MS(モルガンスタンレー)今後の見通し

株価•決算,金融

モルガンスタンレー(Morgan Stanley)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

直近決算

モルガンスタンレーは4月15日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想3.02$→結果3.43$
・売上高:予想197億$→結果205.8億$(前年同期比+16%)
★出典
IRページ
★予想値は以下のページを参照しました。
streetinsider

企業概要

モルガン・スタンレー(Morgan Stanley:NYSE: MS)は、世界42カ国に拠点を持ち、投資銀行、証券業務、ウェルスマネジメント、投資運用を展開するグローバル金融グループです。2025年末時点で従業員は約8.3万人、顧客は企業、政府、金融機関、機関投資家、個人投資家などに広がっています。[1]

1935年、グラス・スティーガル法によりJ.P.モルガン系の証券業務が分離・独立して誕生しました。創業後はM&Aアドバイザリー、資本調達、マーケット業務、資産運用で地位を確立し、1986年に株式公開、1997年にはDean Witterとの合併で個人向け金融サービスの基盤も拡大しました。[2]

2008年の金融危機では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から90億ドルの出資を受けて資本基盤を強化しました。この出資は、当時のMorgan StanleyのTier 1自己資本比率を大きく押し上げ、金融危機後の安定化に重要な役割を果たしました。以後、同社は銀行持株会社体制のもとで、リテール色の強いウェルスマネジメント(WM)を成長エンジンに据える方向を強めました。[3]

近年の戦略M&Aとして、2020年にE*TRADE(オンライン証券)、2021年にEaton Vance(運用会社)を買収しました。E*TRADEによりセルフダイレクト投資家と職域ストックプランの顧客基盤を拡大し、Eaton Vanceにより運用商品、特にParametricを含むカスタム別勘・税効率運用の能力を強化しています。[4][5]

最新の経営・業績トピック

  • 2025年通期は純収入706.45億ドル、Morgan Stanleyに帰属する純利益168.61億ドル、希薄化後EPS10.21ドル、ROTCE21.6%でした。純収入、純利益ともに過去最高水準となり、Institutional Securities、Wealth Management、Investment Managementの3事業すべてが収益拡大に寄与しました。[6]
  • 2026年1-3月期(Q1)は純収入205.80億ドル、Morgan Stanleyに帰属する純利益55.67億ドル、希薄化後EPS3.43ドル、ROTCE27.1%でした。Institutional Securitiesは107.21億ドル、Wealth Managementは85.19億ドルと、いずれも四半期ベースで強い収益を記録しました。[7]
  • リーダーシップはTed(Edward)Pick氏が2024年1月にCEOへ就任し、2025年1月から会長も兼務しています。James Gorman氏は2024年末で会長を退任し、名誉会長となりました。[8]

その事業は、大きく以下の3分野に分かれています。

法人・機関投資家向け(Institutional Securities: IS)
企業、政府、金融機関、機関投資家向けに、M&Aアドバイザリー、株式・債券の引受、資金調達、リスク管理、セールス&トレーディング、プライムブローカレッジなどを提供します。2025年通期のInstitutional Securities純収入は330.80億ドルで、2024年の280.80億ドルから増加しました。2026年Q1も、投資銀行収入、株式、債券の各領域が堅調で、同セグメントの純収入は107.21億ドルとなりました。[6][7]

ウェルスマネジメント(Wealth Management: WM)
富裕層、個人投資家、企業従業員向けに、資産管理、投資助言、証券仲介、バンキング(預金・ローン)、職域ストックプランなどを提供します。E*TRADE統合により、アドバイザー主導セルフダイレクト職域(ストックプラン)という複数の流入経路を持つ点が特徴です。2025年通期のWealth Management純収入は317.54億ドル、税引前利益率は29.3%でした。同年のネット新規資産は3,560億ドル、フィーベース資産フローは1,601億ドルです。2026年Q1も、ネット新規資産1,184億ドル、フィーベース資産フロー537億ドルと、資産流入は堅調でした。[6][7]

投資管理(Investment Management: IM)
機関投資家・リテール向けに、株式、債券、流動性商品、オルタナティブ、カスタム別勘、マルチアセットなどを提供します。Eaton VanceとParametricの獲得により、税効率を意識した個別口座運用やソリューション型運用が強化されました。2025年通期のInvestment Management純収入は65.25億ドルで、2024年比11%増でした。2026年Q1のAUMは1.868兆ドル、純収入は15.35億ドルでした。[6][7]

ガバナンス・資本政策:モルガン・スタンレーは、WM/IMの手数料・資産ベース収益と、ISの市況連動収益を組み合わせることで、収益基盤の安定化を図っています。2025年7月には、四半期普通株配当を1株0.925ドルから1.00ドルへ引き上げ、200億ドルの複数年自己株買い枠を更新しました。2026年Q1にも17.5億ドルの自己株買いを実施し、同四半期末の標準的手法ベースのCET1比率は15.1%でした。[9][7]

ミニ解説
WMが屋台骨:市場が荒れても、預かり資産に基づく手数料、預金・ローン、職域ストックプラン、E*TRADE経由の取引収入が効くため、投資銀行一本足より収益のブレを抑えやすい構造です。
買収の狙い:E*TRADEでセルフ運用と職域顧客を、Eaton Vanceで運用商品の厚みを獲得しました。販売(WM)と製造(IM)をつなぎ、顧客資産を長期的に囲い込む戦略です。
投資家が見るべき点:短期的には投資銀行・トレーディングの市況感応度、中長期ではWMのネット新規資産、フィーベース資産、IMのAUM、資本規制下での配当・自社株買い余力が重要です。

【注】(出典リンク)

  1. 展開国数・従業員数・事業概要 → Morgan Stanley 2025 Form 10-KMorgan Stanley About Us(確認日:2026-05-10)
  2. 沿革・1935年創業・グラス・スティーガル法・Dean Witter合併 → Morgan Stanley Our History(確認日:2026-05-10)
  3. MUFGの90億ドル出資 → MUFG to Invest $9 Billion in Morgan StanleyMUFG Closes $9 Billion Equity Investment(確認日:2026-05-10)
  4. E*TRADE買収 → Morgan Stanley to Acquire E*TRADEMorgan Stanley Closes Acquisition of E*TRADE(確認日:2026-05-10)
  5. Eaton Vance買収 → Morgan Stanley to Acquire Eaton VanceMorgan Stanley Closes Acquisition of Eaton Vance(確認日:2026-05-10)
  6. 2025年通期業績・事業別純収入・WM/IM指標 → Morgan Stanley Reports Fourth Quarter and Full Year 2025Morgan Stanley 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  7. 2026年Q1業績・セグメント別業績・資本比率・株主還元 → Morgan Stanley First Quarter 2026 Earnings ResultsSEC Exhibit 99.1(確認日:2026-05-10)
  8. Ted Pick会長兼CEO・James Gorman退任 → Ted Pick to Become Chairman on January 1, 2025(確認日:2026-05-10)
  9. 配当引き上げ・200億ドル自己株買い枠 → Morgan Stanley Announces Dividend Increase and Share Repurchase ProgramSEC Exhibit 99.1(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

EPSと売上:予想:結果

【出典】

Posted by 南 一矢