GS:ゴールドマンサックスの配当推移

配当,金融






【2026年2月更新】ゴールドマン・サックス (GS) 配当分析 – 2025年通期決算と配当増額を点検

【2026年2月更新】ゴールドマン・サックス (GS) 配当分析 – 2025年通期決算と配当増額を点検

🎯 直近アップデート(反映範囲:2025年通期=2025年12月31日終了)

ゴールドマン・サックスは、2025年通期決算EPS $51.32純収益$582.8億ドルROE 15.0%を達成しました。[1]
2026年1月14日には、四半期配当を$4.00→$4.50へ12.5%引き上げることを発表し、株主還元の強化姿勢を鮮明にしています。[1]

注:本稿は一次情報を優先し、2025年通期(Q4まで)の公表値を表と本文に反映しています。Apple Cardポートフォリオの移転影響も含めて整理しています。[2]

世界トップクラスの投資銀行であるゴールドマン・サックス(GS)について、配当の持続性(配当政策・財務体力)と、2025年通期業績の見え方を数値表を中心に整理します。

はじめに:この記事でわかること

GSの配当の魅力とリスクを、以下のポイントを通じて多角的に評価します。

  • GSの最新業績:2025年通期(Q1~Q4)の業績・収益構造
  • 配当方針:2度の配当引き上げ($3→$4→$4.50)の背景と持続性
  • 財務体力:CET1比率など自己資本指標の水準
  • 競合比較:大手金融との「株主還元・健全性」の見え方
  • 投資判断:配当の持続性と今後の注目点

ゴールドマン・サックスの現状(ざっくりまとめ)

  • 2025年通期 業績ハイライト:
    • EPS $51.32(前年比+27%)[1]
    • 純収益 $582.8億ドル(前年比+14%)[1]
    • 純利益 $171.8億ドル[1]
    • ROE 15.0%(前年10.2%から+480bp改善)[1]
    • 1株当たり純資産(BVPS)$357.60(前年比+6.2%)[1]
  • 配当・株主還元:
    • 配当:四半期配当を$4.50へ引き上げ(2026年1月14日発表、3月30日支払開始)[1]
    • 年間配当(方針):$18.00($4.50×4四半期)
    • 自社株買い:2025年通期で約$123.6億ドル(約1,890万株)[3]
  • 現状分析: 2025年通期は過去2番目の好業績を記録。ROE 15%への改善と資本規制要件の低下を背景に、配当は2年連続で大幅増額となりました。Apple Cardからの撤退完了で事業構造がシンプル化し、投資銀行・マーケッツ中心のビジネスモデルに回帰しています。
免責事項: 本分析は情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

1. 2025年通期業績:四半期別サマリー

2025年は全四半期を通じて堅調な業績を維持し、純収益$582.8億ドル純利益$171.8億ドルを達成しました。特にGlobal Banking & Marketsが過去最高の収益を記録しています。[1]

2025年通期 業績サマリー(四半期別+通期)
項目 2025年Q1 2025年Q2 2025年Q3 2025年Q4 2025年通期 2024年通期
希薄化後EPS $14.12 $10.91 $12.25 $14.01 $51.32 $40.54
純収益(10億ドル) $15.06 $14.60 $15.18 $13.45 $58.28 $50.90
純利益(10億ドル) $4.74 $3.70 $4.10 $4.62 $17.18 $14.28
ROE(年率換算) 16.9% 12.8% 14.2% 16.0% 15.0% 10.2%
Q4の純収益が低下しているのは、Apple Cardポートフォリオ移転に伴う$22.6億ドルの評価減が含まれるためです。一次情報は【注】参照。[1][2]

部門別収益の内訳(2025年Q4 / 通期)

Global Banking & Marketsは通期$415億ドルの過去最高収益を達成。一方、Platform SolutionsはApple Card移転により通期で大幅減収となりました。[1]

部門別純収益(2025年Q4・通期、10億ドル)
事業部門 2025年Q4 2025年通期 前年比(通期) 備考
Global Banking & Markets $10.41 $41.45 +18% 過去最高収益
 - 投資銀行手数料 $2.58 $9.30 +25% M&A・引受が好調
 - エクイティ $4.31 $16.50 +25% 過去最高・ファイナンス牽引
 - FICC $3.11 $14.50 +8% 金利・コモディティ堅調
Asset & Wealth Management $4.72 $16.68 +2% 運用手数料は過去最高
Platform Solutions -$1.68 $0.15 -93% Apple Card移転影響
エクイティ部門は通期$165億ドルで過去最高を更新。ファイナンス収益(プライムブローカレッジ等)が牽引しました。Q4のPlatform Solutions損失はApple Cardローンの「売却目的保有」への移転に伴う評価減($22.6億ドル)が主因です。[2]

2. 配当政策と株主還元戦略

GSは配当と自社株買いを組み合わせる形で、資本規制と収益環境に合わせた株主還元を行っています。2025年は2度の配当増額を実施し、株主還元を大幅に強化しました。[1][4]

配当履歴と配当性向

配当履歴と配当性向(2020年~2026年)
年度 四半期配当 年間配当 増配率 配当性向
2020 $1.25 $5.00 +13.6% 20.2%
2021 $2.00 $8.00 +60.0% 13.5%
2022 $2.50 $10.00 +25.0% 33.3%
2023 $2.75 $11.00 +10.0% 48.1%
2024 $3.00 $12.00 +9.1% 29.6%
2025(実績) $3.00→$4.00 $14.00 +16.7% 27.3%
2026(方針) $4.50 $18.00 +28.6% 約35%(参考)
配当増額の経緯:
2025年7月に$3.00→$4.00(+33%)、2026年1月に$4.00→$4.50(+12.5%)と2段階で引き上げ。SCB(ストレス資本バッファー)が6.6%→3.4%に低下したことが背景にあります。[4]

総株主還元の推移

総株主還元額(配当+自社株買い、10億ドル)
期間 純利益 配当 自社株買い 総還元額 還元率
2023年 $8.5 $3.6 $6.5 $10.1 119%
2024年 $14.3 $3.9 $8.1 $12.0 84%
2025年 $17.2 $4.6 $12.4 $17.0 99%
2025年は純利益の約99%を株主に還元。自社株買いは約1,890万株($123.6億ドル)を実施し、株式数は通期で減少しています。[3]

3. 財務体力:自己資本比率(CET1等)

GSのCET1比率は14.4%(2025年Q4末時点)で、規制要件11.4%を大きく上回る水準を維持しています。[3]

自己資本指標 2024年末 2025年Q3末 2025年Q4末 規制要件(2026年1月〜)
CET1比率(標準的手法) 14.7% 14.4% 14.4% 11.4%
ストレス資本バッファー(SCB) 6.1% 3.4% 3.4%
規制要件からのバッファー +110bp +350bp +300bp
SCBが2020年の6.6%から2025年の3.4%へ大幅低下したことで、規制要件が13.6%→10.9%→11.4%と引き下げられ、配当・自社株買いの余力が拡大しました。[4]

自己資本比率の意味と重要性

CET1比率(普通株式等Tier1比率):銀行の財務健全性を示す重要指標。質の高い自己資本が、リスクアセットに対してどの程度あるかを示します。

読み方: 「規制要件に対するバッファー」と「収益の変動(損失耐性)」をセットで見ます。GSは現在約300bpのバッファーを保有しており、配当継続に十分な余力があります。


4. 事業構造の変化:Apple Card撤退と戦略再集中

2025年Q4にApple Cardポートフォリオの移転を完了し、コンシューマー事業からの撤退がほぼ完了しました。これにより、投資銀行・マーケッツ・アセットマネジメントに経営資源を集中する体制が整いました。[2]

指標 2019年 2025年 変化
総純収益 $36.5B $58.3B +60%
「より持続的な収益」 $12.2B $26.3B +115%
歴史的プリンシパル投資残高 $64B $6B -90%以上
ROE 10.0% 15.0% +500bp
「より持続的な収益」にはFICC/エクイティのファイナンス収益、運用手数料、プライベートバンキング収益が含まれます。市況に左右されにくい収益基盤が拡大し、収益の安定性が向上しています。[3]

5. 競合他行との比較

金融機関 四半期配当 ROE(2025年通期) CET1比率 備考
ゴールドマン・サックス (GS) $4.50 15.0% 14.4% M&A首位23年連続
モルガン・スタンレー (MS) $1.00 21.6% 15.0% ウェルス強化
JPモルガン・チェース (JPM) $1.50 20.0% 14.5% Apple Card受け入れ
バンク・オブ・アメリカ (BAC) $0.28 約12% 11.4% NII成長期待
GSは絶対額ベースの配当では突出していますが、ROEではMS・JPMに劣後します。投資銀行・トレーディング中心のビジネスモデルのため、収益の変動性が他社より大きい点は留意が必要です。[5]

6. 投資家が注意すべきリスク

  • 市場ボラティリティ依存: トレーディング収益は市況の影響を受け、四半期ごとの振れが大きくなり得ます。2025年Q4のROE 16%とQ2の12.8%の差がその例です。
  • 規制環境の変化: Basel III最終化の内容次第では資本要件が再び上昇する可能性があります。[4]
  • ディール活動への依存: 投資銀行手数料はM&AやIPO市場の温度感に敏感です。2026年は好調が見込まれていますが、地政学リスク次第では急変の可能性もあります。
  • 高い株価バリュエーション: 2019年以降の株主総リターン+341%を達成しており、現在の株価には相当の期待が織り込まれています。[3]

7. 結論:配当の持続性と今後の見通し

2025年通期の業績と資本水準からは、$4.50/四半期の配当を十分に支えうる余力が確認できます。配当性向は約35%程度に収まる見込みで、持続可能な水準です。[1]

経営陣は2026年についてM&A・資本市場活動の加速を見込んでおり、「One Goldman Sachs 3.0」としてAI活用による効率化も推進中です。規制緩和期待と相まって、短期的には目標ROE(ミッドティーン)を上回る可能性も示唆されています。[3]

一方で、GSは投資銀行・マーケッツ比率が高く、業績は市況に左右されるため、「業績の振れ」と「資本規制の変化」を定点観測するのが実務的です。

免責事項

本レポートは、Goldman Sachsの公式発表資料等の公開情報に基づく分析であり、投資助言を構成するものではありません。投資判断は投資家自身の責任において行ってください。

最終更新日: 2026年2月6日
次回更新予定: 2026年4月(2026年Q1決算発表後の反映を想定)

【注】(出典リンク)

  1. 2025年Q4・通期決算(一次情報)→ GS Pressroom(Q4 & Full Year 2025 Results)決算資料PDF(確認日:2026-02-06)
  2. Apple Card移転関連(一次情報・報道)→ Q4 2025 Earnings Presentation PDFCNBC報道(確認日:2026-02-06)
  3. 決算プレゼンテーション・戦略情報(一次情報)→ Q4 2025 Earnings Presentation PDF(確認日:2026-02-06)
  4. 配当引き上げ・SCB関連(一次情報)→ GS Pressroom(Stress Capital Buffer Statement)(確認日:2026-02-06)
  5. 競合比較データ → JPMorgan Q4 2025 EarningsMorgan Stanley Q4 2025Bank of America Q4 2025(確認日:2026-02-06)



Posted by 南 一矢