エネルギーセクターETF(VDE·XLE·IYE·IXC)を比較する

セクターETF

【徹底比較】エネルギーETF VDE vs XLE おすすめは?リスクも解説

原油価格の上昇局面などで注目を集める「エネルギーセクターETF」。高い分配金(配当)利回りも魅力の一つですが、このセクターへの投資は、S&P500などの市場全体への投資とは全く異なる注意点が必要です。

この記事では、まずエネルギーETFに投資する上での「大原則」と「リスク」を解説し、その上で代表的なETFを投資戦略ごとに分類し、あなたに最適な一本を見つけるための情報を整理します。

【はじめに】エネルギーETF投資の大原則

エネルギーETFへの投資を検討する上で最も重要な原則は、「その価格は、原油や天然ガスといったコモディティ価格に強く連動する」ということです。企業の努力だけではコントロールできない外部要因にパフォーマンスが大きく左右される、極めてシクリカル(景気循環的)なセクターであることを、まず理解しておく必要があります。

主要 エネルギーETF 比較一覧表

まずは、今回ご紹介するETFの「個性」が一目でわかる比較表をご覧ください。「投資戦略」「経費率」が特に重要な比較ポイントです。

ティッカー 投資戦略 分配利回り
(参考)
経費率
(年率)
キーワード
XLE 米国・超大型集中型 分配利回り
(ファンド) 2.90%(2026-01-29)[1]
0.08%(2026-01-31時点の表示)[1] XOM+CVXで約42.02%
(2026-01-29時点の構成比)[1]
VDE 米国・幅広分散型 配当利回り
(株式) 3.2%(2025-12-31)[2]
0.09%(2025-12-19時点の表示)[2] 米国エネルギー
107銘柄(2025-12-31時点)[2]
IYE 米国・幅広分散型
(コスト高め)
12カ月
トレーリング 2.85%(2025-12-31)[3]
0.38%(目論見書ベース)[3] VDEに近いが
手数料が高い[3]
IXC グローバル分散型 12カ月
トレーリング 3.68%(2025-12-31)[4]
0.40%(目論見書ベース)[4] 米国だけでなく
各国のエネルギー企業へ分散[4]

※利回りは定義(分配利回り/配当利回り/SEC利回り等)と時点で見え方が変わります。ここでは各社公式ページに表示されている指標のうち、確認できた時点の参考値を示しています。


米国エネルギー市場への投資戦略

【集中投資】巨大企業に賭けるなら:XLE

  • 投資対象: 米国のエネルギー大型株で構成。保有銘柄数は22(2026-01-31時点の表示)。[1]
  • ポートフォリオの特徴: エクソンモービル(XOM) 24.51%+シェブロン(CVX) 17.51%=合計42.02%(2026-01-29時点の構成比)と高集中。値動きは2社の影響が非常に大きいです。[1]
  • メモ: 経費率(総)は0.08%(2026-01-31時点の表示)。分配利回り(ファンド)は2.90%(2026-01-29時点)。純資産総額(AUM)は約319億ドル(2026-01-29時点)。[1]

【分散投資】セクター全体に網を張るなら:VDE

  • 投資対象: 米国のエネルギー関連企業を大型〜小型まで幅広く組み入れ。保有銘柄数は107(2025-12-31時点)。[2]
  • ポートフォリオの特徴: XLEよりも対象範囲が広く、中小型やサービス系なども含めて「米国エネルギーセクター全体」の値動きに近づきやすい設計です。一方で、エネルギーセクター自体の時価総額構造により、上位銘柄への比率はVDEでも大きくなり得ます(例:上位2社合計38.3%=XOM 23.1%+CVX 15.2%/2025-12-31時点)。[2]
  • コスト: 経費率0.09%(2025-12-19時点の表示)。純資産総額(Assets)は約70億ドル(2025-12-31時点)。[2]

【参考】コスト面で見直したい:IYE

  • 特徴: 米国エネルギーへの分散投資という点ではVDEに近い一方、経費率0.38%(目論見書ベース)と割高。保有銘柄数は38(2026-01-29時点)。純資産総額(Net Assets)は約13億ドル(2026-01-30時点)。長期ではコスト差が効きやすい点に注意が必要です。[3]

グローバルエネルギー市場への投資戦略

【国際分散】カントリーリスクを避けるなら:IXC

「米国のエネルギー企業だけに投資するのは、カントリーリスクの観点から集中しすぎている」と考える場合、IXCは魅力的です。米国の大手だけでなく、世界各国のエネルギー関連企業に投資することで、地政学や規制の地域偏りを緩和する効果が期待できます。保有銘柄数は50(2026-01-29時点)。[4]

IXCに投資する主なメリット

  • カントリーリスクの分散: 米国一極から、複数国・複数地域へ裾野を広げられる。
  • 世界のエネルギーバリューチェーンへのアクセス: 上流・中流・下流まで幅広いビジネスの企業を取り込みやすい。
  • コスト: 経費率は0.40%(目論見書ベース)。純資産総額(Net Assets)は約21.5億ドル(2026-01-30時点)。[4]

エネルギーセクター投資の主なリスク

エネルギーETFへの投資には、特有の大きなリスクが伴います。

  1. コモディティ価格リスク: 原油・天然ガスの価格が下落すれば、企業の収益も株価も直撃。
  2. 地政学リスク: 中東情勢や産油国(OPECプラス)方針など、予測困難な政治イベントの影響は大きい。
  3. エネルギー転換(ESG)リスク: 脱炭素の進展により、化石燃料依存の収益性が長期的に圧迫される可能性。
  4. 景気循環リスク: 景気後退局面では需要減速による業績悪化が起こりやすい。
  5. 供給過剰リスク: シェール増産や政策的な備蓄放出などで供給が上振れた場合、価格急落の恐れ。
ミニ解説: 「VDE=分散、XLE=集中」と整理しやすい一方で、エネルギーセクター自体の時価総額が上位企業に偏りやすいため、VDEでも上位銘柄比率は大きくなり得ます。最終的には「保有銘柄数(ポートフォリオの幅)」と「上位集中(実際の偏り)」をセットで確認するのが実務的です。[2][1]

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。記載の数値(経費率・組入比率・利回り・保有銘柄数など)は公表資料に基づくもので、随時変動します。最新情報は各運用会社の公式サイトでご確認ください。

【注】(出典リンク)

  1. XLE公式(保有銘柄数/経費率/純資産/分配利回り/上位組入比率、表示日・時点:2026-01-29/2026-01-31)→ SSGA(XLE)(確認日:2026-01-31)
  2. VDE公式(保有銘柄数/経費率/配当利回り/上位組入比率/純資産、2025-12-31時点中心)→ Vanguard(VDE投資プロファイルPDF) / Vanguard(VDE)(確認日:2026-01-31)
  3. IYE公式(経費率/純資産/保有銘柄数/利回り、表示日・時点:2026-01-29/2026-01-30/2025-12-31)→ iShares(IYE) / Fact Sheet(PDF)(確認日:2026-01-31)
  4. IXC公式(経費率/純資産/保有銘柄数/利回り、表示日・時点:2026-01-29/2026-01-30/2025-12-31)→ iShares(IXC) / Fact Sheet(PDF)(確認日:2026-01-31)

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。




配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高くなることがあります)

VDEの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 3.12% 3.92 0.5% 125.7 6.2%
2023 3.29% 3.9 -11.6% 118.4 8.5%
2022 4.04% 4.41 38.7% 109.1 52.6%
2021 4.45% 3.18 29.3% 71.5 38.3%
2020 4.76% 2.46 -10.9% 51.7 -37.4%
2019 3.34% 2.76 7.8% 82.6 -16.2%
2018 2.6% 2.56 -9.9% 98.6 5.2%
2017 3.03% 2.84 18.3% 93.7 2%
2016 2.61% 2.4 -8.7% 91.9 -9.7%
2015 2.58% 2.63 19.5% 101.8 -21.4%
2014 1.7% 2.2 0.5% 129.5 11.2%
2013 1.88% 2.19 10.1% 116.5 13.4%
2012 1.94% 1.99 23.6% 102.7 -2.3%
2011 1.53% 1.61 29.8% 105.1 25%
2010 1.47% 1.24 4.2% 84.1 15%
2009 1.63% 1.19 0.8% 73.1 -27.8%
2008 1.17% 1.18 101.2


XLEの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 3.2% 2.88 -2.7% 89.9 5.8%
2023 3.48% 2.96 -7.5% 85 8.8%
2022 4.1% 3.2 37.9% 78.1 52.8%
2021 4.54% 2.32 9.4% 51.1 32.4%
2020 5.49% 2.12 -47.3% 38.6 -37.7%
2019 6.48% 4.02 99% 62 -13.6%
2018 2.81% 2.02 -6.5% 71.8 5.1%
2017 3.16% 2.16 27.8% 68.3 3%
2016 2.55% 1.69 -16.3% 66.3 -8.4%
2015 2.79% 2.02 9.8% 72.4 -19.8%
2014 2.04% 1.84 21.9% 90.3 11.1%
2013 1.86% 1.51 17.1% 81.3 15.2%
2012 1.83% 1.29 24% 70.6 -1.5%
2011 1.45% 1.04 6.1% 71.7 24.9%
2010 1.71% 0.98 -3% 57.4 13.9%
2009 2% 1.01 17.4% 50.4 -27.7%
2008 1.23% 0.86 69.7


IYEの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 2.65% 1.25 -3.8% 47.2 5.4%
2023 2.9% 1.3 -16.1% 44.8 7.2%
2022 3.71% 1.55 76.1% 41.8 51.4%
2021 3.19% 0.88 -6.4% 27.6 34.6%
2020 4.59% 0.94 -55.% 20.5 -38.6%
2019 6.26% 2.09 117.7% 33.4 -15.4%
2018 2.43% 0.96 -7.7% 39.5 5.3%
2017 2.77% 1.04 19.5% 37.5 1.6%
2016 2.36% 0.87 -23% 36.9 -9.6%
2015 2.77% 1.13 27% 40.8 -20.5%
2014 1.73% 0.89 17.1% 51.3 10.8%
2013 1.64% 0.76 15.2% 46.3 14.%
2012 1.63% 0.66 24.5% 40.6 -1.2%
2011 1.29% 0.53 10.4% 41.1 24.2%
2010 1.45% 0.48 2.1% 33.1 11.1%
2009 1.58% 0.47 11.9% 29.8 -26.2%
2008 1.04% 0.42 40.4


IXCの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 4.23% 1.74 29.9% 41.1 5.7%
2023 3.44% 1.34 -27.6% 38.9 7.5%
2022 5.11% 1.85 71.3% 36.2 40.3%
2021 4.19% 1.08 10.2% 25.8 25.9%
2020 4.78% 0.98 -32.4% 20.5 -35.3%
2019 4.57% 1.45 43.6% 31.7 -11.2%
2018 2.83% 1.01 -5.6% 35.7 7.9%
2017 3.23% 1.07 8.1% 33.1 6.4%
2016 3.18% 0.99 -5.7% 31.1 -8.3%
2015 3.1% 1.05 -5.4% 33.9 -22.6%
2014 2.53% 1.11 4.7% 43.8 7.9%
2013 2.61% 1.06 10.4% 40.6 5.7%
2012 2.5% 0.96 10.3% 38.4 -4%
2011 2.18% 0.87 22.5% 40 16.6%
2010 2.07% 0.71 -4.1% 34.3 8.9%
2009 2.35% 0.74 -5.1% 31.5 -23.2%
2008 1.9% 0.78 41


ポートフォリオの比較

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、組入れ上位10銘柄はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢