グーグル株 買い時は今? アルファベット決算

2019年11月12日

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2019年の米国株は利下げ期待が高まり、やや不安定に動いています。

グーグルも米議会で検索結果に偏見が反映されていると追及され、世の中からも厳しい目で見られるようになってきました。

これを「買い時」と見るかどうかは、人によって意見が分かれそうです。

そこで、この記事では、気になるアルファベットの株価チャートと最近の指標を見ていきます。

※アルファベット(Alphabet Inc.)は多言語・多種類(文字、画像、動画、地図、ニュース、ショッピング等)の検索サイト「Google」の持株会社(Google Inc.はAlphabet Inc.の子会社)。アルファベットには保有者に議決権がない【GOOG】株と議決権のある【GOOGL】株がある。これは創業者を含んだ古い株主の議決権を守るための措置。

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アルファベットの事業:ネット広告と新規分野

収益のほとんどはネット広告

アルファベットの売上構成の85%はgoogleの広告収入で、googleのその他収入が14.5%程度(2018/12月時点)

残りの「Other Bets」(0.5%)の中に「Access」「Calico」「Capital G」「GV」「Nest」「Verily」「Waymo」「X」などが収れんされています。

筆者も掲載しているグーグルアドセンスも大河の一滴のようなグーグルの収入源となっているわけです。

最近は、音声検索の台頭やEコマースの拡大などで、昔のように文字検索だけではなくなりましたが、検索におけるグーグルの優位を崩せるほどのライバルは、いまだ見当たりません。

地域別売上高は以下の割合となっています(18年12月)。

米国 43.2%
欧州 24.4%
アジア太平洋 21%
カナダ 2.9%
その他 8.5%

18年にはビチャイCEOが中国進出用の検索エンジン「ドラゴンフライ」にまつわる計画を進めていることが報じられ、1000名を超える社員からの抗議を受けました。

中国との対決を呼びかけたペンス副大統領の演説にも「ドラゴンフライ」への批判が盛り込まれ、19年には中国に設立したAI研究所も槍玉にあがっています。

社会主義を嫌うセルゲイブリン氏の抵抗も強いので、中国進出計画は、もうしばらくストップが続きそうです。

新規事業には選別が必要?

アルファベットの事業は好調ですが、持ち株会社傘下にある新規事業は「ファイバー」(米国で光ファイバー事業を行う)、「ネスト」(スマートホーム事業)、「X」(新技術開発)、「ウェイモ」(自動運転)、ベンチャーキャピタルなど。

2019年3月にはゲームストリーミングのプラットフォームとして「Stadia」(スタディア)」を開始することを公表しました。こちらは、ゲーム機を必要とせず、ネット上でPS4 ProやXboxOneと同レベルの技術水準のゲームを提供していく方針です。

この事業に関しては、プラットフォームのみならず、ゲームソフトの確保が成否のカギを握ることになりそうです(スタディアはまず、米英加、欧州で始まり、日本やアジアはその後になる見込み)。

新規事業は多岐にわたりますが、その選別が必要ではないかとも言われています。

というのは、グーグルの広告が売上の9割以上を占めているのに、これらの新規事業の売上は1%にも満たず、そこに年間設備投資額の約3割を投じているからです。

筆者は「グーグルはもともと、そういう企業なのだろう」と割り切りますが、投資家の目は厳しいので、メディアでは記者たちが「もっと有望事業を選定し、新規事業を絞り込むべきだ」などと論じています。

グーグルがそこまで新規事業に力を注ぐのは、現時点では向かうところ敵なしでも、今後は新しいゲームチェンジャーが生まれてくる可能性があるからです。

実際に、近年には、同社にとっての懸案事項が浮上してきています。

それは、個人情報保護の潮流や独占禁止法適用などの動きです。

例えば、欧州委員会は、検索結果の表示の際、
自社の商品比較サービスを優先させたとの嫌疑により、2017年6月にグーグルに対して約3500億円相当の制裁金を科しました。

18年5月にはGDPR(EU一般データ保護規則)で個人情報保護も強化されましたが、これはグーグルやFB、AMZNなどを狙い撃ちにする政策です。

FB情報流出問題などもあって、個人情報保護を求める世論は世界で強まっているので、今後は、その対策のためにコストがかかり、利益率が下がる可能性が見込まれています。

主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(指標と株価はgooglefinance関数から取得。配当利回り〔税込み〕のみブルームバーグ)

  GOOG GOOGL
1/2株価 1016.6 1027.2
11/8株価 1311.4 1309
株価上昇率 29.00% 27.43%
52週高値 1323.7 1322.7
52週安値 970.1 977.7
EPS 45.97 45.97
PER 28.53 28.48
配当利回り
時価総額(億$) 9035 9035
株式数(億) 3.4 3

株価推移(チャートと伸び率)

さらに、【GOOG】の株価を見てみます(【GOOGL】の株価推移はほぼ同じなので略)。

青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線です。

広告主体のビジネスモデルを持つグーグルのリスクが懸念され、ひとたび株価が下がりました。

その後、株価は回復したものの、18年以降、懸念材料が増えてきています。

年次でその伸び率を見てみましょう

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は11/8)
GOOG 初値 終値 上昇率
2019 1016.6 1311.4 29%
2018 1048.3 1035.6 -1%
2017 778.8 1046.4 34%
2016 743 771.8 4%
2015 527.6 758.9 44%
2014 557.7 525 -6%
2013 361.8 560.4 55%
2012 326.2 353.7 8%
2011 298.6 323 8%
2010 313.7 297 -5%
2009 154 310 101%
2008 342.6 153.8 -55%
★2:各年初から19/11/8までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~
29% 25% 68% 76%
15年~ 14年~ 13年~ 12年~
149% 135% 262% 302%
11年~ 10年~ 09年~ 08年~
339% 318% 752% 283%

近年は、EUを中心に個人情報規制の動きが本格化してきました。

欧州委員会は7月18日に、グーグルが「アンドロイド」を搭載した携帯で自社の検索サービス等を不当優遇したことをEU競争法違反と見なして約5600億円相当の制裁金の支払いを命じています。

しかし、それでも勢いはまだ止まっていませんが、EUが採った個人情報保護の潮流が世界に広まれば、今までほどの発展を維持するのは難しくなるのかもしれません。

四半期決算(2019予想など)

さらに、ロイターが調べた四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。

(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載)。

EPS:予想と結果

予想 11/8 1月前 2月前
Y:2020 54.19 55.78 55.79
Y:2019 46.32 48.72 48.82
Q:20/3 12.24 13.15 12.86
Q:19/12 12.57 12.99 13.05
EPS 予想 結果
19/9 12.42 10.12 -2.3 -18.5
19/6 11.25 14.21 2.96 26.3
19/3 10.57 11.9 1.33 12.6
18/12 10.82 12.77 1.95 18.0
18/9 10.42 13.06 2.64 25.3
18/6 9.58 11.75 2.17 22.7
18/3 9.28 9.93 0.65 7

売上高:予想と結果

予想 11/8 1月前 2月前
Y:2020 191600 191030 191050
Y:2019 162720 162590 162564
Q:20/3 43150
Q:19/12 46910 46970 46967
売上 予想 結果
19/9 40290 40500 210 0.5
19/6 38149 38944 795 2.1
19/3 37332 36339 -993 -2.7
18/12 38930 39276 346 0.9
18/9 34045 33740 -305 -0.9
18/6 32171 32657 486 1.5
18/3 30288 31146 858 2.8

決算予想と結果では米国会計基準(GAAP)とは違う「非GAAP基準」の数値(各社が経営実態を踏まえて調整した数値)が多用されています。そのため、本節の売上とEPSは次節のGAAP基準の値と同じになるとは限りません。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等

GOOG 売上高 営業CF OCFマージン 純利益
08/12 21796 7853 36% 4227
09/12 23651 9316 39% 6520
10/12 29321 11081 38% 8505
11/12 37905 14565 38% 9737
12/12 46039 16619 36% 10737
13/12 55519 18659 34% 12733
14/12 66001 23024 35% 14136
15/12 74989 26572 35% 15826
16/12 90272 36036 40% 19478
17/12 110855 37091 33% 12662
18/12 136819 47971 35% 30736

*同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや売上高成長率など

GOOG SG(%) EPS DSO
08/12 31% 6.66 40.2
09/12 9% 10.21 44.9
10/12 24% 13.16 46.3
11/12 29% 14.88 46.6
12/12 21% 16.16 48.4
13/12 21% 18.79 51.2
14/12 19% 20.57 50.5
15/12 14% 22.84 51.0
16/12 20% 27.85 51.9
17/12 23% 18 53.5
18/12 23% 43.7 52.3
       

※SG(セールスグロース):売上高成長率(前年度比)

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

GOOG 総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/12 31768 3529 28239 89%
09/12 40497 4493 36004 89%
10/12 57851 11610 46241 80%
11/12 72574 14429 58145 80%
12/12 93798 22083 71715 76%
13/12 110920 23611 87309 79%
14/12 129187 25327 103860 80%
15/12 147461 27130 120331 82%
16/12 167497 28461 139036 83%
17/12 197295 44793 152502 77%
18/12 232792 55164 177628 76%
         

ROAとROEなど

GOOG ROA ROE 流動比率
08/12 13% 15% 877%
09/12 16% 18% 1062%
10/12 15% 18% 416%
11/12 13% 17% 592%
12/12 11% 15% 422%
13/12 11% 15% 458%
14/12 11% 14% 469%
15/12 11% 13% 467%
16/12 12% 14% 629%
17/12 6% 8% 514%
18/12 13% 17% 392%
       

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る指標

キャッシュフロー

GOOG 営業CF 投資CF 財務CF
08/12 7853 -5319 87
09/12 9316 -8019 233
10/12 11081 -10680 3050
11/12 14565 -19041 807
12/12 16619 -13056 1229
13/12 18659 -13679 -857
14/12 23024 -21055 -2087
15/12 26572 -23711 -4225
16/12 36036 -31165 -8332
17/12 37091 -31401 -8298
18/12 47971 -28504 -13179