【GE】ゼネラルエレクトリックの株価と決算、配当

2019年10月8日

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ダウ平均から除外されたゼネラルエレクトリック(GE)は厳しい状況が続いています(※GEはエネルギーやジェットエンジン、ヘルスケア等を主力とする米国の複合企業)。

しかし、事業全体を見ると、航空機エンジンや医療機器、オイル&ガス部門などは悪くないので、今後は事業分割を求める圧力が高まりそうです。

GEの不安要因は山積みですが、株価低迷期が「買い時」になることもあるので、同社のまとまった情報を知りたいところです。

そこで、今回は、最近の株価の動きと指標、決算を踏まえながら、GEの関連記事などを紹介してみます。

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主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(指標と株価はgooglefinance関数から取得。配当利回り〔税込〕のみブルームバーグ)

1/2株価 7.5
10/4株価 8.6
株価上昇率 14.9%
52週高値 13.8
52週安値 6.7
EPS -2.4
PER #N/A
配当利回り 0.47%
時価総額(億$) 748
株式数(億) 87.3

GE、ついにダウ除外 その株価の推移を追う

GEの株価は低迷を続けています。右斜めに斜線を引いたかのような株価下落ぶりで、株価水準はサブプライムショック時の頃に近づきつつあるようです。

あまりにも下がり続けたので、6月20日にダウ平均から除外されてしまいました。(T_T)。

(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)。

株価の推移を1年ごとに見てみましょう

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は10/4)
GE 初値 終値 上昇率
2019 7.5 8.6 15%
2018 17.6 7.6 -57%
2017 31.7 17.5 -45%
2016 30.6 31.6 3%
2015 25.3 31.2 23%
2014 27.9 25.3 -9%
2013 21.5 28 30%
2012 18.2 21 15%
2011 18.5 17.9 -3%
2010 15.2 18.3 20%
2009 16.5 15.1 -8%
2008 37.1 16.2 -56%
★2:各年初から19/10/4までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~
15% -51% -73% -72%
15年~ 14年~ 13年~ 12年~
-66% -69% -60% -53%
11年~ 10年~ 09年~ 08年~
-54% -44% -48% -77%

配当利回りと配当性向

さらに、配当利回りを見てみます。

権利落ち日 配当 利回り 株価
2019/09/16 0.01 0.43% 9.4
2019/07/01 0.01 1.41% 10.6
2019/03/11 0.01 2.63% 9.9
2018/12/20 0.01 4.97% 7.4
2018/09/17 0.12 3.78% 12.7
2018/06/18 0.12 4.55% 13.2
2018/02/26 0.12 4.91% 14.7
2017/12/27 0.12 4.83% 17.4
2017/09/18 0.24 3.92% 24.5
2017/06/19 0.24 3.30% 28.8
2017/02/27 0.24 3.14% 29.9
2016/12/27 0.24 2.92% 31.9

配当性向の推移もモーニングスター(MS)社のデータで確認してみましょう。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★単純計算=EPS÷1株配当。MS試算=モーニングスター社の試算値

年/月 EPS 配当 配当性向
(GAAP) 単純計算 MS試算
08/12 1.72 1.24 72.1 69.6
09/12 1.01 0.61 60.4 59.2
10/12 1.06 0.46 43.4 40
11/12 1.23 0.61 49.6 47.1
12/12 1.29 0.7 54.3 50.4
13/12 1.27 0.79 62.2 54.7
14/12 1.5 0.89 59.3 59.5
15/12 -0.62 0.92 -148.4 180.4
16/12 0.75 0.93 124.0 105.8
17/12 -1.03 0.84 -81.6 111.6
18/12 -2.6 0.4 -14.1
19/12      

四半期決算(2019予想など)

さらに、ロイターが調べた四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。

(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載)。

EPS:予想と結果

予想 10/7 1月前 2月前
Y:2020 0.75 0.75 0.74
Y:2019 0.61 0.62 0.62
Q:19/12 0.18 0.19 0.19
Q:19/9 0.12 0.13 0.14
EPS 予想 結果
19/6 0.12 0.11 -0.01 -8.3
19/3 0.09 0.14 0.05 55.6
18/12 0.22 0.17 -0.05 -22.7
18/9 0.2 0.14 -0.06 -30
18/6 0.18 0.19 0.01 5.6
18/3 0.11 0.16 0.05 43.4
         

売上高:予想と結果

予想 10/7 1月前 2月前
Y:2020 118020 117689 117936
Y:2019 117260 117174 117198
Q:19/12 32350 32292 32577
Q:19/9 28950 28940 28940
予想 結果
19/6 28690 28831 141 0.5
19/3 27046 27286 240 0.9
18/12 32609 33278 669 2.1
18/9 29923 29573 -350 -1.2
18/6 29311 30104 793 2.7
18/3 27450 28660 1210 4.4
         

決算予想と結果では米国会計基準(GAAP)とは違う「非GAAP基準」の数値(各社が経営実態を踏まえて調整した数値)が多用されています。そのため、本節の売上とEPSは次節のGAAP基準の値と同じになるとは限りません。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等

GE 売上高 営業CF OCFマージン 純利益
08/12 181581 48653 27% 17335
09/12 154438 24417 16% 10725
10/12 149567 36124 24% 11344
11/12 146542 33359 23% 13120
12/12 146684 31331 21% 13641
13/12 113245 28510 25% 13057
14/12 117184 27709 24% 15233
15/12 117386 19891 17% -6145
16/12 119469 1160 1% 6845
17/12 118243 6032 5% -8920
18/12 121615 4246 3% -22802

*同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや売上高成長率など

GE SG(%) EPS DSO
08/12 5% 1.72 43.7
09/12 -15% 1.01 44.1
10/12 -3% 1.06 42.6
11/12 -2% 1.23 408.7
12/12 0% 1.29 730.3
13/12 -23% 1.27 693.1
14/12 3% 1.5 631.4
15/12 0% -0.61 455.0
16/12 2% 0.75 115.0
17/12 -1% -1.03 107.7
18/12 3% -2.62 93.6
       

※SG(セールスグロース):売上高成長率(前年度比)

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

GE 総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/12 797769 684157 113612 14%
09/12 781901 656765 125136 16%
10/12 747793 623595 124198 17%
11/12 718189 600055 118134 16%
12/12 684999 556529 128470 19%
13/12 656560 519777 136783 21%
14/12 654954 518121 136833 21%
15/12 493071 392933 100138 20%
16/12 365183 287692 77491 21%
17/12 369245 295747 73498 20%
18/12 309129 257648 51481 17%
         

ROAとROEなど

GE ROA ROE 流動比率
08/12 2% 15% 230%
09/12 1% 9% 275%
10/12 2% 9% 296%
11/12 2% 11% 249%
12/12 2% 11% 294%
13/12 2% 10% 343%
14/12 2% 11% 149%
15/12 -1% -6% 163%
16/12 2% 9% 193%
17/12 -2% -12% 180%
18/12 -7% -44% 181%
       

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る指標

キャッシュフロー

GE 営業CF 投資CF 財務CF
08/12 48653 -34768 19136
09/12 24417 42378 -43513
10/12 36124 32436 -61586
11/12 33359 19882 -46863
12/12 31331 11302 -51074
13/12 28510 29117 -45575
14/12 27709 -5034 -16956
15/12 19891 59488 -76054
16/12 1160 49135 -90464
17/12 6032 6564 -19146
18/12 4246 18239 -31033
       

ジェフリー・イメルトのGE改革とは

ところで、過去の経営はどうなっていたのでしょうか。

『ハーバード・ビジネスレビュー』(2017年12月)は2000年以降の事業構成の変遷を整理しています(P86)。

2000年時点の総売上高は1300億ドル。そのうち金融が600億ドル以上の規模で、そのほかの売上高がエネルギー、航空機、ヘルスケア、輸送、家電・機器、メディア、素材の7分野で構成されていました。

その後、9代目のCEOとなったジェフリー・イメルト氏のもとでGE社は2001年~2017年までの間に事業の買収と売却を繰り返します。

  • 05年:再保険事業の大部分をスイス・リー社に売却(05年の総売上高は1400億ドル)
  • 07年:プラスチック事業をSABIC(サウジアラビア)に売却
  • 10年:総売上高が1500億ドルに
  • 11年:メディア事業のNBCユニバーサルをコムキャストに売却
  • 13年:イタリアのアヴィオ社の航空部門を買収
  • 15年:仏アルストム社のエネルギー部門を買収/GEキャピタル撤退。金融事業を順次売却(売上1170億$)
  • 16年:家電部門をハイアール(中国)に売却

ジャック・ウェルチが相対的な競争優位を重視したのに対して、ジェフリー・イメルト氏は産業構造の変化を先読みし、収益性が高くてもGEの中核とはなりえない事業を売却していきます。「産業インフラ事業への特化」と「ソフトウェア・ソリューションによるデジタル化」を進めたのです。

「私はCEOに就任する前から、メディア、ペット保険、ジェットエンジン製造を同時に極めるのは不可能だと考えていた」(イメルト氏)

GE社内には「優れたマネジャーはあらゆる事業を舵取りできるはずだ」と考える人が多かったのですが、イメルト氏は「屋台骨の産業用事業に重点を置き、低成長、ローテク、非産業用の事業を売却」しました。

その結果、「GEをテクノロジー企業として再構築し、R&D投資を二倍超に増やし」、インダストリアル・インターネットと積層造形(3Dプリンター等)の分野に注力することになりました。

「世界最高のテクノロジー企業にならなければ、我が社の命運は尽きます。破滅するのです」(デジタル・インダストリアルに関しては)「代替案は存在しません。これを実現する以外に道はないのです」(イメルト氏)

日本企業にとっても耳を傾けなければいけないのは、デジタル・インダストリアルに出遅れてはならないという指摘と、低成長時代には経営資源の再配分が必要になるという指摘です。

「GDPが年率4%で伸びていれば、どの事業も苦しくはない。しかし、年率1%ではどの事業も安泰ではない」(そのため)「自社と顧客の生産性の飛躍的な向上に寄与する技術を、革新的な方法で活かす術を考えるのである」「同時に、成長率の高い国や地域に大胆に事業を拡大するのだ」(イメルト氏)

日本は年率1%成長ぐらいなので、日本企業が成長するためには、もっと大胆な構造改革が必要なのかもしれません。

イメルト氏は、以下のようにも述べています。

「大企業にとってその場しのぎは致命傷となる。熱意や関与の不足を見透かされるからだ。変革を実施する時は、最後まで貫徹する覚悟で臨むべきである」「我々はデジタル分野と積層造形に何十億ドルも投資した」「たいていの企業は『デジタル系事業に資本参加します。これが当社の戦略です』と言うが、私から見れば付け焼き刃である」

ハーバードビジネスレビューはこの変革の中身を「5つの改革」として整理しています。

GE社の「5つの改革」とは

★1:典型的なコングロマリット⇒メリハリの利いた複合型インダストリアル・カンパニーへ

これは前掲のデジタル化とインダストリアル産業への特化の試みのこと。エンジンの点検等を含む全事業分野でデジタル化を推進し、3Dプリンティングにも注力(導入前にも5~6年は研究していた)。2011年にはCSCO(シスコ)から人材をインダストリアル・インターネットの責任者に招き入れている。

★2:M&Aによる多角化⇒テクノロジー主導による成長へ

ソフトウェア部門への大胆な投資を行い、R&D予算は二倍超の48憶ドルに上り、不景気の時代にも削られることはなかった。世界で10の研究拠点を確保。

★3:グローバル化

新興国の高成長を取り込むためにグローバル化を進め、地域マネージャーや現地マネージャーに大きな権限を与えた。GEの進出先は2010年に100か国だったものが2017年には180カ国に増えた。米国外の収益は460憶ドル(2010年:全収益の54%)から670億ドル(2016年:59%)に増加。米国外の従業員数も15.4万人(2010年)から19.1万人(2016年)に増えた。

★4:インダストリアル企業⇒デジタルインダストリアル企業へ

製造業の競争優位がハードウェアからソフトウェアに移行するとみて「接続機能を持つスマート製品」の製造に踏み込んだ。カリフォルニア州にソフトウェアセンターを設立し、総額30憶ドルを投じて積層造形メーカー2社とソフトウェア企業4社を買収。

★5:トップダウン型組織⇒分権型組織へ

前掲のイノベーションを進めるために、組織階層を減らして俊敏性を高めた。年次業績レビューをやめて継続的な能力向上を重視した。

イメルト改革 その後

ハーバードビジネスレビューはGE社に非常に肯定的でしたが、その後、株価は大きく下がりました。

わりと多数派に近い見方の例として、ロイターHPの「特別リポート」(2017/9/1)を紹介してみましょう(GEの新たな「選択と集中」、デジタル挽回狙う、Alwyn Scott)。

その要点は以下の通りです。

  • イメルト前CEOはGEを「デジタル・インダストリアル・カンパニー」とするために6年間の歳月と40億ドル(約4400億円)超のコストを投じた。
  • しかし、その目玉となる情報ソフトウェア基盤(「プレディクス」)には技術上の問題があり、事業スケジュールが遅れていた(このシステムはタービンやエレベーター等の機器にコンピューターをつなげ、故障予知や運用コストの削減を行う)
  • そのため、GEは今春にこの問題に対処すべく2ケ月の「一時中断」を宣言。修復後はエネルギー、航空、石油・ガス産業の顧客への営業に注力し、他セクターの新規顧客開拓を縮小させるという。
  • デジタル部門への収益計上の方式を改め、ガス火力発電所に関わるハードウェアに投下した30億ドルを除外し、2020年までの「純粋な」ソフトウェア事業状況の収益を150億ドルから120億ドルに修正する。
  • フラナリー氏はイメルト前CEOの改革を支持しつつも、18年以降、GEデジタルにコスト削減と利益拡大を強く求める可能性が高い。
  • 市場では、エクセロンやシンドラー社を顧客とするプレディクスが大きな売上と収益をもたらす可能性があると見られており、実際に17年上半期に23億ドルの契約を獲得したが、収益化のペースは遅く、今のままでは2020年までに120億ドルという目標を達成するのは困難。
  • デジタル化のコスト増が懸念されており、その中身についても、「プレディクス・クラウド」の拠点となるデータセンターは、AMZNの「AWS」、MSFTの「アジュール」との競争に勝てず、GEは1年前に自社単独でのクラウド戦略を放棄。GEはアプリケーションに専念した。

この記事に書かれた事実を見る限り、ハーバードビジネスレビューはイメルト氏寄りのスタンスで書きすぎていました。

巨額投資が実りを生むまでの過程はなかなか厳しいものです。

今までの「改革」の成果が今後、問われることになります。