RIO:リオティント(ADR)の配当見通し・将来性

ADR銘柄,素材

企業概要

リオティント(Rio Tinto)は、英国(Rio Tinto plc)とオーストラリア(Rio Tinto Limited)の二元上場(DLC)構造を持つ世界的な大手鉱業会社です。鉄鉱石・アルミニウム・銅を中心に、ホウ砂、二酸化チタン、食塩、リチウムなどの鉱産物も扱います。2025年にはArcadium Lithiumの買収完了によりリチウム事業を本格拡大し、バッテリー材料領域の存在感を強めました。事業は35か国で展開し、従業員は約6万人です(2025年時点)。[1]

事業は北米・豪州を主軸に、南米・アジア・欧州・アフリカへ広がります。2020年に豪州ジュカン・ゴージの先住民遺跡破壊を招いた反省から、2025年には伝統所有者(PKKP)と鉱山運営の共同管理協定を締結し、文化遺産保護と地域社会との対話を組織的に進めています。[2]

主要製品と最近の動き:主力の鉄鉱石では、豪州ピルバラが引き続き収益の中心です。さらにギニアの巨大高品位鉄鉱石プロジェクト「シマンドゥ(Simandou)」では、2025年12月に初出荷を達成しました。今後は鉄道・港湾インフラの立ち上げと段階的増産が焦点になります。[3]

リチウムでは、2025年3月にArcadium Lithiumの買収(約67億米ドル)を完了し、Rio Tinto Lithiumを発足させました。アルゼンチンのRincon、カナダのNemaska、チリのマリクンガ塩湖やSalares Altoandinosなどが、今後の成長案件です。[4][5]

環境方針:自社操業(スコープ1・2)の温室効果ガス排出について、2030年までの削減目標と2050年ネットゼロ目標を掲げています。ただし2025年以降は、脱炭素投資も収益性・実行可能性・資本規律を重視して進める姿勢が強まっています。[6]


ビジネスモデル

  • 鉄鉱石:主に豪州ピルバラとギニアのSimandou。高品位鉄鉱石は製鉄の省エネ・低炭素化に有利です。Simandouは2025年12月に初出荷済みで、今後の段階的増産が中期の注目点です。[3]
  • アルミニウム:ボーキサイト採掘、アルミナ精製、アルミ製錬まで一貫して手がけます。低炭素アルミや製錬技術の改善は、長期的な差別化要因です。
  • :送配電、EV、データセンター、再エネ設備に不可欠な金属です。モンゴルのオユトルゴイ地下鉱山の立ち上がりが、2025年以降の成長を支えています。[7]
  • リチウム:Arcadium買収により、アルゼンチン、カナダ、豪州、チリなどに資産を獲得しました。Rinconは年産6万tLCEへの拡張計画が進められています。[4][5]
  • 工業鉱産物:ホウ砂、二酸化チタン、塩など。ホウ砂事業はU.S. Boraxを通じて展開しています。

最新決算の超要約(2025年通期)

  • 基礎:2025年通期の売上高は576.38億ドル、Underlying EBITDAは253.63億ドル、営業CFは168.32億ドル、Rio Tinto株主帰属純利益は99.66億ドルでした。[7]
  • 配当:2025年の年間普通配当は1株あたり4.02ドル(中間1.48ドル、期末2.54ドル)です。Underlying earningsに対する配当性向は60%で、会社の長期方針である40〜60%レンジの上限です。[8]
  • ネットデット:2025年末のネットデットは143.62億ドルで、Arcadium買収やSimandou投資などにより2024年末の54.91億ドルから増加しました。[7]

※出所:Rio Tinto公式の2025年通期決算・年次報告を中心に整理しています。主要指標は概念把握用に丸めています。


投資家向け3行まとめ

  1. 鉄鉱石が現在の稼ぎ頭。2025年12月にSimandou初出荷を達成し、中期の増産余地が広がりました。[3]
  2. 銅・リチウムで次の柱を育成中。Oyu Tolgoiの増産、Arcadium買収、チリ・アルゼンチン案件が成長テーマです。[4][7]
  3. 配当は基礎利益に連動し、長期方針は40〜60%レンジ。2025年は60%で、好況期には高配当、低迷期には調整される資源株型の配当です。[8]

「見るべき指標」

  • 鉄鉱石価格:同社キャッシュフローの感応度が高く、配当余力にも直結します。
  • Simandouの立ち上げ:2025年12月の初出荷後、30か月程度のランプアップが想定されています。[3]
  • リチウム稼働計画:Arcadium資産の統合、Rincon拡張、チリのJV群の許認可・建設・立ち上げ。
  • 銅の増産:Oyu Tolgoi地下鉱山の寄与、米国Resolution、ペルーLa Granjaなどの長期案件。
  • 配当方針:40〜60%レンジのどこで支払うか、特別配当や自社株買いの有無。
  • ESG対応:PKKPとの共同管理協定の運用状況、気候目標、地域社会との合意形成。

市場戦略

資本配分:鉄鉱石から得るキャッシュを、銅・リチウム・高品位鉄鉱石など成長分野に振り向けつつ、配当も維持する戦略です。2025年は営業CFが増加した一方、Arcadium買収と大型投資によりネットデットが増えました。[7]

デジタル・効率化:大型鉱山の操業最適化、物流最適化、コスト削減を進めています。2025年通期決算では、操業改善とコスト規律がUnderlying EBITDAの増加を支えたと説明されています。[7]

パートナーシップの強化:Simandou、Codelco・ENAMIとのチリ案件、ELYSISなど、政府・同業・技術パートナーとの連携が成長戦略の柱です。


地域展開とガバナンス

Rio Tintoは世界35か国で事業を展開しています。DLC構造の継続是非が投資家議論になることもありますが、2025年の株主提案に対して会社側は継続支持を表明し、株主投票でも統合検討提案は否決されました。DLC構造は複雑さを持つ一方、英豪双方の上場基盤と株主構成を維持する仕組みでもあります。[9]


リスクとチャンス

  • コモディティ価格の変動:鉄鉱石・アルミ・銅・リチウムの市況に業績が左右されます。
  • プロジェクト実行:Simandou、Rincon、Oyu Tolgoiなど大型案件の工程・コスト管理が重要です。
  • 財務レバレッジ:2025年末のネットデットはArcadium買収後に増加しました。成長投資と配当の両立には、キャッシュフローの安定が必要です。[7]
  • 規制・社会受容:先住民・地域社会との合意、環境規制、安全操業が長期の投資価値に影響します。
  • チャンス:高品位鉄鉱石、銅、リチウム、低炭素アルミは、電化・脱炭素化の長期テーマと相性があります。

用語ミニ用語集(表)

用語 意味(やさしい説明)
DLC(二元上場) 英・豪の2社体制で一体運営する上場構造。Rio Tinto plcとRio Tinto Limitedが同一グループとして運営されます。
Simandou ギニアの超大型・高品位鉄鉱石プロジェクト。2025年12月に初出荷を達成しました。
ELYSIS アルミ製錬時のCO2排出を抑える次世代技術の共同開発プロジェクト。
LCE リチウム炭酸換算の生産量指標(Lithium Carbonate Equivalent)。
DLE リチウム直接抽出技術。塩湖からリチウムを取り出す新しい抽出技術の総称です。
Underlying 一時要因を除いた「基礎」ベースの業績指標。Rio Tintoの配当方針ではUnderlying earningsが重要です。

主要連携・案件(表)

案件 内容 現状
Arcadium買収 約67億ドルで買収完了、Rio Tinto Lithiumを発足。 2025年3月完了。[4]
Rincon アルゼンチンのリチウム案件。年産6万tLCEへの拡張計画。 拡張投資を進行中。[5]
チリ・Codelco JV マリクンガ塩湖のリチウム開発。Rio Tintoは最大49.99%参画予定。 2025年に提携発表。許認可・条件充足が焦点。
チリ・ENAMI Salares Altoandinosリチウム案件。優先パートナーから拘束力ある合意へ進展。 2026年以降の手続き・開発計画が焦点。
Simandou ギニアの高品位鉄鉱石。鉄道・港湾を含む巨大開発。 2025年12月に初出荷。[3]
PKKPとの共同管理 ジュカン・ゴージの反省を踏まえた文化遺産保護・鉱山運営協定。 2025年に締結・公表。[2]

歴史的補足

同社は環境戦略と事業ポートフォリオ整理の一環として、2018年に石炭事業から完全撤退しました。現在は鉄鉱石、アルミニウム、銅、リチウム、工業鉱産物を中心に、都市化と電化・脱炭素化に必要な資源供給へ軸足を置いています。

ミニ解説:2025年のRio Tintoは「鉄鉱石依存を維持しつつ、銅・リチウムで次の柱を作る」段階です。Simandouは初出荷済みとなり、Arcadium買収でリチウムの事業基盤も大きく広がりました。一方、ネットデットは増えており、今後は成長投資と配当の両立が焦点になります。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。

権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年平均の配当利回り、配当成長率、配当性向、年間の一株配当、平均株価、通年EPSの推移を確認します。平均株価はMacrotrendsのAnnual Average Stock Priceを優先し、配当はRio Tinto公式のDividend historyを優先しました。[8][10]

配当 平均株価 年EPS
平均利回り 成長率 配当性向 年計
2025 6.62% 0% 66% 4.02 60.73 6.13
2024 6.84% -8% 57% 4.02 58.74 7.07
2023 7.78% -12% 71% 4.35 55.90 6.17
2022 7.35% -37% 65% 4.92 66.90 7.60
2021 13.40% 87% 80% 10.40 77.60 12.96
2020 9.72% 26% 93% 5.57 57.30 6.00
2019 7.94% -19% 91% 4.43 55.80 4.88
2018 10.46% 90% 70% 5.50 52.60 7.88
2017 6.52% 71% 60% 2.90 44.50 4.87
2016 5.43% -21% 67% 1.70 31.30 2.55
2015 5.38% 0% 赤字のため算定困難 2.15 40.00 -0.48
2014 4.07% 12% 61% 2.15 52.80 3.51
2013 3.90% 15% 97% 1.92 49.20 1.97
2012 3.27% 15% 赤字のため算定困難 1.67 51.10 -1.64
2011 2.31% 34% 48% 1.45 62.90 3.02
2010 1.92% 140% 15% 1.08 56.20 7.22
2009 1.14% -70% 16% 0.45 39.60 2.75
2008 1.75% 31% 65% 1.52 87.10 2.33

変動する配当の実績

RIOの配当実績は、鉄鉱石や銅などの国際商品市場の価格変動に大きく左右されます。2021年には鉄鉱石価格高騰を背景に、普通配当と特別配当を含めて1株あたり10.40ドルの記録的な配当がありました。その後、鉄鉱石価格の正常化と中国不動産セクターの低迷を受け、2022年、2023年は減配となりました。

2024年と2025年の年間普通配当はいずれも1株あたり4.02ドルでした。2025年はUnderlying earningsに対する60%配当を維持しており、利益連動型の配当方針が続いています。[8]

配当成長率の推移

RIOの配当成長率は極めて変動的です。

  • 2008〜2011年:金融危機後の調整と回復。
  • 2012〜2016年:資源価格低迷期で配当の伸びが不安定化。
  • 2017〜2018年:資源価格回復と特別配当で大きく増加。
  • 2019〜2020年:高水準ながらも変動が続く時期。
  • 2021年:鉄鉱石価格高騰による記録的配当。
  • 2022〜2023年:鉄鉱石価格正常化で減配。
  • 2024〜2025年:年間4.02ドルで横ばい。

この配当パターンは、Rio Tintoが「毎年安定して増配する会社」ではなく、「資源価格と基礎利益に応じて配当を調整する会社」であることを示しています。

配当利回りの魅力

RIOの配当利回りは、資源価格の上昇期には特に魅力的な水準となります。2021年のように特別配当を含む年は非常に高い利回りになりますが、その分、翌年以降に配当が減る可能性もあります。

特に注目すべき点は以下です。

  • 2021年は特別配当を含め、極めて高い利回りを提供しました。
  • 2024〜2025年は配当額が4.02ドルで横ばいとなり、株価水準に応じて利回りが変動しました。
  • 鉱山株では、配当利回りが高い時期ほど、資源価格サイクルの天井に近い可能性も確認する必要があります。

注目ポイント:RIOは配当貴族型の銘柄ではありません。好況期には高い配当を出し、不況期には配当を調整する柔軟な方針です。このため、安定配当を目的に買うというより、資源価格サイクルを理解したうえで、高配当と値上がりの両方を狙う銘柄と考えるほうが自然です。

配当性向の持続可能性

配当性向は「1株配当 ÷ EPS」で計算される指標ですが、RIOの場合、この指標は非常に変動的です。赤字や減損が発生した年は配当性向が意味を持ちにくく、特別配当を含む年は100%近く、または100%超に見えることもあります。

2025年の年間配当は4.02ドル、EPSは約6.13ドルで、単純計算の配当性向は約66%です。一方、会社の配当方針ではUnderlying earningsに対する配当性向が重視され、2025年は60%でした。資源株では、会計上のEPSよりも、Underlying earnings、営業CF、フリーキャッシュフローを組み合わせて見ることが重要です。[7][8]

会計上の一時的要因の影響:鉱山会社の純利益は以下の理由で大きく変動します。

  • 資産減損損失:鉱物資源価格の下落や長期価格前提の変更。
  • 事業売却・撤退に伴う損益:非中核資産の売却やポートフォリオ再編。
  • 為替変動:豪ドル、米ドル、カナダドルなど複数通貨での事業展開。
  • 税金・ロイヤルティ:豪州、カナダ、モンゴル、ギニアなどでの税制・ロイヤルティ。
  • 操業トラブル・自然災害:サイクロン、鉱山事故、物流障害など。

財務パフォーマンスと成長見通し

以下の表では、売上高、営業CF、純利益はM$(百万ドル)単位、営業CFマージンは%単位で表示しています。2025年はRio Tinto公式の2025年通期決算を反映しました。[7]

主要財務指標の推移

年度 売上高 営業CF 同マージン 純利益
2008 54,264 14,883 27% 3,676
2009 40,262 9,212 23% 4,872
2010 55,171 18,277 33% 14,238
2011 60,529 20,235 33% 5,835
2012 50,942 9,430 19% -3,028
2013 51,171 15,078 29% 3,665
2014 47,664 14,286 30% 6,527
2015 34,829 9,383 27% -866
2016 33,781 8,465 25% 4,617
2017 40,030 13,884 35% 8,762
2018 40,522 11,821 29% 13,638
2019 43,165 14,912 35% 8,010
2020 44,611 15,875 36% 9,769
2021 63,495 25,345 40% 21,115
2022 55,554 16,134 29% 12,392
2023 54,041 15,160 28% 10,058
2024 53,658 15,599 29% 11,552
2025 57,638 16,832 29% 9,966

収益性と効率性の変動

RIOの財務データからは、鉱山業界特有の景気循環性と外部環境の影響を強く受ける特性が見てとれます。

  • 売上高は鉄鉱石価格に大きく左右され、2011年の60,529M$から2016年には33,781M$へ大きく減少しました。
  • 2021年の63,495M$は、コロナ後の鉄鉱石価格高騰を反映したピークです。
  • 2025年の売上高は57,638M$で、2024年の53,658M$から7%増加しました。
  • 2025年の営業CFは16,832M$で、2024年の15,599M$から8%増加しました。
  • 2025年のRio Tinto株主帰属純利益は9,966M$で、2024年の11,552M$から14%減少しました。

2025年は、鉄鉱石だけでなく、銅とアルミニウムの貢献が増えたことが特徴です。特にOyu Tolgoi地下鉱山の進捗により、銅事業の重要性は高まっています。一方、Arcadium買収で資産規模とネットデットが増えたため、今後はリチウム事業の収益化が問われます。

安定したキャッシュフロー基盤

以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはM$(百万ドル)単位、営業CF成長率は%単位で表示しています。

年度 営業CF 成長率 投資CF 財務CF
2008 14,883 91% -6,181 -406
2009 9,212 -38% -3,357 3,392
2010 18,277 98% -1,711 5,956
2011 20,235 11% -16,990 -178
2012 9,430 -53% -18,243 -2,489
2013 15,078 60% -10,946 -934
2014 14,286 -5% -6,503 -5,436
2015 9,383 -34% -4,600 -7,670
2016 8,465 -10% -2,104 -7,491
2017 13,884 64% -2,373 -9,141
2018 11,821 -15% 1,321 -12,951
2019 14,912 26% -5,501 -12,219
2020 15,875 6% -6,556 -7,130
2021 25,345 60% -7,159 -15,862
2022 16,134 -36% -6,707 -15,473
2023 15,160 -6% -6,962 -5,277
2024 15,599 3% -9,594 -7,094
2025 16,832 8% -20,345 1,206

RIOのキャッシュフローパターンは、鉱山業界特有の資本集約的な性質と景気循環性を反映しています。

  • 営業CFは鉄鉱石価格の変動に連動して大きく変動し、2021年の25,345M$がピークでした。
  • 2025年の営業CFは16,832M$で、2024年比8%増加しました。
  • 2025年の投資CFは-20,345M$で、Arcadium買収や大型成長投資により大きなキャッシュアウトとなりました。
  • 2025年のフリーキャッシュフローは4,025M$で、2024年の5,553M$から28%減少しました。[7]

キャッシュフロー分析のポイント:2025年は営業CFこそ増加しましたが、Arcadium買収と成長投資の影響でフリーキャッシュフローは減少しました。配当投資では、営業CFだけでなく、CAPEX、買収、ネットデットの増減を合わせて見る必要があります。

負債水準と資本構成

以下の表では、総資産、総負債、株主資本はM$(百万ドル)単位、自己資本率と負債比率は%単位で表示しています。

年度 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 負債比率
2008 89,616 67,155 20,638 23% 325%
2009 97,236 51,311 43,831 45% 117%
2010 112,773 48,261 58,247 52% 83%
2011 120,152 61,268 52,199 43% 117%
2012 118,437 60,697 46,553 39% 130%
2013 111,025 57,523 45,886 41% 125%
2014 107,827 53,233 46,285 43% 115%
2015 91,564 47,436 37,349 41% 127%
2016 89,263 43,533 39,290 44% 111%
2017 95,726 44,611 44,711 47% 100%
2018 90,949 41,126 43,686 48% 94%
2019 87,802 42,560 40,532 46% 105%
2020 97,390 45,487 51,903 53% 88%
2021 102,896 46,306 56,590 55% 82%
2022 96,774 44,033 52,741 54% 84%
2023 103,549 47,203 56,346 54% 84%
2024 102,786 44,821 57,965 56% 77%
2025 128,102 61,078 67,024 52% 91%

RIOの資本構成には、いくつかの重要な特徴が見られます。

  • 2025年末の総資産は128,102M$で、Arcadium買収などにより2024年末から大きく増加しました。
  • 2025年末の総負債は61,078M$、株主資本は67,024M$でした。
  • 自己資本率は2024年の56%から2025年は52%へ低下しましたが、鉱山大手としてはなお比較的健全な水準です。
  • ネットデットは2024年末の5,491M$から2025年末の14,362M$へ増加しました。[7]

2025年の負債増加は、主にArcadium買収と成長投資の影響です。Rio Tintoは依然として強いバランスシートを持ちますが、今後はリチウム・銅・Simandouへの投資回収が重要になります。

まとめ:長期配当投資家にとってのRIOとは?

RIOは、世界有数の鉄鉱石・銅・アルミニウム・リチウム企業として、資源価格サイクルの影響を強く受ける銘柄です。配当投資家にとっての魅力は、高いキャッシュ創出力と、好況期の大きな株主還元にあります。一方で、配当は固定的ではなく、資源価格・利益・投資計画に応じて変動します。

同社の強みは以下の点にあります。

  • 豪州ピルバラの低コスト・高品質な鉄鉱石資産。
  • 2025年にSimandou初出荷を達成し、高品位鉄鉱石の中期成長余地がある。
  • Oyu Tolgoiを中心とする銅事業の成長。
  • Arcadium買収によりリチウム事業を本格化。
  • 2025年も営業CF168.32億ドルを生み出す強いキャッシュ創出力。
  • 配当方針が明確で、長期的にはUnderlying earningsの40〜60%を還元する方針。

一方で、注意すべき点としては以下が挙げられます。

  • 鉄鉱石価格と中国需要への依存度が高い。
  • 配当は資源価格サイクルに連動し、減配もあり得る。
  • Arcadium買収によりネットデットが増加した。
  • リチウム価格の変動や新規案件の採算性に不確実性がある。
  • Simandou、Rincon、チリ案件など大型プロジェクトの実行リスク。
  • 先住民・地域社会・環境規制に関するESGリスク。

投資家へのポイント:RIOへの投資は、「安定した連続増配株」ではなく、資源価格サイクルに応じた高配当・成長投資を狙う投資です。鉄鉱石価格が高い時期には配当利回りが非常に魅力的になりますが、その配当が恒久的とは限りません。長期では、鉄鉱石の低コスト競争力、銅の増産、リチウム事業の統合、Simandouの立ち上げが投資価値を左右します。

よくある質問

RIOの配当はどれくらい安全ですか?

RIOの配当は、公益事業や生活必需品企業のような安定配当とは異なります。会社は長期的にUnderlying earningsの40〜60%を還元する方針で、2025年は60%でした。このため、利益が大きく減れば配当も下がる可能性があります。一方、財務体質は比較的強く、営業CFも厚いため、資源価格が極端に悪化しない限り、一定の配当余力はあります。

鉄鉱石価格の変動がRIOの財務にどのような影響を与えますか?

鉄鉱石価格はRIOの利益とキャッシュフローに大きな影響を与えます。特にピルバラ鉄鉱石事業は収益の中心であり、鉄鉱石価格が高い時期には営業CFと配当余力が大きく増えます。一方、価格下落局面では、利益、配当、投資余力が同時に圧迫される可能性があります。

SimandouはRIOにとってどれほど重要ですか?

Simandouは世界最大級の未開発高品位鉄鉱石プロジェクトで、2025年12月に初出荷を達成しました。短期的には立ち上げ費用とインフラ投資が重い一方、中長期では高品位鉄鉱石の供給源として、Rio Tintoの鉄鉱石ポートフォリオを補強する可能性があります。ただし、ギニアでの大型インフラ案件であるため、操業、政治、物流、パートナーシップのリスクもあります。

Arcadium買収でRIOは何が変わりましたか?

Arcadium買収により、RIOはリチウム事業を一気に拡大しました。アルゼンチン、カナダ、豪州、チリなどの資産を取り込み、バッテリー材料分野での存在感を高めています。ただし、リチウム価格は変動が大きく、買収後の統合、設備投資、採算改善が今後の課題です。

※本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. 会社概要・事業展開国数・従業員数 → Rio Tinto Annual report 2025(公式) → 一次情報:2025年年次報告・公式会社情報(確認日:2026-05-09)
  2. PKKPとの共同管理協定 → Rio Tinto公式リリース:PKKP co-management agreement → 一次情報:共同管理協定の公表(確認日:2026-05-09)
  3. Simandou初出荷・ランプアップ → Rio Tinto公式:SimandouSimFer公式:first shipment(2025/12/03) → 一次情報:2025年12月の初出荷と増産計画(確認日:2026-05-09)
  4. Arcadium Lithium買収完了 → Rio Tinto公式リリース:Arcadium acquisition completed → 一次情報:2025年3月の買収完了(確認日:2026-05-09)
  5. Rincon拡張・リチウム案件 → Rio Tinto公式リリース:Rincon拡張Rio Tinto公式リリース:Codelco JV → 一次情報:リチウム拡張案件(確認日:2026-05-09)
  6. 気候目標・脱炭素方針 → Rio Tinto公式:Climate change → 一次情報:気候目標・ネットゼロ方針(確認日:2026-05-09)
  7. 2025年通期決算・売上高・営業CF・純利益・ネットデット → Rio Tinto公式:2025年通期決算Annual report 2025 → 一次情報:2025年通期決算・年次報告(確認日:2026-05-09)
  8. 配当履歴・配当方針 → Rio Tinto公式:Dividend history and calculatorRio Tinto公式:Dividends → 一次情報:配当履歴、2025年中間・期末配当、40〜60%方針(確認日:2026-05-09)
  9. DLC構造と株主提案 → Rio Tinto公式:DLC structureRio Tinto公式:AGM resolution statement → 一次情報:DLC構造に関する会社見解(確認日:2026-05-09)
  10. 平均株価・財務データの照合 → Macrotrends:RIO Stock Price HistoryMacrotrends:RIO RevenueMacrotrends:RIO Total Assets(確認日:2026-05-09)

Posted by 南 一矢