IWM・VTWOを比較:ラッセル2000連動ETFの株価&配当
ラッセル2000(約2000の米国の小口株で構成される指数)に連動するETFを比較してみます。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を整理してみましょう
【徹底比較】IWM vs VTWO – 米国小型株ETF、本当に選ぶべきはどっち?
米国経済のダイナミズムをより感じられる「小型株」への投資は、ポートフォリオに高い成長性をもたらす可能性があります。その代表的な指数が「ラッセル2000」であり、これに連動する2大ETFがiシェアーズの「IWM」とバンガードの「VTWO」です。同じ指数に連動するなら、どちらを選んでも同じなのでしょうか?答えは「NO」です。両者には明確な違いがあり、あなたの投資スタイルによって最適な選択は異なります。この記事では、両者を徹底的に比較し、あなたが選ぶべき一本を明らかにします。
そもそも「ラッセル2000指数」とは?
ラッセル2000指数は、米国市場の時価総額上位3000社のうち、上位1000社(ラッセル1000)を除いた、1001位から3000位までの小型株2000銘柄で構成される株価指数です。S&P500が米国の「大企業」を代表するなら、ラッセル2000は「中・小型企業」を代表します。景気の動向に敏感に反応することから、「炭鉱のカナリア」とも呼ばれ、経済の先行指標として注目されています。
【IWM】iシェアーズ ラッセル2000 ETF
コンセプト:元祖にして王者。圧倒的な流動性が魅力
2000年に設定された、ラッセル2000 ETFの「元祖」です。純資産総額、日々の取引量ともに他を圧倒しており、その極めて高い流動性は、いつでもスムーズに売買したい短期トレーダーや機関投資家にとって最大の魅力です。ただし、歴史が長い分、経費率は後発のVTWOより高めに設定されています。
基本情報
正式名称 | iShares Russell 2000 ETF |
---|---|
運用会社 | ブラックロック (iShares) |
経費率 | 0.19% |
純資産総額 | 約550億ドル |
設定日 | 2000年5月26日 |
【VTWO】バンガード・ラッセル2000 ETF
コンセプト:低コストが武器。長期投資家のための対抗馬
IWMの対抗馬として2010年に設定された、バンガード社のETFです。ポートフォリオの中身はIWMとほぼ同じですが、最大の武器はIWMの約半分という低い経費率。長期でコツコツと資産形成を目指す「バイ・アンド・ホールド」の個人投資家にとっては、このコスト差が将来のリターンに大きく影響します。
基本情報
正式名称 | Vanguard Russell 2000 ETF |
---|---|
運用会社 | バンガード (Vanguard) |
経費率 | 0.10% |
純資産総額 | 約70億ドル |
設定日 | 2010年9月20日 |
※純資産総額は2025年6月時点の参考値であり、常に変動します。
【結論】IWM vs VTWO 直接対決!どちらを選ぶべきか?
ポートフォリオの中身は同じ。では、選択の決め手は何になるのでしょうか?
比較項目 | IWM (iシェアーズ) | VTWO (バンガード) |
---|---|---|
経費率 | 0.19% | 0.10% |
流動性 (取引量) | 圧倒的に高い | 十分だがIWMに劣る |
純資産総額 | 巨大 | 大きいがIWMに劣る |
歴史 | 元祖 (2000年~) | 後発 (2010年~) |
最適な投資家 | 短期トレーダー、機関投資家、オプション取引を行う人 | コストを重視する長期投資家 (バイ&ホールド) |
結論は明確です。もしあなたが「一度買ったら長く持ち続ける」というスタイルの長期投資家であれば、経費率の低いVTWOを選ぶべきです。わずか0.09%の差ですが、複利効果を考えると、数十年後には大きなリターンの差となって現れます。一方、もしあなたが頻繁に売買を行ったり、オプション取引を活用したりするアクティブなトレーダーであれば、IWMの圧倒的な流動性が取引コストを抑え、有利に働くでしょう。
小型株投資のリスク
どちらのETFを選ぶにせよ、小型株投資には特有のリスクが伴うことを忘れてはなりません。
- 高いボラティリティ: 小型株は大型株に比べて株価の変動が激しい傾向があります。市場全体が下落する局面では、より大きく値を下げる可能性があります。
- 景気敏感性: 小型株は国内経済の動向に業績が左右されやすいため、景気後退局面では大きな打撃を受けることがあります。
- 金利への影響: 金利が上昇すると、企業の資金調達コストが増加します。財務基盤が比較的弱い小型企業は、その影響をより大きく受ける可能性があります。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当(分配金)と利回り
年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)
IWMの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 1.2% | 2.53 | -6.3% | 211.1 | 15.8% |
2023 | 1.48% | 2.7 | 5.5% | 182.3 | -2.6% |
2022 | 1.37% | 2.56 | 24.3% | 187.1 | -16% |
2021 | 0.92% | 2.06 | 2% | 222.8 | 47.1% |
2020 | 1.33% | 2.02 | -2.4% | 151.5 | -1.5% |
2019 | 1.35% | 2.07 | 11.3% | 153.8 | -2.7% |
2018 | 1.18% | 1.86 | -1.6% | 158.1 | 11.7% |
2017 | 1.34% | 1.89 | 2.7% | 141.5 | 21.5% |
2016 | 1.58% | 1.84 | 7.6% | 116.5 | -2.8% |
2015 | 1.43% | 1.71 | 14.8% | 119.8 | 4.7% |
2014 | 1.3% | 1.49 | 6.4% | 114.4 | 14.2% |
2013 | 1.4% | 1.4 | -16.2% | 100.2 | 24.5% |
2012 | 2.07% | 1.67 | 67% | 80.5 | 4.5% |
2011 | 1.3% | 1 | 14.9% | 77 | 14.4% |
2010 | 1.29% | 0.87 | 22.5% | 67.3 | 28.9% |
2009 | 1.36% | 0.71 | -17.4% | 52.2 | -20.2% |
2008 | 1.31% | 0.86 | – | 65.4 | – |
VTWOの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 1.27% | 1.08 | -7.7% | 85.3 | 15.7% |
2023 | 1.59% | 1.17 | 14.7% | 73.7 | -2.4% |
2022 | 1.35% | 1.02 | -11.3% | 75.5 | -16.1% |
2021 | 1.28% | 1.15 | -19.6% | 90 | 47.3% |
2020 | 2.34% | 1.43 | -20.1% | 61.1 | -1.1% |
2019 | 2.9% | 1.79 | 19.3% | 61.8 | -2.7% |
2018 | 2.36% | 1.5 | 5.6% | 63.5 | 11.8% |
2017 | 2.5% | 1.42 | 5.2% | 56.8 | 21.6% |
2016 | 2.89% | 1.35 | 22.7% | 46.7 | -2.7% |
2015 | 2.29% | 1.1 | 2.8% | 48 | 4.8% |
2014 | 2.34% | 1.07 | 12.6% | 45.8 | 14.5% |
2013 | 2.38% | 0.95 | -8.7% | 40 | 24.6% |
2012 | 3.24% | 1.04 | 96.2% | 32.1 | 5.2% |
2011 | 1.74% | 0.53 | 140.9% | 30.5 | 6.6% |
2010 | 0.77% | 0.22 | – | 28.6 | – |
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。