TSM(タイワンセミコンダクター)とASMLを比較:戦略の違いとは

ADR銘柄,半導体,情報技術,銘柄比較

TSMとASMLを違いを踏まえて比較します。(2026年2月更新)

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(台湾積体電路製造/Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, TSMC)とASMLホールディング(ASML Holding N.V.)は、半導体製造業におけるADR銘柄の代表格です。

その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(SOXX:iShares Semiconductor ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

株価推移や成長率比較については以下の関連記事を参照

TSM:タイワンセミコンダクター 今後の見通し

ASML:ASMLホールディング 今後の見通し

決算(予想:結果)

マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

タイワンセミコンダクター(TSM)決算:予想と結果 売上&EPS

ASMLホールディング(ASML)決算:予想と結果 売上&EPS

【半導体エコシステムの心臓部】TSMC vs ASML!製造の王か、装置の独占企業か?

現代のAI革命とデジタル社会を根底から支える2つの企業、TSMC(台湾積体電路製造)ASML(エーエスエムエル)。両社は、最先端半導体の製造に不可欠な存在でありながら、その役割は全く異なります。彼らは競合ではなく、互いがいなければ成り立たない「補完関係」です。

本記事では、半導体「製造」の中核を担うTSMCと、その製造に必要な「装置」を供給するASMLの、関係性と投資対象としての魅力を比較します。

最重要ポイント:彼らは競合しない「パートナー」である

この2社を理解する上で、共存関係を知ることは不可欠です。

  • TSMC(ファウンドリ)→ 半導体を「作る」会社
    受託製造(ファウンドリ)として先端ロジックを量産し、AI/HPC需要を追い風に成長。2025年通期の連結売上(US$)はUS$122.42B(前年比+35.9%)で、同社は2025年Q4も売上・利益率が高水準でした(2025年通期/2025年Q4)。[1]
  • ASML(製造装置メーカー)→ チップを作るための「機械を作る」会社
    最先端ロジック/メモリの量産に不可欠なEUV露光(およびHigh-NAを含む次世代)を軸に、装置・サービスで収益を積み上げます。ASML自身もEUV技術がASML固有である点を明記しています。[4] 2025年通期の総売上(Total net sales)は€32.667Bでした(2025年通期)。[3]

つまり、ASMLが「道具」を供給し、TSMCがその「道具」を使って最先端チップを量産する、という関係です。両社とも直近のガイダンスでは、AI関連需要を背景にした高水準の事業環境を示しています(TSMC:2026年Q1見通し、ASML:2026年通期見通し)。[2][3]

比較サマリー:製造のTSMC、装置のASML

項目 TSMC ASML
役割 半導体ファウンドリ(受託製造) 半導体製造装置メーカー(露光、EUV/High-NA)[4]
強み・堀(Moat) 先端プロセス量産力・良品率・高い稼働率(需要局面での供給力) EUV露光の技術的優位と装置インストールベース(サービス収益の積み上げ)[3][4]
最大のリスク 地政学(台湾)、海外拠点立ち上げコスト・為替 顧客設備投資の循環、輸出規制や地域ミックス変化
配当の方針(概観) 四半期配当を継続(株主還元と成長投資を両立)[1] 年次配当(提案)と自社株買いを継続(2025年通期の配当提案・資本政策)。[3]

業績と成長性の詳細分析

AI/HPC需要を背景に、両社とも2025年は高水準の売上と利益を維持しました。TSMCは需要の中心がAI/HPCへ寄る一方、ASMLは装置納入タイミングにより四半期変動が大きいものの、通期としては成長を確保しています(いずれも2025年通期、TSMCは2026年Q1ガイダンス)。[1][2][3]

TSMC 売上高(US$、通期) ASML 売上高(€、通期)
2025 US$122.42B(前年比+35.9%[1] €32.667B(前年比の増加、通期実績)[3]
2024 US$90.08B(前年比+30.0%[1] €28.263B(通期実績)[3]
  • TSMCの近況:2025年Q4の売上構成ではHPCが51%、スマートフォンが35%と、AI/HPC寄りの構造が確認できます(2025年Q4)。[1] 会社は2026年Q1の見通しとして、売上US$34.6–35.8B、粗利益率57.0–59.0%、営業利益率46.5–48.5%を提示しました(2026年Q1ガイダンス)。[2]
  • ASMLの近況:2025年通期は総売上€32.667B、粗利益率51.3%、純利益€9.609B。またASMLは2026年通期のレンジ見通しを提示し、投資環境の継続を示唆しています(2026年通期見通し)。[3]

なお、ファウンドリ市場ではTSMCの優位が続いており、TrendForceの集計では2025年Q2のファウンドリ売上シェアがTSMC 70.2%とされています(2025年Q2)。[5]

配当の詳細比較

両社とも成長投資(設備・研究開発・供給能力)を優先しつつ、配当や株主還元を継続しています。ASMLは2025年通期の結果に基づく配当提案(年次)を示し、TSMCは四半期配当を継続しています(いずれも直近開示)。[1][3]

結論:あなたに合うのはどちら?

両社への投資は、半導体エコシステムの中でどのリスク/リターンの取り方を選ぶか、という構図です。

「半導体需要全体」の成長に乗るなら → TSMC

TSMCは製造能力そのものが競争力であり、AI/HPC需要が強い局面では売上・利益率が伸びやすいモデルです。2025年通期の高成長(前年比+35.9%)と、2026年Q1の高水準ガイダンスは、その追い風を示します(2025年通期/2026年Q1見通し)。[1][2]

「技術的優位(EUV)」という堀に投資するなら → ASML

ASMLはEUV露光という基盤技術を軸に、装置とサービスで収益を積み上げます。2025年通期の成長と、2026年通期の見通しは、先端投資の継続を前提に置いたものです(2025年通期/2026年見通し)。[3][4]

最終的な結論:両社は補完関係にあります。ポートフォリオでは「製造(TSMC)」と「装置(ASML)」の二段構えでテーマ全体に分散させる戦略が理にかないます。


※本ページの分析は2026年2月8日時点の公開情報に基づいています。投資の最終判断は必ずご自身の責任で行ってください。

ミニ解説:

売上の通貨がTSMCは米ドル、ASMLはユーロで公表されます。成長率の比較では、事業の実力に加えて為替の影響も混ざるため、「各社の自国通貨ベースの通期開示」を基準に把握するのが安全です。[2][3]

【注】(出典リンク)

  1. TSMC 2025通期/2025年Q4 実績(一次)→ TSMC Quarterly Results(2025 Q4)Management Report(PDF)(確認日:2026-02-08)
  2. TSMC 2026年Q1 ガイダンス(一次)→ 4Q25 Earnings Release(PDF)(確認日:2026-02-08)
  3. ASML 2025通期/2026見通し(一次)→ ASML press release(Q4 2025 / Full-year 2025)Financial results(一覧)(確認日:2026-02-08)
  4. EUVの技術的位置づけ(一次)→ ASML EUV lithography systems(確認日:2026-02-08)
  5. ファウンドリ市場シェア(2025年Q2、二次)→ TrendForce Press Center(2025-09-01)(確認日:2026-02-08)

Posted by 南 一矢