TSM(タイワンセミコンダクター)今後の見通し

ADR銘柄,半導体,情報技術

タイワンセミコンダクター・マニュファクチャリング(台湾積体電路製造〔TaiwTaiwan Semiconductor Manufacturing Company〕)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(TSM(タイワンセミコンダクター)とASMLを比較)を参照

直近決算

TSMCは2025年1月16日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.18$→結果2.24$
・売上高:予想263.3億$→結果268.8億$(前年同期比+37%)
★ガイダンス
《四半期》
・売上高:予想244億$→結果250~258億$
《通年》
・設備投資:予想352億$→結果380~420億$
★出典:
IRページ
★予想値は以下のページを参照しました。
streetinsider
bloomberg

企業概要

台湾積体電路製造(TSMC)は、台湾に本社を置く世界最大の半導体ファウンドリ企業です。

高い市場シェアを誇り、Apple、Qualcomm、Nvidia、AMD、Broadcom、MediaTekなど、多くのファブレス企業を主要顧客に抱えています。世界最大のファウンドリ企業として、グローバルな半導体市場において強固な地位を築いています。

ファブレス企業を中心とした多くの顧客からの受託製造により、スマートフォン、自動車、IoT、AIなど幅広い分野の半導体需要に応えています。

TSMCは1987年、台湾政府の支援に加え、フィリップスやその他民間からの投資を受けた合弁会社として設立されました。

創業者のモリス・チャン氏のリーダーシップの下、「純粋な受託製造」モデルを採用し、顧客企業が自社で製造設備を保有しなくとも先端プロセスで製品を製造できる体制を構築しました。

1997年にはADR(米国預託証券)として株式公開を果たし、グローバルな資金調達と投資家基盤の拡大に成功しています。

TSMCは、半導体の設計は顧客に委ね、ファウンドリとしてウエハー製造、プロービング(ウェハー検査)、組み立ておよび検査といった一連の製造工程を提供しています。

また、設計支援サービス(Design for Manufacturabilityなど)も展開し、顧客企業の製品開発を総合的にサポートしています。

具体的には、以下のようなサービスを提供しています。

★先端プロセス技術

5nm、3nmなどの最先端微細化技術により、高性能かつ低消費電力な集積回路(IC)やその他の半導体デバイスの製造を実現。特に、AVGO(Broadcom)、QCOM(Qualcomm)、NVDA(Nvidia)、AMDなど、ファブレス企業からの受託製造に注力しており、各社の先端製品に不可欠な技術基盤となっています。

★特化型プロセスおよび付帯サービス

AI、パワーエレクトロニクス、モバイル用途など、用途に応じたプロセス技術や設計支援サービスを提供し、顧客の多様なニーズに柔軟に対応しています。

TSMCは半導体製造分野のリーディングカンパニーであり続けるために微細化技術を進化させ続けています。ノードを微細化し、トランジスタのサイズを縮小し、性能向上と省電力化を実現。特に、5nmおよび3nmプロセスは最新のスマートフォンや高性能コンピューティング向け製品に採用され、業界に大きな影響を与えています。さらに、リソグラフィー、エッチング、成膜装置などの先端製造装置メーカーとの緊密な協力関係を築くことで、最新技術の実用化を迅速に推進しています。

先端プロセス技術でのリーダーシップにより、他社との差別化を実現。大規模な生産体制と効率的なオペレーションにより、大量生産とコスト競争力を確保し、変動する市場需要にも柔軟に対応しています。

これらの要因が、TSMCの長期的な成長と安定した業績の基盤となっています。

懸念事項としては、国際情勢とサプライチェーンリスクが挙げられます。

米中間の貿易摩擦などの地政学的リスクにより、売上の約1割以上を占めていたファーウェイへのチップ供給が停止される事態が発生しました。これを受け、TSMCは米国(アリゾナ州など)および日本への新たな製造拠点の設立を決定し、サプライチェーンの多角化とリスク分散を図っています。

【出典】

【事業構成】(ナノメートル単位での製品比率)

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【事業構成】(用途別)

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Posted by 南 一矢