LMTとRTXを比較:ロッキードマーチンとレイセオンテクノロジーズの違いとは
ロッキード・マーティン(Lockheed Martin Corporation)とRTX(RTX Corporation)は軍事企業の代表格です。その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
※本記事は、公開されている最新の決算情報や財務データに基づき作成していますが、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。
| 2025年10月版の主要更新ポイント: |
株価:過去~現在
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
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2025年10月21日終値近辺(目安): LMT:約$493、四半期配当$3.45(年換算$13.80)で配当利回り目安は約2.8%。[5] RTX:約$173、四半期配当$0.68(年換算$2.72)で配当利回り目安は約1.6%。[6] |
決算(予想:結果)
マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。
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2025年Q2決算ハイライト: LMT:売上$182億(+0.6%)、プログラム損失$16億などの計上でGAAP EPS $1.46。[1][10] RTX:売上$216億(+9%)、調整後EPS$1.56(+11%)、バックログ$2,360億。[2]
2025年Q3アップデート(参考): |
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
業績と配当の詳細比較(2025年10月版)
株価や決算と並んで重要なのが、企業のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を示す業績と、株主還元の姿勢を示す配当です。ここではLMTとRTXの2社について、過去5年間のデータを基に詳しく比較・分析します。
比較サマリー
| 項目 | ロッキード・マーティン (LMT) | RTX (レイセオン) |
|---|---|---|
| 事業概要 | 世界最大級の防衛企業。F-35など大型案件の比重が高い。 | 防衛システム(Raytheon)と商業・防衛航空(Collins/Pratt & Whitney)の二本柱。 |
| 連続増配年数 | 23年(2025年時点)。[5] | (統合後)増配継続、2025年に配当引き上げ。[6] |
| 配当(直近) | 四半期$3.45(年換算$13.80)。[5] | 四半期$0.68(年換算$2.72)。[6] |
| バックログ(受注残) | $1,790億(2025年Q3)。[3] | $2,510億(2025年Q3)。[4] |
成長性の詳細分析
売上高の比較 (2020–2024年)
RTXは合併後の事業再編と民需回復で高い伸びを示し、LMTは大型案件の進捗に応じた緩やかな成長という構図です(2024通期:LMT $710億、RTX $800億超)。[7][8]
| 年 | LMT 売上高 | RTX 売上高 |
|---|---|---|
| 2020 | $65.4 B | $56.6 B |
| 2021 | $67.0 B | $64.4 B |
| 2022 | $66.0 B | $67.1 B |
| 2023 | $67.6 B | $74.3 B |
| 2024 | $71.0 B[7] | $80+ B(会社公表「$80B超」)[8] |
※B=10億ドル。年次報告・決算資料に整合。端数は丸め。
EPS(1株利益)の比較 (参考値・2020–2024年)
LMTは高収益だが「機密案件等の損失」計上により年次でぶれやすい。一方でRTXは調整後ベースで二桁成長を維持する局面が増えています。[7][8]
2025年の業績見通し
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最新ガイダンス(2025年通期・2025年10月時点): LMT:売上$742.5–747.5億、GAAP EPS$22.15–$22.35へ引き上げ(Q3発表)。[3] RTX:調整後売上$865–870億、調整後EPS$6.10–6.20へ引き上げ(Q3発表)。[4] |
結論:今後の見通しと注意すべきリスク
分析サマリー
- LMT:安定した受注残と高いキャッシュ創出力が強み。2025年Q2にはプログラム損失$16億を計上したが、Q3時点で通期見通しを引き上げるなど基調は堅調。[1][3]
- RTX:防衛需要と民間航空の回復を同時に取り込めるポートフォリオ。Q2のバックログ$2,360億→Q3$2,510億へ拡大。[2][4]
注意すべきリスク要因
- LMTのリスク:機密案件・ヘリコプタープログラム等での損失計上(Q2 2025)に見られるように、固定価格契約などのコスト超過リスク。[10]
- RTXのリスク:エンジン(GTF)関連の検査・改修費用や貿易政策(関税)によるコスト上振れが、キャッシュフローの変動要因となる可能性。[2][4]
総合的な見通し
LMTは「防衛大型案件×高還元」でディフェンシブに、RTXは「防衛+商業航空の二本柱」で循環に強い構造。いずれもバックログ拡大と見通し上方修正が確認でき、2025年時点の需給環境は良好です。保有目的(安定配当か、成長と分散か)に応じて選好を分けるのが妥当でしょう。
最終更新日:2025年10月22日
【注】(出典リンク)
- LMT Q2 2025:プログラム損失$16億・決算概要 → Lockheed Martin Q2 2025 リリース(確認日:2025-10-22) ↩
- RTX Q2 2025:売上+9%、調整後EPS$1.56、バックログ$2,360億 → RTX Q2 2025 リリース(確認日:2025-10-22) ↩
- LMT Q3 2025:売上$186億、EPS$6.95、通期ガイダンス引き上げ、バックログ$1,790億 → Lockheed Martin Q3 2025 リリース(確認日:2025-10-22) ↩
- RTX Q3 2025:ガイダンス引き上げ、バックログ$2,510億 → RTX Q3 2025 リリース(確認日:2025-10-22) ↩
- LMT 配当引き上げ(2025年10月、四半期$3.45、23年連続増配) → Lockheed Martin 配当リリース(確認日:2025-10-22) ↩
- RTX 配当引き上げ(2025年5月、四半期$0.68) → RTX 配当リリース(確認日:2025-10-22) ↩
- LMT 2024通期(売上$71.0B、EPS$22.31等) → Lockheed Martin 2024通期リリース(確認日:2025-10-22) ↩
- RTX 2024実績・2025年アウトルック($80B超の売上、EPS見通し) → RTX 2024実績&2025見通し(確認日:2025-10-22) ↩
- LMT Q2 2025の損失内訳(報道) → Reuters:Q2 2025 決算記事(確認日:2025-10-22) ↩
変更箇所(今回)
- 冒頭の更新枠:2025年8月版 → 2025年10月版(Q3アップデート・配当増額・バックログ更新を反映)。
- RTXのバックログ:236億ドル → 2,360億ドル(Q2時点)、Q3で2,510億ドル(桁誤りを修正)。[2][4]
- 配当情報:LMT $3.30/RTX $0.68 → LMT $3.45(23年連続増配)/RTX $0.68(最新リリース確認)。[5][6]
- 利回り表記:LMT約2.9%、RTX約1.7% → LMT約2.8%、RTX約1.6%(2025-10-21終値近辺で再計算、時点明記)。
- ガイダンス:LMT $73.8–74.8億/RTX $84.8–85.5億 → LMT $742.5–747.5億/RTX $865–870億(単位を「億ドル」に統一し、Q3上方修正を反映)。[3][4]
- LMTのQ2損失:記述を正式リリース・主要報道で補強($16億のプログラム損失)。[1][10]
- 売上比較(2024):LMT $71.0B、RTX $80B超の会社公表値で整合を取り注記。[7][8]

