TSLA(テスラ)の業績:EVとAI・ロボティクス企業の現在
【2026年版】Tesla (TSLA) 徹底分析:EVの覇者からAI・ロボティクス企業への進化 – 2010-2025年財務データと最新動向
はじめに
テスラ(Tesla, Inc.)はEVのパイオニアとして自動車産業を変革し、エネルギー貯蔵やAI・ロボティクスへと事業を拡大するイノベーション企業です。本稿では2010–2025年の財務データと最新動向(2025年Q4/通期決算まで)から、成長の軌跡と「第二章」の論点を投資家目線で整理します。[1][2]
【免責・出典】本稿の数値は主にTeslaの年次報告書(Form 10-K)、四半期資料(Quarterly Update/10-Q)などの公式開示に基づき作成しています。
2025年の通期データは2025年Q4 and FY 2025 Update(2026年1月28日発表)を参照しています。投資判断は自己責任でお願いします。[1][2]
会計年度:テスラの会計年度は暦年(1/1–12/31)。以下の「20XX年」は当該暦年決算を指します。
1. テスラの長期業績:成長の軌跡と足元の踊り場
Model 3/Yの量産確立で急拡大しましたが、2024年は売上高が横ばい、2025年は2年連続の納車台数減少となりました。車両の価格競争やミックスの影響、競合激化により利益率は縮小。反面、エネルギー事業は拡大が続き、事業の「二本柱化」が進んでいます。[1]
1.1 売上・利益・納車台数の推移(抜粋)
| 年 | 車両納車台数(千台) | 売上高(百万$) | 売上成長率 | 営業利益(百万$) | 純利益(百万$) | 希薄化後EPS($) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | 245.2 | 21,461 | +82.5% | -387 | -976 | -5.72 |
| 2019 | 367.5 | 24,578 | +14.5% | -69 | -862 | -4.66 |
| 2020 | 499.6 | 31,536 | +28.3% | 1,994 | 721 | 0.25 |
| 2021 | 936.2 | 53,823 | +70.7% | 6,523 | 5,519 | 1.63 |
| 2022 | 1,313.9 | 81,462 | +51.4% | 13,656 | 12,556 | 3.62 |
| 2023 | 1,808.6 | 96,773 | +18.8% | 8,891 | 14,997 | 4.30 |
| 2024 | 1,789.2 | 97,690 | +0.9% | 7,076 | 7,091 | 2.04 |
| 2025 | 1,636.1 | 94,827 | -2.9% | 4,355 | 3,794 | 1.08 |
FY2025のポイント:
- 納車台数:1,636,129台(前年比-8.6%)。2年連続の減少。[2]
- 売上高:948億ドル(前年比-2.9%)。初の前年割れ。[2]
- 営業利益:43.6億ドル(前年比-38%)。営業利益率は4.6%に低下。[2]
- 純利益:37.9億ドル(前年比-46%)。[2]
- エネルギー貯蔵配備:46.7GWh(前年比+49%)で過去最高。[2]
1.2 2025年Q4実績(2026年1月28日発表)
| 項目 | Q4 2025 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 車両納車台数 | 418,227台 | -16% |
| 車両生産台数 | 434,358台 | -5% |
| 売上高 | $24,901M | -3% |
| 営業利益 | $1,409M | -11% |
| 純利益 | $840M | -61% |
| 希薄化後EPS(GAAP) | $0.24 | -60% |
| Non-GAAP EPS | $0.50 | -17% |
| エネルギー貯蔵配備 | 14.2GWh | +29% |
| フリーキャッシュフロー | $1,420M | -30% |
出典:Tesla Q4 and FY 2025 Update。[2]
2. 事業セグメント:自動車からエネルギー・AIへ
2.1 自動車事業
2025年の自動車売上は695億ドル(前年比-10%)。競合激化と価格引き下げが響きました。[2]
Model S / X生産終了:2026年1月28日の決算説明会でイーロン・マスクCEOは、Model S(2012年発売)およびModel X(2015年発売)の生産を2026年Q2に終了すると発表。フリーモント工場のラインはOptimusロボットの量産に転換されます。[3]
2.2 エネルギー事業
エネルギー部門の売上は127.7億ドル(前年比+27%)。エネルギー貯蔵配備は46.7GWh(前年比+49%)と大幅拡大。Q4の粗利益は記録的な11億ドルを達成し、5四半期連続で過去最高を更新しました。[2]
- Megapack:商用・ユーティリティ向けの主力製品。上海とヒューストンで新工場稼働予定。
- Powerwall:全世界で100万台超の設置基盤。2025年はVirtual Power Plant(VPP)イベントを89,000回以上サポート。[2]
3. AI・自動運転(FSD)とRobotaxi
3.1 FSD(Full Self-Driving)の進化
FSD(Supervised)の累計走行距離は70億マイル超に到達(V12以降だけで大部分)。最新のv14では、目的地への自動運転から空き駐車スペースの探索・駐車まで対応します。[2]
3.2 Robotaxi(自動運転タクシー)
オースティン(テキサス州)で無人のRobotaxiサービスを2025年12月に開始。2026年1月には一部車両で安全監視員を撤去し、完全無人での商用運行を拡大中。[2]
2026年上半期の展開予定都市(米国):ダラス、ヒューストン、フェニックス、マイアミ、オーランド、タンパ、ラスベガス。[2]
3.3 Cybercab(専用ロボタクシー車両)
ステアリング・ペダルを持たない2人乗り専用車両の量産準備が進行中(ツーリング段階)。2026年上半期に量産開始予定。[2]
3.4 Optimusロボット
ヒューマノイドロボット「Optimus」は、2026年Q1にGen 3(量産向け初設計)を公開予定。フリーモント工場での生産ラインを構築中で、2026年末までの生産開始、最終的に年間100万台の生産能力を目指します。[2][3]
3.5 xAI投資
2026年1月16日、Teslaはイーロン・マスクのAIスタートアップxAIに約20億ドルを投資する契約を締結(Series E優先株取得)。Teslaの「物理世界でのAI製品開発・展開」を強化する狙い。[2]
4. エネルギー事業の詳細
| 年 | エネルギー貯蔵配備(GWh) | エネルギー売上(百万$) | 売上成長率 |
|---|---|---|---|
| 2021 | 4.0 | 2,789 | – |
| 2022 | 6.5 | 3,909 | +40% |
| 2023 | 14.7 | 6,035 | +54% |
| 2024 | 31.4 | 10,086 | +67% |
| 2025 | 46.7 | 12,771 | +27% |
出典:Tesla Q4 and FY 2025 Update。[2]
エネルギー事業は売上全体の約13.5%(2025年)を占め、粗利益率も自動車事業を上回る水準に成長。2026年にはMegapack 3とMegablockの量産をヒューストン工場で開始予定。[2]
5. 財務の健全性
5.1 バランスシート(2025年末時点)
| 項目 | 2024年末 | 2025年末 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 現金・現金同等物・投資 | $36,563M | $44,059M | +$7,496M (+21%) |
| 総資産 | $122,070M | $137,806M | +$15,736M (+13%) |
| 総負債 | $48,390M | $54,941M | +$6,551M (+14%) |
| 株主資本 | $72,913M | $82,137M | +$9,224M (+13%) |
出典:Tesla Q4 and FY 2025 Update。[2]
5.2 キャッシュフロー(FY2025)
- 営業キャッシュフロー:147億ドル(前年比-1%)
- 設備投資:85億ドル(前年比-25%)
- フリーキャッシュフロー:62億ドル(前年比+74%)
2026年の設備投資は約200億ドルを予定。新工場、Optimus、AIコンピューティングリソースへの投資が中心。[4]
6. 今後の見通しとリスク
6.1 2026年の主要イベント・予定
- Model S / X生産終了(Q2)→ Optimus工場への転換[3]
- Cybercab量産開始(H1)[2]
- Tesla Semi量産開始(H1)[2]
- Megapack 3 / Megablock量産開始(ヒューストン工場)[2]
- Optimus Gen 3発表(Q1)、年内の生産開始目標[2]
- Robotaxi展開拡大(7都市追加予定)[2]
- AIトレーニング計算能力倍増(Cortex 2稼働、H100換算で2倍超)[2]
6.2 投資家が注目すべきリスク
- 競合激化:BYDが2025年にEV販売台数で世界首位に。欧州・中国市場でのシェア低下が継続。[5]
- ブランドリスク:イーロン・マスクの政治的活動による消費者反発が一部地域で継続。[5]
- 規制・関税:中国関税によるエクスポート制限、各国のEV補助金政策の変化。
- 自動運転の規制:Robotaxiの全米展開には各州・連邦の認可が必要。
- 技術開発リスク:Optimus、Cybercab等の量産スケジュール遅延の可能性。
- 利益率圧力:自動車事業の粗利益率は15.4%(規制クレジット除く)に低下。[2]
6.3 まとめ
テスラは2025年、EV事業で2年連続の納車減を記録しましたが、エネルギー事業は+49%成長と好調。会社は「ハードウェア中心からPhysical AI企業への転換」を明確に打ち出し、Robotaxi、Optimus、次世代バッテリー技術への投資を加速しています。[2]
短期的には利益率低下と競合圧力が継続する見通しですが、中長期ではAI・ロボティクス事業の収益化が成長ドライバーとなるかが焦点です。約440億ドルの現金・投資を保有し、財務基盤は堅固。2026年は複数の新製品量産が予定される「転換点の年」となりそうです。
本記事は、公開情報に基づき筆者の分析を加えたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。
最終更新日時: 2026年2月2日(2025年Q4/FY2025決算反映/2026年1月28日発表)
【注】(出典リンク)
- Tesla Form 10-K(FY2024) → SEC EDGAR(10-K一覧) → Tesla IR – SEC Filings(確認日:2026-02-02) ↩
- Tesla Q4 and FY 2025 Update(2026年1月28日発表) → Production, Deliveries & Deployments → Q4 and FY 2025 Update (PDF) → Tesla IR(確認日:2026-02-02) ↩
- Model S/X生産終了発表(2026年1月28日決算説明会) → CNBC報道 → InsideEVs報道(確認日:2026-02-02) ↩
- 2026年設備投資計画(約200億ドル) → CNBC報道(確認日:2026-02-02) ↩
- 競合環境・市場動向 → CNBC報道(納車実績) → Electrek報道(確認日:2026-02-02) ↩

