60%(2025-12-31時点) |
|---|---|
| 投資対象 | 金・銀・プラチナ・パラジウムの現物地金 |
| 構成比率(参考) | 2025-12-31:金57.2%/銀35.0%/Pd3.6%/Pt4.2% |
【DBP】インベスコ DB プレシャス・メタルズ・ファンド(先物型)
金と銀の先物に投資するファンドです。現物保有型と異なり、先物は期限があるため、定期的な乗り換え(ロール)が発生します。一般に、先物曲線がコンタンゴ(期近<期先)だとロールコストが逆風になり、バックワーデーション(期近>期先)だと追い風になり得ます。DBPは「オプティマム・イールド」の考え方でロールを行い、ロール要因を最適化する設計ですが、ロール損益がゼロになるわけではありません。[10]
DBPの注意点:「先物型」のリスク
先物型は、金属価格が横ばいでもロールコストで基準価額が目減りすることがあります。短期〜中期の戦略としては有効な場合がある一方、長期の保有戦略では現物型と結果が乖離する可能性がある点に注意が必要です。[10]
| 経費率(目安) | 0.75%(2025-09-30時点の報告書記載) |
|---|---|
| 投資対象 | 金・銀の先物契約 |
| 主な留意点 | ロール損益(コンタンゴ/バックワーデーション)により、現物型と乖離する場合あり |
まとめ:投資のポイント
- ✅ 安全資産として備えたい → 金に特化したGLD(流動性重視)や、より低コストなIAU(経費率0.25%、2026-01-22時点)が基本。[11]
- ✅ 工業用需要の成長も狙いたい → 金融・産業の両面を持つ銀に投資するSLV。金より値動きが荒くなる局面もあるため、ポジション管理が重要。
- ✅ 金属ごとの需給(供給制約・用途)を読む → プラチナ(PPLT)やパラジウム(PALL)は、需給の偏りでトレンドが出る局面がある一方、反転も速いことがあります。
- ✅ 貴金属全体に分散したい → シンプルな現物保有型のGLTRが分かりやすい。先物の仕組みを理解した上で、異なる値動きを期待するならDBPも選択肢。
💡 2026年初の投資環境(見立ての材料)
追い風要因:
- 地政学リスクや貿易摩擦の再燃による「安全資産」需要
- 中央銀行需要が意識される局面(需給の下支え)
- 利下げ観測が強まる局面では、無利息資産の相対魅力が上がりやすい
注意点:
- 貴金属は短期間で大きく上下しやすい(特に銀・PGM)
- 分配金がないため、投資収益は基本的に価格上昇に依存
- 先物型はロール損益により、現物型と乖離する場合がある
📊 経費率比較(目安)
| ETF | 経費率 | 投資対象 |
|---|---|---|
| GLD | 0.40%(2026-01-22時点) | 金(現物) |
| IAU | 0.25%(2026-01-22時点) | 金(現物) |
| SLV | 0.50%(2026-01-22時点) | 銀(現物) |
| PPLT | 0.60%(2025-12-31時点) | プラチナ(現物) |
| PALL | 0.60%(2025-12-31時点) | パラジウム(現物) |
| GLTR | 0.60%(2025-12-31時点) | 4貴金属バスケット(現物) |
| DBP | 0.75%(2025-09-30時点) | 金・銀(先物) |
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。記載の市場価格・イベントは原則として2026年1月、各ETFの経費率・ファンドデータは各注記載の時点の情報に基づきます。市場環境や商品価格は急変し得るため、投資前に必ず一次情報(目論見書・公式ファクトシート等)で最新の条件を確認してください。
【注】(出典リンク)
- 金が史上初の4,000ドル突破(2025-10-08) → LBMA Gold Price(ベンチマーク解説) / Reuters(価格・市況)(確認日:2026-01-22) ↩
- 金が4,887.82ドルまで上昇し史上最高値更新(2026-01-21) → Reuters(2026-01-22、前日高値として言及)(確認日:2026-01-22) ↩
- 銀が95.87ドルで過去最高値、2025年+147%/プラチナ2,440.94ドル(2026-01-20) → LBMA Silver Price(ベンチマーク解説) / Reuters(価格・騰落率)(確認日:2026-01-22) ↩
- 現物保有型の貴金属ETFは原則分配金なし → iShares SLV(Distributions: No) / iShares IAU(Distributions: No)(確認日:2026-01-22) ↩
- GLD:投資目的・経費率(0.40%)・ベンチマーク → SSGA(GLD概要) / LBMA Gold Price(確認日:2026-01-22) ↩
- SLV:スポンサー手数料(0.50%)等 → iShares SLV(Fees and Expenses)(確認日:2026-01-22) ↩
- PPLT:経費率(0.60%)・リターン(2025-12-31時点)・ベンチマーク → abrdn PPLT Fact Sheet(2025-12-31)(確認日:2026-01-22) ↩
- PALL:経費率(0.60%)・リターン(2025-12-31時点)・ベンチマーク → abrdn PALL Fact Sheet(2025-12-31)(確認日:2026-01-22) ↩
- GLTR:経費率(0.60%)・金属比率・リターン(2025-12-31時点) → abrdn GLTR Fact Sheet(2025-12-31)(確認日:2026-01-22) ↩
- DBP:先物投資・オプティマムイールド・手数料(0.75%)・指数変更(2025-11-10効力) → SEC(DBP 10-Q:2025-09-30) / SEC(DBP 8-K:2025-11-10効力の指数変更)(確認日:2026-01-22) ↩
- IAU:スポンサー手数料(0.25%) → iShares IAU(Fees and Expenses)(確認日:2026-01-22) ↩
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
Posted by 南 一矢

