VMBS・MBB(モーゲージ担保証券ETF)を比較:株価・配当・構成銘柄

債券ETF

【米国債より高利回り】モーゲージ証券ETF「VMBS vs MBB」を徹底比較!

💰 2025年の投資環境メモ

FRBは2024年9月から段階的に利下げを開始(9月▲50bp、11月▲25bp、12月▲25bp)。2025年も緩和方向が意識され、金利低下局面ではMBS価格の追い風となりやすい環境です。さらに、FRBは保有MBSの元本返済分を原則として米国債へ再投資する運用(=MBSの純増を行わない方針)で、エージェンシーMBSのスプレッドは過去水準と比べても拡大しており、妙味が意識されやすい状況です。:contentReference[oaicite:0]{index=0}


モーゲージ証券(MBS)とは?注意すべきリスク

MBS(Mortgage-Backed Securities)は、ジニーメイ(GNMA)、ファニーメイ(FNMA)、フレディマック(FHLMC)などの「政府機関/政府支援機関(GSE)」が保証する住宅ローン債権を束ねた証券です。GNMAは米国政府の明示的保証FNMA/FHLMCは機関保証(現在も政府管理下)で、信用リスクは相対的に低位とみなされます。最大の論点は価格変動要因である金利と、MBS特有の期限前償還(プリペイメント)リスクです。

  • 金利リスク:一般債券と同様に、金利上昇で価格下落・金利低下で価格上昇。
  • 期限前償還リスク:金利低下時は住宅ローン借換えが増えて早期返済→再投資利回りが低下。金利上昇時は返済が遅れてデュレーション延伸→下落耐性が弱くなる。

これらリスクの補償として、MBSには米国債に上乗せのスプレッドがつきます。2025年時点では「歴史的な広がりに近い」との指摘もあり、利回り妙味が意識されやすい局面です。:contentReference[oaicite:2]{index=2}


主要ETF比較サマリー(最新)

VMBSとMBBは投資対象が近く、コストと規模(流動性)が選定の主な分岐になります。

項目 【VMBS】 【MBB】
経費率 0.03% 0.04%
純資産総額 144.8億ドル(2025/6末) 425億ドル(概算)
配当利回り(30日SEC) およそ4.1%(2025/8時点の報道参考値) 4.16%(2025/10/13時点)
平均デュレーション 5.4年 5.37年
分配頻度 毎月 毎月
最近の資金動向 低コスト志向で安定した需要 直近1年で数十億ドル規模の純流入

※MBBのAUM・利回り・デュレーションはiShares公式。VMBSのコスト・AUM・デュレーションはVanguard公式ファクトシート。VMBSのSEC利回りは業界記事の直近推計を参考表示。
:contentReference[oaicite:3]{index=3}

出典詳細:VMBSの経費率0.03%、AUM約144.79億ドル、平均デュレーション約5.4年(2025/6/30時点)=Vanguardファクトシート。MBBの経費率0.04%、AUM約425億ドル、30日SEC利回り4.16%(2025/10/13)、実効デュレーション約5.37年=iShares公式。VMBSの30日SEC利回り約4.11%(2025/8/21付)=ETF Trends。:contentReference[oaicite:4]{index=4}


各ETFの詳細

【VMBS】Vanguard Mortgage-Backed Securities ETF

  • 連動指数:ブルームバーグ 米国MBS(フロート調整)指数。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
  • 投資対象:GNMA/FNMA/FHLMCなどのエージェンシーMBS(AAA相当中心)。分配は毎月。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
  • ポイント:同カテゴリで最低水準のコスト(0.03%)。中期ゾーンのデュレーション(約5.4年)で、金利変動に対する感応度と利回りのバランスを取りやすい。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
  • 参考利回り:30日SEC利回りは2025年8月時点で約4.1%との報道。直近数値は公式で要確認。
  • 公式情報:Vanguard VMBS

【MBB】iShares MBS ETF

  • 連動指数:ブルームバーグ 米国MBS指数。
  • 投資対象:政府機関(GNMA/FNMA/FHLMC)が発行・保証する投資適格のモーゲージ・パススルー証券。
  • ポイント:カテゴリ最大級の規模(AUM約425億ドル)で流動性が高い。30日SEC利回り4.16%、実効デュレーション約5.37年
  • 資金動向:2025年は大規模な純流入が続き、MBSへの需要の高まりを示唆。詳細はETFデータベース参照。
  • 公式情報:iShares MBB

投資のポイントと選び方

投資対象・デュレーションが近い2本は、「コスト最優先か、流動性最優先か」が実務的な分かれ目です。

  • わずかでもコストを抑えたい → 【VMBS】(経費率0.03%)。:contentReference[oaicite:13]{index=13}
  • 出来高・板の厚さを重視 → 【MBB】(AUM約425億ドル、流動性良好)。

📊 環境チェック(要点)

①FRBは2024年秋から利下げ開始→金利低下局面では価格追い風。②FRBはMBSの純増を行わず(原則、償還超過分は米国債に再投資)→需給面の歪みでスプレッドが歴史的水準に近い拡大との指摘も。③エージェンシーMBSは政府/機関保証により信用リスクが相対的に低位。:contentReference[oaicite:15]{index=15}

いずれを選んでも、国債の信用力に近い土台に、金利・期限前償還リスクの上乗せ利回りを狙える分散手段になります。ポートフォリオのコア債券に「ひとさじの利回り上乗せ」を求める場面で検討価値の高い選択肢です。


免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。



配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)

VMBSの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 3.91% 1.79 17% 45.8 0.7%
2023 3.36% 1.53 53% 45.5 -5.4%
2022 2.08% 1 108.3% 48.1 -9.9%
2021 0.9% 0.48 -52.9% 53.4 -1.3%
2020 1.89% 1.02 -27.7% 54.1 2.9%
2019 2.68% 1.41 6.8% 52.6 2.7%
2018 2.58% 1.32 22.2% 51.2 -2.7%
2017 2.05% 1.08 2.9% 52.6 -1.5%
2016 1.97% 1.05 -0.9% 53.4 0.4%
2015 1.99% 1.06 10.4% 53.2 1.5%
2014 1.83% 0.96 113.3% 52.4 1.6%
2013 0.87% 0.45 -43% 51.6 -1.5%
2012 1.51% 0.79 -40.2% 52.4 2.1%
2011 2.57% 1.32 -30.2% 51.3 0.8%
2010 3.71% 1.89 2000% 50.9 1.6%
2009 0.18% 0.09 50.1

MBBの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 3.89% 3.61 12.8% 92.8 0.4%
2023 3.46% 3.2 54.6% 92.4 -5.6%
2022 2.11% 2.07 89.9% 97.9 -9.8%
2021 1% 1.09 -51.8% 108.5 -1.5%
2020 2.05% 2.26 -23.4% 110.1 3%
2019 2.76% 2.95 9.3% 106.9 3%
2018 2.6% 2.7 15.9% 103.8 -2.8%
2017 2.18% 2.33 -12.7% 106.8 -2.1%
2016 2.45% 2.67 -4.6% 109.1 -0.2%
2015 2.56% 2.8 53% 109.3 1.6%
2014 1.7% 1.83 44.1% 107.6 1.3%
2013 1.2% 1.27 -40.7% 106.2 -2%
2012 1.97% 2.14 -39.5% 108.4 1.5%
2011 3.31% 3.54 -42.8% 106.8 -1.3%
2010 5.72% 6.19 66% 108.2 2.2%
2009 3.52% 3.73 -17.1% 105.9 3.7%
2008 4.41% 4.5 102.1

Posted by 南 一矢