米国/グローバル公益事業ETF(VPU・XLU・IDU・JXI)の株価・配当・構成銘柄
米国の公益事業セクターETFのデータを比較してみます。
その代表はバンガード社の【VPU】、ステート・ストリート社の【XLU】、ブラックロック社の【IDU】ですが、世界各国の公益事業に投資する【JXI】も紹介してみます。
ブラックロック社の世界投資型ETFは、どのセクターでも米国比率がかなり高いからです。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を整理してみましょう。
【徹底比較】公益事業ETF XLU vs VPU おすすめは?金利への影響も解説
電力・ガス・水道といった、私たちの生活に不可欠なサービスを提供する「公益事業セクター」。その安定した収益と高い配当利回りは、守りの固い投資先として魅力的です。しかし、このセクターへの投資には、特有の注意点があります。
この記事では、まず公益事業セクターの「債券のような」特性とリスクを解説し、その上で代表的なETFであるXLUとVPUの違いを中心に、あなたに合った一本を見つけるお手伝いをします。
【はじめに】公益事業セクターは「金利に敏感なディフェンシブ株」
公益事業は、景気の良し悪しに関わらず需要が安定している「ディフェンシブ(守りの)セクター」の代表格です。しかし、その安定した高い配当が魅力であるため、市場では「債券の代替(ボンド・プロクシー)」と見なされることが多く、世の中の金利が上昇すると株価が下落しやすいという、債券のような特性を持つことを理解しておく必要があります。
主要 公益事業ETF 比較一覧表
まずは、今回ご紹介するETFの「個性」が一目でわかる比較表をご覧ください。「投資戦略」と「経費率」が特に重要な比較ポイントです。
ティッカー | 投資戦略 | 配当利回り(目安) | 経費率(年率) | キーワード |
---|---|---|---|---|
XLU | 米国・超大型集中型 | 約2.6% | 0.08% | S&P500の巨大企業に集中投資 |
VPU | 米国・幅広分散型 | 約2.7% | 0.09% | 米国公益事業全体(中小含む) |
IDU | 米国・幅広分散型 (高コスト) | 約2.2% | 0.39% | VPUに似ているがコストが高い |
JXI | グローバル分散型 (高コスト) | 約3.0% | 0.41% | 欧州・日本の企業にも分散投資 |
※データは2025年8月時点のものを参考にしています。各種データは変動します。
【米国公益事業ETF対決】XLU vs VPU
米国公益事業セクターに投資するなら、この2つが中心的な選択肢となります。両者はコストも利回りも似ていますが、ポートフォリオの中身は大きく異なります。
【XLU】公益事業セレクト・セクターSPDRファンド (超大型・集中型)
- 投資対象: S&P500指数に含まれる公益企業(約30銘柄)だけに投資します。
- ポートフォリオの特徴: 投資対象が巨大企業に限定されるため、ネクステラ・エナジー、サザン・カンパニー、デューク・エナジーといった、各分野のトップ企業に資産が集中します。
- 出典: SSGA
【VPU】バンガード・米国公益事業セクターETF (米国分散型)
- 投資対象: 大・中・小型株まで含む、米国の公益関連企業約70銘柄に幅広く投資します。
- ポートフォリオの特徴: XLUよりも多くの企業に分散されているため、巨大企業への集中を避け、「米国公益事業セクター全体」の値動きにより近いパフォーマンスを期待できます。
- 出典: Vanguard
【深掘り】iシェアーズ社の選択肢:米国版(IDU)とグローバル版(JXI)
VanguardやSPDRの主力ETF以外にも、iシェアーズ社は特徴的な選択肢を提供しています。
【IDU】高コストな米国の選択肢
iシェアーズ米国公益事業ETF (IDU) は、VPUと同様に米国の公益事業企業に幅広く投資するETFです。しかし、経費率が0.39%と、VPUやXLUの4倍以上も高いため、長期投資のコスト負担が大きくなります。特別な理由がない限り、より低コストなVPUやXLUが合理的な選択肢と言えるでしょう。
出典: iShares
【JXI】グローバル戦略という選択肢
「米国の金利政策や規制動向だけに、資産を集中させるのは避けたい」と考える投資家にとって、グローバルな視点を持つことは有効なリスク分散戦略です。iシェアーズ グローバル公益事業ETF (JXI)は、その戦略を実現するための具体的な選択肢となります。
JXIに投資する主なメリット
- カントリーリスクの分散: 米国企業の比率は約6割で、残りを欧州や日本などの企業に分散します。これにより、米国の金融政策や規制変更の影響を和らげる効果が期待できます。
- 世界的なリーダー企業へのアクセス: 米国市場にはない、スペインのイベルドローラ、イタリアのエネル、英国のナショナル・グリッドといった、各国のトップ公益企業に投資できます。
注意点:コストとのトレードオフ
JXIの経費率は0.41%であり、VPU/XLUの約5倍です。このコストを支払ってでもグローバル分散のメリットを享受したいか、という視点での検討が必要になります。
出典: BlackRock
【重要】公益事業セクター投資の主なリスク
安定性が魅力のセクターですが、特有のリスクが存在します。
- 金利変動リスク: これが最大のリスクです。世の中の金利が上昇すると、より安全な国債などの魅力が増すため、相対的に公益株は売られやすくなり、株価が下落する傾向があります。
- 規制リスク: 電力・ガス料金は政府や地方自治体の認可によって決まるため、想定外の料金引き下げや厳しい環境規制などが導入されると、企業の収益に直接的な影響が出ます。
- 技術革新リスク: 再生可能エネルギーや蓄電技術の進化、電力自由化の進展などが、既存の電力会社のビジネスモデルを長期的に脅かす可能性があります。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。