VT・ACWI・VEU・VSS・VXUS・CWIを比較:世界投資ETFの株価&配当
全世界の株式に丸ごと投資できる「全世界株式ETF」は、分散投資の基本として非常に人気があります。しかし、代表的な「VT」や「ACWI」にも明確な違いがあり、正しく理解しないと、特に長期的なリターンに差が生まれる可能性があります。
この記事では、主に長期的な資産形成という観点から重要となる「経費率」と、投資戦略の核となる「投資範囲の違い」に焦点を当てて、主要な6銘柄のメリット・デメリットを比較解説します。
【2025年版】全世界株式ETF(VT・ACWI等)を徹底比較!あなたに合う一本は?
主要 全世界株式ETF 比較一覧表
まずは、今回ご紹介するETFの重要ポイントを一覧表で確認しましょう。特に長期投資でリターンを左右する「経費率」と、投資対象に含まれる「小型株の有無」の違いに注目です。
ティッカー | 投資対象 | 経費率(年率) | 特徴 |
---|---|---|---|
【米国を含む】全世界ETF | |||
VT | 全世界の小型株まで網羅 (10,000銘柄以上) | 0.06% | 低コストで最も幅広く投資可能。長期保有向きの王道ETF。 |
ACWI | 全世界の大・中型株 (約2,300銘柄) | 0.32% | 小型株を含まない。流動性が高く短期売買で好まれることも。 |
【米国を除く】全世界ETF | |||
VXUS | 米国除く全世界の小型株まで網羅 (8,600銘柄以上) | 0.05% | VTの米国除く版。S&P500等との組み合わせに最適。 |
VEU | 米国除く全世界の大・中型株 (約3,700銘柄) | 0.07% | VXUSから小型株を除いたもの。現在はVXUSが主流。 |
VSS | 米国除く全世界の小型株のみ (約4,200銘柄) | 0.09% | 米国以外の小型株に特化したい場合に利用。 |
CWI | 米国除く全世界の大・中型株 (約1,900銘柄) | 0.30% | MSCI版のVEU。経費率は高め。 |
※データは2025年8月時点のものを参考にしています。経費率・銘柄数は変動します。
1. 全世界投資ETF(米国を含む)
これ一本で、米国を含む全世界の株式に投資が完結するタイプのETFです。
【VT】バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
- 連動指数: FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
- 投資対象: 全世界の先進国・新興国47ヵ国の10,000銘柄以上に投資。大型株から小型株まで、市場のほぼ100%をカバーします。
- 国別比率: 米国が約60%を占め、日本、イギリス、中国、カナダと続きます。
- 特徴: 経費率が0.06%と極めて低く、長期保有のコストを抑えられるのが最大の魅力。「全世界投資の王道」とも言えるETFで、これ一本でコツコツと資産形成を目指すスタイルに適しています。2025年2月に経費率が引き下げられ、さらに魅力的になりました。
- 運用会社: バンガード社
- 公式サイトで詳細を見る
【ACWI】iシェアーズMSCI ACWI ETF
- 連動指数: MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)
- 投資対象: 全世界の先進国・新興国の約2,300銘柄に投資。VTとは異なり、投資対象は大型株と中型株のみで、小型株は含まれません。
- 国別比率: 米国が約60%を占め、構成はVTと似ています。
- 特徴: VTと並ぶ代表的な全世界ETFです。経費率が0.32%とVTより高いため、長期保有においてはコストがリターンを圧迫する可能性があります。一方で、VTより一日あたりの取引量が多い傾向にあり、大口の短期売買など流動性を重視する投資家には選択肢となり得ます。
- 運用会社: ブラックロック社 (iShares)
- 公式サイトで詳細を見る
2. 全世界投資ETF(米国を除く)
S&P500など米国株のETFと組み合わせて、自分でポートフォリオの米国比率を調整したい投資家向けのETFです。
【VXUS】バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF
- 連動指数: FTSEグローバル・オールキャップ(除く米国)インデックス
- 投資対象: 米国を除く全世界の8,600銘柄以上に投資。大型株から小型株まで幅広くカバーします。
- 国別比率: 日本が約15%、イギリス、中国、カナダ、フランスと続きます。
- 特徴: 実質的に「VTから米国株を抜いたもの」。経費率も0.05%と極めて低く、S&P500 ETFなどと組み合わせて「自分だけの全世界ポートフォリオ」を低コストで作りたい場合に中心的な選択肢となります。2025年にさらなる経費率引き下げが行われ、コスト面でも魅力が増しています。
- 運用会社: バンガード社
- 公式サイトで詳細を見る
【VEU】バンガード FTSEオールワールド(除く米国)ETF
- 連動指数: FTSEオールワールド(除く米国)インデックス
- 投資対象: 米国を除く全世界の大・中型株 約3,700銘柄に投資します。
- 特徴: VXUSから小型株を除いたETFです。経費率は0.07%ですが、投資の網羅性で勝るVXUSが登場してからは、そちらが主流となっています。
- 運用会社: バンガード社
- 公式サイトで詳細を見る
【VSS】バンガード FTSE世界(除く米国)小型株ETF
- 連動指数: FTSEグローバル・スモールキャップ(除く米国)インデックス
- 投資対象: 米国を除く全世界の小型株のみ、約4,200銘柄に特化して投資します。
- 特徴: VEU(大・中型株)と組み合わせることで、VXUSとほぼ同じポートフォリオを再現できます。また、非米国市場の小型株の値上がりを特に狙いたい場合にも使われます。経費率は0.09%です。
- 運用会社: バンガード社
- 公式サイトで詳細を見る
【CWI】SPDR MSCI全世界株式(除く米国)ETF
- 連動指数: MSCI ACWI ex-USAインデックス
- 投資対象: 米国を除く全世界の大・中型株 約1,900銘柄に投資します。
- 特徴: 実質的に「ACWIから米国株を抜いたもの」。VEUのMSCI版と言えますが、経費率が0.30%と高めなため、長期保有を考える場合はコストを比較検討する必要があります。
- 運用会社: ステート・ストリート社 (SPDR)
- 公式サイトで詳細を見る
3. 自分に合ったETFの選び方(まとめ)
「米国除くETF」を選ぶメリットとは?
S&P500(米国株ETF)と「米国除くETF(例:VXUS)」を自分で組み合わせることで、全世界における米国株の比率を自由に調整したい投資家が利用します。例えば、「米国株を70%、その他世界を30%」のように、VTの比率(米国約60%)とは異なるポートフォリオを組みたい場合に有効です。
目的別のおすすめETF
- 【シンプルに長期・積立投資】これ1本でコツコツ資産形成したい → VTが最適です。圧倒的な低コスト(0.06%)は、長期で保有するほど有利に働きます。
- 【ポートフォリオを自作】米国比率を自分で決めたい → S&P500 ETF + VXUSの組み合わせが基本です。どちらも低コストで、柔軟なポートフォリオ構築が可能です。VXUSの経費率0.05%はさらに魅力的になりました。
投資の際の注意点(リスクについて)
全世界株式ETFは十分に分散されていますが、以下のリスクは存在します。
- 為替リスク: これらのETFは米ドル建てです。円高・ドル安になると、円換算での資産価値は目減りします。
- 市場リスク: 世界的な経済危機などが発生すれば、当然、全世界の株価が同時に下落する可能性があります。
- 米国の影響: VTであっても約6割は米国株です。米国市場の動向がパフォーマンスに大きな影響を与えます。
2025年の注目ポイント
2025年はバンガード社の経費率引き下げにより、特にVTとVXUSの魅力が大幅に向上しました。VTは0.06%、VXUSは0.05%という業界最低水準の経費率を実現し、長期投資家にとってより有利な選択肢となっています。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。