QCOM(クアルコム) 今後の見通し
クアルコム(QUALCOMM, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(QCOM/AVGO:クアルコムとブロードコムを比較)を参照
直近決算
クアルコムは7月30日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.71$→結果2.77$
・売上高:予想103.3億$→結果103.7億$(前年同期比+10%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想2.82$→結果2.75~2.95$
・売上高:予想106億$→結果103~112億$
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。
企業概要
クアルコム(Qualcomm Incorporated, NASDAQ: QCOM)は、スマートフォンや無線通信の中核技術を生み出す米国の大手ファブレス半導体企業です。本社はカリフォルニア州サンディエゴに置かれています(1985年設立)。同社は半導体(QCT)と特許ライセンス(QTL)の二本柱に、戦略投資(QSI)を加えた3セグメント構成で事業を展開しています。[1]
クアルコムは携帯通信方式の進化(CDMA・LTE・5G)で標準必須特許(SEP)を多数保有し、端末メーカー等にライセンス供与する一方、SnapdragonブランドのSoC/モデム/RFフロントエンド(RFFE)などの製品を供給します。2024会計年度(FY2024)の連結売上高は390億ドルでした。[2]
その事業分野は以下の通りです。
★半導体(QCT)事業
①Snapdragonモバイルプラットフォーム:スマートフォン向けアプリ処理、AI、画像処理、モデムを統合。
②PC・エッジ向け:Windows向けArm SoC「Snapdragon X Elite」(初代は2024年市場投入)に続き、Snapdragon X2 Elite系を2025年に発表(PC向けAI性能と効率を強化)。[3][4]
③自動車:インフォテインメント、コックピット、コネクティビティ等を束ねる「Snapdragon Digital Chassis」。2025年Q2のQCT自動車売上は9.59億ドル(前年同期比+59%)。[5]
④IoT/RFFE:産業・民生向けに接続・AI処理デバイスやRF部品を提供。
★技術ライセンス(QTL)
携帯電話などに用いられる無線技術の特許を世界のメーカーにライセンス供与。2019年のAppleとの包括和解・供給再開以降、5Gモデム供給契約は2027年3月まで延長。[6]
★QSI/その他
将来領域への戦略投資。2025年6月にはV2XのAutotalks買収を完了し、車車間・路車間通信技術をデジタル・シャシーに取り込んでいます。さらに、データセンター向けインターコネクト強化を目的にAlphawave Semiの買収を発表(2025年6月)。[7][8]
研究開発と標準化の牽引:クアルコムはCDMA以降の携帯通信で重要技術を提供し、5G/将来6G、AI処理、低消費電力設計、RF統合などの領域で継続投資を実施。PC(Windows on Arm)、自動車、IoTといったスマホ外の成長分野へ展開を広げています。[1][3][5]
法規制・係争の状況(要点):米連邦取引委員会(FTC)が提起した独禁訴訟について、2020年8月に米第9巡回区が地裁判決を全て覆してFTCの主張を退け、地裁の差止めは失効しました。[9] また、2020年にHuaweiと長期ライセンスを締結し、ライセンス収入の安定化に寄与しています。[1]
最近の業績トピック(抜粋):FY2024の連結売上は390億ドル、FY2025は自動車・IoTの拡大とPC向けの立ち上がりがテーマ。2025年Q2時点で自動車の案件採用・量産が加速し、IoTも2桁成長を維持しました。[2][5][10]
社史:創業当初は無線通信の研究開発から出発し、1990年代にCDMAの採用拡大で成長。2015年に英CSRを買収してBluetooth/オーディオ等を強化。2018年のBroadcomによる買収提案は米国の安全保障上の懸念で不成立に。以降はスマホ以外(自動車・PC・IoT)への多角化を加速しています。[1]
ミニ解説
- QCTとQTL:QCTは「作って売る」半導体、QTLは「使わせて収益化」する特許ライセンス。景気や製品サイクルの影響が相対的に小さいQTLが安定収益を下支え。
- PC/自動車の伸長:Arm版Windows PC(Snapdragon X系)と自動車(Digital Chassis)が、スマホ依存度の低下に寄与。
【注】(出典リンク)
- セグメント構成(QCT/QTL/QSI)・事業概要(FY2024 10-K) → 10-K FY2024(確認日:2025-09-25) ↩
- FY2024通期:売上高$39.0B、EPS等(IRリリース) → Q4/FY2024リリース(確認日:2025-09-25) ↩
- Snapdragon X Elite(初代):Windows on Arm向け概要 → 製品ページ(確認日:2025-09-25) ↩
- Snapdragon X2 Elite/X2 Elite Extremeの発表(性能・投入時期の概況) → The Verge(2025/09/25)|Engadget(確認日:2025-09-25) ↩
- 自動車売上:2025年Q2に$959M(+59%)等(決算資料/トランスクリプト) → Q2 FY2025プレゼン|同トランスクリプト(確認日:2025-09-25) ↩
- Appleへの5Gモデム供給契約延長(~2027年3月) → 9to5Mac(2024/01/31)(確認日:2025-09-25) ↩
- Autotalks買収完了(V2X強化) → Qualcommニュース(2025/06)(確認日:2025-09-25) ↩
- Alphawave Semi買収発表(データセンター向け強化) → IRリリース(2025/06/09)(確認日:2025-09-25) ↩
- FTC v. Qualcomm:第9巡回区が地裁判決を破棄(2020/08/11) → 判決PDF|解説記事(確認日:2025-09-25) ↩
- FY2025上期のセグメント動向(自動車・IoT成長、QTL概況等) → Yahoo! Finance要約|IRイベントページ(確認日:2025-09-25) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

