SLB(シュルンベルジェ)今後の見通し
シュルンベルジェ(Schlumberger Limited)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
直近決算
SLBは4月24日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.52$→結果0.52$
・売上高:予想86.6億$→結果87.2億$(前年同期比+3%)
★出典:IRページ
https://investorcenter.slb.com/news-releases/news-release-details/slb-announces-first-quarter-2026-results
★予想値は以下のページを参照しました。
https://streetinsider.com/ec_earnings.php?q=SLB
企業概要
SLB(旧シュルンベルジェ、NYSE: SLB)は、油田・ガス田の探鉱から掘削、評価、生産、増進回収、デジタル最適化までを一気通貫で支援する総合エネルギー技術サービス企業です。2025年通期の報告区分は、Digital、Reservoir Performance、Well Construction、Production Systems、およびその他・消去項目で構成されます。従来の「Digital & Integration」は、2025年以降の決算資料では主にDigitalとして表示されています。[1]
1926年創業。2022年10月にブランドを「SLB」へ刷新し、従来のSchlumbergerを含む関連ブランドを統一しました。法的実体はSchlumberger Limited/Schlumberger N.V.です。世界100カ国超で事業を展開し、長年にわたり世界各地の油ガス開発や関連インフラの高度化を支援しています。[2][3]
SLBは、資源権益そのものを主力資産として保有するE&P企業ではなく、油ガス会社に対して技術、装置、ソフトウェア、サービスを提供するモデルを中心に発展してきました。現在の主な事業は、(1)探査・評価の高度化、(2)掘削・仕上げの効率化と安全性向上、(3)生産・人工採油・サブシー等のシステム提供、(4)クラウド/AIを活用したデジタル統合・生産最適化などです。[1]
本社機能・主要執行拠点は米国テキサス州ヒューストンの5599 San Felipe, 17th Floor, Houston, Texas 77056などに置かれています。登記上はSchlumberger Limited/Schlumberger N.V.で、米国、欧州、中東、アジア、アフリカ、中南米などに事業拠点を展開しています。[4]
その事業内容の例は以下の通りです。
(1) 探査および検層・評価:地震探査の解釈、3D地質モデリング、ワイヤライン検層、坑井評価、貯留層モデリングなどにより、貯留層のポテンシャルを評価します。主にReservoir PerformanceとDigitalにまたがる領域です。[1]
(2) 掘削技術と仕上げ・刺激:掘削最適化、掘削自動化、坑井仕上げ、油井刺激、介入作業などの統合ソリューションで、開発効率と安全性を両立させます。主にWell Construction、Reservoir Performance、Production Systemsに関係します。[1]
(3) プロジェクト管理と情報ソリューション:クラウド、AI、シミュレーション、データ基盤を核に、サブサーフェスから施設・生産までの計画・運用データを連携し、フィールド全体の最適化を支援します。2025年通期のDigital売上は26.60億ドル、税前セグメント営業利益は7.45億ドルで、前年から増収増益でした。[5]
(4) 自動化ソリューション:ロックウェル・オートメーションとのJV「Sensia」を通じ、計測、制御、情報基盤を統合した油ガス産業向け自動化を展開しています。Sensiaは2019年に設立・クローズされました。[6]
ポートフォリオ拡張では、2016年にキャメロン(Cameron International)を統合し、サーフェス/サブシー機器、バルブ、プロセス機器などを含むProduction Systemsを強化しました。さらに2025年7月にはChampionXの買収を完了し、生産化学品、人工採油、デジタル生産最適化などの分野を拡充しました。ChampionX買収は、Production SystemsとDigitalの成長に直結する案件で、SLBは買収後3年以内に年間税前シナジー約4億ドルを見込んでいます。[7][8]
新エネルギー分野では、直接リチウム抽出(DLE)、地熱、CCS/カーボンキャプチャなどに取り組んでいます。リチウムでは、2021年にパナソニックと戦略的協業を公表し、2024年にはネバダでの試験を経てDLEシステムの商用投入を発表しました。CCSでは、2024年にAker Carbon Captureとの合弁SLB Capturiを設立し、SLBが80%を保有する形で産業向けCO₂回収技術の展開を進めています。[9][10]
業績面では、2025年通期の売上高は357.08億ドルで、2024年通期の362.89億ドルから2%減でした。GAAP希薄化後EPSは2.35ドル、調整後EPSは2.93ドル、SLB帰属純利益は33.74億ドル、調整後EBITDAは84.63億ドルでした。2025年は上流投資の鈍化により全体売上は減少したものの、ChampionXの寄与とDigitalの成長が一部を補いました。[11]
2025年通期の部門別売上は、Digitalが26.60億ドル(前年比9%増)、Reservoir Performanceが68.20億ドル(同5%減)、Well Constructionが118.56億ドル(同11%減)、Production Systemsが133.25億ドル(同12%増)でした。Production Systemsの増収は、ChampionX買収の寄与が大きく、2025年に取り込まれたChampionX事業は14.6億ドルの売上を生みました。[5][11]
2026年Q1(2026年3月31日終了四半期)の売上高は87.21億ドルで、前年同期比3%増、前四半期比11%減でした。調整後EBITDAは17.73億ドル、調整後EPSは0.52ドルでした。ChampionXは同四半期に8.38億ドルの売上、1.99億ドルの調整後EBITDA、1.49億ドルの税前セグメント営業利益を貢献しました。ChampionXの寄与を除くと、2026年Q1の全社売上は前年同期比で7%減でした。[12]
ガバナンスと運営の効率化では、2025年2月に組織再編を進め、パフォーマンス機能の新設や人員削減を含む効率化を実施しました。2025年通期の営業キャッシュフローは64.89億ドル、フリーキャッシュフローは41.15億ドルで、配当と自社株買いを通じて40億ドルを株主へ還元しました。2026年についても、会社側は40億ドル超の株主還元を目指すと説明しています。[13][11]
リスク要因として、地政学、制裁、輸出規制、顧客の設備投資サイクルが挙げられます。ロシア事業については、2025年1月時点でSLBは自社のロシア事業が新たな米国制裁に沿っていると説明した一方、同地域の売上比率は低下していると報じられています。2025年10-Kでも、ロシア・ウクライナ情勢、制裁、貿易管理制限、資金回収や資産保全への影響はリスクとして示されています。[14]
市場環境としては、中東、欧州・アフリカ、中南米、北米の長期開発案件や生産最適化需要が下支えになります。一方で、2025年から2026年Q1にかけては、サウジアラビア、メキシコ、サブサハラ・アフリカなど一部地域の活動低下が売上の重荷となりました。2026年Q1は中東が紛争影響で減少した一方、北米、ラテンアメリカ、欧州・アフリカ、アジアでは前年同期比で成長がありました。[12]
ミニ解説:SLBは「資産(鉱区)を持つ石油会社」ではなく、油ガス開発の効率化を支える技術サービス企業です。2025年は上流投資の鈍化で売上は小幅減でしたが、ChampionX買収で生産・回収分野を強化し、Digitalは増収を続けました。投資家は、油ガス会社の投資サイクル、ChampionXの統合効果、Digitalの成長、Production Systemsの採算、ロシア・中東などの地政学リスク、そしてフリーキャッシュフローと株主還元の持続性を確認する必要があります。
【注】(出典リンク)
- 事業区分・概要・セグメント記載 → SLB 2025 Form 10-K(SEC) → SLB FY2025 Results(確認日:2026-05-10) ↩
- ブランド統一(Schlumberger → SLB) → Schlumberger Becomes SLB → Reuters:SLB rebrand(確認日:2026-05-10) ↩
- グローバル展開・100カ国超 → SLB Our Global Presence → SLB Who We Are(確認日:2026-05-10) ↩
- 主要執行拠点・会社情報 → SLB 2025 Form 10-K → SLB 2025 Form 10-Q参考資料(確認日:2026-05-10) ↩
- Digital・部門別売上・部門別利益 → SLB FY2025 Results:Divisions → SLB 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10) ↩
- Sensia設立・クローズ → Rockwell Automation:Sensia JV → SLB:Sensia Closing(確認日:2026-05-10) ↩
- Cameron統合・Production Systems強化 → SLB:Cameron Merger Complete → SLB:Cameron Agreement(確認日:2026-05-10) ↩
- ChampionX買収完了・シナジー見通し → SLB Completes Acquisition of ChampionX → Reuters:CMA approval(確認日:2026-05-10) ↩
- リチウム・DLE・パナソニック協業 → SLB and Panasonic Energy Collaboration → Reuters:SLB lithium filtration system(確認日:2026-05-10) ↩
- SLB Capturi・Aker Carbon Capture合弁 → SLB:Driving New Energy Forward → SLB Capturi(確認日:2026-05-10) ↩
- 2025年通期業績・EPS・EBITDA・キャッシュフロー・株主還元 → SLB Announces Fourth-Quarter and Full-Year 2025 Results → SLB 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10) ↩
- 2026年Q1業績・ChampionX寄与・地域別動向 → SLB Announces First-Quarter 2026 Results → SLB Q1 2026 Results PDF(確認日:2026-05-10) ↩
- 2025年組織再編・効率化 → Reuters:SLB reorganizes → SLB FY2025 Results(確認日:2026-05-10) ↩
- ロシア事業・制裁リスク → SLB FAQs for SLB in Russia → Reuters:SLB Russia business and sanctions(確認日:2026-05-10) ↩

