MS(モルガンスタンレー)今後の見通し
モルガンスタンレー(Morgan Stanley)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
直近決算
モルガンスタンレーは7月16日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.98$→結果2.13$
・売上高:予想160.1億$→結果168億$(前年同期比+12%)
★出典
IRページ
★予想値は以下のページを参照しました。
streetinsider
企業概要
モルガン・スタンレー(Morgan Stanley, NYSE: MS)は、世界42か国以上で投資銀行、ウェルスマネジメント、投資運用を展開するグローバル金融グループです。[1]
1935年、グラス・スティーガル法によりJ.P.モルガン系の証券業務が分離・独立して誕生。創業後はM&Aアドバイザリー、資本調達、マーケット業務、資産運用で地位を確立しました。[2]
2008年の金融危機では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から90億ドルの出資を受けて資本基盤を強化。以後、銀行持株会社体制へ移行し、リテール色の強いウェルスマネジメント(WM)を成長エンジンに据えました。[3][4]
近年の戦略M&Aとして、2020年にE*TRADE(オンライン証券)、2021年にEaton Vance(運用会社)を買収。WMのスケールと投資運用(IM)の製品力を拡張しています。[5][6]
最新の経営・業績トピック:
- 2025年4-6月期(Q2)実績は純収入168億ドル、希薄化後EPS2.13ドル、自己資本利益(ROTCE)18.2%。WMの顧客資産は6.49兆ドル、当期のネット新規資産は592億ドル。[7][8]
- リーダーシップはTed(Edward)Pick氏が2024年CEO就任、2025年1月に会長も兼務。James Gorman氏は2024年末で会長退任(名誉会長)。[9]
その事業は、大きく以下の3分野に分かれています。
★法人・機関投資家向け(Institutional Securities: IS)
企業・政府向けのM&Aアドバイザリー、株式・債券の引受、資金調達、リスク管理、セールス&トレーディング等。エネルギー関連では2025年にバンキング組織を再編(Global Power and Energy Group新設)。[10]
★ウェルスマネジメント(Wealth Management: WM)
富裕層・個人投資家・企業従業員向けの資産管理、投資助言、自己売買を伴わない証券仲介、バンキング(預金・ローン)等。E*TRADE統合により自社アドバイザー主導・セルフダイレクト・職域(ストックプラン)の三つの流入経路を確立し、ストック型収益の厚みを高めています。[8]
★投資管理(Investment Management: IM)
機関・リテール向けに株式、債券、オルタナティブ、カスタム別勘(Parametric)などを提供。Eaton Vance/Parametricの獲得でAUMを拡大し、2024年末の運用資産は1.7兆ドル。[11]
ガバナンス・資本政策:デュアルトラックの収益基盤(WM/IMの手数料収益+ISの市況連動)で安定性を高めつつ、自己資本規制(バーゼル最終化等)や米銀規制の動向に応じて資本配賦・株主還元を運用。近年は利益成長とともに配当・自己株買いを継続しています(詳細は各期のIR開示参照)。[6][7]
ミニ解説
・WMが屋台骨:市場が荒れても、預かり資産に基づく手数料・預金スプレッドが効くため、収益のブレが相対的に小さくなる設計。
・買収の狙い:E*TRADEで顧客基盤とセルフ運用を、Eaton Vanceで運用商品の深みを獲得。販売(WM)と製造(IM)の“縦の統合”でクロスセルを最大化。
・規制対応が鍵:資本規制やコンプライアンス強化により、事業配分・リスク管理・原価構造の最適化が継続テーマ。
【注】(出典リンク)
- 展開国数(42か国)等の概説:Morgan Stanley – Wikipedia(公式サイトは拠点一覧のみ掲載)
- 沿革(1935年の設立背景):同上
- MUFGの90億ドル出資(公表・完了リリース):投資発表/クローズ/MUFG開示
- FRB承認文書(MUFG持分・転換等):FRB Order(2011)
- E*TRADE買収:買収発表/買収完了
- Eaton Vance買収:発表/完了
- 2025年Q2決算(リリースPDF):Quarterly Results
- 2025年Q2 Supplement(WMメトリクス:顧客資産6.49兆ドル、NNA等):Financial Supplement
- 経営体制(Ted Pick会長就任発表):MSプレス(背景報道:AP)
- IB部門の組織再編(エネルギー×電力の統合):Reuters
- 株主向け年次書簡(IMのAUM等):2025 Shareholder Letter
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
EPSと売上:予想:結果
【出典】