グーグル株 買い時は今? アルファベット決算

2019年5月20日

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2018年2月に米国株の「適温相場」が崩壊。

その後、株価が戻りましたが、18年10月以降、株価が下がり、もう一度19年に回復。

これを「買い時」と見るかどうかは、人によって意見が分かれそうです。

そこで、この記事では、気になるアルファベットの株価チャートと最近の指標を見ていきます。

※アルファベット(Alphabet Inc.)は多言語・多種類(文字、画像、動画、地図、ニュース、ショッピング等)の検索サイト「Google」の持株会社(Google Inc.はAlphabet Inc.の子会社)。アルファベットには保有者に議決権がない【GOOG】株と議決権のある【GOOGL】株がある。これは創業者を含んだ古い株主の議決権を守るための措置。

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アルファベットの事業:ネット広告と新規分野

収益のほとんどはネット広告

アルファベットの売上構成の85%はgoogleの広告収入で、googleのその他収入が14.5%程度(2018/12月時点)

残りの「Other Bets」(0.5%)の中に「Access」「Calico」「Capital G」「GV」「Nest」「Verily」「Waymo」「X」などが収れんされています。

2019年3月にはゲームストリーミングのプラットフォームとして「Stadia」(スタディア)」を開始することが明かされました。

ゲーム機を必要とせず、ネット上でPS4 ProやXboxOneと同レベルの技術水準のゲームを提供していく方針です。

このゲーム事業に関しては、プラットフォームのみならず、ゲームソフトの確保が成否のカギを握ることになりそうです。

(スタディアはまず、米英加、欧州で始まり、日本やアジアはその後になる見込み)

地域別売上高は以下の割合となっています。

米国 46%
欧州・中東・アフリカ 33%
アジア太平洋 15%
北米・中米・南米(米国除く) 6%

筆者も掲載しているグーグルアドセンスも大河の一滴のようなグーグルの収入源となっているわけです。

最近は、音声検索の台頭やEコマースの拡大などで、昔のように文字検索だけではなくなりましたが、検索におけるグーグルの優位を崩せるほどのライバルは、いまだ見当たりません。

新規事業には選別が必要?

アルファベットの事業は好調ですが、持ち株会社傘下にある新規事業は「ファイバー」(米国で光ファイバー事業を行う)、「ネスト」(スマートホーム事業)、「X」(新技術開発)、「ウェイモ」(自動運転)、ベンチャーキャピタルなど、多岐にわたり、その選別が必要ではないかとも言われています。

というのは、グーグルの広告が売上の9割以上を占めているのに、これらの新規事業の売上は1%にも満たず、そこに年間設備投資額の約3割を投じているからです。

筆者は「グーグルはもともと、そういう企業なのだろう」と割り切りますが、投資家の目は厳しいので、メディアでは記者たちが「もっと有望事業を選定し、新規事業を絞り込むべきだ」などと論じています。

グーグルがそこまで新規事業に力を注ぐのは、現時点では向かうところ敵なしでも、今後は新しいゲームチェンジャーが生まれてくる可能性があるからです。

実際に、近年には、同社にとっての懸案事項が浮上してきています。

それは、個人情報保護の潮流や独占禁止法適用などの動きです。

例えば、欧州委員会は、検索結果の表示の際、 自社の商品比較サービスを優先させたとの嫌疑により、2017年6月にグーグルに対して約3500億円相当の制裁金を科しました。

18年5月にはGDPR(EU一般データ保護規則)で個人情報保護も強化されましたが、これはグーグルやフェイスブック、アマゾンなどを狙い撃ちにする政策です。

FB情報流出問題などもあって、個人情報保護を求める世論は世界で強まっているので、今後は、その対策のためにコストがかかり、利益率が下がる可能性が見込まれています。

主な指標を概観

まず、主要指標のデータでアルファベットを見てみましょう

  GOOG GOOGL
1/2株価 1016.6 1027.2
5/17株価 1162.3 1168.8
株価上昇率 10.0% 10.0%
52週高値 1289.3 1297
52週安値 970.1 977.7
EPS 39.9 39.9
PER 29.2 29.3

※GOOGの株式数は3億、GOOGLは3.5億。両者を合わせた時価総額は8087億ドル。

株価推移(チャートと伸び率)

さらに、【GOOG】の株価を見てみます(【GOOGL】の株価推移はほぼ同じなので略)

青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線です。

広告主体のビジネスモデルを持つグーグルのリスクが懸念され、ひとたび株価が下がりました。

その後、株価は回復したものの、18年以降、懸念材料が増えてきています。

年次でその伸び率を見てみましょう.

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は5/17)
GOOG 初値 最安 最高 終値 上昇率
2019 1016.6 1016.1 1236.3 1162.3 14%
2018 1048.3 976.2 1268.3 1035.6 -1%
2017 778.8 786.1 1077.1 1046.4 34%
2016 743 668.3 813.1 771.8 4%
2015 527.6 491.2 776.6 758.9 44%
2014 557.7 494 610.1 525 -6%
2013 360 351.4 560.4 560.4 56%
2012 326.2 279.5 384 353.7 8%
2011 298.6 237.4 323 323 8%
2010 313.7 218 313.4 297 -5%
2009 154 141.4 311.4 310 101%
2008 346.4 128.7 346.4 153.8 -56%
★2:各年初から2019/5/17までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~ 15年~ 14年~
14% 11% 49% 56% 120% 108%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~ 09年~ 08年~
223% 256% 289% 271% 655% 236%

グーグルの株価は右肩上がりなのですが、近年は、EUを中心に個人情報規制の動きが本格化してきました。

欧州委員会は7月18日に、グーグルが「アンドロイド」を搭載した携帯で自社の検索サービス等を不当優遇したことをEU競争法違反と見なして約5600億円相当の制裁金の支払いを命じています。

しかし、それでも勢いはまだ止まっていませんが、EUが採った個人情報保護の潮流が世界に広まれば、今までほどの発展を維持するのは難しくなるのかもしれません。

四半期決算(予想と実値)

ロイターが調べた四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます(2019/5/3、売上単位は100万ドル)。

【EPS:予想と結果】

EPS予想 平均 上限 下限 期間
2020 53.65 60.2 48.25 1年
2019 45.03 49.1 41.2 1年
9-19 12.03 14.21 10.8 3カ月
6-19 11.28 13.38 9.63 3カ月
EPS 予想 結果
3-19 10.57 11.90 1.33 12.6
12-18 10.82 12.77 1.95 18.1
9-18 10.42 13.06 2.64 25.3
6-18 9.58 11.75 2.17 22.6
3-18 9.28 9.93 0.65 7.0
12-17 9.98 9.70 -0.28 -2.8
9-17 8.31 9.57 1.26 14.9

【売上高:予想と結果】

売上予想 平均 上限 下限 期間
2020 68286 72250 64293 1年
2019 66543 67845 64780 1年
9-19 16292 16704 15526 3カ月
6-19 17381 17972 16437 3カ月
売上 予想 結果
3-19 16228 15304 -924 -5.7%
12-18 16807 15947 -860 -5.1%
9-18 15357 15800 443 2.9%
6-18 15451 17068 1618 10.5%
3-18 15061 15526 465 3.1%
12-17 16665 16070 -595 -3.6%
9-17 16003 14827 -1176 -7.3%

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています。これは各社が経営実態を踏まえて調整した数値です(売上とEPSの数値が後述のGAAP基準での数値と異なる場合は、非GAAP基準の数値)。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)

損益計算(売上、純利益等)

売上高 営業CF 同マージン 純利益
2008/12 21796 7853 36.0% 4227
2009/12 23651 9316 39.4% 6520
2010/12 29321 11081 37.8% 8505
2011/12 37905 14565 38.4% 9737
2012/12 46039 16619 36.1% 10737
2013/12 55519 18659 33.6% 12733
2014/12 66001 23024 34.9% 14136
2015/12 74989 26572 35.4% 16348
2016/12 90272 36036 39.9% 19478
2017/12 110855 37091 33.5% 12662
2018/12 136819 47971 35.1% 30736

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%以上あれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

・・・

近年の決算を見ると、業績自体は一定の水準をキープしていますが、年次報告書(2017)は、わりと厳しい未来の見通しを述べていました。

「当社の収益成長率は時が経つにつれて低下する可能性があり、将来的には営業利益率の低下圧力がかかることを予想している」

競争の激化、オンライン広告市場の進化・多様化、ユーザーのテクノロジー、デバイス等の採用率、コスト増加等により、利益率は下押し圧力を受ける可能性があることを見込んでいるのです(コスト増の要因の中には、GDPRも挙げられていました)。

EPSや営業利益率など

営業利益率 EPS DSO
2008/12 30.4 6.7 40.2
2009/12 35.2 10.21 44.9
2010/12 35.4 13.17 46.3
2011/12 31 14.89 46.6
2012/12 25.4 16.16 48.4
2013/12 23.3 18.79 51.2
2014/12 25 20.57 50.5
2015/12 25.8 22.84 51.0
2016/12 26.3 27.85 51.9
2017/12 26.1 18 53.5
2018/12 22.9 43.7 52.3

バランスシート

総資産 総負債 株主資本 自己資本率
2008/12 31768 3529 28239 88.9%
2009/12 40497 4493 36004 88.9%
2010/12 57851 11610 46241 79.9%
2011/12 72359 14429 58118 80.3%
2012/12 92711 22073 71570 77.2%
2013/12 109050 22073 86977 79.8%
2014/12 129187 25327 103860 80.4%
2015/12 147461 27130 120331 81.6%
2016/12 167497 28461 139036 83.0%
2017/12 197295 44793 152502 77.3%
2018/12 232792 55164 177628 76.3%

アルファベットの年次報告書の記録を見ると、8割近い驚異的な自己資本率をたたき出しています。

さらに、重要指標を見てみます。

ROAとROEなど

ROA ROE 流動比率
単位 倍率
2008/12 14.8 16.6 8.8
2009/12 18.1 20.3 10.6
2010/12 17.3 20.7 4.2
2011/12 14.9 18.7 5.9
2012/12 12.9 16.5 4.2
2013/12 12.6 16.3 4.6
2014/12 11.9 15.1 4.8
2015/12 11.4 14.1 4.7
2016/12 12.4 15 6.3
2017/12 6.9 8.7 5.1
2018/12 14.3 18.6 3.92

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業が上げた利益を見る

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業が上げた利益を見る

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る(表では資本が負債の何倍かを表記)

キャッシュフロー

営業CF 投資CF 財務CF
2008/12 7853 -5319 87
2009/12 9316 -8019 233
2010/12 11081 -10680 3050
2011/12 14565 -19041 807
2012/12 16619 -13056 1229
2013/12 18659 -13679 -857
2014/12 23024 -21055 -2087
2015/12 26572 -23711 -4225
2016/12 36036 -31165 -8332
2017/12 37091 -31401 -8298
2018/12 47971 -28504 -13179