LLY(イーライリリー)今後の見通し

バイオ製薬&ゲノム,ヘルスケア,株価•決算

イーライリリー・アンド・カンパニー(Eli Lilly and Company)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については以下を参照

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直近決算

イーライリリーは4月30日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想6.97$→結果8.55$
・売上高:予想176億$→結果198億$(前年同期比+56%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想34.53$→結果35.5~37$
・売上高:予想816.7億$→結果820~850億$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

イーライリリー・アンド・カンパニー(Eli Lilly and Company、以下「リリー」)は、革新的な医薬品の開発・製造・販売を手がけるグローバル製薬企業です。1876年に米インディアナ州インディアナポリスで創業され、現在も本社を同地に置いています。2025年通期の年次報告書および2026年Q1決算によれば、主な事業領域は心血管・代謝、オンコロジー、免疫、神経疾患などで、特にインクレチン関連製品群(チルゼパチド、オルフォルグリプロン)と新規アルツハイマー病治療薬の貢献が際立っています。[1][2]

研究開発から臨床試験、製造、販売までをグローバルに展開し、米国・欧州・日本・中国など世界各地に研究開発・生産拠点を配置しています。2025年通期の売上高は651.79億ドルで、2024年通期の450.43億ドルから45%増となりました。2025年の売上成長は、マウンジャロ(Mounjaro)とゼップバウンド(Zepbound)の需要拡大が中心です。[1]

主な医薬品(2026年時点)は以下の通り。

  • ゼップバウンド(Zepbound/チルゼパチド):肥満症または過体重で体重関連合併症を持つ成人向けの治療薬です。2023年11月に米FDAが肥満症向けに承認し、2024年12月には肥満成人の中等度〜重度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)にも適応が拡大されました。2025年通期売上は135.42億ドルで、2024年通期の49.26億ドルから大きく伸びました。[3][4]
  • マウンジャロ(Mounjaro/チルゼパチド):2型糖尿病治療薬です。2025年通期売上は229.65億ドルで、2024年通期の115.40億ドルから99%増となりました。2026年Q1も世界売上87億ドル、前年同期比125%増と、リリー最大級の成長ドライバーになっています。[1][2]
  • ファウンデイオ(Foundayo/オルフォルグリプロン):1日1回経口投与のGLP-1受容体作動薬です。2026年4月1日に米FDAが、肥満症または体重関連合併症を持つ過体重成人向けに承認しました。注射剤ではなく経口薬で、食事や水分摂取のタイミング制限なしに服用できる点が特徴です。2026年時点では発売初期段階であり、既存の注射剤チルゼパチド製品とあわせて、肥満症市場の裾野を広げる製品として位置づけられます。[5]
  • キスンラ(Kisunla/ドナネマブ):早期アルツハイマー病治療薬です。2024年7月に米FDAが承認しました。抗アミロイド抗体であるため、ARIA(アミロイド関連画像異常)などの安全性管理が重要であり、投与対象、検査体制、償還環境が普及の鍵になります。[6]
  • ヴァーゼニオ(Verzenio/アベマシクリブ):HR陽性/HER2陰性乳がん治療薬です。2025年通期売上は57.23億ドルで、2024年通期比8%増でした。リリーのオンコロジー領域の中核製品です。[1]
  • タルツ(Taltz/イキセキズマブ):乾癬、乾癬性関節炎、体軸性脊椎関節炎などの免疫疾患治療薬です。2025年通期売上は米国内外を合わせて35.63億ドルでした。[1]
  • オムヴォー(Omvoh/ミリキズマブ):潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患向け治療薬です。2026年Q1からリリーが定義するKey Productsに含まれており、免疫領域の成長製品の一つです。[2]
  • レテブモ(Retevmo/セルペルカチニブ)、ジェイピルカ(Jaypirca/ピルトブルチニブ)など:腫瘍領域の製品群です。ジェイピルカは2026年Q1時点でKey Productsに含まれ、オンコロジー領域の成長候補として位置づけられます。[2]
  • エムガラティ(Emgality/ガルカネズマブ):片頭痛の予防薬です。神経疾患領域の製品の一つです。[7]
  • オルミアン(Olumiant/バリシチニブ):関節リウマチなどの自己免疫性炎症性疾患向けの製品です。[7]
  • ヒューマログ(Humalog/インスリン リスプロ)、ヒューマリン(Humulin)、バサグラー(Basaglar/インスリン グラルギン):糖尿病領域の従来品です。チルゼパチド製品が急成長する一方、これらは成熟製品として位置づけられます。[7]
  • プロザック(Fluoxetine)、ジプレキサ(Zyprexa/オランザピン)、フォルティオ(Forteo/テリパラチド):いずれも主に成熟期・ジェネリック競合下のレガシー製品群です。現在のリリーの成長を直接けん引する製品というより、過去の主力製品として理解するのが適切です。[7]

糖尿病・肥満領域では、チルゼパチド注射剤に加え、経口GLP-1受容体作動薬ファウンデイオ(オルフォルグリプロン)が2026年4月に米国で承認されました。リリーは2026年Q1決算で、ファウンデイオを重要な新薬として位置づけ、2026年通期売上ガイダンスを820億〜850億ドルへ引き上げました。経口薬の普及が進めば、注射に抵抗のある患者層や長期維持療法の選択肢を広げる可能性があります。[2][5]

リリーは北米、欧州、アジア、中南米、アフリカなど世界各地域で事業を展開し、各国の医療制度と規制に合わせたローカライズ戦略を採用しています。とりわけボーリンガー・インゲルハイムとのアライアンスを通じ、ジャディアンス(Jardiance/エンパグリフロジン)など糖尿病・心腎領域での協業も継続しています。2025年通期のジャディアンス関連収益は34.32億ドルでした。[8]

強みは、①インクレチン系(マウンジャロ/ゼップバウンド/ファウンデイオ)による圧倒的な成長力、②神経変性疾患(キスンラ)や免疫・腫瘍領域の多角的パイプライン、③グローバルな製造・供給体制の拡充です。2026年5月には、インディアナ州の製造拠点に追加で45億ドルを投資し、同州での2020年以降の資本投資コミットメントが210億ドル超に達することも公表されました。一方で、④規制・安全性リスク、⑤新薬開発の不確実性、⑥GLP-1市場での競争激化、⑦価格・償還政策の変化、⑧チルゼパチド製品への売上集中と供給制約は注意点です。2025年通期にはマウンジャロとゼップバウンドだけで売上全体の56%を占めました。[1][9]

一言で:2025〜2026年のリリーは、マウンジャロ/ゼップバウンドの急成長に、経口GLP-1のファウンデイオが加わり、肥満症・糖尿病市場でさらに攻勢を強めています。キスンラ、ヴァーゼニオ、タルツ、オムヴォー、ジェイピルカなども成長候補ですが、当面の企業価値はインクレチン製品の需要、価格、供給能力、競合環境に大きく左右されます。投資家は売上成長だけでなく、価格低下、償還、製造能力、製品集中リスク、安全性シグナルをあわせて確認する必要があります。[2][1]

【注】(出典リンク)

  1. 2025年10-K・事業概要・創業・製品別売上・売上集中 → Eli Lilly and Company 2025 Form 10-KLilly SEC Filings(確認日:2026-05-10)
  2. 2026年Q1決算・通期ガイダンス引き上げ・Mounjaro/Zepbound売上 → Lilly Reports First-Quarter 2026 Financial ResultsLilly Quarterly Results(確認日:2026-05-10)
  3. ゼップバウンドの肥満症向け米FDA承認 → FDA Approves Lilly’s Zepbound for Chronic Weight Management(確認日:2026-05-10)
  4. ゼップバウンドの閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)適応追加 → FDA Approves Zepbound for Moderate-to-Severe OSA in Adults with Obesity(確認日:2026-05-10)
  5. ファウンデイオ(オルフォルグリプロン)米FDA承認 → FDA Approves Lilly’s FoundayoFDA Approves Foundayo under National Priority Voucher Program(確認日:2026-05-10)
  6. キスンラ(ドナネマブ)米FDA承認・安全性ラベリング → Lilly’s Kisunla Approved by FDAFDA Kisunla Label(確認日:2026-05-10)
  7. 現行製品一覧・成熟製品 → Lilly Current MedicinesEli Lilly and Company 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  8. Jardiance協業・ボーリンガー・インゲルハイム提携 → Lilly and Boehringer Ingelheim Strategic AllianceEli Lilly and Company 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)
  9. インディアナ州製造投資・供給能力拡充 → Lilly Commits Additional $4.5 Billion Across Indiana Manufacturing SitesReuters Coverage(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢