【高配当通信株対決】AT&T(T) vs ベライゾン(VZ)!減配の巨人か、安定の高利回りか?

日本の投資家にも人気の米国高配当株、AT&T(T)ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)。両社は米国の通信インフラを寡占する巨大企業であり、安定したビジネスと配当が魅力でした。しかしAT&Tは2022年にメディア事業を分離し配当を減配。以降は通信へ回帰し、財務健全化を進めています[1]。一方のベライゾンは通信集中を継続し、配当は19年連続増配(2007–2025)を継続中です[2][4]

※本ページの数値は特記なき限り通期(米国会計・連結)。配当利回り・PERは 2025年10月29日(日本時間)の株価目安で試算[11]。PERは2024通期GAAP EPSを使用[5][6]

比較サマリー:戦略転換のT、安定のVZ

項目 AT&T (T) ベライゾン (VZ)
事業内容 5Gワイヤレス、光ファイバー(FTTH/固定ブロードバンド)などの通信事業
近年の戦略 WarnerMediaを分離(WBD誕生)し通信へ再集中。負債削減とフリーCF改善を継続[1] 通信集中を継続。5G/固定ワイヤレス/光のネットワーク品質・カバレッジ軸で運営[3]
配当の歴史 2022年に減配(年率$1.11へ)以降は据え置き[10] 19年連続増配(2007–2025)。2025年9月に四半期配当を$0.69へ引き上げ[4]
配当利回り(直近株価ベース) 4.4%
年率$1.11/株価$25.33[10][11]
6.9%
年率$2.76(新レート換算)/株価$40.22[4][11]
PER(目安・GAAP, 直近日) 17.0倍
EPS(2024)=$1.49[5]
9.7倍
EPS(2024)=$4.14[6]

最重要ポイント:AT&Tの「2022年減配」という事実

大型買収後の負債負担とメディア分離に伴い、AT&Tは年率$1.11へ配当をリセット。以降は通信へ回帰し、フリーキャッシュフローを配当と負債削減に充当する「身の丈経営」へ[1]

業績と成長性の詳細分析(売上の推移)

成熟産業ゆえ高成長は限定的。ただしVZは2024年に増収へ転じ、Tは横ばい圏(通信回帰後)です[6][5]

AT&T 売上高(前年比) ベライゾン 売上高(前年比)
2024 $122.3 B (-0.1%)[5] $134.8 B (+0.6%)[6]
2023 $122.4 B (+1.4%)[7] $134.0 B (-2.1%)[6]
2022 $120.7 B (-9.9%)[7] $136.8 B (+2.4%)[6]
2021 $134.0 B (-22.0%)[7] $133.6 B (+4.1%)[8]
2020 $171.8 B $128.3 B[9]

※B=10億ドル。AT&Tは2022年にWarnerMedia分離。2021年以前はメディア事業を含むため、単純比較には注意[1]

配当の詳細比較:信頼性のVZ、再起を誓うT

VZは低い増配率ながら連続増配を継続。Tは2022年に減配後、据え置きで再スタート。

T 年間配当(増配率) VZ 年間配当(増配率)
2025 $1.11 (0.0%)[10] $2.76 (+約2.8%)
四半期$0.69×4の年率換算[4]
2024 $1.11 (0.0%)[10] $2.685 (+2.4%)[2]
2023 $1.11 (0.0%)[10] $2.62 (+2.0%)[2]
2022 $1.11* (減配)[1][10] $2.56 (+2.0%)[2]
2021 $2.08 (0.0%) $2.51 (+2.0%)
2020 $2.08 (+約2%) $2.46 (+2.1%)

*AT&Tの2022年$1.11会社が示した年率換算。暦年実績は2月支払分($0.52)を含むため約$1.35になります[10]。VZの2025年$2.76新四半期レート$0.69の年率換算(2025年9月発表)[4]

関連記事:
ベライゾン(VZ)の配当推移
AT&T(T)の配当推移

結論:あなたに合うのはどちら?

「配当の安定性と信頼性」を最優先するなら → ベライゾン (VZ)

通信集中の堅実経営+19年連続増配。2024年は増収に転じ、利回り約6.9%の配当を維持。保守的なインカム投資に適合[6][4][11]

「財務改善による将来の復活」に期待するなら → AT&T (T)

減配で財務を立て直しつつ通信へ回帰。直近PERはGAAPで約17倍。フリーCFの積み上げと負債削減が続けば評価余地は残る[5][11]


※本ページの分析は2025年10月29日(日本時間)時点の公開情報に基づきます。投資判断は自己責任でお願いします。