ASML:今後の見通し

ADR銘柄,半導体,情報技術,株価•決算

ASMLホールディング(ASML Holding N.V.)の今後の見通しを考えるために、まず金利と株価チャートの推移を確認し、その後、直近決算、EUV/High-NA EUV、長期業績、財務、株主還元、今後の会社見通しを整理します。

目標株価やPERなどの市場指標だけでなく、売上総利益率、Installed Base Management売上、EUV/DUVの出荷、研究開発費、フリーキャッシュフロー、対中売上などもASMLを見るうえで重要な指標です。

2026年8月7日時点のポイント
ASMLの最新決算は2026年7月15日に発表された2026年第2四半期です。売上高は93.26億ユーロ、純利益は29.18億ユーロ、基本EPSは7.59ユーロ、売上総利益率は54.0%でした。会社はAI向け先端ロジック・メモリー需要の強さを背景に、2026年通期売上高見通しを従来の360億~400億ユーロから430億~450億ユーロへ大幅に引き上げています。[1]

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は米10年国債利回り

※株価の成長率や前日比、52週高値/安値のほか、PER、時価総額、株式数、出来高などを更新しています。リアルタイムではありませんが、株価は最大20分程度のディレイでフォローします。

銘柄比較については関連記事(TSM(台湾セミコンダクター)とASMLを比較)も参照してください。

直近決算

ASMLは2026年7月15日に2026年第2四半期決算を発表しました。第1四半期時点でもAI需要を背景に2026年見通しを上方修正していましたが、第2四半期ではさらに大幅な上方修正となりました。[1]

2026年Q2:市場予想と結果

指標 市場予想 結果 判定
売上高 約88.0億€ 93.26億€ 予想を上回る
純利益 約26.2億€ 29.18億€ 予想を上回る

市場予想はLSEG集計値です。売上高は市場予想を約6%、純利益は約11%上回りました。[2]

主要実績

指標 2026年Q1 2026年Q2
売上高 8,767百万€ 9,326百万€
Installed Base Management売上 2,488百万€ 2,762百万€
新規リソグラフィー装置販売台数 67台 86台
中古リソグラフィー装置販売台数 12台 5台
粗利益 4,645百万€ 5,035百万€
売上総利益率 53.0% 54.0%
純利益 2,757百万€ 2,918百万€
基本EPS 7.15€ 7.59€
現金等+短期投資 8,376百万€ 7,582百万€

第2四半期の売上高と売上総利益率は、いずれも会社の事前ガイダンスを上回りました。ASMLは主因として、稼働済み装置の保守・アップグレードなどからなるInstalled Base Management売上が予想を上回ったことを挙げています。[1]

CEOのクリストフ・フーケ氏は、AI関連投資の継続により先端ロジックとメモリーの需要が拡大し、顧客が2026年以降の生産能力増強を加速していると説明しました。2026年上半期の受注は「極めて強い」とされ、ASMLは従来より長期の需要を見通しやすくなったとしています。[1]

企業概要

ASMLホールディングは、オランダ・フェルトホーフェンに本社を置く半導体製造装置メーカーです。リソグラフィー装置を中核に、EUV、High-NA EUV、DUV、計測・検査、計算リソグラフィー、装置保守、性能向上サービスなどを世界の半導体メーカーへ提供しています。[3]

ASML最大の特徴は、最先端半導体に使われるEUV(極端紫外線)露光装置を実質的に独占供給していることです。EUVでは13.5nmの短波長光を利用し、従来のDUVより微細な回路パターンを効率的に形成できます。

さらに次世代のHigh-NA EUVでは開口数を従来EUVの0.33から0.55へ高め、より微細なパターン形成を可能にします。ASMLはHigh-NAを先端ロジック・メモリーの次世代微細化に向けた主要技術として開発しています。[3]

2025年通期には48台のEUVリソグラフィーシステム、279台のDUVリソグラフィーシステム、208台の計測・検査システムを販売しました。2026年はAI関連の設備投資拡大を背景に、EUVを中心として販売規模がさらに拡大する見通しです。[4]

ASML株はユーロネクスト・アムステルダムとNASDAQの双方で取引されています。NASDAQで取引される株式もADRではなく、ASMLの登録普通株を米国市場で取引するNew York Registry Sharesです。[5]

業績分析:半導体サイクルを超えて長期成長

半導体製造装置は設備投資サイクルの影響を強く受けます。一方、ASMLは微細化に必要なEUV、装置の高性能化、稼働台数の増加に伴うサービス収益などを背景に、長期では高い成長率を維持してきました。

売上・純利益・EPSの推移

会計年度 売上高
百万€
純利益
百万€
基本EPS
2015 6,287 1,387 3.22€
2016 6,795 1,472 3.46€
2017 9,053 2,119 4.93€
2018 10,944 2,592 6.10€
2019 11,820 2,592 6.16€
2020 13,978 3,554 8.49€
2021 18,611 5,883 14.36€
2022 21,173 5,624 14.14€
2023 27,559 7,839 19.91€
2024 28,263 7,572 19.25€
2025 32,667 9,609 24.73€

2015~2025年の年次報告・決算資料を基礎に整理しています。[4]

  • 2015~2025年の売上高CAGR:約17.9%。
  • 2015~2025年の純利益CAGR:約21.4%。
  • 2015~2025年の基本EPS CAGR:約22.6%。
  • 2025年:売上高326.67億ユーロ、純利益96.09億ユーロで過去最高を更新しました。

2025年Q1~2026年Q2

期間 売上高
十億€
売上総利益率 純利益
十億€
基本EPS
2025年Q1 7.742 54.0% 2.355 6.00€
2025年Q2 7.692 53.7% 2.290 5.90€
2025年Q3 7.516 51.6% 2.125 5.49€
2025年Q4 9.718 52.2% 2.840 7.35€
2026年Q1 8.767 53.0% 2.757 7.15€
2026年Q2 9.326 54.0% 2.918 7.59€

2026年上半期の売上高は180.93億ユーロとなり、前年同期から約17%増加しました。

2025年Q4にはネットブッキングが131.58億ユーロへ急増し、2025年末の受注残は387.97億ユーロでした。ASMLは2026年Q1以降、四半期ごとの具体的なネットブッキング額を決算表で公表していませんが、2026年Q2決算では上半期の受注が極めて強く、受注残も増加していると説明しています。[1][4]

高い利益率

期間 売上総利益率 純利益率
2020通期 48.6% 25.4%
2021通期 52.7% 31.6%
2022通期 50.5% 26.6%
2023通期 51.3% 28.4%
2024通期 51.3% 26.8%
2025通期 52.8% 29.4%
2026年Q1 53.0% 31.4%
2026年Q2 54.0% 31.3%

半導体製造装置企業として50%を超える売上総利益率を維持していることは、EUVを中心とする高い技術障壁と価格決定力を示す重要な特徴です。

EUVとHigh-NA EUV:ASML最大の競争優位

ASMLの競争優位の中心はEUVです。
先端半導体で必要となるEUV量産装置を実質的に供給できる企業はASMLだけです。次世代High-NA EUVでも同社が先行しているため、先端ロジックやDRAMの微細化が続くほどASMLの装置需要につながりやすい構造があります。

High-NAが研究段階から量産へ

High-NA EUVについては2026年7月15日、大きな進展が発表されました。Intel FoundryがIntel 18Aプロセスで製造するIntel Core Ultra Series 3(Panther Lake)の一部レイヤーにHigh-NA EUVを利用し、量産製品の出荷を開始しました。[6]

High-NAを利用する特定レイヤーでは、従来のLow-NA EUVであるNXEプラットフォームと同等の歩留まりを達成していると説明されています。IntelはHigh-NAをすべての18A工程で使っているわけではありませんが、研究開発用装置から実際の量産製品へ移行した点は重要です。[6]

ASMLによれば、IntelはHigh-NA EUVを使った高量産ロジック製品を出荷した最初の企業となります。今後TSMC、Samsungなどがどの工程でHigh-NAを採用するかが、中長期の普及速度を左右します。

Low-NA EUVも急拡大

High-NAだけでなく、現在の量産主力であるLow-NA EUVの需要も強まっています。ASMLは2026年に約65台のLow-NA EUV能力を見込み、2027年にはこれを約30%拡大する計画です。さらに2028年にも追加で約30%増やせるか検討しています。[1]

液浸DUVについても2026年の能力約130台に対して、2027年に約30%増強し、2028年にも追加増強を検討しています。AI関連投資はEUVだけでなく、複数のリソグラフィー工程に波及しています。[1]

研究開発:高い参入障壁を維持する投資

ASMLの独占的な市場地位は、長年の研究開発投資とサプライヤー・顧客との共同開発によって形成されています。

年度 研究開発費
百万€
売上高比率
2020 2,201 15.7%
2021 2,547 13.7%
2022 3,254 15.4%
2023 3,981 14.4%
2024 4,304 15.2%
2025 4,699 14.4%

2020~2025年は、おおむね売上高の14~16%前後を研究開発へ投じています。2025年のR&D費は46.99億ユーロでした。[4]

2026年も投資を継続しており、2026年Q1の研究開発費は11.85億ユーロ、Q2は12.77億ユーロ、上半期合計では24.62億ユーロとなりました。

対象はHigh-NAだけではなく、NXEシリーズの生産性向上、DUV、計測・検査、計算リソグラフィー、装置アップグレードなど広範囲に及びます。

財務基盤とキャッシュフロー

財務基盤の推移

期末 総資産
百万€
流動負債
百万€
非流動負債
百万€
株主資本
百万€
自己資本比率
2020年末 39,958 16,275 10,231 13,452 33.7%
2021年末 39,043 15,049 10,200 13,794 35.3%
2022年末 40,741 16,132 9,898 14,711 36.1%
2023年末 41,766 16,026 9,589 16,151 38.7%
2024年末 48,590 20,051 10,062 18,477 38.0%
2025年末 50,567 24,264 6,691 19,612 38.8%
2026年Q2末 50,215 22,155 6,235 21,825 43.5%

株主資本は2020年末の134.52億ユーロから、2025年末196.12億ユーロ、2026年Q2末には218.25億ユーロへ増加しました。自己資本比率も2026年Q2末には43.5%となっています。[1]

2026年Q2末の長期債務は約19.84億ユーロで、2025年末の約27.09億ユーロから減少しました。2026年上半期には債務・リース債務を約6.93億ユーロ返済しています。

キャッシュフロー

期間 営業CF
百万€
設備・無形投資
百万€
FCF
百万€
現金等+短期投資
百万€
2020通期 4,628 1,001 3,627 7,351
2021通期 10,847 940 9,906 7,590
2022通期 8,487 1,319 7,168 7,376
2023通期 5,443 2,196 3,247 7,010
2024通期 11,166 2,083 9,083 12,741
2025通期 12,659 1,631 11,027 13,322
2026年Q1 (2,186) 422 (2,608) 8,376
2026年Q2 1,703 386 1,317 7,582

2025年通期は営業キャッシュフロー126.59億ユーロ、フリーキャッシュフロー110.27億ユーロと非常に高い現金創出力を示しました。[4]

一方、2026年Q1は運転資本の影響で営業CFが大幅なマイナスとなり、Q2には17.03億ユーロのプラスへ戻りました。上半期累計では営業CFが約マイナス4.83億ユーロ、FCFが約マイナス12.91億ユーロです。

四半期CFだけで判断しない
ASMLでは大型装置の出荷・検収時期、顧客前受金、売掛金、在庫などによって四半期のキャッシュフローが大きく動きます。2026年上半期はFCFがマイナスですが、2026年Q2末でも現金・現金同等物と短期投資の合計は75.82億ユーロあります。株主還元の持続性を評価する場合は、1四半期だけでなく通期CFと手元流動性を確認する必要があります。

Installed Base Managementが拡大

ASMLは新規装置を販売するだけでなく、すでに顧客工場で稼働している装置から保守、部品、アップグレード、フィールドオプションなどの収益を得ています。

2025年通期のInstalled Base Management売上は81.93億ユーロで、2024年の64.94億ユーロから約26%増加しました。2026年Q2単独では27.62億ユーロとなっています。

会社は2026年通期のInstalled Base Management売上が2025年比で30%超増加すると見込んでいます。EUV装置の累積稼働台数が増えるほど、このサービス収益も積み上がりやすくなります。[1]

配当と自社株買い

ASMLは成長投資を優先しながら、配当と自社株買いを組み合わせて株主へ資本を還元しています。

2025年年間配当
7.50€/株
2025年株主還元総額
約85億€
2026~2028年自社株買い枠
最大120億€
2026年Q2買い戻し
約11億€

配当の推移

年度 年間配当 EPS 配当性向
2015 1.05€ 3.22€ 32.6%
2016 1.20€ 3.46€ 34.7%
2017 1.40€ 4.93€ 28.4%
2018 2.10€ 6.10€ 34.4%
2019 2.40€ 6.16€ 39.0%
2020 2.75€ 8.49€ 32.4%
2021 5.50€ 14.36€ 38.3%
2022 5.80€ 14.14€ 41.0%
2023 6.10€ 19.91€ 30.6%
2024 6.40€ 19.25€ 33.2%
2025 7.50€ 24.73€ 30.3%

2025年年間配当は1株当たり7.50ユーロで、2024年の6.40ユーロから約17%増加しました。2026年4月22日の株主総会で最終配当2.70ユーロが承認され、2026年5月5日に支払われています。[7]

2026年8月5日に1.88ユーロを支払い

2026年7月15日のQ2決算時に、2026年最初の中間配当として1株当たり1.88ユーロが発表されました。ユーロネクストの権利落ち日は2026年7月27日、NASDAQは7月28日、基準日は7月28日で、2026年8月5日に支払いが行われました。[7]

元記事では「8月5日に支払われる予定」としていましたが、2026年8月7日時点ではすでに支払日を通過しているため過去形へ更新しています。

最大120億ユーロの新しい自社株買い枠

ASMLは2026年1月28日から2028年12月31日までを期間とする最大120億ユーロの新たな自社株買いプログラムを開始しています。最大200万株を従業員向け株式制度に利用し、それ以外は原則として消却する方針です。[7]

2026年Q1には約11億ユーロ、Q2にも約11億ユーロの株式を買い戻しました。業績拡大と並行して、配当と自社株買いによる資本還元を継続しています。[1]

ASMLの強みとリスク

ASMLの強み

  • EUVの実質独占:最先端半導体の量産に不可欠なEUV露光装置で代替が極めて難しい地位を持っています。
  • High-NAでも先行:2026年7月にはIntel 18Aの量産製品でHigh-NA EUVの利用が始まりました。[6]
  • AI投資:先端ロジックとDRAMの能力増強がEUV、DUV、サービス需要のすべてを押し上げています。
  • サービス収益:装置の累積稼働台数増加に伴い、Installed Base Management売上が拡大しています。
  • 高い利益率:2026年Q2の売上総利益率は54.0%、純利益率は31%超でした。
  • 強い財務:研究開発、生産能力増強、配当、自社株買いを並行できる財務基盤があります。

2030年までの長期機会

ASMLは2024年Investor Dayで、2030年の年間売上機会を440億~600億ユーロ、売上総利益率を56~60%と示しました。[8]

2026年通期ガイダンス430億~450億ユーロは、すでにこの2030年売上機会の下限近くまで達しています。ただし、2030年レンジは確定した売上予想ではなく、市場規模・技術ロードマップを前提とした長期的な機会です。

ASMLは次回Capital Markets Dayを2027年6月10日に開催し、2024年以降のAI需要や技術環境を反映した長期見通しへ更新する予定です。[1]

注意すべきリスク

  1. 半導体設備投資サイクル:顧客が設備投資を延期すると、受注から売上まで大きく影響します。
  2. 輸出規制:中国向けEUVはすでに輸出できず、一部の先端DUVもオランダや米国の規制対象です。規制対象が拡大すれば、中国向け装置販売と保守サービスの双方に影響する可能性があります。[9]
  3. 中国売上:中国は2025年通期にASML売上高の約29%を占めました。会社は2026年には約20%へ低下すると見込んでいます。中国需要が高いほど、規制変更時の影響も大きくなります。[9]
  4. 中国製DUVの台頭:2026年7月下旬、中国で国産の液浸DUVリソグラフィー装置の生産が始まったと報じられました。ASML製品と比べると性能・信頼性でなお差があり、2026年の生産規模も小さいとされていますが、中国向けDUV市場では中長期的な競争リスクとなります。[10]
  5. High-NAの採用速度:Intelでは量産利用が始まった一方、High-NAは非常に高価な装置です。主要顧客がどの工程で採用するかにより普及速度は変わります。
  6. 顧客集中:TSMC、Samsung、Intel、SK hynix、Micronなど大手顧客の設備投資判断がASMLの需要に大きく影響します。
  7. 供給能力:需要が強くても、高度な光学系、部品、人材、サプライヤー能力が不足すれば、出荷増加が制約されます。
  8. 高い市場期待:業績が好調でも、市場予想を下回る受注やガイダンスが出れば株価が大きく下落することがあります。

中国製液浸DUVをどう見るか

2026年7月27~28日、Reutersは中国で国産の液浸DUVリソグラフィー装置の生産が始まったと報じました。初期の計画は2026年に約5台、2027年に約20台とされ、SMIC、Hua Hong、CXMTなどへの供給が想定されています。[10]

これはASMLにとって無視できない変化ですが、「中国がASMLのEUV技術に追いついた」という意味ではありません。今回報じられているのは液浸DUVであり、最先端EUVとは別の技術です。また、量産装置では稼働率、重ね合わせ精度、スループット、歩留まり、保守体制などが重要で、中国製装置にはなお検証が必要とされています。[10]

短期的にはASMLのEUV独占を崩す材料ではありませんが、中国市場でASML製DUVへの依存度が長期的に下がる可能性は、従来より明確な投資リスクになりました。

2026年のガイダンス

2026年第2四半期決算で、ASMLは2026年通期見通しを大幅に引き上げました。第1四半期時点では売上高360億~400億ユーロ、売上総利益率51~53%でしたが、第2四半期時点では売上高430億~450億ユーロ、売上総利益率54~56%となっています。[1]

2026年Q3会社予想

指標 Q3 2026会社予想
売上高 110億~120億€
Installed Base Management売上 約29億€
売上総利益率 55~57%
研究開発費 約12億€
販売・一般管理費 約4億€

2026年通期会社予想

項目 2026年見通し
売上高 430億~450億€
売上総利益率 54~56%
Installed Base Management 前年比30%超増
先端ロジック向け装置売上 前年比25%超増
メモリー向け装置売上 前年比75%超増
Low-NA EUV装置 約65台の能力
EUV装置売上 前年比45%超増
中国売上比率 約20%

2026年通期ガイダンスの中間値440億ユーロは、2025年実績326.67億ユーロを約35%上回る水準です。半導体製造装置の大型企業としては非常に高い成長率となります。

特に注目されるのはDRAM関連です。AIサーバー向けHBMや高性能メモリーの能力増強を背景に、会社は2026年のメモリー向け装置売上を2025年比75%超増と見込んでいます。[1]

まとめ:AI需要で成長加速、同時に中国リスクも変化

ASMLはEUV/High-NA EUVという非常に高い技術障壁を中心に、高成長・高利益率・株主還元を同時に実現している半導体製造装置企業です。

2025年通期は売上高326.67億ユーロ、純利益96.09億ユーロで過去最高を更新しました。2026年Q2も売上高93.26億ユーロ、売上総利益率54.0%、純利益29.18億ユーロとなり、市場予想を上回りました。

AI向け先端ロジック、HBM/DRAM需要の拡大を受け、2026年通期売上高見通しは430億~450億ユーロへ大幅に引き上げられています。Low-NA EUVと液浸DUVの生産能力も2027年に約30%拡張する計画です。[1]

さらに2026年7月にはIntel 18Aの一部製品でHigh-NA EUVを用いた量産出荷が始まり、次世代EUVが研究開発段階から実際の製造工程へ進み始めました。[6]

一方、投資リスクも変化しています。輸出規制に加え、2026年7月下旬には中国が国産液浸DUV装置の生産を開始したと報じられました。短期的にASMLのEUV技術を代替するものではありませんが、中国市場でのDUV競争については従来より注意が必要です。[10]

投資判断では、①2026年430億~450億ユーロのガイダンス達成、②売上総利益率54~56%の維持、③Low-NA EUVの増産、④High-NAの顧客採用、⑤Installed Base Managementの成長、⑥中国向け売上と輸出規制、⑦中国製DUVの性能向上、⑧年間フリーキャッシュフローと株主還元を並べて確認すると、ASMLの強みとリスクを整理しやすくなります。

免責事項
本記事は公開情報を整理した情報提供を目的とするもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。会社見通しはAI需要、半導体設備投資、輸出管理、為替、顧客の投資計画、供給能力などによって変化する可能性があります。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年Q2決算、2026年Q3・通期見通し、能力増強、Installed Base Management、Q2自社株買い → 一次(ASML:Q2 2026 Financial Results)一次(SEC:Q2 Investor Presentation) / 確認日:2026-08-07
  2. 2026年Q2市場予想、売上高88.0億ユーロ、純利益26.2億ユーロ → 二次(Reuters/Euronext) / 確認日:2026-08-07
  3. ASMLの事業内容、EUV・DUV・サービス事業 → 一次(ASML Annual Report)一次(ASML Technology) / 確認日:2026-08-07
  4. 2025年通期業績、R&D、製品販売、受注残、キャッシュフロー → 一次(ASML:Q4 and FY2025 Results)一次(ASML Annual Report 2025) / 確認日:2026-08-07
  5. Euronext Amsterdam・NASDAQ上場形態 → 一次(ASML Investors:Shares) / 確認日:2026-08-07
  6. High-NA EUVをIntel 18Aの一部量産製品で利用、Panther Lake出荷 → 一次(ASML:High NA EUV readiness milestone) / 確認日:2026-08-07
  7. 2025年配当7.50ユーロ、2026年8月5日の中間配当1.88ユーロ、2026~2028年自社株買い → 一次(ASML:Capital return and financing)一次(ASML:Share buyback) / 確認日:2026-08-07
  8. 2030年売上機会440億~600億ユーロ、売上総利益率56~60% → 一次(ASML:Financial Strategy) / 確認日:2026-08-07
  9. 中国売上比率、対中輸出規制・MATCH Actをめぐるリスク → 一次(ASML Annual Report 2025)一次(オランダ下院:MATCH Actに関する政府回答) / 確認日:2026-08-07
  10. 中国での国産液浸DUV装置生産開始、ASMLとの差、初期生産規模 → 二次(Reuters:2026-07-28)二次(Reuters/Euronext:2026-07-27) / 確認日:2026-08-07

Posted by 南 一矢