VMBS・MBB(モーゲージ担保証券ETF)を比較:株価・配当・構成銘柄

債券ETF

【米国債より高利回り】モーゲージ証券ETF「VMBS vs MBB」を徹底比較!

💰 2026年第3四半期の投資環境メモ

エージェンシーMBS(政府系住宅ローン担保証券)は、一般に、同程度の金利リスクを持つ米国債に対して一定の利回りスプレッドを持つ資産クラスです。たとえば、MBBのオプション調整後スプレッドは、2026年7月15日時点で23.24ベーシスポイントでした。[1] 一方、2026年6月17日のFOMC声明では、インフレ率が依然として2%目標を上回っているとされ、政策金利の誘導目標は3.50~3.75%に据え置かれました。金利低下だけを前提とせず、インカムと金利変動リスクの両方を確認する必要があります。[2]

また、FRB(米連邦準備制度理事会)は2025年12月1日に保有証券のランオフを停止しました。2026年7月時点では、保有するエージェンシー債券およびMBSから受け取る元本償還金を、エージェンシーMBSではなく米国短期国債へ再投資しています。これは、長期的にSOMAの保有資産を米国債中心にする方針に沿った措置です。[3]


モーゲージ証券(MBS)とは?投資家が注視すべきリスク

MBS(Mortgage-Backed Securities)は、多数の住宅ローン債権から生じる元利金を投資家へ分配する証券です。本記事で扱うVMBSやMBBは、主にジニーメイ(GNMA)、ファニーメイ(FNMA)、フレディマック(FHLMC)が発行または保証する「エージェンシーMBS」へ投資します。[4]

ただし、保証の法的な位置づけは同一ではありません。ジニーメイの保証には米国政府の「完全な信頼と信用」が付されていますが、ファニーメイとフレディマックの証券は、米国政府による明示的な債務保証ではありません。したがって、エージェンシーMBSを一律に「米国債と同じ政府保証」と表現するのは正確ではありません。もっとも、両社は2026年7月時点でもFHFAの管理下にあり、エージェンシーMBS市場では高い信用力を持つ証券として扱われています。[5]

信用リスクが比較的抑えられている一方、以下の固有リスクには注意が必要です。

  • 金利リスク:通常の債券と同様、市場金利が上昇すると価格は下落します。2026年7月15日時点の実効デュレーションは、VMBSが約5.1年、MBBが5.43年であり、金利変動の影響を相応に受けます。[1][6]
  • 期限前償還(プリペイメント)リスク:金利低下時に住宅ローンの借り換えが増えると、予定より早く元本が返還され、投資家はより低い利回りでの再投資を迫られる可能性があります。
  • 期限延長(エクステンション)リスク:金利上昇時には借り換えや繰り上げ返済が減り、想定より元本回収が遅くなることがあります。その結果、デュレーションが延び、価格下落の影響が長期化する可能性があります。[7]

こうした期限前償還リスクや期限延長リスクを引き受ける対価として、エージェンシーMBSには米国債に対するスプレッドが付くのが一般的です。ただし、MBSが常に米国債より高いリターンを得られるわけではありません。金利変動やスプレッド拡大による価格下落を含め、トータルリターンで判断する必要があります。[1]


主要2大ETF比較サマリー(2026年7月時点)

VMBSとMBBは、いずれも米国のエージェンシーMBS市場への幅広い投資を目的とするETFです。経費率や実効デュレーションの差は小さいため、投資判断では「保有コスト」「純資産規模」「売買時の流動性」を比較することが重要です。

項目 【VMBS】バンガード 【MBB】iシェアーズ
経費率 0.03%(2025-12-19時点)[6] 0.04%(2026-07-16確認時点)[1]
純資産総額 173億ドル(2026-06-30時点)[6] 393.0億ドル(2026-07-16時点)[1]
30日SEC利回り 4.28%(2026-07-09時点)[6] 4.26%(2026-07-15時点)[1]
実効デュレーション 5.1年(2026-05-31時点)[6] 5.43年(2026-07-15時点)[1]
30日中央値
売買スプレッド
0.02%(2026-07-08時点)[6] 0.01%(2026-07-15時点)[1]
分配頻度 毎月(2026年7月確認時点)[4] 毎月(2026年7月確認時点)[1]

※各数値は各運用会社の公式サイトに基づきます。数値の基準日は項目によって異なります。利回り、純資産総額、デュレーション、売買スプレッドは市場環境や資金流出入により変動します。


各ETFの詳細分析

【VMBS】Vanguard Mortgage-Backed Securities ETF

  • 連動指数:Bloomberg U.S. MBS Float Adjusted Index(ブルームバーグ米国MBSフロート調整指数)。[4]
  • 運用コスト:経費率は2025年12月19日時点で0.03%です。元記事に記載されていた0.04%ではなく、VMBSがコスト面でMBBを0.01ポイント下回っています。[6]
  • ポートフォリオ:ジニーメイ、ファニーメイ、フレディマックが発行する米国のエージェンシーMBSを中心に保有します。主な投資対象は、住宅ローンから回収した元利金を投資家へ通過させるパススルー証券です。[4]
  • 流動性:2026年6月30日時点の純資産総額は約173億ドルです。MBBより規模は小さいものの、2026年7月8日時点の30日中央値売買スプレッドは0.02%であり、一般的な個人投資家が長期保有するETFとしては十分な流動性があります。[6]
  • 投資適性:わずかな差でも保有コストを抑えたい長期投資家や、バンガードETFを中心にポートフォリオを構成している投資家に適しています。

【MBB】iShares MBS ETF

  • 連動指数:Bloomberg U.S. MBS Index(ブルームバーグ米国MBS指数)。[1]
  • 運用コスト:経費率は2026年7月16日確認時点で0.04%です。VMBSより0.01ポイント高いものの、長期保有でも負担が小さい水準です。[1]
  • 純資産規模:2026年7月16日時点の純資産総額は約393.0億ドルで、VMBSの2倍を超えます。元記事の約295億ドルから大きく増加しています。[1]
  • 流動性:2026年7月15日時点の30日平均出来高は約196万口、30日中央値売買スプレッドは0.01%でした。大口注文や機動的な売買では、VMBSより取引コストを抑えやすい傾向があります。[1]
  • ポートフォリオ:2026年7月15日時点では、ファニーメイが42.55%、フレディマックが29.11%、ジニーメイが23.28%を占めていました。現金・デリバティブなどを除けば、ポートフォリオの大部分がエージェンシーMBSです。[1]
  • 投資適性:売買のしやすさや純資産規模を重視する投資家、まとまった金額を売買する投資家に向いています。

投資のポイントと選び方の指針

実務的には、VMBSとMBBの投資対象や金利感応度は近く、長期的な運用成果に決定的な差が生じにくい組み合わせです。ただし、コストと流動性では明確な違いがあります。

  • 保有コストを優先 → 【VMBS】
    2025年12月19日時点の経費率は0.03%で、MBBより0.01ポイント低く設定されています。2026年6月30日時点の純資産総額も約173億ドルあり、長期保有に必要な規模と流動性を備えています。[6]
  • 純資産規模と売買のしやすさを優先 → 【MBB】
    2026年7月16日時点の純資産総額は約393.0億ドルです。2026年7月15日時点の30日中央値売買スプレッドも0.01%と小さく、流動性を優先する場合に選びやすいETFです。[1]

経費率の差は年間0.01ポイントです。投資額100万円なら単純計算で年間約100円、1,000万円なら年間約1,000円の差に相当します。長期保有ではVMBSの低コストが有利ですが、売買時のスプレッドや注文の約定しやすさまで含めると、MBBを選ぶ合理性もあります。

📊 環境チェックの要点

①長期金利の低下局面では、住宅ローンの借り換え増加によるプリペイメントと、低い金利での再投資リスクに注意が必要です。②金利上昇局面では返済期間が延び、実効デュレーションが長期化するエクステンションリスクがあります。[7] ③MBBのオプション調整後スプレッドは2026年7月15日時点で23.24ベーシスポイントでしたが、スプレッドは固定されておらず、市場の需給や金利変動によって拡大・縮小します。[1] ④FRBは2025年12月にバランスシートのランオフを停止しており、2026年7月時点ではエージェンシー証券の元本償還金を米国短期国債へ再投資しています。[3]

エージェンシーMBSは、信用リスクを比較的抑えながら、米国債に対する追加的な利回りを狙える資産です。一方で、金利が低下しても期限前償還によって値上がりが抑えられ、金利が上昇すると期限延長によって下落が長引くという、通常の国債とは異なる性質があります。

VMBSとMBBをコア債券の一部に組み込む場合は、表示されている分配利回りだけでなく、実効デュレーション、スプレッド、為替変動、既存の米国債ETFとの重複を確認することが重要です。日本の投資家にとっては、ETF価格が安定していても円高によって円換算の評価額が減少する可能性があります。


ミニ解説:30日SEC利回りとは?

30日SEC利回りは、直近30日間の純投資収益を一定の計算方法で年率換算した指標です。過去1年間の分配実績を示すトレーリング利回りとは異なり、足元の保有債券から得られる収益水準を比較しやすい点が特徴です。ただし、将来の分配金や投資収益を保証する数値ではありません。

ミニ解説:デュレーション5年の意味

実効デュレーションが約5年の場合、他の条件が同じなら、市場金利が1ポイント上昇すると価格が概算で約5%下落し、1ポイント低下すると約5%上昇する関係を示します。ただし、MBSでは期限前償還の変化によってデュレーション自体が動くため、実際の値動きは単純計算と一致しないことがあります。

免責事項

本記事は2026年7月17日時点の情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入や売却を勧誘するものではありません。ETFの価格は、金利、MBS市場の需給、住宅ローンの期限前償還、為替相場などにより変動し、元本割れが生じる可能性があります。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. MBBの経費率・純資産・利回り・デュレーション・スプレッド・構成比率 → iShares:MBB公式商品ページ(確認日:2026-07-17)
  2. 2026年6月の政策金利とインフレ判断 → Federal Reserve:FOMC Statement(2026-06-17)(確認日:2026-07-17)
  3. 保有証券ランオフ停止とエージェンシー証券元本の米国短期国債への再投資 → Federal Reserve:Policy NormalizationNew York Fed:Treasury Securities Operations(確認日:2026-07-17)
  4. VMBSの投資対象・連動指数・分配方針 → Vanguard:VMBS公式商品ページ(確認日:2026-07-17)
  5. エージェンシーMBSの保証構造とGSEの位置づけ → Ginnie Mae:政府保証の説明FHFA:Fannie Mae and Freddie Mac(確認日:2026-07-17)
  6. VMBSの経費率・純資産・SEC利回り・デュレーション・売買スプレッド → Vanguard Advisors:VMBS Fund Metrics(確認日:2026-07-17)
  7. MBSの金利・期限前償還・期限延長リスク → SEC:iShares MBS関連届出書のリスク説明(確認日:2026-07-17)

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。



配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)

VMBSの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 3.68% 1.732 -3.3% 47.1 3.7%
2024 3.95% 1.791 17.1% 45.4 -0.2%
2023 3.36% 1.53 53.0% 45.5 -5.4%
2022 2.08% 1.00 108.3% 48.1 -9.9%
2021 0.90% 0.48 -52.9% 53.4 -1.3%
2020 1.89% 1.02 -27.7% 54.1 2.9%
2019 2.68% 1.41 6.8% 52.6 2.7%
2018 2.58% 1.32 22.2% 51.2 -2.7%
2017 2.05% 1.08 2.9% 52.6 -1.5%
2016 1.97% 1.05 -0.9% 53.4 0.4%
2015 1.99% 1.06 10.4% 53.2 1.5%
2014 1.83% 0.96 113.3% 52.4 1.6%
2013 0.87% 0.45 -43.0% 51.6 -1.5%
2012 1.51% 0.79 -40.2% 52.4 2.1%
2011 2.57% 1.32 -30.2% 51.3 0.8%
2010 3.71% 1.89 2000.0% 50.9 1.6%
2009 0.18% 0.09 50.1

MBBの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 3.70% 3.551 -1.7% 96.1 4.3%
2024 3.92% 3.614 13.0% 92.1 -0.3%
2023 3.46% 3.20 54.6% 92.4 -5.6%
2022 2.11% 2.07 89.9% 97.9 -9.8%
2021 1.00% 1.09 -51.8% 108.5 -1.5%
2020 2.05% 2.26 -23.4% 110.1 3.0%
2019 2.76% 2.95 9.3% 106.9 3.0%
2018 2.60% 2.70 15.9% 103.8 -2.8%
2017 2.18% 2.33 -12.7% 106.8 -2.1%
2016 2.45% 2.67 -4.6% 109.1 -0.2%
2015 2.56% 2.80 53.0% 109.3 1.6%
2014 1.70% 1.83 44.1% 107.6 1.3%
2013 1.20% 1.27 -40.7% 106.2 -2.0%
2012 1.97% 2.14 -39.5% 108.4 1.5%
2011 3.31% 3.54 -42.8% 106.8 -1.3%
2010 5.72% 6.19 66.0% 108.2 2.2%
2009 3.52% 3.73 -17.1% 105.9 3.7%
2008 4.41% 4.50 102.1

Posted by 南 一矢