YYY・ALTY・DIV・SDIV(超高配当ETF)を比較する

高配当ETF

【超ハイリスク】利回り10%超!超高配当ETFの仕組みと危険な罠とは?

【重要】この記事を読む前の注意点

この記事で紹介するETFは、S&P500や全世界株式といった通常の株式ETFとは全く異なる、非常に複雑でハイリスクな上級者向けの商品です。高い利回りには、相応の理由(複雑な仕組みや高いリスク)があります。その仕組みと危険性を十分に理解した上で、慎重にご覧ください。

この記事では、代表的な超高配当ETFを例に挙げ、なぜ高い利回りが実現できるのかという「仕組み」と、その代償として受け入れなければならない「リスク」を解説します。

「超高配当ETF」比較一覧表

まずは、以下のETFの戦略と、どのように高い利回りに伴うコストとリスクを抱えているのかを一覧で確認します。

ティッカー 投資戦略 配当利回り(目安) 実質コスト(年率) 主なリスク
YYY CEF(クローズドエンド型ファンド)を束ねて投資 約12%[2] 約3.25%[3] 金利上昇、レバレッジ、複雑性[4]
ALTY オルタナ資産(REIT/MLP/カバードコール等) 約7–8%(直近分配利回りの目安)[5] 0.50%[6] 不動産・原油市況、金利、戦略の複合リスク[6]
DIV 米国 低ボラティリティ高配当株(50銘柄) 約6.7%[7] 0.45%[8] 高配当の罠、金利上昇、上昇相場での出遅れ[9]
SDIV 世界 高配当株(100銘柄) 約9.7%[10] 0.58%[11] 高配当の罠+新興国/為替リスク[12]

※データは2025年10月時点の公表情報・相場水準を参考にしています。利回りは市況や分配方針で変動します。YYYのコストは投資先CEFの経費等を含む実質値です[3]


各ETFの「高利回りの仕組み」と「リスク」

【YYY】アンプリファイ・ハイ・インカムETF

  • 高利回りの仕組み: 様々なクローズドエンド型ファンド(CEF)に分散投資。多くのCEFはレバレッジ(借入)を活用して分配金水準を高めており、YYYはそれらを束ねることで高いインカムを狙います[4]
  • 主なリスク: 金利上昇はCEFの借入コストを押し上げ、分配余力と価格の双方を圧迫。レバレッジにより下落局面で値下がりが拡大しやすい点にも注意が必要です[4]
  • 出典: Amplify(運用会社)YYY資料(2025年6月末)[4]

【ALTY】グローバルX オルタナティブ・インカムETF

  • 高利回りの仕組み: REIT、MLP、オプションを活用したカバードコール戦略など、株式・債券以外のオルタナ資産に幅広く投資。複数の収益源(賃料、パイプライン通行料、オプションプレミアム等)を組み合わせてインカムを得ます[6]
  • 主なリスク: 投資対象が多岐にわたり、複合的なリスクが同時に顕在化する可能性。不動産・エネルギー市況や金利動向、オプション戦略の損失リスクなどが絡み合い、値動きが読みにくくなります[6]。なお、2021年9月28日以前は「SuperDividend® Alternatives」の名称でした[6]
  • 出典: Global X(米国サイト)

【DIV】グローバルX スーパーディビィデンド米国低ベータETF

  • 高利回りの仕組み: 米国株のうち、高配当かつ低ベータ(低ボラティリティ)の50銘柄を選定し分散投資[9]
  • 主なリスク: (1)業績悪化で株価が下がり見かけ上の利回りが高いだけの「高配当の罠」を含む恐れ、(2)金利上昇局面で高配当株が相対的に売られやすい、(3)低ボラ特性ゆえ上昇相場で指数に劣後しやすい、など[9]
  • 出典: Global X(米国サイト)

【SDIV】グローバルX スーパーディビィデンド世界株式ETF

  • 高利回りの仕組み: 世界の高配当株100銘柄に分散投資。指数はSolactive Global SuperDividend Indexに連動を目指します[12]
  • 主なリスク: DIVの構造リスクに加え、新興国のマクロ・ガバナンス・為替といったカントリーリスクが上乗せされます。「全世界に分散=低リスク」ではない点に注意が必要です[12]
  • 出典: Global X(米国サイト)

【結論】超高配当ETFに潜む共通の罠

これらのETFに投資する際には、以下の点に注意が必要です。

  1. 高い利回りを過信しない: 高利回りは高リスクの裏返し。市況悪化時には分配金の減額(減配)や基準価額の下落が同時に起きる可能性があります。
  2. トータルリターンで考える: 分配金だけでなく、価格変動を含めたトータルでの成績を確認しましょう。
  3. コア資産にはしない: 生活資金に影響しない範囲で「スパイス」程度の比率に留めるのが現実的です。

結論的に、ほとんどの個人投資家は、これらの複雑でハイリスクなETFに手を出す必要はありません。手を出してもわずかな投資比率にとどめるべきで、S&P500や全世界株式といった、低コストなインデックスファンドへの長期・積立投資のほうが報われることが多いと言えます。

注・出典リンク

  1. Direxionの発表(2020年9月18日):ZMLPを含む複数ETFの清算を告知(PDF)。リンク/上場廃止日(2020年10月23日)の記録例。リンク
  2. YYYの配当利回りの目安(参考):Yahoo Financeの直近利回り指標。リンク
  3. YYYの実質コスト(Acquired Fund Fees含む)約3.25%:Zacks/運用資料等。リンク/運用会社ページ。リンク
  4. YYY(CEFバスケット型)の仕組み・リスク:運用会社資料(2025年6月末等)。リンク/運用会社ページ。リンク
  5. ALTYの直近分配利回り参考値:Global X(日本/米国サイトの利回り指標、時点により変動)。リンク/補足(米国サイト概要)。リンク
  6. ALTYの経費率0.50%、投資対象の説明・名称変更履歴(2021/9/28以前はSuperDividend Alternatives):運用会社ページ。リンク
  7. DIVの利回りの目安:Yahoo Financeの直近利回り指標。リンク
  8. DIVの経費率0.45%、銘柄数50などの基本情報:運用会社ページ(2025年10月8日付のKey Information)。リンク
  9. DIVの低ボラ・高配当の選定手法(低ベータ採用)と性質:運用会社ページ。リンク
  10. SDIVの利回り目安:Yahoo Financeの直近利回り指標。リンク
  11. SDIVの経費率0.58%ほか基本情報:運用会社ページ(2025年10月8日)。リンク
  12. SDIVの指数・投資手法:運用会社ページ(Solactive Global SuperDividend Index)。リンク

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。



配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)

YYYの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 12% 1.44 0% 12 2.6%
2023 12.31% 1.44 0% 11.7 -12.7%
2022 10.75% 1.44 -12.2% 13.4 -21.2%
2021 9.65% 1.64 1.2% 17 12.6%
2020 10.73% 1.62 17.4% 15.1 -14.7%
2019 7.8% 1.38 -11.5% 17.7 -2.7%
2018 8.57% 1.56 -1.9% 18.2 -6.2%
2017 8.2% 1.59 -17.2% 19.4 5.4%
2016 10.43% 1.92 0% 18.4 -8%
2015 9.6% 1.92 -6.8% 20 -14.9%
2014 8.77% 2.06 74.6% 23.5 1.7%
2013 5.11% 1.18 21.6% 23.1 4.5%
2012 4.39% 0.97 22.1

ALTYの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 7.84% 0.91 11% 11.6 3.6%
2023 7.32% 0.82 5.1% 11.2 -5.9%
2022 6.55% 0.78 -18.8% 11.9 -9.8%
2021 7.27% 0.96 -20.7% 13.2 16.8%
2020 10.71% 1.21 0% 11.3 -23.6%
2019 8.18% 1.21 13.1% 14.8 0%
2018 7.23% 1.07 -3.6% 14.8 -4.5%
2017 7.16% 1.11 -3.5% 15.5 4.7%
2016 7.77% 1.15 113.% 14.8 2.1%
2015 3.72% 0.54 14.5

DIVの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 6.33% 1.12 -8.9% 17.7 3.5%
2023 7.19% 1.23 4.2% 17.1 -14.5%
2022 5.9% 1.18 4.4% 20 2%
2021 5.77% 1.13 -20.4% 19.6 17.4%
2020 8.5% 1.42 -13.4% 16.7 -28.3%
2019 7.04% 1.64 7.9% 23.3 -5.7%
2018 6.15% 1.52 3.4% 24.7 -2.4%
2017 5.81% 1.47 -8.7% 25.3 3.3%
2016 6.57% 1.61 -18.7% 24.5 -7.9%
2015 7.44% 1.98 32.9% 26.6 -5.7%
2014 5.28% 1.49 8.8% 28.2 10.6%
2013 5.37% 1.37 25.5

SDIVの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 10.64% 2.34 -11.7% 22 -3.1%
2023 11.67% 2.65 -21.6% 22.7 -22.5%
2022 11.54% 3.38 3.7% 29.3 -27.5%
2021 8.07% 3.26 -7.4% 40.4 11%
2020 9.67% 3.52 -18.5% 36.4 -30.5%
2019 8.24% 4.32 -7.3% 52.4 -14.5%
2018 7.6% 4.66 7.9% 61.3 -5.1%
2017 6.69% 4.32 0% 64.6 6.1%
2016 7.09% 4.32 0% 60.9 -7.4%
2015 6.57% 4.32 -2.7% 65.8 -10.5%
2014 6.04% 4.44 -7.7% 73.5 7%
2013 7% 4.81 -3% 68.7 5.9%
2012 7.64% 4.96 70.4% 64.9 -1.2%
2011 4.43% 2.91 -61.3% 65.7

ポートフォリオの比較

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率はチャールズシュワブ、組入れ上位10銘柄はフィディリティのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢