LLY:イーライリリーの配当推移

ヘルスケア,配当

【2026年5月更新】 2025年通期決算、2026年第1四半期決算、2026年5月宣言の最新四半期配当、2026年通期ガイダンスを反映しました。2025年通期の売上高は651.79億ドル、純利益は206.40億ドル、営業CFは168.13億ドル、希薄化後EPSは22.95ドルでした。2026年第1四半期は売上高197.99億ドル、報告EPS8.26ドル、非GAAP EPS8.55ドルとなり、会社は2026年通期の売上高見通しを820億〜850億ドル、非GAAP EPS見通しを35.50〜37.00ドルへ引き上げています。[1][2]

イーライリリー(LLY)配当投資分析(2026年5月更新)

要旨:イーライリリーは、糖尿病・肥満治療薬「Mounjaro/Zepbound」を軸に、2025年通期売上高651.79億ドル、GAAP純利益206.40億ドルまで急拡大しました。2026年第1四半期も、Mounjaro売上86.62億ドル、Zepbound売上41.60億ドルを背景に、売上高197.99億ドル、報告EPS8.26ドル、非GAAP EPS8.55ドルを記録しています。[1][2]

配当面では、2025年の年間配当は1株6.00ドルでした。2026年5月4日には、第2四半期配当として1株1.73ドルが宣言され、現行年率配当は6.92ドルとなっています。2026年5月8日時点の株価974.96ドルに対する配当利回りは約0.71%です。[3][4]

まず、イーライリリー(Eli Lilly and Company)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。

権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを測る指標)等も確認します。2026年時点のLLYは、配当利回りの高さを狙う銘柄ではなく、Mounjaro/Zepboundを中心とする利益成長と、それに伴う将来の増配余地を評価する銘柄です。

ざっくりポイント:現在のLLYは「高成長×低利回り」の典型です。2026年5月時点の利回りは約0.71%と低い一方、2026年通期の非GAAP EPS見通し35.50〜37.00ドルに対する現行年率配当6.92ドルの配当性向は約19%です。配当余力は大きいものの、投資判断では配当よりも成長性・バリュエーション・薬価リスクを見る必要があります。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

年次:配当の推移(利回り・成長率・配当性向・年間配当・平均株価・EPS)

増配ピッチと「会計ベースの配当性向」の振れ幅を掴むための年次テーブルです。2025年通期実績と2026年5月時点の現行配当を追加しました。

配当 平均株価 年EPS
(GAAP)
非GAAP EPS
平均利回り 成長率 配当性向 年計($)
2026E 約0.71%
(5月8日)
約15% 約18.7〜19.5%
(非GAAP EPS見通し比)
6.92
(現行年率)
974.96
(5月8日)
35.50〜37.00
2025 0.73% 15% 26%
(GAAP)
25%
(非GAAP)
6.00 823.47 22.95 24.21
2024 0.65% 15% 44% 5.20 801.10 11.71 12.99
2023 0.97% 15% 78% 4.52 464.60 5.80
2022 1.27% 15% 57% 3.92 307.50 6.90
2021 1.51% 15% 56% 3.40 224.60 6.12
2020 1.99% 15% 44% 2.96 148.80 6.79
2019 2.21% 15% 29% 2.99 116.60 10.24
2018 2.40% 8% 72% 2.60 93.60 3.61
2017 2.53% 2% N/A 2.40 82.20 -0.18
2016 2.67% 2% 79% 2.35 76.40 2.97
2015 2.54% 2% 88% 2.31 78.80 2.62
2014 3.18% 0% 88% 2.26 61.60 2.57
2013 3.72% 0% 45% 2.26 52.70 5.02
2012 4.50% 0% 54% 2.26 43.60 4.18
2011 5.33% 0% 50% 2.26 36.80 4.51
2010 5.57% 0% 43% 2.26 35.20 5.27
2009 5.71% 4% 50% 2.26 34.30 4.52
2008 4.12% 11% N/A 2.04 45.60 -1.71

※EPSはGAAPベースの希薄化後EPSです。特別要因で大きく振れる年があるため、配当安全性の評価では下記の営業CF・フリーCF対比も確認するのが実務的です。2025年の平均株価はMacrotrendsの年次平均株価823.47ドルを使用し、平均利回りは年間配当6.00ドル÷平均株価823.47ドルで計算しました。[4]


配当の持続可能性を測る:現金ベースのカバー比率

指標の読み方

  • 配当総額(現金支出):キャッシュフロー計算書の財務CF内にある「Dividends paid」を優先して使用します。
  • 営業CF対配当比率= 営業CF / 配当総額。中長期で1.5倍超がひとつの目安です。
  • フリーCF対配当比率=(営業CF − 設備投資)/ 配当総額。設備投資を控除した残余現金でどれだけ配当を賄えるかを見ます。

年次:配当総額とカバー比率

単位は百万ドル(M$)。カバー比率は小数2桁で表記。CFO/配当とFCF/配当の両方を掲示します。

配当総額 営業CF CAPEX フリーCF 営業CF/配当 FCF/配当
2025 5,384 16,813 7,841 8,972 3.12 1.67
2024 4,680 8,818 5,058 3,760 1.88 0.80
2023 4,069 4,240 3,448 792 1.04 0.19
2022 4,864 7,586 1,855 5,731 1.56 1.18
2021 4,230 7,366 1,700 5,666 1.74 1.34
2020 3,679 6,500 1,700 4,800 1.77 1.30
2019 3,201 4,837 1,600 3,237 1.51 1.01
2018 2,788 5,525 1,300 4,225 1.98 1.52
2017 2,577 5,616 1,100 4,516 2.18 1.75
2016 2,525 4,851 1,200 3,651 1.92 1.45
2015 2,485 2,965 800 2,165 1.19 0.87
2014 2,431 4,458 1,000 3,458 1.83 1.42
2013 2,431 5,735 900 4,835 2.36 1.99
2012 2,504 5,305 900 4,405 2.12 1.76
2011 2,504 7,235 1,100 6,135 2.89 2.45
2010 2,504 6,857 1,200 5,657 2.74 2.26
2009 2,504 4,336 1,200 3,136 1.73 1.25
2008 2,263 7,296 1,100 6,196 3.22 2.74

2025年は、営業CFが168.13億ドルへ急増し、配当支払額53.84億ドルを3.12倍カバーしました。設備投資が78.41億ドルまで増えたため、フリーCFベースの配当カバーは1.67倍ですが、2023〜2024年より大きく改善しています。[1]


キャッシュフロー計算書

読み方(要点)

  1. 営業CF:本業の現金創出力。配当の元手。
  2. 投資CF:設備投資やM&Aなど。マイナス拡大は、将来成長への投資を意味します。
  3. 財務CF:配当・自社株買い・借入など、株主・債権者との現金やり取り。

年次:営業CF・投資CF・財務CF

単位は百万ドル(M$)。

営業CF 投資CF 財務CF 配当支払 自社株買い
2025 16,813 -10,972 -2,213 5,384 4,108
2024 8,818 -9,302 1,230 4,680 2,500
2023 4,240 -7,153 3,496 4,069 750
2022 7,586 -3,763 -5,407
2021 7,366 -2,868 -4,131
2020 6,500 -2,259 -3,137
2019 4,837 -8,083 -2,325
2018 5,525 1,906 -5,905
2017 5,616 -3,784 143
2016 4,851 -3,139 -560
2015 2,965 27 -3,111
2014 4,458 -3,909 -166
2013 5,735 -2,073 -3,829
2012 5,305 -2,833 -4,420
2011 7,235 -4,824 -2,370
2010 6,857 -3,160 -2,022
2009 4,336 143 -5,534
2008 7,296 -7,269 2,346
  • 2025年の営業CFは168.13億ドルで、2024年の88.18億ドルから大幅に増加しました。
  • 2025年の投資CFはマイナス109.72億ドルで、製造設備投資、研究開発資産の取得、買収関連支出が続いています。
  • 2025年の設備投資は78.41億ドルで、2024年の50.58億ドルから増加しました。
  • 2025年の財務CFはマイナス22.13億ドルで、配当53.84億ドル、自社株買い41.08億ドルを実施した一方、長期債務の発行も行っています。

損益・キャッシュ創出の推移(抜粋)

売上・営業CF・純利益の長期推移です。単位はM$(百万ドル)です。

売上 営業CF 純利益 希薄化後EPS
2026 Q1 19,799 7,396 8.26
2025 65,179 16,813 20,640 22.95
2024 45,043 8,818 10,590 11.71
2023 34,124 4,240 5,240 5.80
2022 28,541 7,586 6,245 6.90
2021 28,318 7,366 5,582 6.12
2020 24,540 6,500 6,193 6.79
2019 22,320 4,837 10,969 10.24
2014 19,616 4,458 2,739 2.57
2010 23,076 6,857 5,695 5.27
2009 21,836 4,336 5,018 4.52
2008 20,372 7,296 -1,895 -1.71

2025年の売上高は651.79億ドルで、2024年の450.43億ドルから45%増加しました。Mounjaroの2025年売上は229.65億ドル、Zepboundは135.42億ドルで、両製品が成長の中心です。2026年第1四半期も、Mounjaro売上86.62億ドル、Zepbound売上41.60億ドルと高成長が続いています。[1][2]


バランスシート:自己資本・負債の時系列

単位は百万ドル(M$)。自己資本率=株主資本/総資産、負債比率=総負債/株主資本です。

総資産 総負債 株主資本 自己資本率(%) 負債比率(%) 長期債務
2025 112,476 85,941 26,535 24 324 40,868
2024 78,715 64,443 14,272 18 452 28,527
2023 64,006 53,143 10,864 17 489
2022 49,490 38,714 10,775 22 359
2021 48,806 39,651 9,155 19 433
2020 46,633 40,808 5,642 12 723
2019 39,286 36,587 2,607 7 1403
2018 43,908 32,999 9,829 22 336
2016 38,806 24,725 14,008 36 177
2014 36,308 20,920 15,373 42 136
2012 34,399 19,625 14,765 43 133
2010 31,001 18,589 12,413 40 150
2009 27,461 17,936 9,524 35 188
2008 29,213 22,475 6,735 23 334
  • 2025年末の総資産は1,124.76億ドルで、2024年末の787.15億ドルから大幅に増加しました。
  • 2025年末の株主資本は265.35億ドルで、自己資本率は約24%へ改善しました。
  • 2025年末の長期債務は408.68億ドル、短期借入および長期債務の流動部分は16.35億ドルです。
  • 2026年第1四半期末の総債務は434億ドルで、2025年末の425億ドルから9億ドル増加しています。現金及び現金同等物は2026年第1四半期末に53億ドルでした。[5]

投資家向け所感(要約)

  • 配当安全度:2025年の営業CF対配当カバーは3.12倍、FCF対配当カバーは1.67倍でした。2023〜2024年は大型投資によりFCFカバーが低下しましたが、2025年は利益と営業CFの急拡大により改善しています。
  • 配当成長の持続性:2026年の現行年率配当6.92ドルは、2026年通期の非GAAP EPS見通し35.50〜37.00ドルに対して約19%にとどまります。増配余力は大きいものの、製造能力拡張・研究開発・買収への投資も大きいため、配当よりも成長投資を優先する局面です。
  • バランスシート:2025年末の自己資本率は24%へ改善しました。一方で、長期債務は408.68億ドルまで増加しており、2026年第1四半期末の総債務は434億ドルです。キャッシュ創出力は強いものの、レバレッジと金利負担は引き続き確認が必要です。
  • 業界特性と市場評価:現在の成長はMounjaro/Zepboundへの依存度が高く、薬価、競合、製造能力、規制、特許、訴訟の影響を受けます。2025年11月には時価総額が一時1兆ドルに到達しましたが、2026年5月8日時点の時価総額は約8,735億ドルです。高成長が期待される一方、バリュエーションには高い成長継続が織り込まれています。[4]

※本記事は投資判断の参考として財務データを整理・分析したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

数値はいずれも公表資料にもとづきますが、簡略化や四捨五入により実際の開示値と若干異なる場合があります。詳細な出典は本文末の【注】をご確認ください。

ミニ解説: LLYの配当は、現時点では「高配当」ではありません。むしろ、配当性向が低いまま利益が急拡大しているため、将来の増配余地が大きい銘柄です。ただし、現在の株価では配当利回りは1%未満であり、配当目的だけで買う銘柄ではありません。投資判断では、肥満・糖尿病治療薬の成長、薬価低下リスク、製造能力、買収・研究開発投資、バリュエーションを総合的に見る必要があります。

【注】(出典リンク)

  1. 2025年通期決算・売上高・EPS・営業CF・配当支払・自社株買い・バランスシート → 一次情報:Eli Lilly 2025 Form 10-KLilly「Fourth-quarter 2025 financial results」(確認日:2026-05-08)
  2. 2026年第1四半期決算・Mounjaro/Zepbound売上・2026年通期ガイダンス → 一次情報:Lilly「First-quarter 2026 financial results」Lilly SEC Filings(確認日:2026-05-08)
  3. 2026年第2四半期配当1.73ドル・支払日・基準日 → 一次情報:Lilly「Second-quarter 2026 dividend」Lilly Dividend Information(確認日:2026-05-08)
  4. 株価・平均株価・時価総額・配当利回り計算 → 一次情報:Lilly Historic Stock Lookup → 補助:Macrotrends「Eli Lilly Stock Price History」(確認日:2026-05-08)
  5. 2026年第1四半期の債務・現金・流動性 → 一次情報:Lilly 2026 Q1 Form 10-Q → 補助:Lilly Q1 2026 Results(確認日:2026-05-08)

変更箇所(今回)

  • 記事タイトルの更新時点を「2025年11月更新」から「2026年5月更新」へ変更しました。
  • 要旨を2025年9月期TTM中心から、2025年通期実績と2026年第1四半期決算中心へ更新しました。
  • 2025年通期売上高を65,179Mドルへ更新しました。
  • 2025年通期純利益を20,640Mドルへ更新しました。
  • 2025年通期GAAP希薄化後EPSを22.95ドルへ更新しました。
  • 2025年通期非GAAP EPS24.21ドルを追加しました。
  • 2025年の年間配当を6.00ドルへ更新しました。
  • 2025年の平均株価を823.47ドルへ更新し、平均配当利回りを0.73%へ修正しました。
  • 2025年のGAAP EPSベース配当性向を約26%、非GAAP EPSベース配当性向を約25%へ更新しました。
  • 2026E行を配当表に追加しました。現行年率配当6.92ドル、2026年5月8日時点株価974.96ドル、配当利回り約0.71%を反映しました。
  • 2026年5月4日に宣言された第2四半期配当1.73ドル、支払日2026年6月10日、基準日2026年5月15日を追加しました。
  • 2026年通期の売上高ガイダンスを82.0B〜85.0Bドルへ追加しました。
  • 2026年通期の非GAAP EPSガイダンスを35.50〜37.00ドルへ追加しました。
  • 2026Eの配当性向を、現行年率配当6.92ドルと非GAAP EPS見通し35.50〜37.00ドルから約18.7〜19.5%として追加しました。
  • 2026年第1四半期決算を追加しました。売上高は19,799Mドル、純利益は7,396Mドル、報告EPSは8.26ドル、非GAAP EPSは8.55ドルです。
  • 2026年第1四半期のMounjaro売上8,662Mドル、Zepbound売上4,160Mドルを追加しました。
  • 2025年のMounjaro売上22,965Mドル、Zepbound売上13,542Mドルを追加しました。
  • 配当総額を概算値から、2025年・2024年・2023年については10-K記載の現金配当支払額へ置き換えました。
  • 2025年の配当支払額を5,384Mドルへ更新しました。
  • 2025年の営業CFを16,813Mドルへ更新しました。
  • 2025年のCAPEXを7,841Mドルへ更新しました。
  • 2025年のフリーCFを8,972Mドルへ更新しました。
  • 2025年の営業CF/配当カバーを3.12倍、FCF/配当カバーを1.67倍へ更新しました。
  • 2024年の配当支払額を4,680Mドルへ修正しました。
  • 2024年の営業CF/配当カバーを1.88倍、FCF/配当カバーを0.80倍へ修正しました。
  • 2023年の配当支払額を4,069Mドルへ修正しました。
  • 2023年の営業CF/配当カバーを1.04倍、FCF/配当カバーを0.19倍へ修正しました。
  • 2025年の投資CFを-10,972Mドルへ更新しました。
  • 2025年の財務CFを-2,213Mドルへ更新しました。
  • 2025年の自社株買い4,108Mドルを追加しました。
  • 2025年末の総資産を112,476Mドルへ更新しました。
  • 2025年末の総負債を85,941Mドルへ更新しました。
  • 2025年末の株主資本を26,535Mドルへ更新しました。
  • 2025年末の自己資本率を約24%へ更新しました。
  • 2025年末の負債比率を約324%へ更新しました。
  • 2025年末の長期債務40,868Mドルを追加しました。
  • 2026年第1四半期末の総債務43.4Bドル、現金及び現金同等物5.3Bドルを追加しました。
  • 「2025年9月期TTM」や「2025年11月下旬時点の株価およそ1,100ドル」といった旧記述を削除し、2026年5月8日時点の株価974.96ドルに置き換えました。
  • 「11年連続増配」という記述は、2026年も1.73ドルへの増配が宣言されたため、最新配当とあわせて整理しました。
  • 「配当安全度」の説明を、2025年の営業CF・FCFカバー改善を中心に更新しました。
  • 脚注を本文末の「【注】(出典リンク)」に統一し、本文中の生URLや旧式の出典表記を削除しました。
  • 元記事の構成を維持しつつ、2025年通期実績、2026年第1四半期決算、最新配当、最新株価、2026年通期ガイダンスを反映しました。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

Posted by 南 一矢