VとMAを比較:ビザとマスターカードの違いとは

銘柄比較

VとMAを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)

ビザ(Visa.inc)とマスターカード(Mastercard Incorporated:MA)はペイメント(決済)銘柄の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(IYW:iShares US Technology ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)

マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

ビザ(V)決算:予想と結果 売上&EPS

マスターカード(MA)決算:予想と結果 売上&EPS

【決済の王者対決】ビザ(V) vs マスターカード(MA)!最強のビジネスモデルと成長性を徹底比較

世界中の消費活動から手数料を徴収する「通行料ビジネス」を展開し、投資の神様ウォーレン・バフェットも投資するビザ(V)マスターカード(MA)。この2社は、キャッシュレス化という不可逆的な世界の潮流に乗り、驚異的な利益率と成長を続ける決済ネットワークの複占企業です。

本記事では、極めてよく似たビジネスモデルを持つこの2社の業績、株主還元、そして将来性を徹底的に比較し、どちらがより優れた投資先なのかを探ります。

比較サマリー:ほぼ同じ、でも少し違う

項目 ビザ (V) マスターカード (MA)
ビジネスモデル 決済ネットワークの運営(カード発行や融資は行わない)
市場シェア (取扱高) 世界No.1 世界No.2
連続増配年数 16年 13年
配当利回り(直近) 約0.7% 約0.6%
PER (株価収益率) 約30倍 約35倍

業績と成長性の詳細分析

両社ともに、キャッシュレス化の流れを捉え、安定して二桁近い成長を続けています。規模ではビザが上回りますが、成長率ではマスターカードが僅かに優位に立つ年が多く、その差を少しずつ詰めています。

ビザ 売上高 (前年比) マスターカード 売上高 (前年比)
2024 $35.80 B (+9.9%) $27.60 B (+10.1%)
2023 $32.57 B (+11.4%) $25.07 B (+12.9%)
2022 $29.23 B (+21.6%) $22.21 B (+17.7%)
2021 $24.04 B (+10.3%) $18.88 B (+23.4%)
2020 $21.78 B $15.30 B
年平均成長率(CAGR) 13.20% 15.91%

※B=10億ドル。両社は決算月が異なるため、各社会計年度に基づき比較しています。

配当と株主還元:低利回り、高増配、そして自社株買い

両社の配当利回りは1%未満と非常に低いですが、それは株価の成長が著しいためです。本当の魅力は、毎年二桁近くで成長する「増配率」にあります。

V 年間配当 (増配率) MA 年間配当 (増配率)
2024 $2.08 (+15.6%) $2.52 (+15.6%)
2023 $1.80 (+20.0%) $2.18 (+16.0%)
2022 $1.50 (+17.2%) $1.88 (+11.2%)
2021 $1.28 (+6.7%) $1.69 (+10.5%)
2020 $1.20 (+20.0%) $1.53 (+21.4%)
5年平均増配率 15.9% 14.9%

配当については以下の関連記事を参照

ビザ(V)の配当推移

マスターカード(MA)の配当推移

結論:究極の選択、どちらを選ぶべきか?

両社は極めて優れたビジネスモデルを持つ、甲乙つけがたい優良企業です。投資判断は、わずかな違いをどう評価するかにかかっています。

「市場のリーダー」としての絶対的な安心感を求めるなら → ビザ (V)

業界No.1の規模とシェアは、何物にも代えがたい安定感をもたらします。マスターカードより僅かにPERが低く、割安と判断できる局面もあります。ポートフォリオの中核に、最も信頼できる王者を据えたい投資家に向いています。

「No.2からの追い上げ」による成長性に期待するなら → マスターカード (MA)

ビザよりわずかに高い成長率を維持し、その差を詰めようとする姿は魅力的です。特にヨーロッパや新興国市場でのプレゼンスを強めており、今後の伸びしろに期待が持てます。わずかでも高い成長を追求したい投資家にとって、面白い選択肢となるでしょう。

最終的な結論として、多くの投資家は「どちらか一方」ではなく、「両方を保有する」ことで、決済ネットワークというセクター全体に投資する戦略を取っています。


※本ページの分析は2025年6月8日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。

Posted by 南 一矢