ORCL(オラクル)今後の見通し
オラクル(Oracle Corporation)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
直近決算
9月9日(米国時間)にORCLは決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.48$→結果1.47$
・売上高:予想150.3億$→結果149.3億$(前年同期比+12%)
★株価上昇の要因
受注残にあたる残存履行義務(RPO)が4550億ドルと急増したことや、26年度通期のクラウドインフラの売上高が77%急増する見通しを示したことが好感されている模様。エリソンCEOは「第1四半期に3社との間で4件の数十億ドル規模の契約を締結し、RPOが359%増の4550億ドルとなった」と述べた。また、今後数カ月でさらに複数の大型契約を締結し、RPOは5000億ドルを超える見通しも示した。また、「3大ハイパースケーラー向けに新たに37のデータセンターを追加し、合計71拠点を提供する予定だ」ともコメントした。https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/79ba0b9e708533c00ff87ecbfe9aab370029df47
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreetinsiderを参照しました
企業概要
オラクル(Oracle Corporation)は企業向けソフトウェアとクラウドサービスを提供する多国籍企業です。現在の本社はテキサス州オースティンで、2020年にカリフォルニア州レッドウッドシティから移転しました。公式の拠点情報およびSEC提出書類でも本社所在地はオースティンのままです(住所:2300 Oracle Way, Austin, TX 78741)。[1][10] 一方、ナッシュビル新キャンパスを「世界本社」にする旨の発言が2024年にラリー・エリソン氏からありましたが、公式上の本社は引き続きオースティンです(2025年9月時点)。[2]
オラクルはデータベース管理システム(DBMS)、エンタープライズアプリケーション、クラウドインフラ(OCI)、AIの領域で企業・政府のIT基盤を支えています。中核のOracle Databaseは、2024年5月に長期サポート(LTS)版「Oracle Database 23ai」が提供開始となり、生成AI・検索用途で重要なAI Vector Searchなど300超の新機能を実装しました(LTS、2024年提供開始)。[3]
Oracle Autonomous Database(自律型DB)は、パッチ適用・チューニング等の自動化により運用効率とセキュリティを向上。医療分野では2022年6月にEHR大手Cernerの買収を完了し「Oracle Health」を展開、臨床・経営データの統合とAI活用を推進しています(2022年買収完了)。[4]
事業内容と製品群は以下の通りです(主な出来事はいつ時点を併記)。
★データベースおよびミドルウェア
Oracle Database:主要RDBMSの一つ。23ai(2024年LTS)でベクトル検索やJSON/リレーショナルの統合を強化し、OLTPから分析・生成AIまで幅広い用途に対応。[3]
Oracle Fusion Middleware:アプリ統合、ID管理、プロセス自動化などを担う基盤群。
★エンタープライズアプリケーション
Oracle Fusion Cloud Applications:ERP・HCM・CXなどをSaaSで提供。共通データモデルにより業務横断の可視化と意思決定を支援。
★クラウドサービスと運用管理(OCI)
Oracle Cloud Infrastructure(OCI):高性能コンピュート、ストレージ、データ/AI、ネットワークを提供。マルチクラウド連携を拡大しており、Oracle Database@Azureは2023年12月に米East USでGA、その後リージョン拡大(2024年以降)。[5][12] Oracle Database@Google Cloudは2024年9月にGA(米欧の複数リージョン)。[6][13] Oracle Database@AWSは2025年7月にGA(まず米2リージョン、順次拡大)。[7][14]
AI基盤:NVIDIAとの協業を拡大し、OCIコンソールからNVIDIA AI Enterpriseをネイティブ提供(アナウンス:2025年3月、継続アップデート:2025年6月)。DGX CloudやNIMマイクロサービス等の活用も拡充。[8][15][16][17]
生成AIサービス:OCI Generative AIを2024年1月にGA(Cohere/Meta Llama系モデル等を統合)。[18]
★ハードウェアおよびエンジニアリングシステム
Oracle Exadata:データベース専用の統合システム。2025年1月に最新「X11M」を発表し、AI Vector Searchの高速化、分析・トランザクション性能を向上(公称:ベクトル検索最大55%高速化等)。OCIやマルチクラウド環境でも展開可能。[9][15]
社史をさかのぼると、同社は1977年設立。1979年のOracle V2以降RDBMS市場で存在感を高め、2010年のSun Microsystems買収でハードウェアとJavaも獲得。2010年代後半からクラウドシフトを加速し、OCIとSaaSの拡大、医療(Oracle Health)など垂直統合を推進しています(2010年Sun買収、2022年Cerner買収完了)。[4]
足元(2025年)は、AIワークロード需要とマルチクラウド戦略の進展を背景に、データセンター拡張・大型契約見通しを相次ぎ公表。最新の10-Kや四半期開示、ニュースリリースではOCIの増設計画や受注動向が言及されています。[10]
競合環境:データ活用はRDBMSに加えNoSQL・オープンソースDBの併用も一般化。オラクルは23ai(LTS)・Exadata X11M・Autonomous Database・マルチクラウド提供で差別化を図っています。[3][7]
ミニ解説
- 「23ai」=長期サポート版:AI Vector Searchを標準実装し、アプリ側のベクトルDB追加なしでも検索・生成AI用途を構築可(2024年LTS)。[3]
- マルチクラウドの実像:Azure/Google Cloud/AWSで“Oracle Databaseをそのまま”動かせる選択肢が実用段階(2023–2025年に順次GA)。[5][6][7]
- NVIDIA連携:OCIからNVIDIA AI Enterpriseをネイティブ利用可能になり、調達・運用が単純化(2025年発表・提供拡大)。[8][16]
【注】(出典リンク)
- 公式拠点ページに本社(Austin, TX)を明記(住所・電話) → Oracle Corporate Contact(確認日:2025-09-25) ↩
- ナッシュビルを「世界本社」にするとの発言(2024/4/24) → AP News / 補足:The Tennessean(2025/09/23)(確認日:2025-09-25) ↩
- Oracle Database 23ai(LTS)提供開始、AI Vector Searchを搭載(2024/05/02) → Oracle Newsroom(確認日:2025-09-25) ↩
- Cerner買収完了(2022/06/07)とOracle Health展開 → Oracle Newsroom / Oracle Health 公式ページ(確認日:2025-09-25) ↩
- Oracle Database@Azure GA(2023/12/13、East USから開始) → Oracle Newsroom(確認日:2025-09-25) ↩
- Oracle Database@Google Cloud GA(2024/09/09) → Oracle Newsroom / Google Cloud 公式ブログ(更新:2024/09/09)(確認日:2025-09-25) ↩
- Oracle Database@AWS GA(2025/07/08、まず米2リージョン) → Oracle Newsroom / AWS What’s New(確認日:2025-09-25) ↩
- NVIDIA連携(Sovereign AI等の協業発表、2024/03/18) → NVIDIA Newsroom(確認日:2025-09-25) ↩
- Exadata X11M発表(2025/01/07) → Oracle Newsroom / Exadata 公式ブログ(確認日:2025-09-25) ↩
- FY2025 10-K(本社住所等) → SEC Form 10-K(2025/05/31期) / 8-K(2025/06/30、本社住所記載)→ SEC Form 8-K(確認日:2025-09-25) ↩
- Azure側のGA告知(2023/12/13) → Microsoft Azure 公式ブログ(確認日:2025-09-25) ↩
- Google Cloud側のGA更新(2024/09/09に米欧でGA) → Google Cloud 公式ブログ(確認日:2025-09-25) ↩
- AWS側のGA告知(2025/07/08) → AWS What’s New(確認日:2025-09-25) ↩
- NVIDIA AI EnterpriseをOCIでネイティブ提供(2025/03/18発表) → Oracle Newsroom(確認日:2025-09-25) ↩
- NVIDIA側の連携拡大(NIM/ツール提供など、2025/03/18) → NVIDIA Newsroom(確認日:2025-09-25) ↩
- 連携強化の続報(OCIコンソールでネイティブ提供、2025/06/12) → Oracle Newsroom(確認日:2025-09-25) ↩
- OCI Generative AI サービス一般提供(2024/01/23) → Oracle Newsroom(確認日:2025-09-25) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

