SLB(シュルンベルジェ)今後の見通し

エネルギー,株価•決算

シュルンベルジェ(Schlumberger Limited)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

直近決算

SLBは7月18日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.73$→結果0.74$
・売上高:予想85.2億$→結果85.5億$(前年同期比-6%)
★出典:IRページ
https://investorcenter.slb.com/news-releases/news-release-details/slb-announces-second-quarter-2025-results
★予想値は以下のページを参照しました。
https://streetinsider.com/ec_earnings.php?q=SLB

企業概要

SLB(旧シュルンベルジェ、NYSE: SLB)は、油田・ガス田の探鉱から生産・増進回収・デジタル最適化までを一気通貫で支援する総合エネルギー技術サービス企業です。報告セグメントは「Digital & Integration(D&I)」「Reservoir Performance」「Well Construction」「Production Systems」の4区分(2024通期)で、各分野の製品・サービスを統合して提供します。[1]

1926年創業。2022年10月にブランドを「SLB」へ刷新し、従来のシュルンベルジェを含む関連ブランドを統一しました(社名の法的実体はSchlumberger Limited/Schlumberger N.V.)。[2] 世界120カ国超で事業を展開し、長年にわたり世界各地の油ガス開発や関連インフラの高度化を支援しています(2025年時点)。[3]

SLBは資源権益(鉱区・埋蔵量)を保有せず、サービス提供に特化してきた歴史を持ちます。現在の主な事業は、(1)探査・評価の高度化、(2)掘削・仕上げの効率化と安全性向上、(3)生産・人工採油・サブシー等のシステム提供、(4)クラウド/AIを活用したデジタル統合・生産最適化などです(各セグメントにまたがる機能として提供)。[1]

本社(登記上)はSchlumberger Limited/N.V.で、主要執行拠点は米国テキサス州ヒューストン(5599 San Felipe, 17th Floor)ほか、欧州拠点等に展開しています(2025年7月提出10-Q記載)。[5][4]

その事業内容の例は以下の通りです。

(1) 探査および検層・評価:地震探査の解釈、3D地質モデリング、ワイヤライン検層、坑井セメンティング設計支援などにより、貯留層のポテンシャルを評価(Reservoir Performance、D&I等)。[1]

(2) 掘削技術と仕上げ・刺激:オートメーションを含む掘削最適化、仕上げ設計、油井刺激(フラク処理・介入作業)などの統合ソリューションで、開発効率と安全性を両立(Well Construction、Reservoir Performance)。[1]

(3) プロジェクト管理と情報ソリューション:クラウド/AI・シミュレーションを核に、サブサーフェス~施設~生産の計画・運用データを連携し、フィールド全体の最適化を支援(D&I)。[1]

(4) 自動化ソリューション:ロックウェル・オートメーションとのJV「Sensia」を通じ、計測~制御~情報基盤を統合した油ガス産業向け自動化を展開(2019年10月クローズ)。[6][7]

ポートフォリオ拡張では、2016年にキャメロン(Cameron International)を統合し、サーフェス/サブシー機器・バルブ等の「Production Systems」を強化しました。[8] また、新エネルギー分野では、パナソニックと戦略的に協業し、次世代のDLE(直接リチウム抽出)を想定した電池グレード・リチウム製造プロセスの検討を進めてきました(2021年公表)。[9]

業績面では、2024通期においてコア3部門(Reservoir Performance、Well Construction、Production Systems)が前年を上回る成長を牽引。特にProduction Systemsはサブシー関連の寄与で拡大しました(2025年1月発表)。[10][11]

ガバナンスと運営の効率化では、2025年2月に組織再編(パフォーマンス機能の新設など)を進め、コスト効率と実行力の強化を図っています。[12]

リスク要因として、地政学・制裁・輸出規制の動向が挙げられます。SLBはロシアにおいて新規投資停止・技術提供の抑制などの方針を示しつつ、契約や資産保全に留意して運営してきました(2024~2025年報道/自社開示)。[1][13]

市場環境としては、中東・欧州・中南米や黒海などの長期オフショア開発案件が継続し、サブシー関連投資の下支えとなっています(例:トルコ・サカリヤ海域の開発フェーズ進展、2025年報道)。[14]

ミニ解説:SLBは「資産(鉱区)を持たない」サービス特化モデルにデジタルと自動化を重ね、コアの油ガス開発に加えて新エネルギー(リチウム・地熱など)の選択肢も広げています。2024通期はコア3部門が伸長、2025年は再編で効率性の底上げを図る局面です。[10][12]

【注】(出典リンク)

  1. 事業区分・概要(2024通期、リスク開示含む) → SEC Form 10-K(2024年12月期)IRニュース(補足)(確認日:2025-09-24)
  2. ブランド統一(Schlumberger → 「SLB」へ) → SLB IR(2022-10-24)Reuters(補助)(確認日:2025-09-24)
  3. グローバル展開(120カ国超) → SLB公式「Our Global Presence」(確認日:2025-09-24)
  4. 年次報告(参考版・沿革記載あり) → Form 10-K(参考PDF)(確認日:2025-09-24)
  5. 主要執行拠点(ヒューストン住所) → Form 10-Q(2025-07-24提出)(確認日:2025-09-24)
  6. Sensia設立発表 → Rockwell Automation(2019-02-19)(確認日:2025-09-24)
  7. Sensiaクローズ → SLB Newsroom(2019-10-02)(確認日:2025-09-24)
  8. キャメロン統合完了 → SLB Newsroom(2016-04-01)買収合意リリース(2015-08-26)(確認日:2025-09-24)
  9. リチウム製造プロセスの協業 → SLB Newsroom(2021-06-10)Green Car Congress(補助)(確認日:2025-09-24)
  10. 2024通期ハイライト(成長牽引の内訳) → 決算資料(2025-01-17)(確認日:2025-09-24)
  11. 決算リリース本文 → SLB IRニュース(2025-01-17)(確認日:2025-09-24)
  12. 2025年の組織再編(報道) → Reuters(2025-02-11)(確認日:2025-09-24)
  13. ロシア事業を巡る姿勢(報道整理) → Financial Times(2024-03-25)(確認日:2025-09-24)
  14. 黒海サカリヤ開発の継続(業界動向の文脈) → Reuters(2025-09-10)(確認日:2025-09-24)

Posted by 南 一矢