【GE】ゼネラルエレクトリックの株価と決算、配当

2019年8月6日

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ダウ平均から除外されたゼネラルエレクトリック(GE)は厳しい状況が続いています(※GEはエネルギーやジェットエンジン、ヘルスケア等を主力とする米国の複合企業)。

しかし、事業全体を見ると、航空機エンジンや医療機器、オイル&ガス部門などは悪くないので、今後は事業分割を求める圧力が高まりそうです。

GEの不安要因は山積みですが、株価低迷期が「買い時」になることもあるので、同社のまとまった情報を知りたいところです。

そこで、今回は、最近の株価の動きと指標、決算を踏まえながら、GEの関連記事などを紹介してみます。

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GE、ついにダウ除外 その株価の推移を追う

GEの株価は低迷を続けています。右斜めに斜線を引いたかのような株価下落ぶりで、株価水準はサブプライムショック時の頃に近づきつつあるようです。

あまりにも下がり続けたので、6月20日にダウ平均から除外されてしまいました。(T_T)

主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(出所はグーグルファイナンスなど)

1/2株価 7.5
8/2株価 10
株価上昇率 34.0%
52週高値 13.8
52週安値 6.7
EPS -2.16
PER #N/A
配当(利回り) 0.04 (0.40%)
時価総額(億$) 873
株式数(億) 87.3

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)。

その株価の推移を1年ごとに見てみましょう。

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は8/2)
GE 初値 最安 最高 終値 上昇率
2019 7.5 8.1 10.9 10 34%
2018 17.6 6.7 19 7.6 -57%
2017 31.7 17.4 31.7 17.5 -45%
2016 30.6 27.5 32.9 31.6 3%
2015 25.3 23.3 31.3 31.2 23%
2014 27.9 24 27.5 25.3 -9%
2013 21.5 20.9 28 28 30%
2012 18.2 18.2 23.1 21 15%
2011 18.5 14.7 21.5 17.9 -3%
2010 15.2 13.9 19.5 18.3 20%
2009 16.5 6.7 17.1 15.1 -8%
2008 37.1 12.8 38.4 16.2 -56%
★2:各年初から2019/8/2までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~ 15年~ 14年~
34% -43% -68% -67% -60% -64%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~ 09年~ 08年~
-53% -45% -46% -34% -39% -73%

配当利回りと配当性向

次に、配当利回りの推移を見てみます

権利落ち日 1株配当 配当利回り 当日株価
2019/07/01 0.01 1.4% 10.6
2019/03/11 0.01 2.6% 9.9
2018/12/20 0.01 5.0% 7.4
2018/09/17 0.12 3.8% 12.7
2018/06/18 0.12 4.5% 13.2
2018/02/26 0.12 4.9% 14.65
2017/12/27 0.12 4.8% 17.38
2017/09/18 0.24 3.9% 24.46
2017/06/19 0.24 3.3% 28.8
2017/02/27 0.24 3.1% 29.94
2016/12/27 0.24 2.9% 31.9
2016/09/19 0.23 3.1% 29.43
2016/06/20 0.23 3.0% 30.83

さらに、配当性向の推移をモーニングスター(MS)社のデータで見てみます。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★MS社は非GAAPのEPSで配当性向を試算。GAAP基準のEPS試算〔=単純計算〕の箇所は筆者挿入。

年/月 EPS 配当 配当性向
(GAAP) 単純計算 MS試算
08/12 1.72 1.24 72.1 69.6
09/12 1.01 0.61 60.4 59.2
10/12 1.06 0.46 43.4 40
11/12 1.23 0.61 49.6 47.1
12/12 1.29 0.7 54.3 50.4
13/12 1.27 0.79 62.2 54.7
14/12 1.5 0.89 59.3 59.5
15/12 -0.62 0.92 -148.4 180.4
16/12 0.75 0.93 124.0 105.8
17/12 -1.03 0.84 -81.6 111.6
18/12 -2.62 0.37 -14.1 ?

四半期決算(2019予想など)

ロイターが調べた四半期決算のEPSと売上の予想も整理してみます(2019/5/3、売上単位は100万ドル)。

EPS:予想と結果

EPS予想 平均 上限 下限 期間
2020 0.72 0.8 0.58 1年
2019 0.58 0.66 0.55 1年
9-19 0.15 0.17 0.12 3カ月
6-19 0.12 0.14 0.1 3カ月
EPS 予想 結果
3-19 0.09 0.14 0.05 55.2
12-18 0.22 0.17 -0.05 -23.2
9-18 0.20 0.14 -0.06 -29.6
6-18 0.18 0.19 0.01 8.0
3-18 0.11 0.16 0.05 43.4
12-17 0.29 0.27 -0.02 -6.99
9-17 1.23 1.34 0.11 41.20

売上高:予想と結果

売上予想 平均 上限 下限 期間
2020 119358 123996 113778 1年
2019 117236 120707 114457 1年
9-19 29006 30265 27955 3カ月
6-19 28583 29659 27728 3カ月
売上 予想 結果
3-19 27046 27286 240 0.9
12-18 32609 33278 669 2.1
9-18 29923 29573 -350 -1.2
6-18 29311 30104 793 2.7
3-18 27450 28660 1210 4.4
12-17 34064 31402 -2662 -7.8
9-17 32556 33472 916 2.8

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています。これは各社が経営実態を踏まえて調整した数値です(売上とEPSの数値が後述のGAAP基準での数値と異なる場合は、非GAAP基準の数値)。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等)

売上高 営業CF 同マージン 純利益
08/12 181581 48653 26.8% 17335
09/12 154438 24417 15.8% 10725
10/12 149567 36124 24.2% 11344
11/12 146542 33359 22.8% 13120
12/12 146684 31331 21.4% 13641
13/12 113245 28510 25.2% 13057
14/12 117184 27709 23.6% 15233
15/12 117386 19891 16.9% -6145
16/12 123693 1160 0.9% 8176
17/12 122092 6032 4.9% -6222
18/12 121615 4246 3.5% -22802

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%以上あれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

営業利益率 EPS DSO
08/12 25.2 1.72 43.7
09/12 18.6 1.01 44.1
10/12 20.1 1.06 42.6
11/12 16.7 1.23 408.7
12/12 14.6 1.29 730.3
13/12 13.8 1.27 693.1
14/12 14.1 1.5 631.4
15/12 10.4 -0.62 455.0
16/12 10.9 0.75 115.0
17/12 4.2 -1.03 107.7
18/12 7.8 -2.62 93.6

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/12 797769 684157 113612 14.2%
09/12 781901 656765 125136 16.0%
10/12 747793 623595 124198 16.6%
11/12 718189 600055 118134 16.4%
12/12 684999 556529 128470 18.8%
13/12 656560 519777 136783 20.8%
14/12 654954 518121 136833 20.9%
15/12 493071 392933 100138 20.3%
16/12 365183 287692 77491 21.2%
17/12 369245 292355 73498 19.9%
18/12 309129 257266 51438 16.6%

ROAとROEなど

ROA ROE 流動比率
単位 倍率
08/12 2.2 15.7 2.0
09/12 1.4 9.7 2.8
10/12 1.5 9.6 2.4
11/12 1.8 11.1 2.0
12/12 1.9 11.4 2.1
13/12 1.9 10.3 2.2
14/12 2.3 11.8 2.2
15/12 -1.1 -5.4 1.9
16/12 1.9 9.4 2.0
17/12 -1.7 -8.9 1.9
18/12 -6.6 -47.9 1.8

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業が上げた利益を見る

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業が上げた利益を見る

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る(表では資本が負債の何倍かを表記)

キャッシュフロー

営業CF 投資CF 財務CF
08/12 48653 -34768 19136
09/12 24417 42378 -43513
10/12 36124 32436 -61586
11/12 33359 19882 -46863
12/12 31331 11302 -51074
13/12 28510 29117 -45575
14/12 27709 -5034 -16956
15/12 19891 59488 -76054
16/12 1160 49135 -90464
17/12 6032 6564 -19146
18/12 4246 18239 -31033

ゼネラルエレクトリック(GE)を部門別に見ると・・・

ここで産業別の売上高と純利益を見てみます。

売上高(産業分野別)

売上高 2018 2017 2016
電力 27300 34878 35835
再生エネ 9533 9205 9752
航空 30566 27013 26240
石油ガス 22859 17180 12938
ヘルスケア 19784 19017 18212
輸送 3898 3935 4585
照明 1723 1941 4762
産業分野 115664 113168 112324

純利益(産業分野別)

利益 2018 2017 2016
電力 -808 1947 4187
再生エネ 287 583 631
航空 6466 5370 5324
石油ガス 429 158 1302
ヘルスケア 3698 3488 3210
輸送 633 641 966
照明 70 27 165
産業分野 10774 12213 15785

ジェフリー・イメルトのGE改革とは

ところで、過去の経営はどうなっていたのでしょうか。

『ハーバード・ビジネスレビュー』(2017年12月)は2000年以降の事業構成の変遷を整理しています(P86)。

2000年時点の総売上高は1300億ドル。そのうち金融が600億ドル以上の規模で、そのほかの売上高がエネルギー、航空機、ヘルスケア、輸送、家電・機器、メディア、素材の7分野で構成されていました。

その後、9代目のCEOとなったジェフリー・イメルト氏のもとでGE社は2001年~2017年までの間に事業の買収と売却を繰り返します。

  • 05年:再保険事業の大部分をスイス・リー社に売却(05年の総売上高は1400億ドル)
  • 07年:プラスチック事業をSABIC(サウジアラビア)に売却
  • 10年:総売上高が1500億ドルに
  • 11年:メディア事業のNBCユニバーサルをコムキャストに売却
  • 13年:イタリアのアヴィオ社の航空部門を買収
  • 15年:仏アルストム社のエネルギー部門を買収/GEキャピタル撤退。金融事業を順次売却(売上1170億$)
  • 16年:家電部門をハイアール(中国)に売却

ジャック・ウェルチが相対的な競争優位を重視したのに対して、ジェフリー・イメルト氏は産業構造の変化を先読みし、収益性が高くてもGEの中核とはなりえない事業を売却していきます。「産業インフラ事業への特化」と「ソフトウェア・ソリューションによるデジタル化」を進めたのです。

「私はCEOに就任する前から、メディア、ペット保険、ジェットエンジン製造を同時に極めるのは不可能だと考えていた」(イメルト氏)

GE社内には「優れたマネジャーはあらゆる事業を舵取りできるはずだ」と考える人が多かったのですが、イメルト氏は「屋台骨の産業用事業に重点を置き、低成長、ローテク、非産業用の事業を売却」しました。

その結果、「GEをテクノロジー企業として再構築し、R&D投資を二倍超に増やし」、インダストリアル・インターネットと積層造形(3Dプリンター等)の分野に注力することになりました。

「世界最高のテクノロジー企業にならなければ、我が社の命運は尽きます。破滅するのです」(デジタル・インダストリアルに関しては)「代替案は存在しません。これを実現する以外に道はないのです」(イメルト氏)

日本企業にとっても耳を傾けなければいけないのは、デジタル・インダストリアルに出遅れてはならないという指摘と、低成長時代には経営資源の再配分が必要になるという指摘です。

「GDPが年率4%で伸びていれば、どの事業も苦しくはない。しかし、年率1%ではどの事業も安泰ではない」(そのため)「自社と顧客の生産性の飛躍的な向上に寄与する技術を、革新的な方法で活かす術を考えるのである」「同時に、成長率の高い国や地域に大胆に事業を拡大するのだ」(イメルト氏)

日本は年率1%成長ぐらいなので、日本企業が成長するためには、もっと大胆な構造改革が必要なのかもしれません。

イメルト氏は、以下のようにも述べています。

「大企業にとってその場しのぎは致命傷となる。熱意や関与の不足を見透かされるからだ。変革を実施する時は、最後まで貫徹する覚悟で臨むべきである」「我々はデジタル分野と積層造形に何十億ドルも投資した」「たいていの企業は『デジタル系事業に資本参加します。これが当社の戦略です』と言うが、私から見れば付け焼き刃である」

ハーバードビジネスレビューはこの変革の中身を「5つの改革」として整理しています。

GE社の「5つの改革」とは

★1:典型的なコングロマリット⇒メリハリの利いた複合型インダストリアル・カンパニーへ

これは前掲のデジタル化とインダストリアル産業への特化の試みのこと。エンジンの点検等を含む全事業分野でデジタル化を推進し、3Dプリンティングにも注力(導入前にも5~6年は研究していた)。2011年にはCSCO(シスコ)から人材をインダストリアル・インターネットの責任者に招き入れている。

★2:M&Aによる多角化⇒テクノロジー主導による成長へ

ソフトウェア部門への大胆な投資を行い、R&D予算は二倍超の48憶ドルに上り、不景気の時代にも削られることはなかった。世界で10の研究拠点を確保。

★3:グローバル化

新興国の高成長を取り込むためにグローバル化を進め、地域マネージャーや現地マネージャーに大きな権限を与えた。GEの進出先は2010年に100か国だったものが2017年には180カ国に増えた。米国外の収益は460憶ドル(2010年:全収益の54%)から670億ドル(2016年:59%)に増加。米国外の従業員数も15.4万人(2010年)から19.1万人(2016年)に増えた。

★4:インダストリアル企業⇒デジタルインダストリアル企業へ

製造業の競争優位がハードウェアからソフトウェアに移行するとみて「接続機能を持つスマート製品」の製造に踏み込んだ。カリフォルニア州にソフトウェアセンターを設立し、総額30憶ドルを投じて積層造形メーカー2社とソフトウェア企業4社を買収。

★5:トップダウン型組織⇒分権型組織へ

前掲のイノベーションを進めるために、組織階層を減らして俊敏性を高めた。年次業績レビューをやめて継続的な能力向上を重視した。

イメルト改革 その後

ハーバードビジネスレビューはGE社に非常に肯定的でしたが、その後、株価は大きく下がりました。

わりと多数派に近い見方の例として、ロイターHPの「特別リポート」(2017/9/1)を紹介してみましょう(GEの新たな「選択と集中」、デジタル挽回狙う、Alwyn Scott)。

その要点は以下の通りです。

  • イメルト前CEOはGEを「デジタル・インダストリアル・カンパニー」とするために6年間の歳月と40億ドル(約4400億円)超のコストを投じた。
  • しかし、その目玉となる情報ソフトウェア基盤(「プレディクス」)には技術上の問題があり、事業スケジュールが遅れていた(このシステムはタービンやエレベーター等の機器にコンピューターをつなげ、故障予知や運用コストの削減を行う)
  • そのため、GEは今春にこの問題に対処すべく2ケ月の「一時中断」を宣言。修復後はエネルギー、航空、石油・ガス産業の顧客への営業に注力し、他セクターの新規顧客開拓を縮小させるという。
  • デジタル部門への収益計上の方式を改め、ガス火力発電所に関わるハードウェアに投下した30億ドルを除外し、2020年までの「純粋な」ソフトウェア事業状況の収益を150億ドルから120億ドルに修正する。
  • フラナリー氏はイメルト前CEOの改革を支持しつつも、18年以降、GEデジタルにコスト削減と利益拡大を強く求める可能性が高い。
  • 市場では、エクセロンやシンドラー社を顧客とするプレディクスが大きな売上と収益をもたらす可能性があると見られており、実際に17年上半期に23億ドルの契約を獲得したが、収益化のペースは遅く、今のままでは2020年までに120億ドルという目標を達成するのは困難。
  • デジタル化のコスト増が懸念されており、その中身についても、「プレディクス・クラウド」の拠点となるデータセンターは、AMZNの「AWS」、MSFTの「アジュール」との競争に勝てず、GEは1年前に自社単独でのクラウド戦略を放棄。GEはアプリケーションに専念した。

この記事に書かれた事実を見る限り、ハーバードビジネスレビューはイメルト氏寄りのスタンスで書きすぎていました。

巨額投資が実りを生むまでの過程はなかなか厳しいものです。

今までの「改革」の成果が今後、問われることになります。