IFRA・IGFを比較:米国インフラETFの株価・配当
インフラ銘柄に投資するETFのデータを比較し、情報を整理してみます。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動インデックス等)や配当利回り、ポートフォリオの性質を紹介します。
【徹底比較】インフラETF「IFRA」と「IGF」は何が違う?
安定した分配や長期的な成長が期待されるインフラ分野への投資は、ポートフォリオの安定化に貢献します。その代表的なETFとして、iシェアーズのIFRAとIGFがあります。両者は投資地域だけでなく、投資する事業の性質が大きく異なります。違いを理解し、戦略に合ったETFを選びましょう。
【IFRA】iシェアーズ USインフラETF 〜インフラを「作る」企業へ投資〜
IFRAは、米国内でインフラの設計・建設・資材供給・保守に関わる企業へ分散投資するETFです。景気対策としての公共投資や再エネ・送配電網強化などの恩恵を受けやすい「作る側」の企業群をまとめて保有できます。
- 正式名称: iShares U.S. Infrastructure ETF
- 連動指数: NYSE FactSet U.S. Infrastructure Index
- 投資対象: 米国のインフラ関連(資本財・素材・エネルギー・運輸など)約150社
基本情報(2025年8月時点の参考値)
| 項目 | 数値・詳細 | 
|---|---|
| 経費率 | 0.30% (出典:iShares ETF一覧) | 
| 分配利回り(目安) | 約1.4% (出典:Morningstar IFRA) | 
| 純資産総額 | 約31億米ドル (出典:iShares IFRA) | 
| 上位構成(例) | Quanta Services、Eaton、Trane Technologies、CSX、Williams Companies ほか (構成は随時変動。出典:iShares IFRA) | 
| セクター比率の傾向 | 資本財・エネルギー・素材・公益など (出典:iShares IFRA) | 
【IGF】iシェアーズ グローバル・インフラETF 〜インフラを「所有・運営する」企業へ投資〜
IGFは、世界のインフラ資産を所有・運営し、利用料や規制収入で安定的にキャッシュフローを得る企業に投資します。電力・ガス・パイプライン・空港・有料道路などの公益・運輸インフラが中心で、「使う側から利用料を得る」ビジネスの比重が高いのが特徴です。
- 正式名称: iShares Global Infrastructure ETF
- 連動指数: S&P Global Infrastructure Index
- 投資対象: 世界のインフラ関連(公益・エネルギー・運輸など)約75社
基本情報(2025年8月時点の参考値)
| 項目 | 数値・詳細 | 
|---|---|
| 経費率 | 0.39%(目安) (出典:Morningstar IGF/参考:iShares ETF一覧) | 
| 分配利回り(目安) | 約3.0〜3.3% (出典:iShares(地域サイト)/Morningstar IGF) | 
| 純資産総額 | 約84億米ドル (出典:Morningstar IGF) | 
| 上位構成(例) | NextEra Energy、Enbridge、Transurban、Southern Co、National Grid ほか (構成は随時変動。出典:iShares IGF) | 
| 地域分散の傾向 | 米国の比率が最大だが、カナダ・豪州・欧州・日本などに国際分散 (出典:iShares IGF) | 
IFRAとIGFの比較まとめ
投資アプローチの違いが、値動きの特性や利回りにそのまま表れます。
| 項目 | IFRA(作る側) | IGF(所有・運営側) | 
|---|---|---|
| 投資アプローチ | 建設・開発・資材供給などの受注型 | 電力・ガス・空港・道路などの運営型 | 
| 投資地域 | 米国特化 | グローバル(米国の比率が最大) | 
| 主要セクター | 資本財・エネルギー・素材・公益 | 公益事業・エネルギー・運輸 | 
| 景気感応度 | 比較的高い(公共投資・設備投資に連動) | 比較的低い(規制収入中心でディフェンシブ) | 
| 分配利回り(目安) | 約1.4% (出典) | 約3.0〜3.3% (出典1/出典2) | 
| 経費率 | 0.30% (出典) | 0.39%(目安) (出典) | 
2025年の市場動向(要点)
米国ではインフラ投資法やエネルギー移行関連のプロジェクトが継続し、送配電網・データセンター電力・半導体関連設備などの需要が底堅い環境。これらは「作る側」のIFRAに追い風になりやすい一方、金利動向は公益株中心のIGFのバリュエーションに影響しやすい点に留意。
投資の際の注意点
- 金利変動リスク: 特にIGFのような公益比率が高いETFは金利上昇局面で相対的に弱くなる傾向。
- 規制・政策リスク: 公益・運輸は規制の影響が大きく、料金改定や許認可が収益に波及。
- 景気感応度: IFRAは設備投資・資材価格の影響を受けやすく、景気後退時はボラティリティが高まりやすい。
まとめ
景気拡大や公共投資の波に乗りたいならIFRA、安定収益を生むインフラ運営企業へ国際分散しつつ分配も重視するならIGFが候補。違いを押さえたうえで、ご自身のポートフォリオの役割(成長/インカム/地域分散/コスト)に合わせて選択を。
【出典・情報源】
免責事項:本記事は情報提供を目的としたもので、特定商品の売買推奨ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。分配金利回りや純資産総額、構成銘柄等は日々変動します。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当(分配金)と利回り
年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高くなることがあります)
IFRAの利回り
| 年 | 配当 | 株価 | |||
| 平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
| 2024 | 3.89% | 0.81 | 1.3% | 20.8 | 4.5% | 
| 2023 | 4.02% | 0.8 | -10.1% | 19.9 | -7.9% | 
| 2022 | 4.12% | 0.89 | 34.8% | 21.6 | 4.3% | 
| 2021 | 3.19% | 0.66 | 11.9% | 20.7 | 5.6% | 
| 2020 | 3.01% | 0.59 | 25.5% | 19.6 | -7.1% | 
| 2019 | 2.23% | 0.47 | -52% | 21.1 | 11.1% | 
| 2018 | 5.16% | 0.98 | – | 19 | -1% | 
IGFの利回り
| 年 | 配当 | 株価 | |||
| 平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
| 2024 | 3.37% | 1.68 | 6.3% | 49.9 | 7.5% | 
| 2023 | 3.41% | 1.58 | -6% | 46.4 | -2.1% | 
| 2022 | 3.54% | 1.68 | -1.8% | 47.4 | 3% | 
| 2021 | 3.72% | 1.71 | 71% | 46 | 13% | 
| 2020 | 2.46% | 1 | -35.9% | 40.7 | -10.2% | 
| 2019 | 3.44% | 1.56 | 13% | 45.3 | 5.8% | 
| 2018 | 3.22% | 1.38 | 4.5% | 42.8 | -2.3% | 
| 2017 | 3.01% | 1.32 | 13.8% | 43.8 | 12% | 
| 2016 | 2.97% | 1.16 | 0.9% | 39.1 | -3.7% | 
| 2015 | 2.83% | 1.15 | -8.7% | 40.6 | -3.6% | 
| 2014 | 2.99% | 1.26 | -6% | 42.1 | 12.9% | 
| 2013 | 3.59% | 1.34 | -8.2% | 37.3 | 7.8% | 
| 2012 | 4.22% | 1.46 | 1.4% | 34.6 | -1.7% | 
| 2011 | 4.09% | 1.44 | 11.6% | 35.2 | 5.4% | 
| 2010 | 3.86% | 1.29 | 13.2% | 33.4 | 12.8% | 
| 2009 | 3.85% | 1.14 | 107.3% | 29.6 | -26.7% | 
| 2008 | 1.36% | 0.55 | – | 40.4 | – | 
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

