WFC/Cを比較:ウェルズファーゴとシティグループの違いとは

金融,銘柄比較

WFCとCの違いを踏まえて比較します。(2026年7月更新)

ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo & Company)とシティグループ(Citigroup Inc.)は、米国を代表する銀行株です。

ウェルズ・ファーゴは米国内の個人・中小企業・商業銀行業務への比重が高い一方、シティグループは国際決済、法人金融、投資銀行、マーケッツなど、世界各国で展開する事業の比重が高くなっています。

このページでは、2026年Q2決算、株価、配当、資本比率、収益性、有形簿価を比較し、両社の今後の見通しを整理します。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(VFH:Vanguard Financials Index Fund ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。


決算(予想:結果)

株価・決算については以下の関連記事を参照

WFC:ウェルズファーゴ 今後の見通し

C:シティグループ 今後の見通し

想と結果 売上&EPS

【米銀ターンアラウンド対決】ウェルズ・ファーゴ(WFC)vs シティグループ(C)

「訳あり」メガバンクの復活度を、2026年Q2の最新決算で確認します。

指標ミニガイド

ROTCE/RoTCE
Return on Tangible Common Equityの略です。無形資産などを除いた有形普通株主資本に対して、どれだけ利益を生み出したかを示します。数値が高いほど、自己資本を効率よく利用していると評価できます。
CET1比率
普通株式等Tier1比率です。損失を吸収する力を示す代表的な規制資本指標で、銀行ごとの規制上の最低要件を上回る余力も重要です。
TBVPS/P-TBV
TBVPSは1株当たり有形簿価、P/TBVは株価をTBVPSで割った倍率です。銀行株が実質的な純資産に対して、どの程度の評価を受けているかを見る際に使われます。
効率性比率
収益に対して、どれだけの営業費用を使ったかを示します。一般には数値が低いほど効率的ですが、成長投資や事業構成の違いも考慮する必要があります。
配当利回り
年換算配当を株価で割った参考値です。配当の増減や株価変動によって変わります。発表済みでも、取締役会の承認前である配当は確定していません。

1|銘柄の特色と課題

◆ ウェルズ・ファーゴ(WFC)

  • 米国内の預金、住宅、自動車、クレジットカード、中小企業、商業銀行、資産運用に強みを持つ大手銀行です。
  • 不正口座問題などを受け、2018年からFRBによる資産上限が課されていましたが、必要な改善が実施されたとして2025年6月3日に解除されました。[1]
  • 2026年Q2の総収入は226.22億ドル、純利益は64.07億ドル、希薄化後EPSは2.00ドル、ROTCEは17.7%でした。[2]
  • 2026年6月末のCET1比率は標準方式で10.3%、TBVPSは46.13ドルでした。[3]
  • 2026年Q2には普通株37.4百万株を30億ドルで買い戻しました。2026年上期の買戻し総額は約70億ドルです。[2]
  • 資産上限解除後は貸出と預金が拡大していますが、急速な成長が与信基準の緩和や将来の貸倒れ増加につながらないかが重要です。

◆ シティグループ(C)

  • 国際決済、証券サービス、為替・債券・株式取引、投資銀行、富裕層向け資産運用などに強みを持つグローバル金融グループです。
  • 個人向け事業の売却や組織簡素化を進めており、再編コストの減少と収益性改善が株価再評価の焦点となっています。
  • 2026年Q2の収益は247.66億ドル、純利益は58.31億ドル、希薄化後EPSは3.15ドル、RoTCEは13.0%でした。[4]
  • 2026年6月末のCET1比率は12.8%、TBVPSは100.89ドルでした。[5]
  • 2026年Q2には、普通株買戻しと普通株配当を合わせて約50億ドルを株主へ還元しました。[4]
  • RoTCEは大きく改善しましたが、マーケッツ収益や投資銀行収益は四半期ごとの変動が大きく、2026年Q2の高い収益性が恒常的に続くとは限りません。

2|2026年Q2 ハイライト

指標
2026年Q2
WFC C
総収入 226.22億ドル[2] 247.66億ドル[4]
前年同期比 +9% +14%
純利益 64.07億ドル[2] 58.31億ドル[4]
希薄化後EPS 2.00ドル 3.15ドル
ROTCE/RoTCE 17.7% 13.0%
効率性比率 60.0% 57.4%
貸倒引当金繰入額 9.14億ドル 25.22億ドル
CET1比率
2026年6月末
10.3%
標準方式
12.8%
TBVPS
2026年6月末
46.13ドル 100.89ドル
普通株主還元 買戻し30億ドル 買戻し・配当合計
約50億ドル

2026年Q2の収益性ではWFCが優位でした。ROTCEは17.7%まで上昇し、ウェルズ・ファーゴが掲げる中期目標の17~18%に入っています。

一方、Cは収入の伸びが大きく、純利益は前年同期比45%増、EPSは同61%増となりました。RoTCEは13.0%で、2026年Q1の13.1%に近い水準を維持しています。

ただし、両社の事業構成は大きく異なります。WFCは米国内の貸出・預金ビジネスの比重が高く、Cは国際決済、トレーディング、投資銀行の影響が大きいため、収入や貸倒引当金を単純に横比較することはできません。

3|収益トレンド(2022~2026年上期)

銀行株は市場環境や金利の影響を四半期ごとに受けます。複数年の収益推移を見ることで、構造的な改善と一時的な追い風を分けやすくなります。

期間 WFC
Total revenue
C
Revenues
2026年上期 440.68億ドル[3] 493.99億ドル[5]
2025年通期 837億ドル[6] 852億ドル[7]
2024年通期 823億ドル 811億ドル
2023年通期 826億ドル 785億ドル
2022年通期 738億ドル 753億ドル

※各社の収益区分や事業構成が異なるため、厳密な同条件比較ではなく、規模と推移を把握するための参考値です。2026年上期は6カ月間、ほかは12カ月間の数値です。

WFCの収益は、2022年から2025年にかけて拡大しました。2026年上期は資産上限解除後の貸出・預金増加に加え、投資銀行、マーケッツ、資産運用などの手数料収入も伸びています。

Cも2022年以降は収益が増加基調です。2026年上期の収益は493.99億ドルで前年同期比14%増となり、Services、Markets、Banking、Wealth、U.S. Consumer Cardsの主要5事業すべてで増収となりました。

4|株価バリュエーションと配当(2026年7月15日時点)

項目 WFC C
株価
2026年7月15日
12時頃UTC
85.29ドル[8] 133.27ドル[8]
TBVPS
2026年6月末
46.13ドル[3] 100.89ドル[5]
P/TBV
概算
約1.85倍 約1.32倍
PER
参考値
約13.2倍[8] 約16.5倍[8]
2026年Q2
四半期配当
0.45ドル 0.60ドル
2026年Q3
予定配当
0.50ドル
取締役会承認を前提[2]
0.67ドル
四半期ごとの取締役会承認を前提[9]
予定配当の
年換算額
2.00ドル 2.68ドル
予想配当利回り
予定配当を使用
約2.34% 約2.01%

※P/TBVは2026年7月15日の株価を、2026年6月末のTBVPSで割って算出しています。予想配当利回りは、2026年Q3に予定される四半期配当を4倍して算出した参考値であり、将来の配当を保証するものではありません。

WFCの評価

WFCのP/TBVは約1.85倍で、Cの約1.32倍を上回ります。これは、市場がWFCの高いROTCE、米国内の強い預金基盤、資産上限解除後の成長余地に、より高い評価を与えていることを示唆します。

一方、期待が株価に織り込まれているため、融資成長の鈍化、信用コストの上昇、費用管理の悪化などが起きた場合、バリュエーションが縮小するリスクがあります。

Cの評価

CのP/TBVは約1.32倍であり、2026年Q2のRoTCEが13.0%まで改善した後も、WFCより低い評価にとどまっています。

再編と収益性改善が持続すれば評価倍率の上昇余地がありますが、事業構造が複雑で、規制対応、費用、繰延税金資産、海外事業、マーケッツ収益の変動がディスカウントの背景となっています。

5|投資判断のヒント

◆ WFC:資産上限解除後の成長と17~18%のROTCE

2026年Q2の平均貸出は前年同期比12%増の1兆265億ドル、平均預金は同10%増の1兆4,656億ドルでした。資産上限解除後、個人・商業・投資銀行・ウェルスマネジメントでバランスシートが拡大しています。[2]

WFCは中期的なROTCE目標を17~18%としています。2026年Q2の17.7%は目標圏内ですが、良好な信用環境や投資収益に支えられた部分もあるため、通年で維持できるかを確認する必要があります。[10]

今後は、貸出成長と同時に、CET1比率10%台前半の管理、預金コスト、商業用不動産、クレジットカード、自動車ローンの延滞率を確認したいところです。

◆ C:低いP/TBVとRoTCE改善の綱引き

Cは2026年Q1に13.1%、Q2に13.0%のRoTCEを計上しました。2026年通期目標の10~11%を上回るペースですが、会社はより長期の目標を、2027~2028年に11~13%、2029~2031年に14~15%としています。[10]

これは、2026年上期の高い収益性について、会社側もそのまま恒常的な水準とは見ていないことを示しています。マーケッツや投資銀行が好調だった反動、成長投資、カード事業の信用コストなどを考慮する必要があります。

一方、TBVPSは2025年6月末の94.16ドルから2026年6月末には100.89ドルへ7%増加しています。買戻しによって発行済み株式数も前年同期比9%減少しました。収益性とTBVPSの成長が続けば、低いP/TBVが見直される可能性があります。[5]

◆ 配当利回りだけで判断しない

予定配当を基にした利回りは、2026年7月15日時点でWFCが約2.34%、Cが約2.01%です。どちらも高配当株として特に高い水準ではありません。

銀行株では、配当に加えて、自社株買い、発行済み株式数、TBVPS、CET1比率、信用コストを組み合わせて評価する必要があります。

WFCは2026年上期に約70億ドルを買い戻し、Cは2026年Q2から300億ドルの複数年買戻しプログラムを開始しました。買戻し価格がTBVPSを大きく上回る場合、1株当たり利益にはプラスでも、TBVPSには希薄化要因となる可能性があります。[2][4]

6|両社に共通する主なリスク

  • 信用コスト:景気後退、失業率上昇、企業倒産、商業用不動産価格の下落などにより、貸倒損失や引当金が増える可能性があります。
  • 金利と預金コスト:貸出金利が上がっても、預金や市場調達のコストが上回れば、純金利収益が圧迫されます。
  • 規制資本:CET1要件、ストレス資本バッファー、G-SIBサーチャージなどの変更は、配当、買戻し、貸出余力に影響します。
  • 市場収益の変動:投資銀行やトレーディング収益は、株式・債券市場、金利、為替、M&A、株式公開の状況によって大きく変動します。影響はCのほうが大きい傾向があります。
  • オペレーショナル・規制リスク:両社とも、内部管理、システム、マネーロンダリング対策、顧客保護などに関する規制対応を継続する必要があります。
  • バリュエーション:WFCはP/TBVが高く、期待を下回った場合の倍率縮小リスクがあります。Cは割安に見える一方、低評価が長期間続く「バリュートラップ」の可能性があります。

結論:WFCとCのどちらを選ぶか

米国内の銀行業務、資産上限解除後の貸出成長、高いROTCEを重視するならWFCが候補です。2026年Q2のROTCEは17.7%で、収益性はCを上回りました。

低いP/TBV、国際決済・マーケッツ・投資銀行の成長、再編完了による評価見直しを狙うならCが候補です。2026年Q2のRoTCEは13.0%まで改善しましたが、P/TBVは約1.32倍にとどまっています。

重視するポイント 相対的に有力
2026年Q2の収益性 WFC
CET1比率の厚さ C
国内銀行の成長 WFC
グローバル事業の分散 C
P/TBVの低さ C
予定配当利回り WFC
構造改革による再評価余地 C
現時点の事業モデルの単純さ WFC

WFCは「改善をすでに高く評価されている銀行」、Cは「改善が進んでもなおディスカウントが残る銀行」と整理できます。

今後は、WFCでは貸出成長、預金コスト、ROTCE、CET1比率を、Cでは費用、RoTCE、TBVPS、繰延税金資産、株式買戻しの効果を継続的に確認することが重要です。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

ミニ解説:

銀行株の比較では、配当利回りだけでなく、P/TBVROTCECET1比率信用コストをセットで確認すると整理しやすくなります。低いP/TBVは割安さを示す場合がありますが、収益性や規制上の問題を反映している場合もあります。

主な変更箇所

  • 更新時点を2026年5月6日から2026年7月15日へ変更しました。
  • 決算データを2026年Q1から2026年Q2へ全面更新しました。
  • WFCの総収入を226.22億ドル、純利益を64.07億ドル、希薄化後EPSを2.00ドルへ更新しました。
  • WFCのROTCEを14.5%から17.7%へ更新しました。
  • WFCの2026年6月末TBVPSを会社開示の46.13ドルへ更新し、従来の概算値を削除しました。
  • WFCの2026年Q2普通株買戻し30億ドルと、2026年上期の買戻し約70億ドルを追加しました。
  • WFCの平均貸出が前年同期比12%増、平均預金が同10%増となった点を追加しました。
  • Cの収益を247.66億ドル、純利益を58.31億ドル、希薄化後EPSを3.15ドルへ更新しました。
  • CのRoTCEを13.1%から13.0%、CET1比率を12.7%から12.8%へ更新しました。
  • CのTBVPSを99.01ドルから100.89ドルへ更新しました。
  • Cが2026年Q2に普通株買戻しと配当で約50億ドルを還元した点を追加しました。
  • 2026年上期の収益として、WFCの440.68億ドルとCの493.99億ドルを追加しました。
  • 株価を2026年7月15日12時頃UTCのWFC 85.29ドル、C 133.27ドルへ更新しました。
  • 2026年Q2のTBVPSを用いて、P/TBVをWFC約1.85倍、C約1.32倍へ更新しました。
  • 参考PERをWFC約13.2倍、C約16.5倍へ更新しました。
  • WFCが2026年Q3に0.50ドル、Cが0.67ドルへの増配を予定している点を追加しました。
  • 予定配当を用いた予想配当利回りを、WFC約2.34%、C約2.01%として再計算しました。
  • WFCの中期ROTCE目標17~18%を追加しました。
  • CのRoTCE目標を、2026年10~11%、2027~2028年11~13%、2029~2031年14~15%として追加しました。
  • WFCの改善が株価に織り込まれているリスクと、Cがバリュートラップとなるリスクを追記しました。
  • 信用コスト、金利、預金調達、規制資本、市場収益、オペレーショナルリスクの項目を追加しました。
  • モバイル表示で横スクロールを減らすため、表の列幅と文字サイズを調整しました。
  • 元記事に残っていたoaicite表記、閉じタグの不整合、不要なHTML断片を削除しました。

【注】(出典リンク)

  1. WFCの資産上限解除(2025年6月3日) → Federal Reserve Board「Wells Fargo Asset Growth Restriction」(確認日:2026-07-15)
  2. WFC 2026年Q2決算・貸出・預金・買戻し・予定配当 → Wells Fargo「Second Quarter 2026 Earnings Release」(確認日:2026-07-15)
  3. WFC 2026年Q2補足資料(TBVPS・CET1・効率性比率・上期収益) → Wells Fargo「2Q26 Quarterly Supplement」(確認日:2026-07-15)
  4. C 2026年Q2決算(収益・純利益・EPS・RoTCE・株主還元) → Citigroup「Second Quarter 2026 Results and Key Metrics」(確認日:2026-07-15)
  5. C 2026年Q2補足資料(TBVPS・CET1・効率性比率・上期収益) → Citigroup「Second Quarter 2026 Financial Supplement」(確認日:2026-07-15)
  6. WFC 2022~2025年通期収益 → Wells Fargo「Fourth Quarter and Full Year 2025 Results」Wells Fargo「2025 Annual Report」(確認日:2026-07-15)
  7. C 2022~2025年通期収益 → Citigroup「Fourth Quarter and Full Year 2025 Results」(確認日:2026-07-15)
  8. WFC・Cの株価とPER(2026年7月15日12時頃UTC) → Yahoo Finance「WFC」Yahoo Finance「C」(確認日:2026-07-15)
  9. Cの2026年Q3予定配当0.67ドルと300億ドル買戻し計画 → Citigroup「Completion of Annual Supervisory Stress Test Process」(確認日:2026-07-15)
  10. WFC・Cの中長期RoTCE目標 → Wells Fargo「2026 Proxy Statement」Citigroup「Investor Day 2026 FAQs」(確認日:2026-07-15)
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Posted by 南 一矢