【NFLX】ネットフリックスの株価と決算

2019年5月20日

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ネットフリックス(Netflix Inc.)は世界最大のネット動画配信企業です。他のCATVよりも安く、どんな端末でも番組を見れる利便性でユーザーの心をつかみました。

ネットを通じてテレビ番組と映画コンテンツをサービス加入者に提供しているので、NFLX加入者は、作品をテレビ、PC、モバイル等の媒体を用いてどこでも鑑賞できます。

(そのほか、DVDとブルーレイ・ディスクのホームデリバリーサービスも手がける。18年12月の売上構成は、米国内ストリーミングが48.4%、米国外ストリーミングが49.3%、米国内DVD事業が2.3%)

日本の人口と同規模の会員数(1億1700万人以上)を誇り、NFLXは時価総額で18年5月23日にコムキャストを超え、24日には一時的にウォルト・ディズニーを超えました。

ネットフリックスは、「ハウス・オブ・カード」や「マスター・オブ・ゼロ」等の独自番組を増やしているので、競合にあたるコムキャストの動画契約者数は18年第1四半期で9.6万人も減少しています。

コンテンツ系の企業の「台風の目」となってきたNFLXについて、情報を整理してみます。

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NFLXの事業の概略

第三者が制作した番組のライセンスを取得し、それを有料でネット配信することで放送局や映画会社を脅かしているわけですが、斬新なのは、AIの機械学習を用いて1億人以上の視聴データを分析して視聴者の嗜好をつかんでいる点です。

ネットフリックスでは視聴者の嗜好に合わせて推奨画面のデザインが変わったり、対象を絞ったメールでの宣伝を行ったりするだけでなく、「ハウス・オブ・カード」では視聴データをもとに起用俳優や監督を決めました。

ハリウッドを中心とした従来の映画会社が「プロの直観」で決めていた分野に、AIによるビッグデータの分析を取り入れたわけです。

NFLXは、以下のような発展の過程をたどり、17年3月末時点で会員数5085万人を記録。米ケーブルTV主要六社の会員数(約4860万人)を上回りました。

  • 1997年:創業(当初はDVDの郵送サービス企業)
  • 2007年:動画配信サービスを開始
  • 2013年:独自作品「ハウス・オブ・カード」を配信
  • 2015年:日本でサービス開始
  • 2016年:世界190カ国超でサービスを展開
  • 2017年:会員数1億人突破(年末)

ただ、製作費はけた外れの規模です。

ハウス・オブ・カードの制作には約100億円を投じ、17年には売上高の8割に相当する89億ドル(約9300億円)の製作費を費やしました。

後述のフリーキャッシュフローは赤字続きですが、同社は圧倒的な勢いの会員数拡大でそれを賄う方針です(※米国では製作費が計上されるのはドラマが完成し、放映された後なので、NFLXにとっては有利な仕組みになっている)。

主な指標を概観

さて、ここで主な指標のデータを見てみます。(出所はグーグルファイナンスなど)。

1/2株価 259.3
5/17株価 354.5
株価上昇率 36.7%
52週高値 423.2
52週安値 231.2
EPS 2.8
PER 126.55
配当(利回り)
時価総額(億$) 1550
株式数(億) 4.4

株価推移(チャート)

まず、NFLXの株価を見てみます。

青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線です。

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は5/17)
NFLX 初値 最安 最高 終値 上昇率
2019 259.3 267.7 385 354.5 37%
2018 196.1 201.1 419 267.7 36%
2017 125 127.5 202.7 192 54%
2016 109 82.8 127.5 123.8 14%
2015 49.1 45.6 130.9 114.4 133%
2014 52.4 44.9 69.2 48.8 -7%
2013 13.6 13.1 54.4 52.6 287%
2012 10.1 7.7 18.5 13.2 31%
2011 25 9.1 42.7 9.9 -60%
2010 7.9 7 29.4 25.1 218%
2009 4.3 4.2 8.7 7.9 83%
2008 3.8 2.6 5.8 4.3 12%
★2:各年初から2019/5/17までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~ 15年~ 14年~
37% 81% 184% 225% 622% 576%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~ 09年~ 08年~
2506% 3409% 1318% 4387% 8143% 9228%

四半期決算(予想と実値)

18年第4四半期では有料ストリーミング契約者数が880万人増でした(総数は1億3930万人:26%増)。

19年第1四半期では新規加入者数は960万人増(16%増)でした。

第2四半期ガイダンス(GD)は以下の通り。

  • EPS:予想1$⇒新GDは0.55$
  • 売上高:予想49.6億$⇒新GD49.3億$

以下、ロイターのサイトに掲載されている予想値です(2019/4/22)

売上予想 平均 上限 下限 期間
2020 24996 27153 23238 1年
2019 20185 21111 19615 1年
9-19 5232 5520 4957 3カ月
6-19 4933 4970 4853 3カ月
売上 予想 結果
3-19 4502 4521 19 0.43
12-18 4207 4187 20 0.48
9-18 3997 3999 2 0.06
6-18 3940 3907 33 0.83
3-18 3690 3701 11 0.3
12-17 3282 3286 4 0.12
9-17 2975 2985 10 0.35
EPS予想 平均 上限 下限 期間
2020 5.91 7.01 3.88 1年
2019 3.42 4.13 3.06 1年
9-19 1.04 1.35 0.81 3カ月
6-19 0.56 0.65 0.54 3カ月
EPS 予想 結果
3-19 0.57 0.76 0.19 32.54
12-18 0.24 0.3 0.06 25.42
9-18 0.68 0.89 0.21 30.84
6-18 0.79 0.85 0.06 7.11
3-18 0.64 0.64 0 0.49
12-17 0.41 0.41 0 0.58
9-17 1.23 1.34 0.11 9.46

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています(後述のGAAP基準と異なる売上とEPSの数値は非GAAP基準)

四半期決算(GAAP基準)

売上高 営業利益 純利益 EPS
15/3 1573 97 24 0.05
15/6 1645 75 26 0.06
15/9 1738 74 29 0.07
15/12 1823 60 43 0.1
16/3 1958 49 28 0.06
16/6 2105 70 41 0.09
16/9 2290 106 52 0.12
16/12 2477 154 67 0.15
17/3 2636 257 178 0.4
17/6 2785 128 66 0.15
17/9 2985 209 130 0.29
17/12 3285 245 186 0.41
18/3 3701 447 290 0.64
18/6 3907 462 384 0.85
18/9 3999 480 403 0.89
18/12 4187 216 134 0.3

通年決算(GAAP基準)

最後に、決算の数字を見てみます。

(出所はネットフリックス決算など。売上と利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)

損益計算(売上、純利益等)

売上高 営業CF 同マージン 純利益
08/12 1365 284 20.8% 83
09/12 1670 325 19.5% 116
10/12 2163 276 12.8% 161
11/12 3205 318 9.9% 226
12/12 3609 22 0.6% 17
13/12 4375 98 2.2% 112
14/12 5505 16 0.3% 267
15/12 6780 -749 -11.0% 123
16/12 8831 -1474 -16.7% 187
17/12 11693 -1786 -15.3% 559
18/12 15794 -2680 -17.0% 1605

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%以上あれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。なお、NFLXの場合は先行投資が巨額であるために営業CFがマイナスになっている。

EPSや営業利益率など

粗利率 営業利益率 EPS
08/12 33.3 8.9 0.19
09/12 35.4 11.2 0.28
10/12 37.2 13.1 0.42
11/12 36.3 11.7 0.59
12/12 26.5 1.4 0.04
13/12 28.7 5.2 0.26
14/12 31.8 7.3 0.62
15/12 32.3 4.5 0.28
16/12 31.7 4.3 0.43
17/12 34.5 7.2 1.25
18/12 36.9 10.2 2.68

伸び盛りの企業なので、やはり、営業利益率はそれほど高くありません。

バランスシート

自己資本比率を見てみると、だいたい2割ぐらいを維持しながらも、その値は微妙に下がってきています。

総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/12 615 268 347 56.4%
09/12 680 481 199 29.3%
10/12 982 692 290 29.5%
11/12 3069 2426 643 21.0%
12/12 3968 3223 745 18.8%
13/12 5413 4079 1334 24.6%
14/12 7043 5185 1858 26.4%
15/12 10203 7979 2223 21.8%
16/12 13587 10907 2680 19.7%
17/12 19013 15431 3582 18.8%
18/12 25974 20736 5239 20.2%

ROAやROEなど

ROA ROE 流動比率
単位 倍率
08/12 13.1 21.4 1.67
09/12 17.9 42.4 1.82
10/12 19.4 65.8 1.65
11/12 11.2 48.5 1.49
12/12 0.5 2.5 1.33
13/12 2.4 10.8 1.42
14/12 4.3 16.7 1.48
15/12 1.4 6 1.54
16/12 1.6 7.6 1.25
17/12 3.4 17.9 1.4
18/12 5.4 27.5 1.49

※ここはモーニングスターHPを参照

  • ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業が上げた利益を見る
  • ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業が上げた利益を見る
  • 流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る(表では資本が負債の何倍かを表記)

成長企業ではありますが、流動負債を流動資産が上回る経営を維持し続けてきました。

最後に、キャッシュフローを見てみましょう。

キャッシュフロー

ただ、営業キャッシュフローに関しては赤字が続いています。

営業CF 投資CF 財務CF フリーCF
08/12 284 -145 -177 94
09/12 325 -246 -85 97
10/12 276 -116 -100 131
11/12 318 -266 262 187
12/12 22 -245 6 -58
13/12 98 -256 476 -16
14/12 16 -43 542 -127
15/12 -749 -179 1640 -920
16/12 -1474 50 1092 -1660
17/12 -1786 34 3077 -2019
18/12 -2680 -34 4048 -3020

ネットフリックスはまだ成長真っ盛りの企業なので、これは致し方ないのかもしれません。