GEエアロスペース:今後の見通し

株価•決算,資本財,軍事株

GEエアロスペース(GE_Aerospace)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(GEとHONを比較:ゼネラルエレクトリックとハネウェル)を参照

直近決算

GEは4月21日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.6$→結果1.86$
・売上高:予想107.1億$→結果116億$(前年同期比+29%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想7.45$→結果7.1~7.4$

★出所

IRページ
streetinsider

企業概要

GEエアロスペース(GE Aerospace, NYSE: GE)は、航空機用エンジンの設計・製造・整備(MRO)と、航空機システム、軍用推進、運航データを活用するデジタルソリューションを提供するグローバル企業です。もとはGeneral Electric(GE)の航空宇宙部門で、2024年4月2日にGE Vernovaのスピンオフ完了後、独立した投資適格の公開会社として発足しました。社名はGEエアロスペース、ティッカーはNYSE: GEです。[1]

2025年12月期Form 10-Kによると、GEエアロスペースは約120カ国の顧客にサービスを提供し、米国・プエルトリコの23州に70施設、その他23カ国に62施設の製造・サービス拠点を持ちます。2025年通期の売上高(GAAP)は458.55億ドル、調整後売上高は423億ドル、営業利益(Non-GAAP)は91億ドル、フリーキャッシュフロー(Non-GAAP)は77億ドルでした。2025年末の残存履行義務(RPO)は1,905.64億ドルで、そのうちサービス関連が1,630.29億ドルを占めています。[2][3]

商用/軍用の各エンジンは「燃費(燃料効率)・耐久性・安全性」を重視して設計され、航空会社や軍の運航コスト削減と安全性向上に寄与しています。近年は、機体やエンジンから集まるデータを解析し、故障の前兆を早めに見つける予知保全や燃費・整備計画の最適化など、デジタル面の価値提供も広げています。[4]

GEエアロスペースの報告セグメントは、2025年12月期時点でCommercial Engines & Services(CES)Defense & Propulsion Technologies(DPT)の2区分です。2026年2月以降は、Commercial Engines & Servicesに商用エンジンのライフサイクル全体(安全・品質、製品管理、エンジニアリング、サプライチェーン、製造、アフターサービス)を集約し、Aeroderivative事業をDefense & Propulsion Technologiesへ移す組織変更も発表されています。[2]

航空機用エンジンの設計・製造・整備
商用エンジンでは、CFM International(GEとSafranの50:50合弁)によるLEAP(A320neo/737 MAX等)と既存のCFM56、ワイドボディ向けGEnx(787等)GE90/GE9X(777/777X)、ビジネス機向けPassport、ターボプロップCatalystなどを展開しています。整備は「TrueChoice」等のメニューでライフサイクルを一体支援します。2025年通期のCommercial Engines & Servicesの売上高は333.14億ドル、セグメント利益は88.61億ドルでした。同年の商用エンジン販売台数は2,386基で、そのうちLEAPは1,802基でした。[2][5]

GE9Xは777X向けの専用設計エンジンです。旧稿では777-9の就航を2026年見込みとしていましたが、Boeing 777Xは認証遅延により初号機納入が2027年へ後ずれしたと報じられています。2026年2月時点では、Boeingが生産型777Xの初飛行を2026年4月に予定しつつ、GE Aerospace関連のエンジン問題は2027年納入予定を遅らせる見込みではないと報じられました。GE9XはGEエアロスペースのワイドボディ向け将来収益に関わる重要プログラムですが、量産・サービス収益の本格化は777Xの認証・納入スケジュールに左右されます。[6]

軍用・防衛向けでは、F/A-18等のF404/F414、F-15・F-16系などに関連するF110、回転翼向けT700/CT7、CH-53K向けT408(GE38)、米陸軍のUH-60 Black Hawk/AH-64 Apache向けT901(ITEP)などを擁します。2025年通期のDefense & Propulsion Technologiesの売上高は105.54億ドル、セグメント利益は12.96億ドルで、同セグメント売上の約51%はサービスでした。[2]

T901は、UH-60 Black HawkやAH-64 Apacheのエンジン換装を想定する米陸軍のImproved Turbine Engine Program(ITEP)向けエンジンです。2025年5月にT901搭載UH-60Mのホバーおよび水平飛行試験が始まり、2026年5月時点では、米陸軍と業界のテストパイロットがT901搭載UH-60Mで累計約30時間の飛行試験を実施したと報じられています。[7]

航空システム/デジタルソリューション
GEエアロスペースは、エンジン単体だけでなく、航空機システム、ソフトウェア、デジタル整備支援も提供しています。TrueChoice Digital SolutionsやSaaSポートフォリオでは、Remote Diagnostics、Maintenance Insight、Maintenance & Reliabilityなどを通じて、AOG(運航停止)の回避、整備タイミングの最適化、部品・整備のムダ削減を支援します。[4]

包括的アフターサービス
GEエアロスペースの強みは、エンジン販売後に長期間続くアフターサービス収益です。2025年末のRPOは1,905.64億ドルで、うちサービス関連は1,630.29億ドルでした。2026年Q1決算では、商用サービスの受注残が1,700億ドルと説明されており、若い機齢のエンジンフリートと長期サービス契約が、同社の中長期収益の下支えになっています。[3][8]

そのルーツはGEの多角化の歴史にあり、近年は「GEヘルスケア」「GEヴェルノヴァ」「GEエアロスペース」の3社体制へ再編を完了しました。GEエアロスペースは航空宇宙に経営資源を集中し、商用エンジンのサービス、LEAP供給改善、防衛・推進技術、次世代航空技術を成長軸にしています。[1]

経営・技術戦略(要点)
次世代推進:CFM “RISE” 計画(オープンファン等)…現行世代エンジン比で燃費を20%超改善することを目標に、2030年代後半の実用化を見据えて技術実証を続けています。代替燃料への適合性も検証対象です。[9]
先端材料:CMC(セラミックマトリックス複合材)…高温に強く軽い素材で、エンジンの燃費改善・耐久性向上に関わる中核技術です。GE9XやLEAPなどで適用が進んでいます。[5][6]
ハイブリッド電動化…2025年9月にBETA Technologiesへ3億ドルの出資と戦略提携を発表し、防衛・民間向けのハイブリッド電動ターボジェネレーターを共同開発する方針を示しました。[10]
供給網とMRO能力の増強…2025年には優先サプライヤーからの材料投入を前年比40%超増やし、商用サービス売上とエンジン納入を伸ばしました。2026年Q1にも米国製造拠点・サプライヤー基盤へ10億ドルを投資する計画を示しており、LEAPや防衛エンジンの供給制約緩和が経営課題になっています。[3][8]

最近の業績トピック
2025年通期は、受注が662億ドル(前年比+32%)、売上高(GAAP)が458.55億ドル(前年比+18%)、調整後売上高が423億ドル(前年比+21%)、営業利益(Non-GAAP)が91億ドル(前年比+25%)、調整後EPSが6.37ドル(前年比+38%)、フリーキャッシュフロー(Non-GAAP)が77億ドル(前年比+24%)でした。[3]

2026年Q1は、受注が230億ドル(前年比+87%)、売上高(GAAP)が124億ドル(前年比+25%)、調整後売上高が116億ドル(前年比+29%)、営業利益(Non-GAAP)が25億ドル(前年比+18%)、調整後EPSが1.86ドル(前年比+25%)、フリーキャッシュフロー(Non-GAAP)が17億ドル(前年比+14%)でした。会社側は2026年通期ガイダンスを維持しつつ、年初の好調な立ち上がりを受けてレンジ上限寄りで推移していると説明しています。[8]


ミニ解説

  • GEエアロスペースは「エンジンを売って終わり」ではありません。航空機エンジンは長期間使われるため、MRO、部品、長期サービス契約が収益の大きな柱になります。
  • 燃費が良い=航空会社の利益に直結します。燃料費は航空会社の大きなコストであり、LEAP、GEnx、GE9X、将来のRISE技術は燃費改善が投資テーマになります。
  • 受注残の大きさは強みですが、供給制約も課題です。2025年末のRPOは1,905.64億ドル、2026年Q1時点の商用サービス受注残は1,700億ドル規模です。一方で、サプライチェーン、部品供給、MRO能力の増強が成長の前提になります。
  • 777XやT901など、顧客側の開発・認証スケジュールにも左右されます。GE9Xは777Xの納入時期、T901は米陸軍のプログラム判断に影響を受けます。

【注】(出典リンク)

  1. 独立発足・ティッカー(2024年4月2日) → GE取締役会によるスピンオフ承認発表 → GE Aerospace発足発表。一次一次 / 確認日:2026-05-10
  2. 会社概要、約120カ国、施設数、報告セグメント、2025年セグメント売上・利益、LEAP納入、DPT構成、2026年組織変更 → GE Aerospace 2025年Form 10-K。一次(SEC)一次(Annual Report) / 確認日:2026-05-10
  3. 2025年通期決算、受注、売上、営業利益、EPS、FCF、RPO、供給網・MRO投資 → GE Aerospace 2025年Q4・通期決算発表。一次一次(PDF) / 確認日:2026-05-10
  4. TrueChoice Digital Solutions、Remote Diagnostics、Maintenance Insight、SaaSポートフォリオ → GE Aerospace公式。一次一次 / 確認日:2026-05-10
  5. CFM合弁、LEAP、CFM56、先進材料 → CFM公式・GE Aerospace公式。一次一次(LEAP) / 確認日:2026-05-10
  6. GE9X、777X向けエンジン、777X納入時期の後ずれ → GE Aerospace公式GE9Xページ → Reuters/AP補足。一次二次二次 / 確認日:2026-05-10
  7. T901搭載UH-60Mの飛行試験、2026年時点の試験進展 → FlightGlobal/Vertical Magazine補足。二次二次 / 確認日:2026-05-10
  8. 2026年Q1決算、受注、売上、営業利益、EPS、FCF、商用サービス受注残、2026年ガイダンス → GE Aerospace 2026年Q1決算発表。一次一次(PDF) / 確認日:2026-05-10
  9. CFM RISEの燃費20%超改善目標、2030年代後半の実用化想定、代替燃料適合性 → CFM公式。一次一次(解説) / 確認日:2026-05-10
  10. BETA Technologiesへの3億ドル出資・ハイブリッド電動ターボジェネレーター共同開発 → GE Aerospace公式発表。一次 / 確認日:2026-05-10

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢