LMTとRTXを比較:ロッキードマーチンとレイセオンテクノロジーズの違いとは

資本財,軍事株,銘柄比較

ロッキード・マーティン(Lockheed Martin Corporation)とRTX(RTX Corporation)は軍事企業の代表格です。その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

※本記事は、公開されている最新の決算情報や財務データに基づき作成していますが、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

2025年10月版の主要更新ポイント:

  • LMTのQ2 2025決算(プログラム損失16億ドルを計上)と、その後のQ3 2025の見通し上方修正を反映。[1][3]
  • RTXのQ2 2025決算(売上+9%、調整後EPS+11%)と、Q3 2025でのガイダンス引き上げ・バックログ更新を反映。[2][4]
  • 配当を更新:LMTは2025年10月に四半期配当を$3.45(+5%)へ増額、23年連続増配。RTXは2025年5月に四半期配当を$0.68(+7.9%)へ引き上げ。[5][6]
  • 最新バックログ:LMTはQ3 2025で$1790億、RTXはQ3 2025で$2,510億(Q2は$2,360億)。[3][4]

株価:過去~現在

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

2025年10月21日終値近辺(目安):
LMT:約$493、四半期配当$3.45(年換算$13.80)で配当利回り目安は約2.8%[5]
RTX:約$173、四半期配当$0.68(年換算$2.72)で配当利回り目安は約1.6%[6]

決算(予想:結果)

マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。

2025年Q2決算ハイライト:
LMT:売上$182億(+0.6%)、プログラム損失$16億などの計上でGAAP EPS $1.46。[1][10]
RTX:売上$216億(+9%)、調整後EPS$1.56(+11%)、バックログ$2,360億[2]

2025年Q3アップデート(参考):
LMT:売上$186億、GAAP EPS $6.95、通期EPSガイダンスを$22.15–$22.35へ引き上げ、バックログ$1,790億[3]
RTX:売上約$225億、調整後EPS$1.70、通期ガイダンスを売上$865–870億/EPS$6.10–6.20へ引き上げ、バックログ$2,510億[4]

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

ロッキード・マーティン(LMT)今後の見通し

レイセオンテクノロジーズ(RTX)今後の見通し

業績と配当の詳細比較(2025年10月版)

株価や決算と並んで重要なのが、企業のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を示す業績と、株主還元の姿勢を示す配当です。ここではLMTとRTXの2社について、過去5年間のデータを基に詳しく比較・分析します。

比較サマリー

項目 ロッキード・マーティン (LMT) RTX (レイセオン)
事業概要 世界最大級の防衛企業。F-35など大型案件の比重が高い。 防衛システム(Raytheon)と商業・防衛航空(Collins/Pratt & Whitney)の二本柱。
連続増配年数 23年(2025年時点)。[5] (統合後)増配継続、2025年に配当引き上げ。[6]
配当(直近) 四半期$3.45(年換算$13.80)。[5] 四半期$0.68(年換算$2.72)。[6]
バックログ(受注残) $1,790億(2025年Q3)。[3] $2,510億(2025年Q3)。[4]

成長性の詳細分析

売上高の比較 (2020–2024年)

RTXは合併後の事業再編と民需回復で高い伸びを示し、LMTは大型案件の進捗に応じた緩やかな成長という構図です(2024通期:LMT $710億、RTX $800億超)。[7][8]

LMT 売上高 RTX 売上高
2020 $65.4 B $56.6 B
2021 $67.0 B $64.4 B
2022 $66.0 B $67.1 B
2023 $67.6 B $74.3 B
2024 $71.0 B[7] $80+ B(会社公表「$80B超」)[8]

※B=10億ドル。年次報告・決算資料に整合。端数は丸め。

EPS(1株利益)の比較 (参考値・2020–2024年)

LMTは高収益だが「機密案件等の損失」計上により年次でぶれやすい。一方でRTXは調整後ベースで二桁成長を維持する局面が増えています。[7][8]

2025年の業績見通し

最新ガイダンス(2025年通期・2025年10月時点):
LMT:売上$742.5–747.5億、GAAP EPS$22.15–$22.35へ引き上げ(Q3発表)。[3]
RTX:調整後売上$865–870億、調整後EPS$6.10–6.20へ引き上げ(Q3発表)。[4]

結論:今後の見通しと注意すべきリスク

分析サマリー

  • LMT:安定した受注残と高いキャッシュ創出力が強み。2025年Q2にはプログラム損失$16億を計上したが、Q3時点で通期見通しを引き上げるなど基調は堅調。[1][3]
  • RTX:防衛需要と民間航空の回復を同時に取り込めるポートフォリオ。Q2のバックログ$2,360億→Q3$2,510億へ拡大。[2][4]

注意すべきリスク要因

  • LMTのリスク:機密案件・ヘリコプタープログラム等での損失計上(Q2 2025)に見られるように、固定価格契約などのコスト超過リスク。[10]
  • RTXのリスク:エンジン(GTF)関連の検査・改修費用や貿易政策(関税)によるコスト上振れが、キャッシュフローの変動要因となる可能性。[2][4]

総合的な見通し

LMTは「防衛大型案件×高還元」でディフェンシブに、RTXは「防衛+商業航空の二本柱」で循環に強い構造。いずれもバックログ拡大と見通し上方修正が確認でき、2025年時点の需給環境は良好です。保有目的(安定配当か、成長と分散か)に応じて選好を分けるのが妥当でしょう。


最終更新日:2025年10月22日

ミニ解説:「バックログ」とは受注残高のこと。今後の売上計上見込みを示す重要指標で、防衛産業では中長期の需要を測るベースになります。LMT・RTXともに2025年は記録的水準です。[3][4]

【注】(出典リンク)

  1. LMT Q2 2025:プログラム損失$16億・決算概要 → Lockheed Martin Q2 2025 リリース(確認日:2025-10-22)
  2. RTX Q2 2025:売上+9%、調整後EPS$1.56、バックログ$2,360億 → RTX Q2 2025 リリース(確認日:2025-10-22)
  3. LMT Q3 2025:売上$186億、EPS$6.95、通期ガイダンス引き上げ、バックログ$1,790億 → Lockheed Martin Q3 2025 リリース(確認日:2025-10-22)
  4. RTX Q3 2025:ガイダンス引き上げ、バックログ$2,510億 → RTX Q3 2025 リリース(確認日:2025-10-22)
  5. LMT 配当引き上げ(2025年10月、四半期$3.45、23年連続増配) → Lockheed Martin 配当リリース(確認日:2025-10-22)
  6. RTX 配当引き上げ(2025年5月、四半期$0.68) → RTX 配当リリース(確認日:2025-10-22)
  7. LMT 2024通期(売上$71.0B、EPS$22.31等) → Lockheed Martin 2024通期リリース(確認日:2025-10-22)
  8. RTX 2024実績・2025年アウトルック($80B超の売上、EPS見通し) → RTX 2024実績&2025見通し(確認日:2025-10-22)
  9. LMT Q2 2025の損失内訳(報道) → Reuters:Q2 2025 決算記事(確認日:2025-10-22)

変更箇所(今回)

  • 冒頭の更新枠:2025年8月版2025年10月版(Q3アップデート・配当増額・バックログ更新を反映)。
  • RTXのバックログ:236億ドル2,360億ドル(Q2時点)、Q3で2,510億ドル(桁誤りを修正)。[2][4]
  • 配当情報:LMT $3.30/RTX $0.68LMT $3.45(23年連続増配)/RTX $0.68(最新リリース確認)。[5][6]
  • 利回り表記:LMT約2.9%、RTX約1.7%LMT約2.8%、RTX約1.6%(2025-10-21終値近辺で再計算、時点明記)。
  • ガイダンス:LMT $73.8–74.8億/RTX $84.8–85.5億LMT $742.5–747.5億/RTX $865–870億(単位を「億ドル」に統一し、Q3上方修正を反映)。[3][4]
  • LMTのQ2損失:記述を正式リリース・主要報道で補強($16億のプログラム損失)。[1][10]
  • 売上比較(2024):LMT $71.0B、RTX $80B超の会社公表値で整合を取り注記。[7][8]

Posted by 南 一矢