スノーフレーク(SNOW)の株価と今後の見通し|決算日・将来性を分析

AI(人工知能),SaaS(クラウド+サブスク),情報技術,株価•決算

【2026年10月版】Snowflake(SNOW)徹底分析:FY2027 Q2の37%成長、AI Data Cloudと転換社債の注目点

はじめに
Snowflake(スノーフレーク)は、クラウドネイティブな「AI Data Cloud」を核に、データウェアハウス、レイクハウス、データ共有、アプリ開発、AI/MLワークロードを一体で提供するプラットフォーム企業です。ストレージとコンピュートを分離した独自アーキテクチャにより、マルチクラウド環境でデータ活用を拡張できる点が特徴です。近年はSnowpark、Cortex、Native Apps、CoWork、CoCo、Horizon Catalogなどを通じて、データ基盤からAIエージェント基盤へと事業領域を広げています。[1]

本稿では、過去5年(FY2022~FY2026)の年次実績を、製品収益、RPO、顧客KPI、バランスシート、キャッシュフローで整理します。あわせて、2026年10月9日時点の最新決算である、2026年9月2日発表のFY2027 Q2(2026年7月31日終了四半期)の最新決算、再度引き上げられたFY2027会社ガイダンス、Snowflake Summit 26後に進んだCortex AI Gateway、動的モデルルーティング、CoWork、CoCoの展開、さらに2026年9月末~10月初旬の転換社債発行を踏まえ、成長の軌跡・収益性・AI戦略を投資家目線で解説します。[2][3][4]

【免責事項・出典】

  • 数値は主にSnowflake Inc.のSEC提出資料(Form 10-K / Form 10-Q)、決算発表資料、投資家向けプレゼンテーション、公式プレスリリースに基づきます。FY2026は2026年1月31日終了年度、FY2027 Q2は2026年7月31日終了四半期です。[2][5][6][7]
  • 本稿では、売上・利益、収益性、バランスシート、キャッシュフローの主要表をFY2022~FY2026の過去5年で統一し、直近四半期としてFY2027 Q2を別表・別行で補足します。
  • 成長率・一部指標は公表値から筆者が計算しています。Non-GAAP指標は会社定義に基づきます。
  • 投資勧誘ではありません。最終判断は自己責任でお願いします。最新の公式開示もご確認ください。

会計年度:Snowflakeの会計年度は前年2月1日~当年1月31日です。例えばFY2027は2026年2月1日~2027年1月31日を指します。[6]

【2026年10月9日更新】
FY2027 Q2決算を反映しました。FY2027 Q2の製品収益は14.919億ドル、前年同期比+37%。総売上高は15.53億ドル、前年同期比+35%。RPOは90.0億ドル、前年同期比+30%。NRRは126%、過去12か月製品収益100万ドル超の顧客は828社、Forbes Global 2000顧客は829社でした。会社はFY2027通期の製品収益ガイダンスを60.70億ドル(前年比+36%)へ引き上げ、Non-GAAP営業利益率も14.5%へ上方修正しました。[2]

AI面では、Natomaの買収を2026年6月3日に完了し、その技術を取り込んだCortex AI Gatewayを7月に発表。8月には動的モデルルーティングを追加し、モデル選択・ガバナンス・AIコスト管理を統合する方向へ進みました。CoCoはFY2027 Q2時点で9,100超のアカウント、CoWorkは5,800アカウントへ拡大しています。[8][3][4]

9月末以降の重要事項:Snowflakeは2026年9月29日、0%転換社債の発行額を37.5億ドルへ拡大したと公表し、10月1日に発行しました。内訳は2029年満期20.0億ドル、2031年満期17.5億ドルです。2026年7月31日付のバランスシートには、この期末後の取引は含まれていません。[9]

同社は2026年9月30日にLSEGとの5年間の協業拡大を発表しました。また10月5日には11月開催のEXPEDITION 2026でエージェントAI関連の新機能を紹介する計画を公表しました。後者は今後の予定であり、現時点で新製品が発表済みという意味ではありません。[10][11]

1. Snowflakeの長期業績:FY2027 Q2で製品収益成長が37%へ加速

IPO後のSnowflakeは、製品収益、RPO、大口顧客数を大きく伸ばしてきました。FY2022~FY2024は急成長期、FY2025~FY2026は30%前後の成長へ移行しましたが、FY2027に入って再び成長率が上向いています。FY2027 Q1の製品収益は前年同期比+34%、Q2は+37%まで加速しました。会社側もFY2027通期製品収益ガイダンスを、期初の56.60億ドルからQ1後に58.40億ドル、Q2後には60.70億ドルへ引き上げています。[2][5]

1.1 製品収益・RPO・キャッシュフロー・損益の推移(過去5年:FY2022~FY2026)

会計年度 製品収益
百万$
製品収益
YoY
RPO
百万$
RPO
YoY
営業CF
百万$
GAAP純損失
百万$
FY2022 1,141.8 +106.2% 2,647.1 +99% 110.2 (679.9)
FY2023 1,938.5 +69.8% 3,791.0 +43% 545.6 (798.7)
FY2024 2,666.8 +37.6% 5,174.7 +37% 848.1 (838.0)
FY2025 3,462.4 +29.8% 6,867.5 +32% 959.8 (1,289.2)
FY2026 4,472.3 +29.2% 9,771.5 +42% 1,221.9 (1,329.0)

注)製品収益はProduct revenue。RPOはRemaining performance obligations。FY2024~FY2026はFY2026 Form 10-KおよびQ1 FY2027 Investor Presentationの比較表を中心に、FY2022~FY2023は過年度10-Kに基づく。[5][6][7]

  • 製品収益:FY2026は44.72億ドル、前年比+29%。FY2022の11.42億ドルから約3.9倍に拡大しました。[5][6]
  • RPO:FY2026期末は97.72億ドル、前年比+42%。契約済みで未認識の将来収益が厚く積み上がっています。[5]
  • 営業CF:FY2026は12.22億ドルで過去最高。GAAP純損失は続いていますが、キャッシュ創出力は拡大しています。[5]

1.2 FY2027 Q1~Q2最新決算:製品収益成長がさらに加速

期間 総売上高
百万$
製品収益
百万$
製品収益YoY RPO
十億$
NRR >$1M製品収益顧客 Forbes Global 2000顧客
FY2027 Q1
(2026年4月期)
1,391.0 1,334.3 +34% 9.21 126% 779 813
FY2027 Q2
(2026年7月期)
1,553.0 1,491.9 +37% 9.00 126% 828 829

注)FY2027 Q1は2026年4月30日終了四半期、FY2027 Q2は2026年7月31日終了四半期。>$1M製品収益顧客は、過去12か月製品収益が100万ドルを超える顧客数。[2]

  • 製品収益:FY2027 Q2は14.919億ドル、前年同期比+37%。FY2027 Q1の+34%からさらに加速しました。[2]
  • NRR:FY2027 Q2末は126%でQ1と同水準。既存顧客の消費拡大は安定しています。[2]
  • 大口顧客:FY2027 Q2末の過去12か月製品収益100万ドル超顧客は828社で、前年同期比+27%。Forbes Global 2000顧客は829社でした。[2]
  • AI利用:FY2027 Q2時点でCoCoは9,100超のアカウント、CoWorkは5,800アカウントへ拡大しました。AI機能の利用が新規ワークロードとプラットフォーム消費の増加につながるかが次の確認点です。[2]

2. 収益性:Non-GAAP利益率は改善、FCFは引き続き強い

2.1 収益性(Non-GAAP中心):高粗利+キャッシュ創出の強化

会計年度 製品粗利率
Non-GAAP
営業利益率
Non-GAAP
NRR 調整後FCF
マージン
FY2022 約72% 約-4% 178% 約7%
FY2023 75% 5% 158% 25%
FY2024 78% 8% 133% 29%
FY2025 76% 6% 126% 26%
FY2026 76% 10% 125% 25%
FY2027 Q1 75.1% 11.9% 126% 19.1%
FY2027 Q2 74.7% 15.3% 126% 6.0%

注)FY2027 Q1・Q2は四半期値。FY2026以前は通期値。NRRはNet Revenue Retention。調整後FCFマージンは会社定義。[2][5]

  • NRR:FY2027 Q2末も126%。FY2022の178%からは低下しましたが、直近2四半期は126%で安定しています。[2]
  • Non-GAAP営業利益率:FY2027 Q2は15.3%で、前年同期の11%から改善。通期ガイダンスも13.5%から14.5%へ引き上げられました。[2]
  • FCF:FY2027 Q2のFCFは0.838億ドル、FCFマージンは5.4%。調整後FCFは0.923億ドル、調整後FCFマージンは6.0%でした。四半期ごとの請求・回収タイミングで変動が大きいため、通期で確認する必要があります。[2]

2.2 主要KPI:大口顧客とRPO

基準時点 総顧客数 >$1M製品収益顧客
過去12か月
Forbes Global 2000顧客 NRR RPO
百万$
FY2024期末 – 449 716 133% 5,174.7
FY2025期末 10,996 576 750 126% 6,867.5
FY2026期末 13,328 733 790 125% 9,771.5
FY2027 Q1末 13,912 779 813 126% 9,210.0
FY2027 Q2末 14,554 828 829 126% 9,000.0

注)FY2027 Q1末は2026年4月30日時点、Q2末は2026年7月31日時点。Q2末の総顧客数14,554社はForm 10-Qに基づきます。RPOは四半期末の契約残高であり、契約更新時期・消費・新規契約により前四半期比では増減します。Q2末RPO90.0億ドルは前年同期比+30%ですが、Q1末92.1億ドルからは減少しました。[2][5] なおFY2026期末の総顧客数は、当時のFY2026 Form 10-Kでは13,328社、後のFY2027 Q2 Form 10-Qの比較値では13,245社です。顧客集計の過年度調整による公表値の差であり、表の13,328社は当時の開示値を掲載しています。[12]

3. ビジネスモデル:「AI Data Cloud」と消費ベース課金

  • AI Data Cloud:データウェアハウス、レイクハウス、データ共有、エンジニアリング、データサイエンス、アプリ開発を単一基盤で提供します。マルチクラウドに対応し、企業内外のデータ連携を進めやすい設計です。[1][6]
  • 消費ベース課金:顧客は主にコンピュート、ストレージ、データ転送の利用量に応じて課金されます。拡張性が高い一方、利用量の変動が四半期収益のブレにつながります。[2]
  • 主要ワークロード:Snowpark、Cortex、Native Apps、CoWork、CoCo、Horizon Catalog、Datastreamなどにより、データ基盤からAIアプリケーション実行基盤へ拡張しています。[13][14][15][16][17]
  • プラットフォーム化:単なるデータウェアハウスではなく、データ共有、AI、アプリ、エージェント連携まで含む「企業データの実行基盤」に近づいています。FY2027 Q1決算では、Snowflake自身が「Agentic Enterpriseのcontrol plane」を目指す表現を強め、Summit 26でもその方向性を製品発表として具体化しました。[2][16]

3.1 企業概要とクラウド基盤の仕組み

Snowflake Inc.(NYSE: SNOW)は2012年創業の米国企業です。FY2026 Form 10-Kでは、SECへの届出上の主要執行オフィス(principal executive offices)をカリフォルニア州メンローパークと記載しています。AI Data Cloudは、企業内のデータ保管・分析だけでなく、提供者、利用者、アプリケーション開発者を結ぶデータ製品のネットワークを目指しています。[6]

ストレージと計算資源の分離:データの保存機能と仮想ウェアハウスの計算能力を用途別に増減しやすいのが基本設計です。Snowflake Marketplaceではデータ製品やアプリケーションを探して利用でき、同一環境内のセキュアなデータ共有では、データ本体を複製しない「ゼロコピー共有」が可能です。ただし、リージョン間・クラウド間の共有には複製などが必要になる場合があります。[6][15]

3.2 Snowgrid、事業継続とオープンなデータ形式

Snowgrid:AWS、Microsoft Azure、Google Cloudにまたがるリージョン間の連携を支える技術群です。FY2026 Form 10-Kによれば、2026年1月31日時点で3大パブリッククラウド上に53のリージョナル・デプロイメントを展開しています。レプリケーションとフェイルオーバーは災害復旧・事業継続のための選択肢となりますが、クラウドや構成、機能ごとの条件を確認する必要があります。[6]

Apache Iceberg:オープンなテーブル形式を通じてデータレイクと各種処理エンジンの相互運用性を高めます。SnowflakeのIcebergテーブルは2024年6月に一般提供されました。2026年のIceberg v3やPolaris関連の発表はその延長であり、すべての機能が同じ時点で一般提供されたという意味ではありません。[18][19]

4. 財務健全性:転換社債と自社株買いでBS構成が変化

SnowflakeはGAAP赤字が続く企業でありながら、営業キャッシュフローはFY2022以降プラスを維持しています。FY2025には転換社債を発行し、FY2025~FY2026には自社株買いも大きく実施したため、総負債と株主資本の構成が変化しました。FY2026末の現金・現金同等物・短期投資・長期投資は約47.85億ドルでした。FY2027 Q2末は約43.29億ドルで、ObserveとNatomaの買収や自社株買いを実施した後も流動性は厚い状態です。[6]

4.1 バランスシート主要項目(過去5年:FY2022~FY2026)

会計年度末 現金・投資等
百万$
総資産
百万$
総負債
百万$
株主資本
百万$
FY2022 約5,050 6,986 974 6,012
FY2023 約3,944 6,715 1,200 5,515
FY2024 約4,793 8,223 3,033 5,191
FY2025 約5,294 9,034 6,027 3,007
FY2026 約4,785 9,132 7,208 1,924
FY2027 Q2末
参考
約4,329 8,690 6,541 2,150

注)現金・投資等は、現金・現金同等物、短期投資、長期投資を中心に整理。FY2027 Q2末は現金・現金同等物17.07億ドル、短期投資6.38億ドル、長期投資19.84億ドル、合計約43.29億ドル。Q2末の転換社債(純額)は22.84億ドルです。[6][7]

ミニ解説:FY2025以降、Snowflakeの総負債が増えた主因は転換社債と繰延収益です。FY2027 Q2末は株主資本が21.50億ドルへ回復した一方、転換社債は22.84億ドルあります。さらに、Q2中に0%転換社債の株価条件が成立し、2026年10月31日までの四半期に保有者が転換できる状態となりました。BSは総負債だけでなく、約43.29億ドルの流動性、営業CF、RPO、転換社債の希薄化・現金決済条件を合わせて確認するのが実務的です。

4.1補足:2026年10月1日発行の新規転換社債(期末後の重要事項)

2026年9月29日公表、10月1日発行の0.00%転換社債は合計37.5億ドルです(2029年満期20.0億ドル、2031年満期17.5億ドル)。当初公表の35億ドルから増額されました。発行手数料等を控除した見込み手取額は約37.0億ドルで、発表時点の用途には、キャップドコール取引費用約3.835億ドル、既存の2027年満期社債の一部買戻し費用約5.483億ドル、および一般事業目的が含まれます。いずれも発行時資料による金額であり、2026年7月31日時点のBS残高へ単純に加算しません。[9]

新債の当初転換価格は2029年満期債が約500.38ドル、2031年満期債が約483.98ドルです。条件が成立すると転換請求が可能となり、会社は現金・株式・両者の組合せで決済できます。キャップドコールは転換時の潜在的希薄化を緩和する目的を持ちますが、消滅させる保証はありません。ゼロクーポンであっても満期時の元本返済や既存債買戻し・将来の株式希薄化を考慮する必要があります。[9]

4.2 キャッシュフロー:FCFの拡大

会社定義のFCFは、営業CFから設備投資と資産化した内部ソフト開発費を差し引く指標です。Snowflakeはクラウドソフトウェア企業のため、物理的な設備投資は相対的に軽く、営業CFの多くがFCFとして残りやすい構造です。[2][6]

会計年度 営業CF
百万$
設備投資+内部開発資産化
百万$
FCF
百万$
投資CF
百万$
財務CF
百万$
FY2022 110.2 29.0 81.2 (3,211.9) 3,368.9
FY2023 545.6 49.1 496.5 (690.5) –
FY2024 848.1 69.2 778.9 832.3 (854.1)
FY2025 959.8 75.7 884.1 190.6 (226.5)
FY2026 1,221.9 101.6 1,120.3 312.2 (1,385.4)
FY2027 Q1 243.2 10.5 232.8 (604.5) (371.5)
FY2027 Q2 91.4 7.6 83.8 (349.4) (117.1)

注)FY2027 Q1のFCFは2.328億ドル、Q2は0.838億ドル。Q2は会社開示のFCFを使用し、営業CF0.914億ドルから設備投資等約0.076億ドルを差し引いた水準です。FY2026以前は会社定義に合わせて整理。[2][5][6] FY2027 Q2の投資CFは-3.494億ドル、財務CFは-1.171億ドル(ともにFY2027 Q2 Form 10-Qに基づく)です。[12]

FY2026の財務CFが大きくマイナスなのは、主に自社株買いと株式報酬関連税金の支払いによるものです。事業自体は営業CF・FCFともに拡大しています。FY2027 Q2もFCFはプラスでしたが、Q1の2.328億ドルからQ2は0.838億ドルへ低下しました。Snowflakeは請求・回収の季節性が大きいため、単一四半期ではなく上半期・通期のFCFマージンで見る必要があります。[2][6]

5. 資本効率と収益性:成長投資と利益の両立へ

  • Non-GAAPベースでは営業黒字を維持し、FY2026のNon-GAAP営業利益率は約10%、FY2027 Q1は11.9%、Q2は15.3%まで改善しました。FY2027通期ガイダンスも13.5%から14.5%へ引き上げられています。[2][5]
  • GAAP損益は、株式報酬、買収関連費用、減損などの影響を受けやすく、FY2026も純損失が続いています。FY2027 Q2もGAAP営業損失は2.63億ドル、GAAP純損失は1.917億ドルでした。[2][6]
  • FY2027上半期にSnowflakeは約3.00億ドルの自社株買いを実施し、2026年7月31日時点の買い戻し枠残高は約8.03億ドルでした。自社株買いは希薄化抑制に役立ちますが、買収に伴う株式発行や株式報酬も大きいため、実効的な株式数の推移を継続して確認する必要があります。[6]
  • 期末後の資金調達:2026年10月1日発行の新規37.5億ドル0%転換社債は既存債の一部借換えや将来投資の余力を作る一方、2029年・2031年の償還義務と潜在的希薄化の評価が必要です。FY2027 Q2の財務諸表とは基準日が異なります。[9]

6. AI戦略:Data CloudをAI/ML基盤からエージェント基盤へ

  • Snowpark:Python等でデータ処理・特徴量生成・推論前処理をData Cloud近傍で実行しやすくし、データ移動の摩擦を下げます。[13]
  • Cortex:SQL等から生成AI/LLM機能を呼び出し、要約・分類・抽出などをデータに近い場所で組み込みやすくします。[14]
  • Snowflake CoWork:Summit 26で、Snowflake IntelligenceはCoWorkへ発展しました。CoWorkは知識労働者向けの個人エージェントとして、Artifacts、Cortex Sense、User Skills、MCP connectorsなどを通じ、データから洞察、さらに業務アクションへ進む体験を狙います。[16]
  • Snowflake CoCo:Cortex CodeはCoCoへ発展しました。CoCoは開発者・アナリスト・データチーム向けのコーディングエージェントで、デスクトップアプリ、Microsoft Excel、VS Code、Claude Codeなどとの接続、さらにDatastreamによるリアルタイムデータ連携が示されています。[17]
  • Native Apps:Snowflake上でアプリを構築・配布でき、ガバナンス下で「データ近接型」の実装を進めやすい設計です。[15]
  • Horizon Catalog:Summit 26では、Horizon CatalogをAI時代の信頼レイヤーとして強化する発表がありました。Agent Identity、AI Security Posture Management、プロンプトインジェクション対策など、AIエージェントが企業データへアクセスする時代のガバナンスを重視しています。[20]
  • Apache Iceberg / Polaris:SnowflakeはApache Iceberg v3対応、Snowflake Storage for Apache Iceberg Tables、Horizon Catalog powered by Apache Polarisなどを通じ、外部データレイクや他エンジンとの相互運用性を強めています。これはDatabricksやハイパースケーラーとの競争において、「囲い込み」ではなく「統制されたオープン性」で対抗する動きです。[19]
  • AWSとの拡張協業:2026年5月に、AWSとの複数年・60億ドル規模の協業拡大を発表しました。AIインフラと生成AI・エージェントAIの導入を加速する狙いです。[21]
  • Anthropicとの協業:2026年6月には、Snowflake Cortex AI上でClaudeを活用する企業AI導入の加速も発表されました。ガバナンスされた企業データ上でClaudeを使う構図は、Snowflakeの「データの近くでAIを動かす」戦略と整合します。[22]
  • Natoma買収完了:2026年6月3日にNatoma Labsの買収を完了しました。取得対価の暫定公正価値は1.283億ドルで、NatomaのMCP技術はCortex AI Gatewayへ取り込まれ、AIエージェントの外部ツール接続・認証・監査・ガバナンスを強化しています。[8][5]
  • Cortex AI Gateway:2026年7月、SnowflakeはCoWork・CoCo・外部AIエージェントを横断して、モデル、MCPサーバー、ツール、利用コストを一元管理するCortex AI Gatewayを発表しました。Natomaの技術を統合し、100超のMCPサーバーへの対応やタスク単位のアクセス制御を進めています。[3]
  • 動的モデルルーティング:2026年8月には、品質・速度・コスト・顧客設定に応じてモデルを自動選択するDynamic Model RoutingをCortex AI Gateway、CoCo、CoWorkへ拡張しました。AI利用が増えるほど推論コスト管理が重要になるため、Snowflakeは「モデルの提供」だけでなく「モデル利用の経済性」を管理する方向へ進んでいます。[4]
  • 日本でのマルチクラウド拡張:2026年9月11日、SnowflakeはGoogle Cloud東京リージョンでのサポートを2026年度第4四半期(2026年11月~2027年1月)に開始すると発表しました。日本国内のデータ管理要件に対応しながら、マルチクラウド選択肢を広げる動きです。[23]

6.1 自社モデルと複数モデル活用

Snowflakeは2024年4月に企業向けLLM「Snowflake Arctic」を発表しました。その後の戦略は単一の自社モデルへの集中ではなく、CortexやAI Gatewayを通じ、利用目的・品質・コストに応じた複数モデルの選択と統制を重視しています。[24][4]

OpenAIとの提携:2026年2月2日、SnowflakeはOpenAIと2億ドル規模の複数年契約を発表しました。Snowflake Cortex AIやSnowflake IntelligenceでOpenAIモデルを利用できるようにし、共同開発・販売を進める内容です。Anthropicとの協業と両立する、モデル選択肢を広げる戦略と見ることができます。[25][22]

6.2 M&A:分析基盤からデータベース・監視・開発へ

  • Crunchy Data・Snowflake Postgres:2025年6月6日にPostgreSQL技術を持つCrunchy Dataを買収しました。2026年2月3日発表のSnowflake Postgresは、トランザクション処理と分析・AIを接続する構想です。製品提供状況や利用可能な機能は個別に確認する必要があります。[26]
  • Observe・TensorStax:Snowflakeは2026年2月2日にオブザーバビリティ企業Observeの買収を完了し、同年2月4日にデータエンジニアリング自動化のTensorStaxチーム受け入れを公表しました。監視、障害解析、データパイプライン開発に対象領域を広げるものです。[27]
  • Natoma:同社の2026年6月3日買収完了とCortex AI Gatewayへの技術統合については上記の通りです。データだけでなくツール接続・認証・監査へ管理対象が広がっています。[8]

6.3 金融データ領域での提携拡大

2026年9月30日、Snowflakeとロンドン証券取引所グループ(LSEG)は、5年間の企業横断的な協業拡大を発表しました。市場データや分析、リスク情報をクラウド上のガバナンスされたAIワークフローで活用する狙いです。提携契約の拡大自体は確認できますが、具体的な製品収益への寄与額はこの発表だけでは確定できません。[10]

7. 市場ポジションと競合

  • 機会:データ活用の高度化と生成AI・エージェントAIの実装が進むほど、データ統合・ガバナンス・AI実行基盤への需要は底堅くなりやすい構図です。Summit 26でのCoWork、CoCo、Horizon Catalog、Datastream、Apache Iceberg関連発表は、Snowflakeがこの需要を取り込むための製品群を広げていることを示しています。[16][17][20][19]
  • 競合:ハイパースケーラー(AWS、Azure、Google Cloud)、Databricks、従来DWHベンダー、データカタログ・ガバナンス企業、AIアプリケーション基盤企業などが競合します。
  • 強み:クラウドネイティブ設計、データ共有、マルチクラウド、Marketplace、消費課金の拡張性、AI機能の統合が差別化要因です。FY2027 Q2では、製品収益成長率が37%へ加速し、CoCo・CoWorkの利用拡大やCortex AI Gatewayの投入も進みました。AI時代のデータ・エージェント基盤としての事業範囲が広がっています。[2][5][21]
  • 注意点:Snowflakeは消費ベースモデルのため、顧客の利用最適化や景気減速が短期収益に影響する可能性があります。また、AI関連機能の利用拡大が実際の製品収益にどの程度寄与するかは、今後も確認が必要です。

7.1 リスクをどの指標で見るか

  • 消費ベース課金:コスト削減やクエリ効率化により、契約が継続しても実際の製品消費が減れば売上成長は鈍化します。製品収益・NRR・RPOを併せて確認します。[5]
  • 競争の拡大:Databricksのほか、AWS、Microsoft、Google、Oracleなどと競争する領域が重なります。データ分析、AI、PostgreSQL、オブザーバビリティへ拡張するほど開発・販売コストが増える可能性があります。[6]
  • AI収益化と粗利率:試験導入やアカウント増が直ちに収益を生むとは限りません。推論用クラウド費用・GPU利用費が製品粗利率に与える影響にも注目します。[2][5]
  • 株式報酬と希薄化:GAAP損失、株式報酬、買収対価としての株式発行、転換社債、株式買戻しを一体で検証する必要があります。[5][9]
  • 金利と株価評価:将来利益への期待が高い成長株は、米国長期金利や利益成長見通しの変化によってバリュエーションが大きく変動する可能性があります。これは一般的な評価上のリスクであり、特定の株価水準を意味しません。

8. FY2027見通しと注目点

  • FY2027 Q3ガイダンス:製品収益15.88億~15.93億ドル、前年同期比+37~38%。Non-GAAP営業利益率15.5%。[2]
  • FY2027通期ガイダンス:製品収益60.70億ドル、前年比+36%。Q1後の58.40億ドルからさらに上方修正されました。Non-GAAP製品粗利率74.0%、Non-GAAP営業利益率14.5%、調整後FCFマージン23.0%。[2]
  • 直近KPI:FY2027 Q2末でNRR126%、RPO90.0億ドル、>$1M製品収益顧客828社、Forbes Global 2000顧客829社、総顧客数14,554社。[2][5]
  • AI収益化:CoCoは9,100超、CoWorkは5,800アカウントまで広がりました。今後は利用アカウント数だけでなく、AIワークロードが製品収益成長とNRRへどこまで寄与するかが重要です。[2]
  • 粗利率とのトレードオフ:通期Non-GAAP製品粗利率見通しは75.0%から74.0%へ低下しました。会社は成長の速いAIワークロードの構成比上昇を背景としており、AI成長が売上を押し上げる一方、当面は粗利率を圧迫する可能性があります。[2]
  • RPOの読み方:Q2末RPOは前年同期比+30%の90.0億ドルですが、Q1末92.1億ドルからは減少しました。Snowflakeは消費ベース課金のため、RPOだけでなく製品収益、NRR、実際の消費成長を組み合わせて確認する必要があります。
  • 注目点:Cortex AI Gatewayと動的モデルルーティングの収益貢献、Natoma・Observe買収後の統合、クラウドコスト、転換社債、自社株買いと株式報酬のバランスです。[3][4]
  • 期末後の資本構成:2026年10月1日発行の37.5億ドル転換社債と既存債の一部買戻しによる、純負債、潜在的株式数、将来の資金配分への影響を追います。[9]
  • 今後の予定:2026年11月4~6日(日本向け日程)開催予定のEXPEDITION 2026は、エージェントAI・データ連携の新機能を見極めるイベントです。10月9日時点では発表予定と実装済み機能を混同しないことが重要です。[11]

9. まとめ

  • 強み:FY2027 Q2の製品収益成長率は+37%へ加速し、NRR126%、100万ドル超顧客828社と、既存顧客の拡張と大口顧客化が続いています。CoCo・CoWork、Cortex AI GatewayまでAI製品群も広がりました。[2][3]
  • 課題:GAAP赤字、株式報酬、消費ベースモデルによる四半期変動、Databricksやクラウド大手との競争に加え、AIワークロード比率上昇による粗利率への圧力があります。
  • 投資判断の軸:FY2027の製品収益60.70億ドルとNon-GAAP営業利益率14.5%を達成しながら、調整後FCFマージン23%を維持できるかが焦点です。CoCo・CoWork・Cortex AI Gatewayが利用拡大だけでなく、製品消費、NRR、RPO、大口顧客増加へつながるかを確認する必要があります。[2][4]
  • 2026年10月の追加論点:OpenAI提携やLSEG協業は利用分野を拡張します。一方、37.5億ドルの新規転換社債によって、成長投資の余力と負債・潜在的希薄化の検証が同時に重要になりました。[25][10][9]

Snowflakeは「データ×AI」企業から、企業データ、モデル、AIエージェント、外部ツールを統制する基盤へ事業範囲を広げています。FY2027 Q2では製品収益成長が+37%へ加速し、通期ガイダンスも2四半期連続で引き上げられました。一方、RPOはQ1比で減少し、AIワークロードの比率上昇により通期製品粗利率見通しは74.0%へ下がっています。成長再加速は明確ですが、今後は成長率だけでなく、AI収益の質、粗利率、FCF、株式希薄化を同時に見ることが重要です。

本記事は情報提供を目的とし、投資判断の最終責任は読者にあります。最新の公式開示をご確認ください。

最終更新日時:2026年10月9日(FY2027 Q2決算/FY2027ガイダンス/2026年10月の転換社債発行/OpenAI・LSEG提携/Postgres・買収戦略を反映)

ミニ解説:Snowflakeでは、製品収益の成長率だけでなく、NRR、RPO、大口顧客数、FCFを組み合わせて見ることが重要です。FY2027 Q2は製品収益が+37%へ加速した一方、RPOはQ1末92.1億ドルから90.0億ドルへ減少しました。また、AIワークロードの拡大に伴い通期製品粗利率見通しは74.0%へ低下しています。したがって、「AI利用が増えているか」だけでなく、「AI利用が高品質な製品収益と持続的なキャッシュフローへ変わっているか」を確認する必要があります。[2]

【注】(出典リンク)

  1. Snowflake事業概要・AI Data Cloud → 一次情報:Snowflake公式サイト → 一次情報:Snowflake Investor Relations(確認日:2026-10-09) ↩
  2. FY2027 Q2決算・Q3/FY2027更新ガイダンス → 一次情報:SEC提出 Q2 FY2027 Earnings Release → 一次情報:Snowflake Quarterly Results(確認日:2026-10-09) ↩
  3. Cortex AI Gateway・エージェントガバナンス → 一次情報:Snowflake Cortex AI Gateway発表(2026年7月28日)(確認日:2026-10-09) ↩
  4. Dynamic Model Routing・AIコスト最適化 → 一次情報:Snowflake Dynamic Model Routing発表(2026年8月18日)(確認日:2026-10-09) ↩
  5. FY2027 Q2 Form 10-Q・BS・顧客・買収・自社株買い → 一次情報:SEC Form 10-Q(FY2027 Q2) → 一次情報:Snowflake IR SEC Filings(確認日:2026-10-09) ↩
  6. FY2026 Form 10-K → 一次情報:SEC Form 10-K(FY2026) → 一次情報:Snowflake IR SEC Filings(確認日:2026-10-09) ↩
  7. 過年度データ → 一次情報:SEC Form 10-K(FY2025) → 一次情報:SEC Form 10-K(FY2022)(確認日:2026-10-09) ↩
  8. Natoma買収 → 一次情報:Snowflake Natoma買収意向発表 → 一次情報:SEC Form 10-Q(2026年6月3日買収完了を確認)(確認日:2026-10-09) ↩
  9. 2026年9~10月の転換社債発行と既存債の買戻し → 一次情報:SEC Form 8-K(2026年10月) → 一次情報:SEC 添付資料99.2(2026年9月29日)(確認日:2026-10-09) ↩
  10. LSEGとの金融データ連携拡大(2026年9月30日) → 一次情報:Snowflake発表 → 一次情報:LSEG発表(確認日:2026-10-09) ↩
  11. EXPEDITION 2026開催予告(2026年10月5日) → 一次情報:Snowflake発表(確認日:2026-10-09) ↩
  12. FY2027 Q2の営業・投資・財務CFと顧客KPIの過年度調整 → 一次情報:SEC FY2027 Q2 Form 10-Q → 一次情報:SEC FY2026 Form 10-K(確認日:2026-10-09) ↩
  13. Snowpark → 一次情報:Snowflake Docs: Snowpark → 一次情報:Snowflake Snowpark製品概要(確認日:2026-10-09) ↩
  14. Cortex → 一次情報:Snowflake Docs: Cortex Overview → 一次情報:Snowflake AI製品概要(確認日:2026-10-09) ↩
  15. Native Apps → 一次情報:Snowflake Docs: Native Apps Framework → 一次情報:Snowflake Marketplace(確認日:2026-10-09) ↩
  16. Snowflake CoWork・Summit 26の知識労働者向けエージェント発表 → 一次情報:Snowflake CoWork発表 → 一次情報:Snowflake Press Releases(確認日:2026-10-09) ↩
  17. Snowflake CoCo・Datastream・開発者向けエージェント発表 → 一次情報:Snowflake CoCo発表 → 一次情報:Snowflake Press Releases(確認日:2026-10-09) ↩
  18. Apache Icebergテーブル一般提供(2024年6月) → 一次情報:Snowflake公式リリースノート(確認日:2026-10-09) ↩
  19. Apache Iceberg v3・Snowflake Storage・Horizon Catalog powered by Apache Polaris → 一次情報:Snowflake interoperable enterprise data and AI発表(確認日:2026-10-09) ↩
  20. Horizon Catalog・AIエージェント時代のガバナンスとセキュリティ → 一次情報:Snowflake Horizon Catalog発表(確認日:2026-10-09) ↩
  21. AWS協業拡大 → 一次情報:Snowflake、AWSとの60億ドル規模協業拡大発表 → 二次情報:Reuters(確認日:2026-10-09) ↩
  22. Anthropic協業・Claude in Snowflake Cortex AI → 一次情報:Snowflake and Anthropic協業発表(確認日:2026-10-09) ↩
  23. Google Cloud東京リージョン対応予定 → 一次情報:Snowflake日本法人発表(2026年9月11日)(確認日:2026-10-09) ↩
  24. Snowflake Arctic公開(2024年4月) → 一次情報:Snowflake公式プレスリリース(確認日:2026-10-09) ↩
  25. SnowflakeとOpenAIの複数年提携(2026年2月2日) → 一次情報:Snowflake公式発表 → 一次情報:OpenAI公式発表(確認日:2026-10-09) ↩
  26. Snowflake PostgresとCrunchy Data買収 → 一次情報:SEC FY2026 Form 10-K → 一次情報:Snowflake Postgres発表(2026年2月3日)(確認日:2026-10-09) ↩
  27. Observe・TensorStaxの買収動向 → 一次情報:SEC FY2027 Q2 Form 10-Q(Observe買収完了) → 一次情報:Snowflake TensorStax買収発表(2026年2月4日)(確認日:2026-10-09) ↩

Posted by 南 一矢