GSとMSを比較:ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーの違いとは

金融,銘柄比較

GSとMSの違いを踏まえて比較します。(2026年5月更新)

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)とモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)は、投資銀行・証券・資産運用を代表する金融銘柄です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(XLF:Financial Select Sector SPDR Fundを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)と配当

決算の予想:結果については以下の関連記事を参照

ゴールドマンサックス(GS)決算:予想と結果 売上&EPS

モルガンスタンレー(MS)決算:予想と結果 売上&EPS

【ウォール街の巨人対決】ゴールドマン・サックス (GS) vs モルガン・スタンレー (MS)

伝統か安定か? ― ビジネスモデルと株主還元を最新データで比較

指標ミニガイド

ROE / ROTCE
自己資本(または有形自己資本)に対する利益率。高いほど稼ぐ力が強い。
CET1 比率
最も厳しい自己資本規制(普通株等Tier1)の比率。規制水準を十分に上回るほど安全余力が大きい。
P/B
株価 ÷ 1株当たり簿価。1倍未満は簿価割れ、1倍超はプレミアム評価。
配当利回り
年間配当(年換算)÷ 株価。インカム投資家の注目ポイント。

1 | 収益構造の決定的な違い

◆ ゴールドマン・サックス(GS)

  • 核は投資銀行+トレーディング。市況が良い局面で収益が伸びやすい一方、波も大きい。
  • 近年は資産・ウェルス・マネジメントの拡大で、収益の土台(手数料収益)の厚みを増やす方向。
  • 2026年Q1(2026年3月末)時点の資産運用監督残高(AUS)は$3.650T。2025年末の$3.606Tから増加しました。[1]

◆ モルガン・スタンレー(MS)

  • 収益の中核はウェルス・マネジメント(WM)。「手数料エンジン」で安定性が高い。
  • 2026年Q1のウェルス・マネジメント純収益は$8.519B、手数料ベースのクライアント資産は$2.792T、同四半期の純新規資産は$118.4Bでした。[2]
  • 市況サイクルの影響は受けにくい一方、安定性が評価されるほどバリュエーションはプレミアムになりやすい。

2 | 2026年Q1 ハイライト(2026年1〜3月期)

指標(2026年Q1) GS MS
純収益(Net revenues) $17.23B[1] $20.58B[2]
純利益(Net earnings / Net income) $5.63B[1] $5.57B[2]
希薄化後EPS $17.55[1] $3.43[2]
ROE / ROTCE ROE 19.8%[1] ROE 21.0%/ROTCE 27.1%[2]
CET1 比率 12.5%(Standardized、2026年3月末)[1] 15.1%(Standardized、2026年3月末)[2]
簿価/株(BVPS) $361.19(2026年3月末)[1] $66.18(2026年3月末)[2]

※2026年Q1は、両社とも市場部門と投資銀行の回復が業績を支えました。GSはGlobal Banking & Marketsの純収益が$12.74B、MSはInstitutional Securitiesの純収益が$10.721Bとなり、どちらも強い四半期でした。[1][2]

3 | 株価バリュエーション & 配当(株価:2026年5月6日12時台UTC時点)

項目 GS MS
株価 $918.89[3] $189.25[3]
簿価/株(BVPS) $361.19(2026年3月末)[1] $66.18(2026年3月末)[2]
P/B 約2.54倍 約2.86倍
PER(参考) 約16.8倍
金融データベース表示[3]
約17.1倍
金融データベース表示[3]
年間配当(年換算) $18.00($4.50×4、2026年Q2宣言ベース)[4] $4.00($1.00×4、2026年Q2宣言ベース)[5]
配当利回り(概算) 約1.96% 約2.11%
2026年Q1の普通株買戻し $5.00B[1] $1.75B[2]

※P/B・利回りは、上記「取得時点の株価」と「年換算配当」を用いた概算です。

4 | 強みとリスク(直近決算トピック反映)

◆ ゴールドマン・サックス

  • 強み:投資銀行・マーケットの回復局面では伸びやすい。2026年Q1は純収益$17.23B、EPS$17.55、年率ROE19.8%。投資銀行フィーは$2.84Bで、前年同期比+48%でした。[1]
  • 強み:AUSは2026年3月末で$3.650Tとなり、資産・ウェルス・マネジメントの手数料収益基盤も拡大しています。[1]
  • リスク:市況連動のボラティリティが大きい。FICCは2026年Q1に$4.01Bで前年同期比-10%となっており、トレーディング・引受の逆風局面では業績ブレに注意が必要です。[1]

◆ モルガン・スタンレー

  • 強み:WMが収益の下支えになりやすい。2026年Q1は純収益$20.6B、EPS$3.43、ROTCE27.1%と強い四半期でした。[2]
  • 強み:ウェルス・マネジメントの純収益は$8.5B、税引前マージンは30.4%。純新規資産は$118Bと、手数料基盤の拡大が続いています。[2]
  • リスク:P/Bが高い局面では割安感は限定的。市場水準の下押しが長引くと、評価(マルチプル)の見直し圧力が出やすい。

5 | 投資判断のヒント

◆ 攻めの高βを狙うなら GS
市場サイクルへの感応度は高い一方、投資銀行・マーケット回復の恩恵を取り込みやすい銘柄です。2026年Q1は投資銀行フィー、Equities、AUSの伸びが目立ちました。市況の追い風を取りにいくなら、GSは候補になりやすい一方、FICCなど部門ごとの変動は大きい点に注意が必要です。[1]
◆ 安定インカムと手数料基盤を重視するなら MS
WMが下支えしやすく、景気の波に対する耐性が比較的高い構造です。2026年Q1はInstitutional Securitiesも強く、WMも過去最高水準の純収益を出しました。一方で、安定性が評価されるほどP/Bは高くなりやすいため、買い付け水準には工夫が必要です。[2]

結論:投資銀行・マーケット回復の上振れを取りにいくならGS、ウェルス・マネジメントの手数料基盤と安定性を重視するならMSという整理です。どちらも2026年Q1は強い結果でしたが、GSは市況変動への感応度、MSはバリュエーションの高さを意識して見る必要があります。

免責事項:本記事は情報提供のみを目的とし、特定銘柄の推奨ではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

計算メモ(概算):P/BはGS 918.89 ÷ 361.19 ≒ 2.54、MS 189.25 ÷ 66.18 ≒ 2.86。配当利回り(年換算)はGS 18.00 ÷ 918.89 ≒ 1.96%、MS 4.00 ÷ 189.25 ≒ 2.11%。

見比べポイント(要点)

  • 市況に強く連動して「伸びやすいがブレやすい」のがGS、手数料基盤で「粘り強い」傾向がMS。
  • 同じ金融でも、収益のエンジン(投資銀行・トレーディング vs ウェルス)が違うため、適正バリュエーションも変わりやすい。
  • 2026年Q1は両社とも強い四半期でしたが、GSはCET1比率が2025年末から低下しており、資本比率と買戻し余力も合わせて確認したい局面です。

【注】(出典リンク)

  1. GS:2026年Q1決算(純収益$17.23B、純利益$5.63B、EPS$17.55、ROE19.8%、BVPS$361.19、CET1 12.5%、AUS$3.650T、買戻し$5.00B等) → SEC提出資料(Ex-99.1、一次情報)GSプレスリリース(一次情報) / 確認日:2026-05-06
  2. MS:2026年Q1決算(純収益$20.58B、純利益$5.57B、EPS$3.43、ROTCE27.1%、BVPS$66.18、CET1 15.1%、WM純収益$8.519B、純新規資産$118.4B等) → Morgan Stanley 1Q 2026 Earnings Release(一次情報/PDF) / 確認日:2026-05-06
  3. 株価・PER試算の前提(GS $918.89、MS $189.25、2026年5月6日12時台UTC時点) → Yahoo Finance:GS(二次情報)Yahoo Finance:MS(二次情報) / 確認日:2026-05-06
  4. GS:配当(四半期$4.50、2026年6月29日支払予定) → SEC提出資料(Ex-99.1、一次情報) / 確認日:2026-05-06
  5. MS:配当(四半期$1.00、2026年5月15日支払予定) → Morgan Stanley 1Q 2026 Earnings Release(一次情報/PDF) / 確認日:2026-05-06

Posted by 南 一矢